葉室麟のレビュー一覧

  • 山月庵茶会記

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    華道、茶道、なんと奥が深いものでしょう。こんな言葉すら浅薄なものに感じてしまう
    目に映る姿の向こうにあるものを見ること。それは自らの内面と対峙すること。凡人には全く分からないけれど物語の人物たちはそれぞれそうすることで今のお互いの心や状況を理解している
    又兵衛さんだけがお煎餅に添えられた番茶のようにホッとする存在でした

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    2023年02月20日
  • 決戦!忠臣蔵

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    もしかしたら歴史小説を初めて読んだのは忠臣蔵だったかもしれない。
    何作か読んだと思うけど、久しぶりのこの忠臣蔵はアンソロジーで、様々な視点で7人の歴史小説家が書いています。

    葉室麟『鬼の影』
    朝井まかて『妻の一分』
    夢枕獏『首無し幽霊』
    長浦京『冥土の契り』
    梶よう子『雪の橋』
    諸田玲子『与五郎の妻』
    山本一刀『笹の雪』

    どれも視点が新鮮で面白く読めました。
    お気に入りは朝井まかてさんの『妻の一分』。
    江戸っ子の語り口調が噺家さんみたいだなぁと楽しく読み進めると、この語り手の正体がわかった時に笑っちゃって!

    それと神崎与五郎の元妻の話も、ドラマで見たような話だったけど、うるうるしちゃった

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    2023年02月05日
  • 嵯峨野花譜

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    なんという凛とした物語でしょう。花本来の美しさが目の前に映像として現れるようでした
    胤舜だけでなく全ての人に物語があり人生があるのです
    表現こそ違えど皆人を思いやる心を持っていることに気付かされました
    胤舜がこれから歳を重ねどんな人の想いをどんな風に生けるのかもっと見てみたいと思った

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    2023年02月02日
  • さわらびの譜

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    ネタバレ

    読み進むにつれて、葉室麟の世界に引きづられて行く
    解説島内景二:狭き門とは、葉室にとって武士道そのものである。さわらびの譜は、日置流雪荷派の弓術の奥儀と重ね合わせるようにして、葉室流文学道の神髄が語られている

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    2023年02月01日
  • 紫匂う

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    ネタバレ

    葉室麟らしい清々しい登場人物が出てくる小説。
    しかし、その清々しい人物は主人公ではなく、その妻が主人公。

    結婚前に一度だけ契りあった、かつての男笙平が江戸を追われて国元に逃げ帰ってくる。笙平をかくまう主人公の澪。若き日の思いを清算しきれずにいる澪と笙平に敵の追手が迫りくるとき、澪の夫蔵太が現れる。武士の矜持と夫としての優しさを体現する蔵太を目の前にして、澪の心が次第におだやかになっていく。

    蔵太が理想、修正を行える澪もまた理想。しかし、笙平や彼を追う悪役のようなダークな部分を持って生きているのが現実。であるからこそ、蔵太のほれぼれする生き様を読んで、少しでも彼のように生きていこうと思うので

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    2023年01月13日
  • 花や散るらん

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    雨宮蔵人と咲弥夫妻に、いつの間にか香也という娘がっ。

    話に、徳川綱吉と吉良上野介が出てくると、これは忠臣蔵か?というわけで、京の郊外に静かに住んでいた夫妻も巻き込まれていきます。

    巻き込まれていても、お互いがお互いを思い、何があってもぶれない夫婦に感動です。

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    2022年10月23日
  • 花や散るらん

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    いい。
    忠臣蔵を題材としている。
    敵も味方もいい。儚い美しさを貫いている。
    だが、それは脇役で夫婦・親子の愛を描いているのだ。

    いかにせん都の春も惜しけれど慣れし東の花や散るらん

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    2022年10月23日
  • 銀漢の賦

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    「作家読みしたい」と思う出会いとなった。予定調和でない、実際に生きている人々の人生をそのまま見ているかのような物語の展開に、引き込まれた。

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    2022年09月22日
  • 暁天の星

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    明治期に外務大臣を務めた陸奥宗光を主要視点人物に据えた時代モノの小説である。
    作者は2017年に他界されているが、その少し前の時期、少し体調も好くなかった中で雑誌連載をしていたという作品で、雑誌に掲載された部分までが本に収められている。故に「未完」ではあるのだが、余り「未完」を意識せずに読むことが出来た。そして読後にその「未完」の経過を知り、非常に惜しい作家が他界してしまったと、改めて御悔み申し上げたくなる。
    明治期の様々な事柄や、それに携わったという人物に題材求める小説は多く在るように思う。そういう中で「陸奥宗光」の題材を求めるという、そのこと自体に「近代史を見詰める作者の“主張”」のような

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    2022年08月23日
  • 散り椿

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    夫婦、仲間、家族のそれぞれの思いが強いほど誤解もあるもの。思いが複雑に絡み合うなかそれぞれの心情を丹念に描いた傑作。映画もいいがぜひ原作を。

    『散る椿はな、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるのだ。』

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    2022年08月20日
  • おもかげ橋

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    二人の武士の純な心を弄ぶかのような人妻になった初恋の人の思わせぶりな態度。
    あれ、これは誰の作品だっけと思わせるような葉室麟らしからぬ恋心や嫉妬心がちりばめられた作品。でも底流には男の友情が流れている。
    藩一の剣の使い手である草場弥一と頭脳明晰な小池喜平次は幼馴染で、上司である勘定奉行にそそのかされ、藩政を壟断しお家乗っ取りをたくらむ重臣を襲い顔に瑕を負わせる。重臣は失脚するが二人も藩を致仕することに。それから16年、弥一はは江戸で町道場もどきを開いているが閑古鳥がなき旗本の剣術指南で糊口をしのいでいる。一方喜平次は、飛脚問屋の主人に見込まれて婿入りし商人に。そんな中、失脚した重臣が復帰し、勘

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    2022年06月15日
  • 潮鳴り

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    先が読みやすい勧善懲悪のストーリーながら、人を思いやる気持ちの大切さに改めて気付かされる小説である。ともすれば自分本位となりがちな現代において、人を慈しむ慈愛の心こそが人の共感を呼び、連帯感を強くすることを再認識させられた。読後感も爽やかである。

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    2022年06月07日
  • 風のかたみ

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    よくできたお話しです。
    見栄っ張りな亭主と息子二人が 上意討ちにあって

    殿様から攻められ 火をかけ自害してしまいます。

    残された女たちは 混乱の前 白鷺屋敷に移されます。

    そこに 伊都子という女医さんが 住み込みで派遣されました。

    女たちが死なないように見張れ!という命令のもと

    一緒に住み始めます。

    秘密がいっぱい。家に入ってくる男の人が死に 毒薬も

    誰がなにを企んでいるのか

    本当はみんなどうしたいのか

    面白い本でした。

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    2022年05月28日
  • オランダ宿の娘

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    江戸の一大疑獄、「シーボルト事件」時代を動かす、若者たちの熱い恋。オランダ宿「長崎屋」の美しい姉妹と、蘭学に命を捧げた男たちの、極上の歴史ミステリにして清冽な青春小説。

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    2022年04月16日
  • 銀漢の賦

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    大満足。とても良い話だった。心が洗われるというのは、こういう読書体験を言うのだろう。子供の頃からの親友が成長する過程で、それぞれの苦難に遭い、絶交状態になるが、最後は友情の力で乗り切ると言うサクセスストーリー。こんなに読後に満足感を覚えるのは久しぶり。時代小説を避けている人にも超オススメ。

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    2022年04月14日
  • 乾山晩愁

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    各々に実在した近世の芸術家をモデルとする主要視点人物が据えられている5篇が収められている。
    以下、何れも少し難しい漢字の題を冠した5篇の名と、各篇の主要視点人物のモデルとなった芸術家の名、伝えられる生没年を挙げる。尚、これ位の時代の人は自称、他称で色々な呼び名が在る場合、何かの契機で改名する、青年期と壮年期や老境というように人生の中で名乗りを変えるという例も多い。そこで「多分、最も広く知られているであろう」と見受けられる、百科事典的なモノで調べると直ぐに出て来る名を挙げておいた。

    『乾山晩愁』(けんざんばんしゅう):尾形乾山(1663-1743)

    『永徳翔天』(えいとくしょうてん):狩野永

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    2022年04月14日
  • 洛中洛外をゆく

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    興味深い内容を色々と詰め合わせたような一冊になっていると思う。
    何か、雑誌等に掲載されているような感の内容を集めて文庫本にしたというような感じである。
    葉室麟は、京都で活動した芸術家を題材に、或いは主要視点人物とする物語を幾つも綴っている。そうした作品を取上げ、人物や所縁の場所の話題を展開するという内容が最初に在る。
    葉室麟は仕事場を京都に構えて住むようになって行くのだが、そういう関係で京都新聞にコラムを寄稿した経過が在るようで、それらが収められている。
    更に色々な型との対談が纏められているというモノが在り、それらがこの文庫に収められている。
    こういう多彩な内容だ。
    作者自身が加わる小説の解説

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    2022年03月20日
  • 秋霜

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    「春雷」の続編として読むと大きな流れでわかりやすい。
    終盤ちかく、兵衛にはかせた「秋霜のごとく、ひとに苛烈にあたるからには、おのれにも厳しくあらねばなるまい。遅れれば未練がます。」の言葉が染み入る。

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    2022年03月05日
  • 約束

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    平成の高校生が明治に転生!現代っ子4人の意識が、維新直後を生きる青年らの身体に入り込んだ!西郷、大久保ら偉人達の側で、生きた歴史の授業が始まる・・・。『蜩ノ記』で直木賞を受賞した葉室麟氏の没後に発見された ”幻のデビュー作” がこの青春歴史小説。

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    2022年02月14日
  • 天翔ける

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    これまでに幕末から明治維新のあたりを描いた小説を何作か読んでいましたが、本作ではまた違った面から見えるものがあり、とても面白く興味深く読み進めました。
    物語の主人公によって、同じ時代のお話でも印象が変わってくるものです。
    時代の流れやいろいろな登場人物に振り回されたり、かき回されたり、、、春嶽さん、どうするんだろうとドキドキハラハラする場面もたくさんありました。
    西郷さんの方も読んでみたくなりました。

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    2022年02月09日