葉室麟のレビュー一覧

  • 蝶のゆくへ

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    ネタバレ

    主人公りょうの人生がまさか中村屋へ、その看板メニューインドカレーへと繋がっているとは思いもよらなかった
    錚々たる小説家芸術家の名前が出てくるのでりょうもその世界で大成するのかと思った。意外だったけれど最後まで自分を自分として愛した気持ちのいい女性だった
    相馬黒光さん

    それにしても途中から葉室麟さんの作品を読んでいるということを忘れていた

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    2023年03月13日
  • 嵯峨野花譜

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    活花の名手と評される大覚寺の少年僧胤舜が、華道の修業を通じて成長していく時代小説。
    10篇からなり、それぞれに様々な花が生けられる。
    白椿、蝋梅、山桜、山梔、萩、朝顔、酔芙蓉等々。
    しかし、請われて活花を行ったがその人の命を救えず、師の広甫に「生きることに、たんと苦しめ。苦しんだことが心の滋養となって、心の花が咲く。自らの心に花を咲かせずして、ひとの心を打つ花は活けられぬ」と、未熟さを諭され、さらに精進する。
    静かに活花の話が続くと思いきや、彼が老中水野忠邦の隠し子であることから、一転不穏な動きが蠢き始める。
    史実とフィクションが融合されたこの小説は、著者が京都に居を移したその時期に書かれたと

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    2023年02月09日
  • あおなり道場始末

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    解説によれば、葉室氏は出版社にとって小説の内容や傾向を書き分けているとのこと。
    確かに「新潮」「角川」では、歴史上の人物を主に彼らの清涼な生き方を格調高く描いているし、「文藝春秋」「講談社」「徳間」では、歴史とフィクションを巧みに織り交ぜて、和歌や漢詩を取り入れ豊穣な作品となっている。
    一方、この双葉社(文庫)は、『川あかり』しかり、『蛍草』しかり、架空の人物を主人公に娯楽性の高い愉快な作品となっている。
    本書もその例にもれず、架空の藩の剣術道場の三兄弟の絆を謳い心温まる時代小説となっている。
    両親を喪ったこの三兄弟、昼行灯のような性格で頼りない兄権平に対し、妹千草は剣術の腕前は兄に勝る美貌の

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    2023年02月01日
  • 読書の森で寝転んで

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    2017年に逝去した著者の、最後のエッセイ集。
    第1章は、新聞に連載した書評集。司馬遼太郎の『韃靼疾風録』から小林秀雄の『本居宣長』まで、29篇。
    第2章は、「歴史随想ほか」で、新聞や雑誌に掲載されたエッセイでなっている。この中で、著者が最近に出版不況について、「近頃、本が売れないのは、人生に挑む気概が欠けているからではないかと思う」と論じる。そして「人生という戦場に出て行くからには、読書という武装が欠かせないと信じていたが、いまは違うのだろうか」と、懸念を示している。同感するブログ子も多いことだろう。
    第3章は、小説講座の講師としての対談からなる講義録。ここで、葉室氏は「残り時間を考えるので

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    2023年01月08日
  • 散り椿

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    とても美しい物語だった。
    最初亡き妻の真意が分からず好きじゃなかったんだけれど、読み進めていくと段々と様々な事の裏側が見えてくる。
    彼女の、そして彼らの一途な愛が痛いほど伝わってくる。
    過去の事件の真相が徐々に分かってくるにつれて、彼らへの心情が二転三転していく。
    誰が敵かと疑心暗鬼になったり、卑劣な手段に出る相手方にハラハラの展開もあって、始終面白く読めた。

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    2022年12月29日
  • 緋の天空

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    春の奈良旅以来続く、光明子ブームの一環。
    長屋王の長男・膳夫(かしわで)との、ほのかな想いがポイントとなっている。
    二人に加え、聖武天皇、あの道鏡まで同年だった・・・
    それを知ったときの作者の小躍りする姿が見えるよう。

    一番、読んでいて印象深かったのは、
    彼らの少年時代の冒険の一コマ・
    たぶん、作者は、ここから物語の発想が膨らませたのではないかと
    勝手に思っているほど、心惹かれている。
    大河ドラマ「女城主直虎」で主人公らが井戸を囲んだ幼い日々と重ねてしまった。
    どちらもとても好きな場面。
    後に道を違えることになったとしても、幼い日、共に過ごした記憶は
    きっと心に残っているはずだから。

    小説

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    2022年12月31日
  • 実朝の首

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    建保七年(1219年)正月二十七日
    源実朝の右大臣拝賀の儀
    雪の降り積もる鶴岡八幡宮の石段と傍らの大銀杏

    実朝暗殺の場面から物語は始まる
    甥の公暁によって殺された実朝の首を巡る騒動


    公暁から首を預かった弥源太。
    (弥源太は公暁の乳母子で美少年♪)
    弥源太は三浦館へ向かうはずだったが、そのまま持ち逃げする。
    そこから三浦義村の家臣、武常晴と出会い、連れて行かれた先には和田合戦の生き残りたち和田党がいた。

    この作品、成り行きで和田党の一員となった弥源太の成長物語…
    という側面もあるのかな。
    もちろん見どころは朝廷と鎌倉幕府、そして和田党の腹の探り合いですが。

    自分的に面白くて印象的なのは

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    2022年12月22日
  • 無双の花

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    寡聞にして本書を読むまで立花宗茂という人を知らなかったのですが、葉室氏が題材にしたことが頷ける真っ直ぐな人でした。
    多くの武将たちが生き残りをかけて時に権謀術数を巡らす戦乱の世の中で、決して裏切らないことを信条に生き抜いたことは驚嘆に値する。また、彼を支える忠臣や女性も皆、この男と共に生きるに相応しい人たちでした。
    オマケに家康まで心の底では平安の世を実現するために敢えて卑怯な手も辞さない男として描かれていたけれど、これには少し疑問もある。真田も伊達も格好良すぎだしね。

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    2022年12月22日
  • 天の光

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    理想とする仏像を彫ろうと、京へ修業に行った仏師清三郎。
    彼の留守に、賊に襲われ凌辱され行方不明となった妻を探し、離れてしまったと思える彼女の心を取り戻したいと旅に出る。
    仏師としての求道小説であるとともに、妻のために命を賭ける恋愛小説とも言える。
    和歌や漢詩に造詣の深い著者は、小説に巧みに取り入れ格調高い作品となっている。本作では、仏像や仏教知識を遺憾なく発揮し、作品の肝としている。
    妻への思いとともに、清三郎が次々と彫る仏像についての話が淡々と進むのかと思いきや、捕縛された妻を取り戻さんと流刑島へ渡ったあたりから、一気に冒険活劇的となる。
    島抜けを図る悪党どもとの手に汗握る攻防は、エンターテ

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    2022年12月01日
  • 青嵐の坂

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    藩の財政再建に没頭しながら、御用商人の企みで切腹させられた檜弥八郎の無念を、息子の慶之助が妹の婿の矢吹主馬と果たす壮大な物語だが、武士の心意気が随所に見られ非常に楽しめた.どの世界にも蔓延っている無能な取り巻き連中や悪徳商人をうまく対処して成果を上げるための方策と陣容を、いかに整えるか.この難題を解決する手法が示されていると感じた.慶之助が最後に取った手段は、自分自身を弁えた渾身の策だろうが、命を差し出す勇気は素晴らしいと思う.

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    2022年11月22日
  • 読書の森で寝転んで

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    ネタバレ

    目次
    ・読書の森で寝ころんで
    ・歴史随想ほか
    ・小説講座で語る
    ・芦刈
    ・我に一片の心あり 西郷回天賦
    ・葉室麟 最後の言葉

    読もう読もうと思いながら、まだその作品を読んだことのない葉室麟のこの作品を買ったのは、もちろんタイトルに惹かれたから。
    『読書の森で寝ころんで』
    こんな至福はあるまい。

    時代小説を書く人だ、という認識しかなかったので、その書評にコナン・ドイルやカートヴォネガット・ジュニアがあるのに驚いた。
    もちろん時代小説・歴史小説について書かれたものが多いのだけれど、それは想定内。
    まさか彼から、コナン・ドイルが晩年スピリチュアルな世界へ傾倒していった理由を知ることになるとは。

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    2022年11月20日
  • 実朝の首

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    実朝暗殺から承久の乱までのわずか2年間を
    鎌倉幕府と朝廷、さらに和田合戦での生き残り達との三つ巴を見事に描き切った作品です。

    こういった清らかでありながら何処か冷酷さも感じられるような読後感が葉室麟作品ならではの楽しみ方なのかもしれません。

    大河ドラマでどう描かれるのか楽しみになりました。

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    2022年11月02日
  • 散り椿

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    Netflixで映画を見て、葉室麟作品を始めて読んだ。映画も良かったけどやはりこの原作の方がより深い味わいで良かった。葉室麟作品をこれから読んでいくことになるんだろうなという予感。

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    2022年10月23日
  • 津軽双花

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    四編からなる中・短編の物語
    表題作「津軽双花」はやはり圧巻。帯にある通り女たちの関ヶ原とありますが、その中身は凛とした女性像が語られています。

    ■津軽双花
    石田三成の娘・辰姫は津軽家に嫁ぎ、藩主信枚と仲睦まじく日々を送りますが、その三年後、家康の養女・満天姫が正室として、信枚のもとへ。正室いるのに、幕府の策略で、満天姫を正室にって、そんなことあるの?ってまずは驚き。

    そして、この二人のどろどろっとした戦いかと思いきや、その嫉妬心や競争心も持ちながらも、この時代の凛とした女性像が語られます。
    互いを信じる心
    二人の戦いは、天下の泰平、さらに、津軽家を守るための戦い
    満天姫の台詞に熱いものがこ

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    2022年10月08日
  • 実朝の首

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    実朝暗殺から承久の乱までの鎌倉政権と朝廷の攻防を葉室麟の冴わたる筆で綴られている  タイトルは「実朝の首」で、実朝暗殺から始まる。暗殺の黒幕は誰なのか。北条義時か三浦義村か、後鳥羽上皇か。

     とにかく面白く、あっという間に読んでしまった。

     歴史の教科書に出てくるような有名人ではない人々が沢山登場し、その人たちからの視線で物語が進んでいくのが面白いし小気味よい。

     そして、合戦のシーンがカッコ良いのだ。さすが葉室麟である。

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    2026年01月18日
  • 玄鳥さりて(新潮文庫)

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    葉室麟の遺作
    何を守るために刀を振るうのか
    男たちの友情・愛情の物語

    本作の主人公は六郎兵衛と圭吾
    石高も年齢も違う二人は道場で稽古を積み、六郎兵衛は圭吾を「友」と呼びます。

    そして、圭吾は富商の娘と結婚し、藩の有力派閥の後継者となり出世をとげていきます。一方、その圭吾を遠島になってまで守った六郎兵衛。
    なぜ、そこまで献身的に支えることができるのか?

    その後、派閥争いに巻き込まれる圭吾を陰ながら献身的に支える六郎兵衛。
    しかし、藩主の策略から二人は敵同士として剣を交えることになります。
    二人はどうなるのか?
    そして、何を守るために刀を振るうのか?

    心に染みる物語でした。
    お勧め

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    2022年10月01日
  • 春雷

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    ネタバレ

    『潮鳴り』に続き、葉室作品三作目。羽根藩シリーズ。前作よりも主題は難しい。藩主を自分(隼人)の眼で見定める——。悪いことは悪いと謝ることが出来ないなら、まあ人間として駄目だわな…兼清さんよw どんなに短い一生でも何かしら意味があったと思いたい——不器用な生き方しか出来なかった"鬼隼人"に黙祷を…。星四つ。

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    2022年10月01日
  • 蝶のゆくへ

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    葉室麟の異色作。
    明治時代を生きた個性的な女性たちを熱っぽく描きます。

    星りょうは仙台藩士の三女として生まれ、その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれた。
    明治28年に、東京の明治女学校へ入学します。
    女子教育向上を掲げる校長の巌本善治は「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と、りょうに語りかけたのでした。

    明治女学校の教師・北村透谷と女生徒との間に生まれた恋のいきさつ。
    国木田独歩と結婚したが逃げた、りょうの従妹・佐々城信子は…
    英語教師のクララ・ホイットニーは義父に当たる勝海舟との間に深い信頼関係を築く。
    若松賤子は校長・巌本の妻で、翻訳家・作家として活躍した。その賤

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    2022年09月19日
  • 春雷

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    羽根藩シリーズの第3弾。
    シリーズといっても舞台になる藩が同じなだけで、それぞれの巻に話の繋がりは(たぶん)全くなく、時系列的な関係も分からない。シリーズとして唯一の共通点は主人公が気高いこと。気高さの表し方はそれぞれ異なるものの、根底にある印象が同じだという他に類を見ない構成です。今回は真の目的を果たすためには憎まれ役も厭わない男たちの話でした。
    真似はできないけど格好いい。

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    2022年08月31日
  • 潮鳴り

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    落ちるところまで落ちた櫂蔵が、弟の自害を契機に、這い上がって行く。
    身寄りなく、客をとって身を立てていたお芳との心の共鳴は、孤独と絶望を感じた者の間でしかわからない世界が広がっていた。
    深みある読み応えのある作品だった。

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    2022年08月28日