冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレカタカナ名前たちが沢山出てきてあっぷあっぷし、脳内の人物相関図がカオスとなってきているが、引き続きめちゃんこ面白い。
1番の衝撃はショーン・フェニックス。バロットのお兄さんだよね?新旧コンビがニアミスしていたことが分かる。小さな繋がりの発見にテンション上がるのがシリーズものの喜び。
それにしても兄妹ともに搾取されまくって辛い境遇。絶望に伴う諦めに浸り切っている2人、バロットが未来でウフコックを濫用してしまうように、ショーンは自分より弱い存在を虐待している様子。バロットは出会いに恵まれて焦げつきを乗り越えていくけれど、ショーン兄ちゃんはどうなるのだろう。
そして虚無に堕ちることが分かっている -
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スクランブルにおける圧倒的ラスボス、ボイルドが虚無に呑み込まれていない頃。心に潜む巨大な闇と対峙しながら、己を律し、仲間を気にかけ、ウフコックを大切に扱う姿に胸が締めつけられる。眠ら(れ)ない身体、フラッシュバックするビジョン。小さな金色のネズミが救いであり、全てを見透かされる故に恐怖でもあったのだなあ。自分の傷を突きつけられる鏡は恐ろしく、また好きな相手に恥じている部分は見せたくないよね…。
ウフコックはめちゃくちゃキュート。人間の感情や社会構造についてスポンジのように学習する、まさに成長期という感じ。パートナーとしてのボイルドへの信頼と、周りに「必要とされたい」という欲求が純粋で、幼くて -
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ネタバレ有名なカジノ編に突入する2巻。ゲームのルールは理解していないが(恥ずかしい)、心理戦が面白くてページをめくる手が止まりません。トラウマを埋葬し強くなろうとするバロット、それを支えるウフコックとドクター、見ていて安心できるチームになったなあと思いました。
ボイルドの過去からウフコックとの出会いも描かれている。ちょっと泣いた。失った人生、損なわれた自分、を取り戻さなければという焦り。焦げつきの中で手に入れたウフコック。バロットと似た部分もあるけど、「なぜ私なの」と問い続けたバロットと、全てを忘れたボイルドという差なのでしょうか。
誰だって、1歩踏み外せば虚無に飲み込まれてしまう。
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藤原彰子の一生を、時系列に沿って丁寧に描いた物語。淡々と進む点は上巻と同様だが、下巻では彰子が明確な意思と目的を持って動くようになり、そこに大きな見応えがあった。特に、道長が存命中は実質的に「彰子 vs 道長」の構図になっている点が興味深い。藤原家のために強引に政治を進める道長に対し、彰子は父が兼家や詮子のようにならぬよう釘を刺し、諸卿を懐柔していく。その駆け引きが巧みに描かれ、大きな事件が起こるわけではないものの、気づけば彰子が大きな存在へと成長している。その描写技巧には驚かされた。
また、道長の死後、頼通の治世については私自身知らない点が多く、史実として新鮮に感じながら読み進めること -
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ネタバレコミカライズ版は大分昔に読んだことがあり、好きな作品でした。読み返していないため記憶は曖昧だが、結構アレンジされていたんだな〜と数年越しに知る(コミカライズの方も大今先生の才能を感じられる素晴らしい出来だと思う)。
SF小説は苦手だからと敬遠していた原作にやっと手を出しました。びっくり、面白いし読みやすい。もっと早く読めばよかったです。冲方先生の文章がお洒落かつ綺麗で、そういう楽しさもあります。
「なんで私なの(私だったの)?」と、自身の存在証明をするように問い続けるバロットは痛々しい。でもその痛みの中から彼女の力強さというか、生命力が生まれてくるようで惹き込まれる。やっぱりバロットは魅力 -