冲方丁のレビュー一覧
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清少納言の視点で平安時代の貴族たちの生活や政治が語られる。清少納言は中宮(藤原定子)に女房(使用人)として仕える。その期間に、清少納言がかかわった貴族や他に中宮に使える女房達とのやりとりが語られる。とても描写がたおやかで、平安時代の状況が目に浮かぶ。平安時代の貴族文化や人々の考え方もわかる。清少納言が「枕草子」を執筆するのは中宮へのあこがれに似た感情から書かれた。この感情は恋心に近いのではないだろうか。「枕草子」は学校の教科書に記載された部分くらいしかしらない(有名だけど)。「枕草子」を読んでみたくなった。もちろん現代語訳になるだろうけど。
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10年程前にオリジナル版を読んでいるので、半再読。
しかし、記憶がほとんど失われおり完全版によって何が変わったのかは分からず。(私はシェルなのかもしれない)
すごく端的に言えば、この小説は仮面ライダーの変奏である。悪の組織にいいように使われていた主人公が個人の復讐心と社会正義とを繋げて超パワーをふるって、悪をやっつける話である。
戦争、資本主義の巨大な装置によって歪められた男達が敵であり、その歪みの生贄とされた娼婦バロットが彼らに復讐する話である。それ故に、彼女の相棒は人間ではない男、ネズミのウフコックである。
1巻では、バロットが人間的な喜びを取り戻していくシーンが描かれている。次に期待大。 -
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おそらくここまでシリーズを追いかけている人は冲方ファンしかいないと思います。ファンの私には引き続きワクワクする展開でした!
スクランブルでは、実際の戦闘と並行してカジノでの銃を使わない戦いで息を呑みましたが、今回は法廷での戦いがスタート。想像力を掻き立たせるアクションシーンと法廷での頭脳戦、その場面展開に振り落とされそうになりながらも必死に食らいついてます。
ハンター陣営vsオフィス陣営ではなくなってきた相関図、今後も楽しみです。そしてバロットとライムの関係にも目が離せません。
人物が多すぎて思い出すのに時間がかかるのが注意です。また細切れに読むとすぐわからなくなってしまうので一気に読むこと -
ネタバレ 購入済み
一回で理解するのは中々にムズい
スクランブルで詳しく語られなかったボイルドの過去。想像していた何倍も過酷でしたが、最後まで事件を諦めなかったボイルドの姿に感動した。またマルドゥックスクランブルを読みたくなった。
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勝海舟と西郷隆盛にスポットを当てた冲方丁の歴史小説。冲方丁が好む主題としては「継承」があるが、本作では二つの継承が掲げられている。一つは江戸という大都市の継承、ひいては日本という国の継承である。
現代の日本を語る上で、江戸城の無血開城は一つの大きなターニングポイントと言えるだろう。仮に首都を巻き込んだ市街戦を行った場合のダメージは筆舌に尽くしがたい。その結末は理解した上で、ヒリヒリとした交渉劇を描く筆力は流石である。
もう一つの継承は西郷隆盛の記憶を継承することであろう。西南戦争で散った西郷であるが、軍歌『抜刀隊』で「古今無雙の英雄」と評される、紛うことなき英雄である。朝敵となって尚ここま -
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表紙は緋色の地色に了助その人。
毬栗頭の少年 年は十三、四か。
真っ黒い羽織に、分厚い草鞋、
妙に迫力があった。
好い顔立ちをしていた。浮世絵の若衆じみている。
不(うてな)と刻まれた黒の木剣を肩にかけてる立姿。
別丁扉に蘇芳色で、人間三人を串刺しにした剣樹。
装画 井筒啓之 装丁 城井文平
天地明察・光國伝・剣樹抄 光國三部作?
私は、この本の光國が一番好き。
……黙る了助の前で、光國が屈み込んだ。
「逃げなくともよい。お前は手柄を立てたのだ。胸を張れ。立派な働きであったぞ」と
了助が、二度も父親を失ったので、またいなくなるのが嫌だ、一人でいい、と
頭を下げた。寺で習った礼儀