冲方丁のレビュー一覧

  • 剣樹抄

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    久々に侍劇らしい時代小説に出会う。
    剣と心と、チャンバラと。光圀と了助の関係性も危険含みで、これからどうなるか、ハラハラする。敵役の設定も面白く、この時代の幕府が直面していただろう文治へのパラダイムシフトという課題、うねりを背景としている。続編も楽しみだ。

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    2022年08月04日
  • 決戦!関ヶ原

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    関ヶ原の合戦をさまざまな人物の視点から描いたアンソロジー。それぞれの物語が最後に繋がるのかと思っていたけれど、結局は完全に独立したままだったのが少し残念ですが、短編程度の文章量で立場を変えて見ることができるのは興味深い。

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    2022年07月26日
  • OUT OF CONTROL

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    "名刺代わりの小説10選"ってよく見るじゃないですか。好きな本紹介するやつ。この本は"冲方丁の名刺代わりの7篇"って感じです。
    ジャンルも文体も様々で、感想を一言で言えば「多才だなぁ!」以外ない。

    私は「天地明察」が大好きなので「日本改暦事情」がやっぱり良かったけど、他のも良作ばかり。
    特に1つ目の「スタンド・アウト」が良かった!
    ホラー系は…まぁ怖かったです 笑。

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    2022年05月17日
  • マルドゥック・アノニマス7

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    既に前巻までの内容を思い出すのが難しいので、早くシリーズ完結してほしいような、まだまだ読みたいような。新たなエンハンサーが出てきて異能者バトル方面も楽しみだが、集団訴訟も始まって今後の法廷対決も楽しみ。マルドゥックスクランブルでバロットの内面を描写するカジノシーンも圧巻だったが、どのような読書体験をさせてくれるか次巻も期待です。

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    2022年05月15日
  • もらい泣き

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    馬瀬あずささんの漫画版を読んでからいつか読もうと思っていた冲方丁さんの原作。
    ショートストーリーとある通り、33 話いずれも短く入りやすく読みやすい。また、個人情報や物語の構成上の理由からまるまるノンフィクションというわけではないが、それでも実話をもとにした話かと思うと、どの話も胸をあたたかくさせるものがあった。
    特に好きなのはこれ。
    「ぬいぐるみ」
    「ノブレス・オブリージュ」
    「空へ」
    「地球生まれのあなたへ」
    「先にいきます」
    「タクシーと指輪」
    人の想いや信念、やさしさやあたたかさが織りなす素敵な一冊。

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    2022年05月06日
  • 戦の国

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    信長と義元、景虎と晴信、光秀と信長、秀頼と家康など、直接会話をするわけではない相手との関係性を意識した作品群。元は雑誌企画のようだが、一冊の本としてよくまとまっている。話が出尽くされてる戦国ものをこれだけしっかり書けるのはすごい。

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    2022年05月03日
  • はなとゆめ

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    清少納言の視点で平安時代の貴族たちの生活や政治が語られる。清少納言は中宮(藤原定子)に女房(使用人)として仕える。その期間に、清少納言がかかわった貴族や他に中宮に使える女房達とのやりとりが語られる。とても描写がたおやかで、平安時代の状況が目に浮かぶ。平安時代の貴族文化や人々の考え方もわかる。清少納言が「枕草子」を執筆するのは中宮へのあこがれに似た感情から書かれた。この感情は恋心に近いのではないだろうか。「枕草子」は学校の教科書に記載された部分くらいしかしらない(有名だけど)。「枕草子」を読んでみたくなった。もちろん現代語訳になるだろうけど。

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    2022年04月26日
  • マルドゥック・スクランブル The 1st Compression─圧縮 〔完全版〕

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    10年程前にオリジナル版を読んでいるので、半再読。
    しかし、記憶がほとんど失われおり完全版によって何が変わったのかは分からず。(私はシェルなのかもしれない)
    すごく端的に言えば、この小説は仮面ライダーの変奏である。悪の組織にいいように使われていた主人公が個人の復讐心と社会正義とを繋げて超パワーをふるって、悪をやっつける話である。
    戦争、資本主義の巨大な装置によって歪められた男達が敵であり、その歪みの生贄とされた娼婦バロットが彼らに復讐する話である。それ故に、彼女の相棒は人間ではない男、ネズミのウフコックである。
    1巻では、バロットが人間的な喜びを取り戻していくシーンが描かれている。次に期待大。

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    2022年04月03日
  • マルドゥック・アノニマス7

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    おそらくここまでシリーズを追いかけている人は冲方ファンしかいないと思います。ファンの私には引き続きワクワクする展開でした!
    スクランブルでは、実際の戦闘と並行してカジノでの銃を使わない戦いで息を呑みましたが、今回は法廷での戦いがスタート。想像力を掻き立たせるアクションシーンと法廷での頭脳戦、その場面展開に振り落とされそうになりながらも必死に食らいついてます。
    ハンター陣営vsオフィス陣営ではなくなってきた相関図、今後も楽しみです。そしてバロットとライムの関係にも目が離せません。

    人物が多すぎて思い出すのに時間がかかるのが注意です。また細切れに読むとすぐわからなくなってしまうので一気に読むこと

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    2022年04月02日
  • マルドゥック・ヴェロシティ3 新装版

    ネタバレ 購入済み

    一回で理解するのは中々にムズい

    スクランブルで詳しく語られなかったボイルドの過去。想像していた何倍も過酷でしたが、最後まで事件を諦めなかったボイルドの姿に感動した。またマルドゥックスクランブルを読みたくなった。

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    2022年03月23日
  • マルドゥック・アノニマス7

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    どこまで壮大な物語になるのだろう?

    前巻を読み終えたときの感想を見返すと「6巻までが序章なのかもしれない」と記していた。
    そう。
    ようやく動き出した感はあるのだけれど、まだまだ終わりは見えない。

    それほどまでに、ハンターの計画が壮大であり、そして悪党には見えなくなりつつある。

    確かにこれは、マルドゥック市全体を巻き込んだ物語なのだ。
    それは、バロットの委任事件を扱った『マルドゥック・スクランブル』とは確実に違うところ。

    もちろん、バロットとウフコックに会えるなら、どんなに長くなっても構わないのだけど。

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    2022年03月23日
  • 麒麟児

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    勝海舟と西郷隆盛にスポットを当てた冲方丁の歴史小説。冲方丁が好む主題としては「継承」があるが、本作では二つの継承が掲げられている。一つは江戸という大都市の継承、ひいては日本という国の継承である。

    現代の日本を語る上で、江戸城の無血開城は一つの大きなターニングポイントと言えるだろう。仮に首都を巻き込んだ市街戦を行った場合のダメージは筆舌に尽くしがたい。その結末は理解した上で、ヒリヒリとした交渉劇を描く筆力は流石である。

    もう一つの継承は西郷隆盛の記憶を継承することであろう。西南戦争で散った西郷であるが、軍歌『抜刀隊』で「古今無雙の英雄」と評される、紛うことなき英雄である。朝敵となって尚ここま

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    2022年02月28日
  • 麒麟児

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    時代の寵児、西郷隆盛と勝海舟。
    幕府と新政府。
    戦争か和平。
    焼け野原か無血開城。

    二人の天才たちによる尋常ならざる駆け引きをうまく描いたとても良い歴史小説だと思います!


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    2022年01月28日
  • 剣樹抄

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    昔から馴染みのある活劇の面白さに満ちていて、推理小説の要素が加わっている。伯庵という検死能力に優れた人物が出てくるところは、とても新しい。

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    2022年01月27日
  • 剣樹抄

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    光圀の冒険劇でありながら、実在の人物や史実を絡めていて物語に深みがあり、読み応え最高だった。
    ラスボスと最後決着ついてないし、ヒロイン?お鳩との今後も気になるところなので続編に期待してしまう。

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    2022年01月23日
  • 麒麟児

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    幕末物の小説は数多くあるが、本書は勝海舟と西郷隆盛の江戸城無血開城にいたるところに焦点を当てていて新鮮だった。
    斬り合いのシーンはないが、二人が直交渉する駆け引きは緊張感があり、ゾクゾクしたし面白かった。交渉シーンの後も物語は続いて、その辺りは冗長な感じもしたが、私利私欲に走らない二人の麒麟児の姿は強く印象に残った。

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    2022年01月01日
  • 麒麟児

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    勝海舟と西郷隆盛。江戸城の無血開城を成し遂げた2人の関係以上のことを知ることが出来て良かったです。もちろん、一部、フィクションの様な話もありますが、私利私欲に走る新政府の人たちや、利権を守ろうとする佐幕の人たちの暗躍。そしてより公正や大局観に持っていこうとする二人の正義のぶつかりあいも良かったです。今の政治や政策も、こうであってほしいと思うばかり。
    たかが理想。されど理想。
    大河ドラマで良い印象のあった徳川慶喜ですが、こちらは暗愚な印象が拭えません。

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    2021年12月28日
  • はなとゆめ

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    冲方丁の歴史人物シリーズ。
    SFで知った著者だが、「天地明察」における時代を超えた人物描写に惹かれ、枕草子の世界を読む。自分の華を知るまでの清少納言の弱さから、機知を知り、定子を守るため強くなると決めるまでの心情が心地良い。枕草子をきちんと読もうと思う。

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    2021年12月15日
  • 剣樹抄

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    表紙は緋色の地色に了助その人。
    毬栗頭の少年 年は十三、四か。
    真っ黒い羽織に、分厚い草鞋、
    妙に迫力があった。
    好い顔立ちをしていた。浮世絵の若衆じみている。
    不(うてな)と刻まれた黒の木剣を肩にかけてる立姿。
    別丁扉に蘇芳色で、人間三人を串刺しにした剣樹。
    装画 井筒啓之  装丁 城井文平


    天地明察・光國伝・剣樹抄 光國三部作?

    私は、この本の光國が一番好き。

    ……黙る了助の前で、光國が屈み込んだ。
    「逃げなくともよい。お前は手柄を立てたのだ。胸を張れ。立派な働きであったぞ」と


    了助が、二度も父親を失ったので、またいなくなるのが嫌だ、一人でいい、と

    頭を下げた。寺で習った礼儀

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    2021年10月30日
  • もらい泣き

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    一話約5ページのショートストーリー集。待ちに待った文庫版が発売、さっそく買おうとわくわくしていた矢先に例の報道を聞きました…。それはさておき、この本を手にとった人がどの程度訴えてくる『涙モノ』を期待しているのかはわからないけれど、自分以外の人生を垣間見ることのできる素敵な一冊だなと思います。あっさりとした書き味だけど、それが泣ける話特有の押し付けがましさを無くしていて好ましい。自然と私にとって一番響く話にもらい泣きさせられました。好みだったタイトルは次の通り。『化粧をする人』『教師とTシャツ』

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    2021年10月25日