冲方丁のレビュー一覧
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ふらふらと本屋さんで物色してたら飛び込んできた「ばいばい、アース」のコミカライズ。購入即決。
こういうことあるから、本屋さんでぶらりするのは楽しい。ステイホームの大きい味方です、読書。
小説の方は、15年ぐらい前かな?に読んでいるのですが、世界観に馴染むことが難しくて。独特の言葉使いが、この世界を構築しているのですが、そこに馴染むことができないというか。ここに馴染むことができれば、この世界へと没入することができるのに、なぜか飛び込むことができない、というもどかしさを感じて読み進めた記憶。
物語通してベルが感じてゆく、世界との距離、阻害感や孤独感。小説世界に飛び込めない、飛び込みきれないという点では、共感できたのかな、と思います。
ある意味「ばいばい、アース」へのリベンジのつもりです。漫画版を手がかりに、再度小説の世界へ。
冲方丁のファンタジーは、彼の小説の世界に入れないとしんどい。入れれば楽しいということが、わかってしまっているだけに、余計しんどいのです。好きな作家なだけに。 -
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戦国時代を駆け抜けた有名無名六名の武将を、それぞれの視点で描く短編連作ながら、全てが繋がっている完成度と緻密さ、何より全作品の説得力に圧倒されました。
以前、別の本で「白き鬼札」を読んだ時には、光秀が本能寺の変に至るまでの心境の変化にかつてなく納得し、その光秀像が自分の中で最も腑に落ちると思っていたのですが……この本に収録されている他の五編についても、同様の衝撃を感動を覚えました。
信長や光秀と言った智将で知れた人物は言わずもがな、一般的なイメージでは暗愚や凡庸な小者として描かれがちな武将たちも、この本では皆、類まれな頭脳と高い理想の持ち主として登場し、それぞれの信念を曲げることなく、智謀を巡らせ、家康らと互角に渡り合う。その深い思想に違和感を覚えることなく、どの主人公にも一切嫌悪感を持つことなく物語に没入できます。いやはや、特に大谷吉継の格好良いことよ……!
この方が秀吉や家康を描いたらどうなるのかな、などと妄想を膨らませつつ。血腥い戦場が舞台でありながら、からりと気持ちの良い将たちの生き様が快い、短編ながら骨太な一作でした。 -
購入済み
重
ものすごく重いテーマ。
事件性があって推理小説のような要素もある。
犠牲者である子どもたちに,我々大人は何ができるか。
みんながみんな,自分のことで必死になる社会。
未来のある彼らこそ,無条件で守らなければいけない宝であるというのに。 -
購入済み
主人公があこがれを持つ関さんは、江戸時代の人にもかかわらず現代人の私が理解している数学よりずっと高度な数学を使えていたようです。
天文学や数学に関して一番ではない主人公が、人の助けを借りながら大きなことを成し遂げる話です。 -
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「決戦!」シリーズに書き下ろした作品に加筆し、「道」というテーマで統一した連作集。
織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼という戦国末期の六人の武将を、著者独自の視点で描いている。
各編とも、著者の想像力を駆使して、今までの歴史観を覆すような人物像が現れる。
特に、『真紅の米』の小早川秀秋。
凡愚の代名詞のように言われているが、けっして凡愚などではなく、彼は生い立ちの立場から利発さを秘して行動していたとしている。
『燃ゆる病葉』の大谷吉継。
関ヶ原での活躍ばかりが語られるが、家康とも厚誼があり、最後まで関ヶ原の戦いを忌避せんと光秀を説得しており、家臣からも絶対の信頼を寄せられていたことが綴られる。
『黄金児』の豊臣秀頼。
家康とも対等に渡り合う、英明で戦略的な傑物として描かれている。大阪の冬の陣では、秀頼自ら出陣したとも。
歴史は勝者によって造られるとの言葉がある。取り上げられているのはいずれも非業に倒れた人物たちであり、こういう見方もあるのかと、新発見をする作品といえる。 -
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ネタバレ目次
・覇舞謡(はぶよう)―織田信長
・五宝の矛(ほこ)―上杉謙信
・純白(しろ)き鬼札―明智光秀
・燃ゆる病葉(わくらば)―大谷吉継
・真紅(しんく)の米―小早川秀秋
・黄金児(おうごんじ)―豊臣秀頼
すっきりと短い文章がリズミカルに続き、とても読みやすいのだが、逆に文章がつるつると滑り、血は沸かず、肉踊ることがない。
どの主人公も同じ論理を内包し、一人それを抱えて戦に向かう姿には顔がない。
よくできた講釈を聞かされたようで面白くはあったが、心が震えるまではいかなかった。
冲方丁ってこういう文章を書く人だったかなあ。
隠しテーマである『道』にとらわれ過ぎたのではないか。
戦の要は道である。
軍団を素早く安全に運ぶための道は、物資を運ぶ道となり、その道を通って人が集まり、集落ができる。
戦の先を見据えた武将たちの物語。
元々は講談社の歴史アンソロジー企画「決戦!」シリーズとして書かれたものを、一冊にまとめたのが本作。
ばらばらの短編をつなぐのが、『道』ということなのだが…。
この中では、本能寺の変を扱った「純白き鬼札」が面白かった、
そう、本能寺の変の時、光秀は当時でいうともう老将なのだった。
見たいものだけを見、見たくないものを避けて信長に付き従った10年。
齋藤道三亡き後頼った朝倉氏を見捨て、将軍家をも切り捨てて従った信長に自身の老いを突きつけられた時、光秀は何を考えたのか。
これがしみじみ理解できる年齢に私もなったということか。 -
Posted by ブクログ
久しぶりの歴史小説。『天地明察』&『光圀伝』で完全にノックアウトされて、冲方歴史作品への信頼が固まったんだけど、『はなとゆめ』がイマイチで、ひょっとして戦国ものに限って優れているのかも、と思い直して今に至る。それだけに、本作に対する期待もひとしお。で、結論としてはまずまず。件の二作品には到底届かず。短編集ってこともあるし、個人的には並べ方もまずかったと思う。最初の2章が全然ダメで、それだけだと☆2.5くらい。信長と謙信については、目下連載継続中の漫画作品をまさに読んでいるせいもあってか、事実の羅列にしか感じられんかった。3章以降はそれなりに楽しめたから評価は持ち直したけど、せめて発表順に並んでいたら、もうちょっと印象も変わったのかも。必然的に長くなりがちな歴史小説だけに、短編集で読んだ経験はあまりない気がするけど、やっぱりジャンル的に合わないのでは、と思えた次第。
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日本史は正直全然わからない自分でも知っているような合戦に臨む武将の短編集。いやぁ、面白かった!
歴史上人物だって一人の人間だし、こういう風に考えたのかもしれない、こんなことを感じながら戦場に臨んだのかもしれない、と思うとさらに面白かったです。
私はあまり時代小説を読まないのですが、筆者に思い入れがありすぎる作品だと、歴史上の人物が超人すぎたり、感情表現が奇天烈すぎたり、それにまた入れ込み過ぎる家臣などが出たりすると随分ウェットだなぁと思っていたことがありました。ま、お涙頂戴ものは昔から好まれる王道パターンではあると思うのですが。
この本では人間関係がそこまでドロドロしてないというか、自分がそうしたいからそうした、というような非常にわかりやすくカラッとした動機で動くので明快でわかりやすかったです。もしかしたらこういう一面もあったのかもしれない。なかったのかもしれない。その辺りを考えるのもロマンですしねぇ。
というわけで武士の世が終わる辺りではこういう痛快な時代が終わってしまうのか…という一抹の寂しさのようなものを感じました。戦はイヤなんですけどねぇ。