冲方丁のレビュー一覧
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第二部は一気読み。
前巻からその兆しがあった通り、当巻ではボイルドの深層を丁寧に描いていた。それは、もちろんバロットとの対比であり、彼女があるべき姿を暗に滲ませてもいた。
動かざる過去に対してどう立ち向かうか。
まだはっきりとした見解は出せていないが、バロットとシェル、そしてボイルドともにその姿勢は異なる。
過去を正面から見つめ、克服しようとするのがバロットだとすれば、過去の忘却という逃避に走ったのがシェルであり、過去に取り憑かれたまま身動きがとれていないのは、実はボイルドなのかもしれない。
何れにせよ、そういった主要人物の深層に止まらず、あらゆる面で丁寧に、解りやすく描写を心掛けているこ -
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マルドゥック・シリーズの短編集。
「スクランブル」と「ヴぇロシティ」のサイドストーリーだけかと思いきや、
沖方丁のロングインタビュー、「スクランブル」の初期稿や次作「アノニマス」の予告編まで収められてて、
とても充実した一冊だった。
特に面白かったのはボイルドとウフコックのコンビを描いた短編2本かな。
「ヴぇロシティ」では過酷な目に遭ってばかりの一人と一匹だけど、
この短編みたいに「普通」の事件も解決してたんだなーと思うと、自分の中で作品世界が広がる。
「アノニマス」の予告編を読む限りだとサイバーパンク版甲賀忍法帖に拍車がかかってるけど、
どうなることかと今から楽しみw -
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Posted by ブクログ
ネタバレ商業的に成功した作品の前日譚を後日に描くということは、某宇宙戦争映画にも通じることだが、どうしても前日譚の方が物語の世界観に歴史という深みが付加された結果として表現も、キャラクターも話しそのものも面白くなるのが一般的であり、そのため陳腐化した後日譚を改めて描きなおしたくなるものであり、ルーカスもこの作者も取り組んでいて、創造者の作品に対する愛が感じられて良い。本作は、未来譚へのインターミッションという作品であるが、主たる登場人物の紹介を象徴的に行い、なおかつ結末を予感させる作品で話を結ぶという、ここでもまた実に映画的な宣伝をモチーフとした作品となっていて、いやがおうにも読者に期待感を抱かせる。
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ネタバレ人類である感覚者(サード)と超次元能力を持つ感応者(フォース)の戦乱後の世界で、SF作品であっても世界観が分かりやすく読みやすい作品で、すぐに話に引き込まれました。
プロローグの少女・ラファエルはとても素敵で不思議な少女という印象を受け、話を読み進めるうちに意志の強さもありラファエルが好きになりました。
主人公・パットはとても家族思いで、確実に仕事をこなしていきます。パットには過去の事情がありながらも、感応者・ラファエルとともに要人を混断(シュレッディング)した感応者を捜査することになります。
戦乱の際には人類を滅ぼしかねない程の感応力を持っていた「女王」。
その女王の娘とまで言われるラフ -
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三部作完結編。
殻の中に閉じ込められ、煮殺されかけたヒロイン、ルーン・バレット。彼女が自分の意志で選択し、自分の意思を持って歩みを進めていく「本当の戦い」がここにいたってようやく始まることとなる。
ウフコック、イースター博士の魅力もさることながら、前作に登場したベル・ウィング、そしてバロットの前に立ちふさがる凄腕ディーラー、アシュレイのキャラクターづけが王道ではあるけれど魅力的。主人公が輝くためには名脇役が必要なのであるということも改めて実感した。
また、一巻にちりばめられていた伏線や言葉遊びが、ここで見事に回収されているのにも感服。ものすごく楽しんで読めたシリーズでした。