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Posted by ブクログ
手に汗握る戦いの連続…おかげで一気に読んでしまった……こんなにも存在意義や価値を自問するような、己を見つめ返しながら命のとことんの所で戦う話は読んだことがなかった。
バロットとアシュレイのブラックジャックでのシーンはルールのなかでお互いの生き様とこれからの生き方を問うような熱いものでした。古いゲームのなかで圧倒的な経験と実力を持った強者と新たな技術を得た未熟な少女。社会の成功者と対峙しながらチャレンジャーはその重みに対して寄り添ってくれる味方と共に戦い、成長していく。この過程が丁寧に描かれていて良かったです。
そして仇敵ボイルドとの戦闘シーン…本当に勝てるのか?となるほどの白熱でした。西部劇のガンマン同士の戦いにも感じられました。
助けてくれた誰かによって成長するバロット。この世界と自分自身に絶望していた少女が、この世界のルールを理解していきながら人生の主導権を得ていく。そこまでに必要な人生への価値付けや戦い方、そうして誰かとの暖かくも厳しい繋がり。読み終えたときの感動や自分の人生を少し右回りにしたいと思えるような感慨…とても良かったです。
読後は脳内でAmazing graceが流れました
Posted by ブクログ
〈1-3巻合わせて〉
未成年娼婦であるルーン・バロットは、賭博師であるシェルの奸計により、一度死ぬ。助けてくれたドクターとウフコック、そして手に入れた能力により、シェルとそのパートナーであるボイルドと戦いを繰り広げる。
今作は卵をモチーフとした名前が多く使われるが、それは多分に意味的なことのように感じられる。ウフコックが沸きらない半熟野郎だとしたら、ボイルドは俗に言う「ハードボイルド」と同じく、軟弱・妥協しない様を描いているのか、あるいは凝り固まった様を描いているのか。シェルはどういう殻なのか。
私にとっての本作の魅力は、作中の登場人物のカッコ良さ。ドクターもウフコックもバロットもボイルドも全員めちゃくちゃかっこいいし、シェルはそうでもないけど、ベルやマーロウやアシュリーとの対決も信じられないくらい楽しかったし面白かったしカッコ良かった。特に三巻はページをめくる手が止まらなかった。読み終わった今、続編も読むしかないという気分。
Posted by ブクログ
未成年娼婦として働く主人公が雇い主に殺されかけたところを助けられ、「自分はなぜ殺させたのか」「なぜ生きているのか」を問いながら殺人事件の解決を目指す話。
助けられた時に金属繊維の人工皮膚を移植されたり、空飛ぶ車が出てくるなど、SF要素が非常に強い作品。
全体的には非常に暗い内容。
上巻は読者に対して情報がほとんど開示されない状態で事件が進むため、正直おもしろくない。
でも、中巻〜下巻がバツグンに面白い。特に中巻の中盤〜下巻の中盤にかけて行われるカジノゲームがとてもよい。
『ライアーゲーム』のように頭脳を使ってゲームをクリアしていく様子は爽快感があって非常に面白いため、おススメ。
戦闘部分の描写が分かりづらかったり、世界観が理解できていない時に専門用語がたくさん出てくる点は読みづらいけれど、中巻以降を信じて読み続けて欲しい。
Posted by ブクログ
シェルの犯罪の証拠を懸けてのブラックジャック対決、そしてボイルドとの最終対決が描かれる完結編。
ブラックジャックシーンは専門用語が飛び交い、ブラックジャックに詳しくない自分にとって読むのはちょっときついかな、と始は思っていたのですが、読んでいくうちにあっという間に惹きこまれました。
なんでルールも分からないのに惹きこまれるのだろう、と思ったのですがあとがきを読んで納得。
というのも、冲方さんはこのシーンを書くため五日間ホテルでカンヅメをされたらしいのですがその際、
作中の勝負にのめりこむあまり胃をやられ、中のものをベッドや床にぶちまけ、それを見て笑い声を上げたそうです。
……ものすごくツッコミどころが多いというか、常人には理解不能な状況ですが、それだけの情熱が傾けられた上に、初版発行から10年近くたっての改訂で改めて文章に命が吹きこまれた、
言ってみれば2度にわたって作者の魂が吹きこまれた場面なのだから惹きこまれるのは自然なことだったのかな、と思います。
ルールは分からないながらも心理戦やバロットとディーラーのアシュレイの対決、そしてそれを通してのバロットの成長は
冲方さんの魂が込められているだけあって読み応え十分なので、多少の分からないところは割り切ってぜひ読んでほしいところです!
そしてボイルドとの最終対決。ボイルドの生い立ちにもなかなか辛いものがありますがボイルドと同じように、禁じられた技術によって生まれたウフコックやバロットと彼の違いは、
力を何のために行使しようとしたかという点に尽きるのかなと思います。
なんとなくですがバロットの成長を読んでいると、信頼できる人に出会えた喜びと安心が言葉の端々から伝わってくように思います。
一巻冒頭で「死んでしまった方がいい」とつぶやいていた彼女が、生きるために戦い続ける姿は、今まで彼女が得ることのできなかった、信頼だとか愛だとかを取り戻し、人間的な心理に戻ってきた帰結なのかな、という風に思います。
第24回日本SF大賞
Posted by ブクログ
バロットのシェルとの物語の完結編。
カジノでの大勝負から、ボイルドとの決着へ。
カジノやギャンブルに詳しくないけれど、アシュレイのようなカードを操れる(?)ディーラーって存在するのだろうか?
ボイルドとはまた違う意味での、敵としての圧倒的な存在感!!
この3部作すべてで言えることだか、キャラクターがそれぞれしっかりと描かれていて、単なる咬ませ犬ではなく倒すべき存在になっているからこそ、バロットの死から生への帰還、生きていていいんだ、ウフコックと共に生きていたいという物語になっているのだろう。
この後のバロットとウフコックが幸せであることを願うとともに、イースター博士を含めた3人の続きが気になる。
Posted by ブクログ
三部作完結編。
殻の中に閉じ込められ、煮殺されかけたヒロイン、ルーン・バレット。彼女が自分の意志で選択し、自分の意思を持って歩みを進めていく「本当の戦い」がここにいたってようやく始まることとなる。
ウフコック、イースター博士の魅力もさることながら、前作に登場したベル・ウィング、そしてバロットの前に立ちふさがる凄腕ディーラー、アシュレイのキャラクターづけが王道ではあるけれど魅力的。主人公が輝くためには名脇役が必要なのであるということも改めて実感した。
また、一巻にちりばめられていた伏線や言葉遊びが、ここで見事に回収されているのにも感服。ものすごく楽しんで読めたシリーズでした。
Posted by ブクログ
全巻から引き続きカジノのシーンが延々と続き、びっくりした。
非常に細かいブラックジャックの描写には特に面食らってしまった。主人公バロットたちがこのカジノでゲームに挑む理由は、勝つことで得られる高額チップが犯罪の重要な証拠品となるからだ。しかしその目的を超えて、ディーラーとプレイヤーの真剣勝負が熱かった。
ブラックジャックのハウスエッジ(カジノ側の優位性)は約1%と低く、スロット(3~10%)やルーレット(約5.26%)に比べてプレイヤーに有利なゲームらしい。
こうして確率から考えると、腕利きのルーレットディーラーのベル・ウィングは優位な立場にありながら、バロットに素敵な人生の示唆を与えてくれたのだな……とじんわりくる。同時に、最強のディーラーでありハウスリーダーでもあるアシュレイ・ハーヴェストが、ブラックジャックという比較的公平なゲームであそこまでバロットたちを追い詰めていったことが感慨深い。
理詰めと鉄の精神力、カードを捌く技術力で、特殊能力を持つ三人を一人で追い詰める姿は見事だった。
勝負事を通して立ち上ってくる、人間は「運」や「確率」をどこまで引き寄せられるのか、という命題が興味深く、私は銃撃戦のシーンよりカジノのシーンを面白く読んだ。1巻目を読んだ時には『天地明察』の作者が書いた本とは信じられないほど世界観が違うなぁと思ったけれど、このカジノシーンで、江戸時代に膨大な計算を駆使して暦の改変を試み、予期せぬ月食や日食の発生に暦のズレを突き付けられる『天地明察』の主人公の姿を思い出した。現代の私たちは月食の日を知れば、その時間までに夕食や風呂を済ましておける。
正直、個人的にはカジノのシーンで大いに満足してしまったところがあり、終盤のバロットが宿敵シェルとどう決着をつけるのかや、シェルの用心棒のボイルドとの戦闘シーンは美味しいデザートみたいな感じで頂いてしまった。
しかし、ボイルドのキャラクターが良い。粗野と純粋さを混ぜて固めて焼き尽くし、燃えかすに少し残った美しい結晶のようなものを感じさせてくれた。続編であり彼が主人公の前日談である『マルドゥック・ヴェロシティ』を読まなければいけない、と思っている。
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