冲方丁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ清少納言の物語であるが、あ、平安時代の枕草子のアレね、と思って読むと全く違う。解説にかいてある通り、「平安時代のキャリアウーマン小説」と表現するのがぴったりな作品だ。
平安時代という時代の違いこそあれ、主君、中宮に中忠誠を誓った、働く女が、その繁栄と陥落(に近い)の苦しみの中で、どのような気持ちで生きてきたのか。
働く女性にこそ読んでほしい作品である。
私こそ働く女として、行き詰まりを感じているときにこの本を読んだ。
序盤は、あんまり面白くなかったのだが、途中からぐいぐい引き込まれ、最後は少し泣いた。
読む人を選ぶだろうが、私には本当に心に刺さる作品でした。 -
Posted by ブクログ
未成年娼婦として働く主人公が雇い主に殺されかけたところを助けられ、「自分はなぜ殺させたのか」「なぜ生きているのか」を問いながら殺人事件の解決を目指す話。
助けられた時に金属繊維の人工皮膚を移植されたり、空飛ぶ車が出てくるなど、SF要素が非常に強い作品。
全体的には非常に暗い内容。
上巻は読者に対して情報がほとんど開示されない状態で事件が進むため、正直おもしろくない。
でも、中巻〜下巻がバツグンに面白い。特に中巻の中盤〜下巻の中盤にかけて行われるカジノゲームがとてもよい。
『ライアーゲーム』のように頭脳を使ってゲームをクリアしていく様子は爽快感があって非常に面白いため、おススメ。
戦闘部分の描写が分かりづらかったり、世界観が理解できていない時に専門用語がたくさん出てくる点は読みづらいけれど、中巻以降を信じて読み続けて欲しい。
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Posted by ブクログ
心理的に落ちている時に、敢えて読んだハードロマン。他の読者様も紹介しておられるけれど舞台は近未来。
バロットという少女娼婦がヒロイン。彼女はシェルという、賭博師出身のワルに殺害されそうになる。いや、瀕死の状態にされた。
ところがシェルは、それを覚えていない。
ある陰謀のために…。
身体も声も、物的な財産も全て奪われたバロットだが、シェルの犯罪を立証するために、証人となってくれという。
証人保護プログラムの執行のため、彼女には護衛が二人付くことになった。
生体科学や医療に詳しいドクター。
そして、心優しく万能のガーディアン、
ネズミの姿をしたウフコックのコンビ。
バロットに証言させないために、魔手が迫る…。
と、こんなあらすじなのだが
ウフコックがすごく知的で格好いいのは、皆様の指摘の通り。でも、このお話、バロットがゼロからウフコックと一緒に敵と戦うのがすごくいい。
喪失から立ち上がるために戦うヒロインは多いけど
こんなにも凄まじく奪われている女は少ない。
美しく繊細で、汚れているのにきよらか。
という定番の設定に、バロットがとても賢く、ウフコックや敵にも比肩しうる何かを、どう獲得するのか…その過程も読みどころ。
戦闘場面は映画やアニメのように臨場感があって、派手だしハードなのだけれど、凄惨な中に、文章がずっと最初からラストまでリリカルで。どこかに繊細さと詩情が漂っていて…。
圧倒的な展開に、息もつかせないのだけど、静けさがひそやかに流れているのが好き。
ウフコックとヒロインの間の、儚く揺れる糸のような、ひとすじの繋がりが、不安定だからこそ輝いて見える。
傷つけられたものが、時に反転して
傷つけるものになり得ること。
最強だったものが、たったひとつの弱さを晒した時、弱者だったものが盾になるべくどう動くのか。
そして、それでもなお強いものは、弱いものにどう接して、守護者であり続けるのか。
冒険小説の定番の命題が、ここにはぎゅっと詰め込まれている。
ともかく休憩して、続きを読もう。うん。
それが一番だわ。 -
購入済み
「実話をもとにした」という前提のフィクションです。作者冲方丁の周りで起こる、不思議でいていかにもありそうな、ちょっとホロリとするエピソードの数々。ショートショートの名手、眉村卓の「普通の家族」を思い出させました。
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Posted by ブクログ
本屋大賞受賞で一気に知名度が上がり、ファフナー&マルドゥックの映画公開決定で今最も脂が乗ってる作家・冲方 丁。
本書は数年前に発刊されたマルドゥック・スクランブルに大幅改稿をくわえた新装版。どんなもんだろーと最初の方だけぱらぱらめくり即購入決定、冒頭部分から文章に手が加えられてます。
読点の不自然な多さが改善され大分読みやすくなった印象。
氏も絶賛する漫画版に触発されたエピソードも盛り込まれお得な内容に。
他にもバロットの心情部分が付け足されて、等身大の少女としての輪郭がより濃くなった(心身障害者駐車ペースでの行動など)
バロットの兄関連でヴェロシティとのリンクもあり、マルドゥックシリーズを愛読してきた読者は「なるほど、こう来るか!」と唸るはず。
世界観がよりわかりやすくなったぶん、バロット初診時におけるマルドック09の説明など説明臭くなってしまった箇所があるのがやや残念ですが、畜産業者のトラウマが掘り下げられているのは嬉しい。
彼らが各々のパーツに執着するようになった背景が解剖され、よりその不気味な存在感と猟奇性が際立ちます。 -
Posted by ブクログ
近未来のオーストリアを舞台に児童福祉政策により四肢を機械化された少女たちの戦闘の日々を描くバイオレンスアクション。
最初聞いた時は「それ何てガンスリ?」だったんですがガンスリとは大分イメージ違います、ある意味対極です。二番煎じの心配なし。
三人娘の中でも一番純粋純情で熱血肌の黒犬・涼月、
狙撃の名手にしてクール&ニヒルな赤犬・陽炎、
いつもお気楽極楽な鼻歌を絶やさないムードメイカーの白犬・夕霧。
拳が唸り銃弾飛び交いワイヤー舞う過激なアクションとキャラクター同士のユーモラスな掛け合い(副長いびり、もとい三者三様の副長いじりに注目)が絶妙のテンポを生み最後まで読者をぐいぐい引き付けて離さない。
犯罪が多発し悪党どもが闊歩し策謀が蠢く壊れかけの街で、絶望と背中合わせになりながらも仲間とともに死線をくぐりぬけていく少女たちの苛烈にして鮮烈な生き様に惹き込まれる。
不安定な心の揺れを抱えた少女たちをサポートする大人たちもとても魅力的に描かれている。
陽炎の「この人なんだかんだ言いつつ最後まで聞いてくれるんだな」の雑感が端的に表しているように、やりたい放題の三人娘に振り回され時に多大な損害を被りながらも、胸の内では彼女らの身を真摯に案じ、部下が喪心した際は本名を呼んで叱咤する副長の人間臭さは絶品。
こんな上司がいたらいいなあ。最前線すぎるのはどうかと思うけど(笑)
「スクランブル」や「ヴェロシティ」が好きな方ならハマると思います。