冲方丁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
冲方丁『骨灰』角川文庫。
第169回直木賞候補作のホラー小説。
ゴリゴリ、バキバキの正統派ホラー小説であるのに角川ホラー文庫からの刊行ではないのは何故だろうか。
冲方丁の小説を読むのは『天地明察』に続き2作目である。冲方丁は歴史小説、ミステリー小説、SF小説、官能小説、ホラー小説、ファンタジー小説とかなり広いジャンルで小説を書いているようだ。しかし、これまで自分のアンテナに引っ掛かる小説は無かったのだ。
さて本作。久し振りに本当に恐いホラー小説を読んだ。暗闇の中から、じわじわと日常に迫りくる恐怖とイヤな感覚は、自分自身の頭の中を何かに浸食されていくかのようだ。
大手デベロッパーのシ -
Posted by ブクログ
【どんな本?】
この本では、著者のデビュー作『マルドゥック・スクランブル』を作り出した過程を追体験できる。
具体的には「執筆の六段階」を学ぶ。
著者は小説を書く際に、以下の六段階を経て執筆している。その具体的なやり方を学ぶことで、自身の創作に活かせるようにすることが本書の目的。
《執筆の六段階》
1. 能書き(哲学)
2. 種書き(アイデア出し)
3. 骨書き(梗概・人物設定・世界観設定・物語構造)
4. 筋書き(プロット)
5. 肉書き(本文)
6. 皮書き(推敲)
【まとめ】
有名作家さんの物語の作り方を簡潔に学べる。
実際にこのプロセスで物語を作っているらしいので、非常に参考になると -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ面白かった…!
最後まで読み切り、登場人物ほぼ全員が死んでしまったことを思い、ちょっと笑ってしまった。読んでいる最中は悲しいのだけどね…
ボイルドがいかにしてあんな怖い男(スクランブルのボイルドは本当に圧倒的だった)に至ったのかを、知れた気がする物語。
魅力的な主人公だった。壮絶。おまはん、1人で全てを背負いすぎや。私はこのシリーズで、ディムズデイル=ボイルド大好き人間に生まれ変わりました。
最後までウフコックのことを考えていた描写が切ない。ドクターにも「ウフコックの側にいてやってくれ」と言っていたんだね…
次作ではシザース、ボイルドの娘がキーになるのかしら。頭おかエリート一族 -
Posted by ブクログ
再読です。
天文×時代小説。
「チ。地球の運動について(以下「チ。」という。)」の人気が再燃するなか、この作品がずっと脳裏をかすめていた。改めて読むと、改暦には数学と高精度の天文学が必須であると書いてあり、やはり求められていたのは「チ。」と同じだった。
渋川春海こと安井算哲は、変わり者だったが、とにかく星の観測と、算術を愛する青年だった。「チ。」のラファウと違うのは、ラファウが自分を偽っていた一方で、渋川春海は好きなことを追求していた。これは、国が違うのが一番大きいだろう。
京から遠いところに住んでいたのも、渋川春海が望まれていた点である。当時の京は、天文学を「忌み学」の一つとしていた。 -
Posted by ブクログ
さすがは作家が書くエッセイ。
作者の思いを書き表すとともに、どの章も「単語」一言に集約してまとめ上げているのは流石だと思いましたし、読んでいて自分自身も日々漠然と感じていることがその「単語」ひとつでストンと腑に落ちる。
なんとも気持ち良い共感性を得られるものでひた。
このエッセイは1〜18章と19章から27章の2段構成に分かれると思います。
2019までの語りと2020年からの語り。つまりCovid-19の感染拡大を境に冲方さんの訴えがより凄みを増しています。
コロナ禍があらわにした社会問題を題材に採り上げ社会を構成する人間の本質を斬っている。
深く心に刺さりました。
特に好きなのは23 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白すぎてページを捲る手が止まらず寝不足。
O9はボイルド以外みんな死んじゃうんだろうなと思ってたけど想像よりも色々壮絶だった。
これはボイルドじゃなくても虚無に走りたくなるわ……
ナタリアが酷い死に方しそうで怖かったけど思ったよりずっと穏やかな最期で泣いた。
ウフコックへのボイルドの思いでまた泣けて。
まさか大勢シザースがいたとは……
でもシザースになったおかげでボイルドはナタリアと再開出来たんだろうし、娘ちゃんともコンタクト取れるだろうしちゃんと復讐も果たしたしでハッピーエンドと言えなくもないのかな。
フリント結構好きだったのにたいして掘り下げもなく死んじゃったのが残念だった。