冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレ松永光弘は、自社の高層ビル建設現場に関する不審なツイートの真偽を確認する為に、地下へ向かった。異常な乾燥と嫌な臭気の中調査を進めると、図面には無い巨大な穴のある祭祀場に辿り着く。そこで一人の男性を発見してからというもの、怪異が日常を侵食し始める。
終始からっからで、臭い(笑)
いや、これは褒め言葉である。今まで触れたことのない独特の温度。言ってしまえば、臭い小説は結構ある。でも、こんなに乾燥を感じた小説は今までなかったかも。今が冬であることを差し引いても、読み進めるほどに喉が渇いていく。水を浴びるほど飲みたくなった。それだけ作品の雰囲気が確立されているということだろう。私が本作に高評価をつけた所以の大部分がここにある。
障りは、光弘の亡父の姿で現れた。
最初は太字で、障りが進むと「」に変化する。それが、障りが実体を持ったようで薄気味悪かった。挿絵なしで障りの顕在化を表現する方法としてフォントの変化を用いるのは非常に効果的で驚かされた。作家先生は、すごいこと考えるなあ。
こんなに大事件なのに世の中的には意外と何も起きてない。
光弘は、障りのせいとはいえ14人の路上生活者を手に掛けたことになる。しかし、玉井工務店の根回しもあり、裁かれるどころか謝罪を受けている。思ったよりもなんとかなってしまっていて、少しだけ釈然としない部分でもあった。もっと絶望的な最後を予想していたので、光弘の一人芝居だったような展開に、少し拍子抜けだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレP265
「そうでもせんと、お前、全てが終わった後で、自分の頭をその銃で吹っ飛ばしかねん様子だぞ、ボイルド」
フライト刑事とボイルドの関係で、マルドゥック・スクランブルのバロットとベル・ウィングの関係を思い出した。よき理解者であり、先生と生徒であり、友人でもある温かい繋がり。ボイルドが自身を虚無に委ねてしまってからも〝爆心地(グラウンドゼロ)〟へと向かう速度を度々緩めてくれたフライト刑事は、ボイルドの人生にとってウフコックと同様、揺るがない良心であったと思う。
ヴェロシティを通して好きなシーンは沢山あるけれど、『マルドゥック・ヴェロシティ(新装版)(1)』で、ラナがボイルドの胸ぐらをつかんでキスをするシーンと、続く会話もそのひとつ。
この瞬間に恋愛的な要素でときめいた訳では無く(というか、そういった表現は求めていません)、ラナがオードリーのことを想ってした行動の真っ直ぐさに痛みと優しさを同時に感じて、強く印象に残りました。
―ラナはボイルドの胸ぐらをつかんでキスした。相手が受け取るにせよ受け取らないにせよ、とにかく渡しておかなければ気が済まないというようだった。そしてすぐに顔を離して言った。「今のは、オードリーのためにしたんだ。あたしが、どうってんじゃないんだ。オードリーの代わりに、あの子がしたかったことをしたんだ」(P269より)―
(中略)
―そこで初めてラナがこちらを見た―微笑/絶望を乗り越えた者の生命感。「オードリーが言ってくれたんだ。その悪夢は、どうせあんたがその両手で自分の頭を吹っ飛ばすまで続くだろうねって。それであたしは、なんでか知らないけど安心した。気が楽になったんだ。なんでだと思う?」
「オードリーは、お前自身に、お前の中の悪夢を摘出させたんだろう」(P271より)―
ヴェロシティのラストはボイルドが〝重力(フロート)〟を収縮させ、自身を炸裂させることで終結している。ラナがオードリーの言葉で気が楽になったように、ボイルドもまた炸裂によって、自身で自身の悪夢を終わらせた。シザースの役目もあるので偶然と言うべきなのかもしれないが、オードリーの言葉をなぞる結果となったことは、彼女への追悼になったのではないだろうか。
そして、最も好きなシーンはO9メンバーが街に出て来て間もない頃の、チンピラに絡まれても動じずにやり過ごすシーン。ほんの数行のシーンだけれど、第一級の忍耐を見せてくれたクルツとオセロットの渋さに痺れた。この一人と一匹にはずっとずっと相棒で居て欲しかったなあ(:_;)
ヴェロシティ(新装版)(3)のカトル・カール戦、P45〜P48にかけてのレイニーとワイズの動きもめちゃくちゃcoolで印象に残っています。オセロットがいるように見せかけ、ワオーンと鳴きまねをしながらニヤリと笑うワイズの行を読んだとき思わず自分もニヤッとしちゃいました笑
ワイズは容姿について特に記述が無かったと思うので頭の中でシーンを再現するのが少々難しかったですが、良いポジションのキャラクターだったなあ!と思います。
マルドゥックを初めてシリーズで読み進めたとき、ヴェロシティがボイルドの物語だと分かった瞬間とてもはしゃいだ気持ちになったのを覚えています。再読する度にもやはり、冲方氏がこのシリーズにおいてボイルドという男とO9のことを深く知るためのプロセスを設けてくれたことに嬉しくなりますし、なにより何度読んでもおもしろい!!大好きな作品です。
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Posted by ブクログ
ネタバレシルヴィアの首だけの死体が発見された話の続き
マルセル島での決戦みたいな感じで、今回は過去の話と現在の話が混ざることなく、一気に描き切っていた。物語を大きく展開させるときに一気に読めるのはやっぱり楽しい。過去とわからないことだらけの現在軸が交互にくるのも面白いが。
ウフコックの活躍の葛藤、決断の代償が今回の話。葬儀での宣言はとっても格好良かった。また、シザースの誘いを断ったまでは良かったが、それの代償が大きかった。ただ、ハンター陣営もいっときとはいえ協力するようになったのは大きな進展かも?
次巻でラスティの処遇とシルヴィアの死の真相は明らかになるかな。シザースとの戦いはどのように展開していくのか全くわからないので楽しみ。また、バロットとショーンの再会も描かれるのかな。 -
Posted by ブクログ
【どんな本?】
この本では、著者のデビュー作『マルドゥック・スクランブル』を作り出した過程を追体験できる。
具体的には「執筆の六段階」を学ぶ。
著者は小説を書く際に、以下の六段階を経て執筆している。その具体的なやり方を学ぶことで、自身の創作に活かせるようにすることが本書の目的。
《執筆の六段階》
1. 能書き(哲学)
2. 種書き(アイデア出し)
3. 骨書き(梗概・人物設定・世界観設定・物語構造)
4. 筋書き(プロット)
5. 肉書き(本文)
6. 皮書き(推敲)
【まとめ】
有名作家さんの物語の作り方を簡潔に学べる。
実際にこのプロセスで物語を作っているらしいので、非常に参考になると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ面白かった…!
最後まで読み切り、登場人物ほぼ全員が死んでしまったことを思い、ちょっと笑ってしまった。読んでいる最中は悲しいのだけどね…
ボイルドがいかにしてあんな怖い男(スクランブルのボイルドは本当に圧倒的だった)に至ったのかを、知れた気がする物語。
魅力的な主人公だった。壮絶。おまはん、1人で全てを背負いすぎや。私はこのシリーズで、ディムズデイル=ボイルド大好き人間に生まれ変わりました。
最後までウフコックのことを考えていた描写が切ない。ドクターにも「ウフコックの側にいてやってくれ」と言っていたんだね…
次作ではシザース、ボイルドの娘がキーになるのかしら。頭おかエリート一族・オクトーバーの血筋は完全に死に絶えたのか?ワクワクが止まりません。