冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレ三部作の完結編です。
前作のカジノシーンはルーレットだったせいか少し退屈に感じたのですが、カードになった途端緊張感がすごくて引き込まれました。
劇場版では尺の問題なのか説明が不充分でなぜそうなったのか分からなかったところがちょくちょくあったのでそこら辺の経緯がわかってすっきりです。
ボイルドが最後ウフコックの温もりと声を思い出すシーンで泣いてしまいました……。
つらい……。
ウフコックの手で殺されるのを望んでいたような……。
ラストでバロットがウフコックもずっと自分の体温を感じていたんだと気づくシーンがよかったです。
あとがきで冲方先生がカジノシーンの執筆に熱中するあまり吐いてしまっ -
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ネタバレ幕府の隠密組織「拾人衆」の一員として働く了助。明暦の大火を引き起こした盗賊の「極楽組」を追う中で、父親を殺した憎きか男の正体が水戸光圀であることが発覚する。激昂する了助であったが、柳生義仙という剣術家がそれを止める。そして、その流れで了助と義仙は、極楽組を追うために全国廻国の旅に出ることに。
前巻から匂わせていた了助の仇が光圀であったことが発覚。ただ、その背後には極楽組の一員であり、光圀の悪友であった鶴の思惑も。
それを探り、物理的でなく精神的に光圀を追い詰められるように了助は義仙と旅に出る。父親、育ての親などを亡くしてきた了助だから、義仙は死なないで欲しいな。
また、鳩を始めとする拾人衆も了 -
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中宮彰子が一条天皇のきさきとなり、その後、故中宮定子の子、敦康の養母となって国母としてのキャリア(キャリア?)をスタートしていくのが上巻。
上巻の終盤で、才女、紫式部を女房として迎え、彼女から漢詩や教養を学ぶことで力をつけ、そしていずれ朝廷全体に大きな影響力を持っていく下巻。
この時代の権力とはすなわち外戚(天皇の母方の祖父)として摂政・関白の座につくこと。
だから自分の娘を天皇の(天皇になりそうな親王の)きさきとして嫁がせ、そして男児を産ませてその摂政になるというのが権力上のゴール。
民のことなんて一ミリも考えてないだろうってくらい、朝廷の人間は自分の娘を送り込むこと、そして男児を産ま -
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映画が大変面白かったので原作にも手を出してみました。
映画が1時間しかなかったのでてっきり省かれたところがいっぱいあるもんだと思っていたらかなり原作通りに作られていてびっくり。
SFらしい近未来が舞台なのに未成年娼婦は普通にいるし当たり前のように男性社会で今の日本と変わらないなぁと苦い気持ちに。
裁判のシーンなんてセカンドレイプそのものですよね……男性に襲われたらほとんどの女性は殺されるのが怖くて抵抗なんて出来ないと思います。
ラストのバトルシーンでの「男の人ってこんな気持ちなんだ」と言いながら男達を嬲り殺すバレットの気持ちが少しわかってしまってまたつらい。
畜産業者の面々のキャラが立っ -
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ネタバレ国母として頂点に君臨せざる負えなかった彰子。
なんだか、己の親類縁者に振り回されないよう、定子の産んだ子供たちを守ろうとしながらも、思い及ばず。
そして、長生きの家系である彰子は次々と多くの死を見つめることになるのが切ないですね。
友人と彰子の家系は長生きという話をしていたことがあるのですが、それもよし悪しかと(;^_^A
幾度となく炎の災に襲われて、また流行り病に帝が倒れ、何とも言えないですねぇ。
ですが道長亡き後、彼女いなければ道長の家系が衰退するのは早かったでしょうね。
後半、いろいろと武家社会にちかづいてくる兆しも見える物語、大変面白かったです。
『 -
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手に汗握る戦いの連続…おかげで一気に読んでしまった……こんなにも存在意義や価値を自問するような、己を見つめ返しながら命のとことんの所で戦う話は読んだことがなかった。
バロットとアシュレイのブラックジャックでのシーンはルールのなかでお互いの生き様とこれからの生き方を問うような熱いものでした。古いゲームのなかで圧倒的な経験と実力を持った強者と新たな技術を得た未熟な少女。社会の成功者と対峙しながらチャレンジャーはその重みに対して寄り添ってくれる味方と共に戦い、成長していく。この過程が丁寧に描かれていて良かったです。
そして仇敵ボイルドとの戦闘シーン…本当に勝てるのか?となるほどの白熱でした。西部劇の -
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ネタバレ平安時代。不遇の生涯を送った中宮の定子。彼女に対して12歳(現代では10歳から11歳ごろ)で入内した道長の娘・彰子。
一日も早く子供を望まれながら、21歳まで身籠ることができなかった彼女が願ったのは、優しい夫である一条帝を守ること。
そして、彼から託された定子の息子・敦康親王を育て上げること。
しかし漢籍が分からない彼女は敦康が何を学び、一条帝の政が分からない。そんな時に一人の女房が彼女に仕えることになる、のちの紫式部である。
これは幼い少女が国母なるまでの物語。
まず私の中の彰子というのが、一条帝と定子は幼いから共にいたために愛情も深く、彼女はそのコピーとして道長 -
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冲方丁さんの『はなとゆめ』に続けて読む。
おもしろいー!
これは、『はなとゆめ』が清少納言を中心に据えていたのと違って、紫式部が主人公じゃなく、はっきりと彰子が主役。
なんで私が?と内向きだった14歳の少女が、夫一条天皇や紫式部から、また人々の振る舞いを見ることで自ら学んで、朝廷の和のためにと菩薩道を見出し実践する。
子女の入内を争い、貴族同士が反目し合うと内裏が燃える……それを憂えた一条天皇を見送ってから、6代もの天皇を支え、6代目の後三条天皇はその意思を引き継ぎ賢政をなした。
はぁーーーお疲れ様でした、頑張ったーーー。
ちなみに、その1代あとの天皇は、白河天皇。あの、白河院になった人。