冲方丁のレビュー一覧
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枕草子の内容と、それを書くに至った背景が小説としてわかりやすく描かれている。
『枕草子のたくらみ』『平安人の心で源氏物語を読む』や御堂関白記の訳などとあわせて読むと楽しい。
伊周、隆家兄弟が、花山院の袖を射る事件(長徳の変)とそのすぐ後の清少納言の動きとその理由や、その後の則光や斉信との関係。
また、その後の清少納言の孤立の具体的な理由。
定子の「言はで思ふぞ」の手紙の決意。
権力掌握のため必死な道長の策謀と、時勢をみる貴族たちの動き、定子の覚悟とその女房たちの自負と誇り、決意。
特に後半、政治色が強くなるほど哀しくて激しい。
…………伊周と、その弟の隆家、雅な教養はあったんだろうけ -
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ネタバレこの作品は清少納言のひとり語りという形で進みます。
最初の夫である橘則光との別れから始まります。
則光の母親が花山天皇の乳母だったために、将来を期待されていたがたった二年で出家するとは思わなかったことでしょう。
彼女は長男を連れて父の清原元輔の元へ戻った彼女。けれども、父である元輔は七十九歳で肥後守になり、彼女とはそれが永遠の別れとなります。仕官をした則光の元へ長男も行ってしまい……。
二十八歳になった時に清少納言は宮中へ、しかも中宮定子に仕えることになります。定子の年齢は十七歳。
若く美しいその華に清少納言はその生涯と一冊の書物を捧げることになるのです。
身分、美 -
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読んでいてすごく爽やかな風が吹き抜けた気になる上巻。上巻のテーマは算術と測量でしょうか。塾や神社の絵馬に算術の問題を書いて、答えを解かせるというこの時代の風習に、へえーと思いました。主人公は碁打ちを職業としつつ、算術、測量、暦術に優れた若き侍。上巻の後半は測量。各地を巡って星を観測して、緯度を計測するというもの。この時代は大変だなぁと月並みな感想ですが、思いました。一緒に旅をしていた2人も良かった。年をとっても常に探究心が大事だなぁと感じました。自分も見習いたい!そして算術については、主人公は、江戸時代の天才、関孝和に挑みます。『明察』なのか、『無術』なのか、最後はドキドキして読みました。下巻
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匿名
ネタバレ 購入済み想像してない結末でした
タイトルから想像できなかった結末に驚きでした。
なんだか辛いこと沢山あるけど、前を向いて生きることで、また楽しいことが見いだせるんじゃないかと思えるような作品でした -
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平安中期の藤原彰子の半生を描いた歴史小説。
清少納言を描いた「はなとゆめ」に続いての平安王朝絵巻です。
平安時代が舞台の小説は少ないのでありがたいです。
一般的に定子が理想の后のように描かれるのに対し幼いイメージの彰子でしたが、中盤の覚醒から一条天皇の意思を理解し継承するすごい政治家としての物語になっていて驚きました。
この時代の小説では清少納言を主人公とした田辺聖子さんの「むかし・あけぼの」や藤原道長を主人公とした永井路子さんの「この世をば」がありますが、彰子が主人公の物語は初めてなので嬉しかったです。
ただ、一般的に有名でない時代の物語なので「大鏡」や日記が残っているので読者に史実を伝え -
Posted by ブクログ
『どうする家康』桶狭間の戦い!面白さを増幅するストーリー揃い。オススメのアンソロジー。決戦!シリーズの第5弾。桶狭間の限定された時空に凝縮された義元の首を巡る七つの物語。どれも傑作です。七つ目の物語が首になった義元の語りになっていますが、こちらの読む気力が無く、評価できませんでした。
六つの物語を評価すると5点満点中、平均は4.8点になりました。
①覇舞謡 幸若舞の敦盛をバックミュージックに信長公記を素直に解釈した作品。斬新性は有りませんが、冒頭にあることで、桶狭間の戦いのガイドストーリーになっています。 4点
②いのちがけ 信長の勘気を被っていた前田利家の主従の物語。ネタバレ出来ない傑作。