冲方丁のレビュー一覧

  • 公式トリビュートブック 『チ。 -地球の運動について-』 第Q集

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    本編の『チ。』も大変面白かったが、この本ほど、芸術作品の感想を他人と共有する面白さを感じた本はない。

    私自身はこの物語を、基本的には「物理学史の中で大きな出来事のひとつの地動説」として捉えており、それに付加される形で、想いを託す生き方、学問の暴力的な性格、倫理と迷いといったサブテーマを学んでいた。

    しかしながらこの本を読んで、とても哲学的な思考、それも大変深い洞察を与えてくれる漫画なのだと再実感した。

    この本を読んだ後にもう一度読むと、見方が大きく変わりました。

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    2025年06月16日
  • アクティベイター

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    冲方さんのライフワークである『マルドゥックスクランブル』シリーズで展開されているようなハードSFのノリを、
    現代の東京を舞台に展開してみせたような感じかな。
    大変よく調べられていると思うし、アクションシーンの描写はめちゃめちゃ凝っていて素晴らしい。
    なんだけど、さすがにリアリティの面で物語の設定や展開、さらには事件の動機にも無理があるのではなかろうか。
    あと主人公の1人が不死身すぎて、いま一つハラハラドキドキ感が高まらないのもマイナス点。

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    2025年06月14日
  • 十一人の賊軍

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    戊辰戦争の新発田藩の史実にフィクションを加えた小説。
    信用できない身勝手なサムライ達に翻弄される「賊軍」が哀しいが、彼らの個性的な活躍に痛快感もある。
    舞台が半年前に読んだ司馬遼太郎の「峠」と近い。「峠」の方で交渉を駄目にした新政府軍の岩村精一郎がこの小説でも登場するが、やはり好ましくない性格で描かれている。

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    2025年06月14日
  • 月と日の后(上)

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    ネタバレ

    内裏の生々しい政権争いに巻き込まれた女御たち、一条天皇と言えば定子と彰子、この物語は彰子を主人公として語られており、この本で初めて紫式部が彰子の女房として就いていたのを知って衝撃を受けた。また、同時代の清少納言の名前までもが登場するのでどういう背景で二大作家が書き物をしていたのかが窺える。
    また藤原道長と彰子と言えば、少年陰陽師を思い出し、安倍晴明が出てくると豪華絢爛な時代だったんだなぁと笑
    それにしてもこれだけ私利私欲が渦巻く後宮で女の戦いが繰り広げられていると呪詛も実現していたのかもって思ってしまう。そんなこんなで12歳から内裏に入内して数年、彰子がようやく懐妊したところで上巻終了。
    ハードカバーからの文庫本化で加筆修正があったらしいのでいいタイミングで文庫本が読めたわ。

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    2025年06月09日
  • マルドゥック・アノニマス10

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    『マルドゥック・アノニマス』も第10巻。
    え?10巻!?と驚きです。
    もう10年もこの物語は続いているのか。しかも、発表から考えるともっと長く――。

    1年に1巻ペースの刊行なので、いつもストーリーを忘れている。“最初から読み直した方が……”といつも思うのだけど、そのまま読む。

    今回はここ数巻と違った感想(たぶん)。
    この物語、終わるの!?と。終わる気がしない。いまどの時点にいるのかまったくわからなくなった。まだ序盤かもしれないし(それはないだろう)、中盤かも、終盤かもしれない。どの時点と言われても、納得してしまう。

    ただひとつ、ウフコックの物語の終わりは見えてきた(ように思う)。
    まだまだ予断を許さない展開が続きそう。

    『SFマガジン』で連載を読んでいる人とは、絶対、感想が違うのだろうな。
    読書に対する時間の進み方が違うから。

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    2025年06月09日
  • 月と日の后(上)

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    最初の章は、小説というより史書を読んでいる感じがしてよく分からない……っていう印象だったけれど、章が変わって紫式部が登場してからは俄然面白くなってきた。下巻にも期待です。

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    2025年06月06日
  • 十二人の死にたい子どもたち

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    集団自殺をするために廃墟に集まった12人のティーンたち
    しかし集合場所には13人目がすでに死んでいて…?

    見ず知らずの死体を巡り、"集い"に参加した少年少女たちが疑心暗鬼に討論を進めます
    場を混乱させる犯人が複数挙がるも理解が追いつかなくて苦労しましたが、ティーンらしい(?)支離滅裂な理論や感情的な紛糾、自己中心性がおもしろく、意外と12人の特徴も覚えられました
    最後も不安定さの残るティーンならではの展開で納得のいく終わり方でした
    大人だったらこうはいかなかっただろうな

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    2025年05月25日
  • 月と日の后

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    同作者の「はなとゆめ」 と合わせて読んでいて良かったなと感じた。
    幼い子どもだった彰子の一生を共に見届けて、壮大なドラマを見たような気持ちになった。彰子も優れた力を持った人だったんだなぁ

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    2025年05月18日
  • アクティベイター

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    長編ながら読み応え有り。
    格闘シーンの描写が昔のハードボイルド時代の北方節を彷彿とさせて興奮度高し。
    まさかの「方」繋がり?
    義兄弟のシリーズ化求む。

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    2025年05月15日
  • マルドゥック・フラグメンツ

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    ボイルド&ウフコックコンビの事件が読める。ヴェロシティにおける時系列は不明だが、2人のキャラはスクランブルに近い気がした。ボイルドは体温低めだし、ウフコックはダンディ。笑

    そしてアノニマスに繋がる短編!新キャラも沢山出てきてワクワクしました。
    にしても敵サイド多すぎんか?都市の闇が底無しすぎて、これをどうにかするの無理じゃないか?
    現在もシリーズ連載中なのが納得の情報量の多さだった。ウフコック、どうなっちゃうの…。

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    2025年05月13日
  • はなとゆめ

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    中宮定子に仕えた清少納言の、美しく切ない物語。
    平安時代の空気に包まれて、私もひとときの夢を楽しんだ。

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    2025年05月13日
  • 公式トリビュートブック 『チ。 -地球の運動について-』 第Q集

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    原作の解像度がすごい上がります。ファンなら必読必須です!山口一郎さんやn-bunaさん、野口総一さん等とのインタビューは新しいことも知れてとても読んでて楽しかったです。この世界は最低と言うには魅力的すぎるッ!!

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    2025年05月09日
  • 冲方丁まるごと試し読み合本 1996‐2016【作家デビュー20周年!合計1000頁超!】

    購入済み

    大ボリューム

    作者冲方丁の幅広い分野の作品の前端部分を集めた作品集である。とにかくSF ラノベ 時代物と対象分野が幅広く作品数も多いので大変なボリュームになっている。改めて読み返してみると、ばいばいアースから始まりマルドゥックスクランブルで頂点を迎えるSFものが私には一番しっくり来る。

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    2025年05月03日
  • ばいばい、アースI 理由の少女

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    専門用語が少し独特でとっつきにくさは初めこそあったが、読んでいくと寧ろクセになる。
    ベルの旅路を見守っていく。

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    2025年04月26日
  • アクティベイター

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    中国の最新鋭ステルス爆撃機が羽田空港に着陸したと思ったら、パイロットが「核が積んである」と衝撃的な言葉を発します。

    登場するのは、警察庁(警備局)、警視庁(羽田空港署)、防衛省(防衛装備庁)、経済産業省、法務省(出入国在留管理庁)、外務省の面々なのですが、それぞれに癖アリ。しかも、協力して事に当たるというよりは、それぞれの組織益が目的なので、裏をかきあうという・・・。

    そしてもう一つ、アメリカ(在日米軍)がここに出てきます。これは本当に黒子ですね。

    話は意外に複雑です。そして、ポリティカルサスペンス化と思いきや、意外にそうでもないかも。アクションサスペンス要素の方が強いかも。

    話的には、次につなげられる伏線がありますが、この登場人物を活かす次の作品ってなぁ・・・?

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    2025年04月24日
  • マルドゥック・ヴェロシティ2 新装版

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    ネタバレ

    カタカナ名前たちが沢山出てきてあっぷあっぷし、脳内の人物相関図がカオスとなってきているが、引き続きめちゃんこ面白い。

    1番の衝撃はショーン・フェニックス。バロットのお兄さんだよね?新旧コンビがニアミスしていたことが分かる。小さな繋がりの発見にテンション上がるのがシリーズものの喜び。
    それにしても兄妹ともに搾取されまくって辛い境遇。絶望に伴う諦めに浸り切っている2人、バロットが未来でウフコックを濫用してしまうように、ショーンは自分より弱い存在を虐待している様子。バロットは出会いに恵まれて焦げつきを乗り越えていくけれど、ショーン兄ちゃんはどうなるのだろう。

    そして虚無に堕ちることが分かっている今作の主人公・ボイルド。
    まさか彼のロマンスが見れるとは思わなかった。ありがたや、ありがたや…。
    しかしナタリアの背後に迫る死亡フラグよ…。昏い傷を持つ強くて美しい女、大好きなんだけどなあ〜〜!彼女の結末がボイルドの軌道を決定づけてしまうのだろうか。お腹の子は生き残るのかな。
    スクランブルでちょろっと話された内容だと、確か麻薬絡みの事件で大学生がうんぬんかんぬん、で最終的にボイルドが暴走しウフコック達と決裂、だった気がするけど、今回の事件じゃないのか?
    クリストファーも魅力的なキャラクターなのでいつ死ぬのか(失礼)ハラハラするよ。プロフェッサーの死でドクターは覚醒するのかな、まだ太ったまま。

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    2025年04月26日
  • マルドゥック・ヴェロシティ1 新装版

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    スクランブルにおける圧倒的ラスボス、ボイルドが虚無に呑み込まれていない頃。心に潜む巨大な闇と対峙しながら、己を律し、仲間を気にかけ、ウフコックを大切に扱う姿に胸が締めつけられる。眠ら(れ)ない身体、フラッシュバックするビジョン。小さな金色のネズミが救いであり、全てを見透かされる故に恐怖でもあったのだなあ。自分の傷を突きつけられる鏡は恐ろしく、また好きな相手に恥じている部分は見せたくないよね…。

    ウフコックはめちゃくちゃキュート。人間の感情や社会構造についてスポンジのように学習する、まさに成長期という感じ。パートナーとしてのボイルドへの信頼と、周りに「必要とされたい」という欲求が純粋で、幼くて、なんともいじらしい。
    スクランブルでは、バロットという不安定な主人公を支え・導く役割を担う頼りがいのあるネズミだったから、可愛い1000%な姿を見れるヴェロシティは素晴らしいでしかない。この先を考えると少し辛いけど…09の仲間たちは最後どうなるのか…

    特殊能力持ちがバンバン出てくる楽しさがあり、全員に悲惨なトラウマがあるにはあるがスクランブルより陰鬱な雰囲気は薄めで(そうか?)、とっても面白いです。仲間と連携する貴重なボイルドが見れて興奮するし、気弱なドクターがこれからどう変わっていくのかも気になる。
    また、ボイルド視点だからか文体が箇条書き(?)のようになっている。ト書きのような。独特で最初はびっくりしたけど、慣れると頭の中で映像が紙芝居のごとくパッパッと切り替わり、それが地続きになって面白い。臨場感があってバトルシーンに向いてる。

    ボイルドとウフコックの過去が濃密に読めるヴェロシティ。スクランブルが好きだった方は必読だと思います。

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    2025年04月16日
  • マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion─燃焼 〔完全版〕

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    ネタバレ

    有名なカジノ編に突入する2巻。ゲームのルールは理解していないけど(恥ずかしい)、心理戦が面白くてページをめくる手が止まりません。トラウマを埋葬し強くなろうとするバロット、それを支えるウフコックとドクター、見ていて安心できるチームになったなあと思いました。

    ボイルドの過去、ウフコックとの出会いも描かれている。ちょっと泣いた。失った人生、損なわれた自分。取り戻さなければという焦り。焦げつきの中で手に入れたウフコック。バロットと似た部分もあるけど、「なぜ私なの」と問い続けたバロットと、全てを忘れたボイルドという差なのでしょうか。
    誰だって、1歩踏み外せば虚無に飲み込まれてしまう。

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    2025年03月21日
  • 麒麟児

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    刀を使わない武士道、男気を感じました!
    戦で人を無くさぬよう、動いた人たちがいた事を改めて再認識しました。

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    2025年02月26日
  • 月と日の后(下)

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     藤原彰子の一生を、時系列に沿って丁寧に描いた物語。淡々と進む点は上巻と同様だが、下巻では彰子が明確な意思と目的を持って動くようになり、そこに大きな見応えがあった。特に、道長が存命中は実質的に「彰子 vs 道長」の構図になっている点が興味深い。藤原家のために強引に政治を進める道長に対し、彰子は父が兼家や詮子のようにならぬよう釘を刺し、諸卿を懐柔していく。その駆け引きが巧みに描かれ、大きな事件が起こるわけではないものの、気づけば彰子が大きな存在へと成長している。その描写技巧には驚かされた。

     また、道長の死後、頼通の治世については私自身知らない点が多く、史実として新鮮に感じながら読み進めることができた。特に、彰子が白河天皇の治世まで生きていたことには驚いた。

     物語を通して、この時代に長生きすることの残酷さが浮き彫りになる。夫である一条天皇、実妹の姸子・威子・嬉子、敦康親王、息子の後一条・後朱雀、孫の後冷泉・後三条——愛する者たちを次々と見送る人生の重みが、彰子の生涯に刻まれていた。

     それにしても、これほど多くの人が若くして世を去る中で、大病もせず90近くまで生きた倫子(明子もそうだが)と彰子の生命力には驚かされる。改めて、道長の栄華を支えたのは、ニ男四女を産み育てた倫子の存在だったと再認識した。娘たちは代々の天皇に嫁ぎ、子を産み、息子たちは皆長寿を全うしながら政治を動かしていった。

     一方で、残念に感じたのは紫式部との関係があまり描かれなかった点だ。死の直前、彰子が思い出すのは一条天皇と紫式部の二人なのに、紫式部との交流の印象が薄く感じられた。晩年はいわゆるナレ死であっさりと描かれており、もう少し回想などを交えて、互いの人生を振り返る場面が欲しかった。

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    2025年02月09日