冲方丁のレビュー一覧
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未成年娼婦の主人公バロットが、自分を「殺し損ねた」男に、マルドゥック・スクランブル09で得た技能を駆使し、復讐をしようとする話。
登場人物の名前がいいなぁ。横文字のSFってただでさえ用語を押さえないといけない上に人物名まで覚えづらいと全然乗れないから。キャラに関連した名前をつけてあると覚えやすいね。
SFといってもどちらかと言えば能力バトルものに近い。ガジェットも想像力の限界は越えない感じ。
キャラクターの書きかたが上手くて読ませるなぁ。敵役のおぞましさとか、主人公の心情とか。バトルも俺tueeeeee!からの絶望の落差で次が気になる。ボイルドの絶望感はやや唐突な感もあるけども。
気になるけど、すぐに読みたい!てほどではないような感じもする。単純に好みの問題だけどね。もう少し世界観が掘られていた方が好みなんだ。危なっかしいけど守ってあげたくなるような、超強い少女主人公の行く末は気になるけどね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・主題とは皆さんそれぞれの中にある大きなテーマのこと。なぜ内面から生まれてきた主題を小説にしなければならないのかというと、それが「意味不明なものであるから」。主題とはたいていその人にしか理解できないものだから、ストーリーもないうちから「卵とネズミ」と言われても、なんのことかわからない。主題とは混沌とした発見でもある。そんなきわめて個人的なものが、もしかすると他人を喜ばせ楽しませるかもしれない。それこそが主題の価値。
・主題を作るために必要な要素は、技術と知識と感性。作家には、この三つが織りなす三角形の中に収まるレベルの作品しか書けない。
・誰からも期待されずただ黙々と小説を書くというのは、やはり小説を書きたい人にとって、もっとも大切なものかもしれない。
創作の三項目:知識、技術、感性。
小説の五項目:主題、世界、人物、物語、文体。
執筆の六段階:能書き(作品になる前の様々なアイデア。他の作品になるかも)、種書き(能書きのうち、作品に使うものを絞り込む)、骨書き(企画書レベル。全体のおおまかな粗筋)、筋書き(プロット。詳細な粗筋)、肉書き(執筆)、皮書き(推敲。贅肉を絞る作業)。
・説得力がないと言われたら、何かを表現するためには、何かを否定することが有効。辛さをそのまま表現しても辛くない。本当は辛いのに、辛くない辛くないと主人公が否定していると、辛さの説得力が増してくる。
・リアリティがないと言われたら、作品内に三つの常識を作る。「絶対にしてはいけないこと、普通はやらないこと、誰でもやること」。この三つがあると、読者は作品に安心して没入できる。「絶対に起こらないこと、普段は起こらない珍しいこと、いつも起こること」これは使い方によっては世界と人物と人間関係を同時に説明できるので便利。
・意外性がないと言われたら、ミスリードを作る。引っかかりやすい間違いを用意しておく。ある話題の後に別の話題を出してごっちゃにする。絶対にわからないことをもう少しでわかるんじゃないかと思わせる。簡単にわかる答えを複雑な問題でもって難解に思わせる。「これは絶対に起こらないだろう」と思わせておいて、起こしてしまう。
・ありきたりと言われたら、異なるものを混ぜ合わせる、過剰にする、不足させる。人物、数、文章、物語のどれかを過剰にしたり、削ったり。あるいは、逆転させる。
・インパクトがないと言われたら、すごいと思わせる。こんなことにこれほどこだわるのは、お前しかいないと思わせたら勝ち。過剰の極大バージョン。作品自体が過剰になる。インパクトは出そうとしても出ない。徹底的にこだわろうとすると、結果、インパクトが出る。
・感情移入できないと言われたら、苦しい場面に感情移入してもらえたら、幸せな場面でも感情移入は続く。苦しい場面とは何か。欲しいものを得られない苦しみ。失う苦しみ。
・文章が下手と言われたら、書きたいものをはっきりさせる。自分がこれから書くことについて、とにかく整理する。何が大事なのか優先順位をつける。 -
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ネタバレ久しぶりに、えんさんが出てきたー!
綺麗!可愛い!!
さて、このお話の大一番勝負が…失敗に終わる
ところで終わりますね。うわぁ。
悲劇を乗り越えた先のまた悲劇。。。
原作を読んでいて知っていても、気になる続き。
この本を読んでから久しぶりに囲碁を勉強しなおしています。
まだ5路盤からですが、まっさらな碁盤を見ていると
どんな手になるのかさっぱり分からず、
碁盤を宇宙、ご意思を星と例えた意味がそれとなく
分かってきました。
本来は19路盤なんだよな。。。19×19。
手の数は、wikiによると10の160乗、
チェスで10の50乗ってことらしいです。
天文学的な数字…。
囲碁と天文学は通じるところがありますねぇ。 -
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少女娼婦バロットは賭博師シェルに計られ爆炎にのまれた。瀕死の彼女は緊急法令スクランブル09により蘇り、シェルの犯罪を追う。
心を殺し、望むことを諦め、男たちに支配され、死さえ従順に受け入れかけていたバロット。彼女が蘇り、手に入れた力を操作する時に感じた征服感と高揚感の描き方が良かった。力を手に入れた人間は間違いなく彼女のようになるから。
まだ1冊目だけど、最後まで彼女が戦うだけの話なのか、今後彼女の内面の変化を描くのか、気になるところ。
必要以上にグロテスクな部分もあるけど、沖方丁のリズム感あふれる文体は好きだと思った。
*以下引用*
*愛の定義は与えることだ。それにはルールがある。与えられる者が守るべきルールが。それさえ守れるなら、君は愛され続ける (p18)
*(生きていていいの?)誰もイエスと言ってはくれない気がした。それこそ無条件に愛された経験がない人間が抱える欠落だと泡がささやいた。その欠落に従ってこの世から消え去るか、一生涯イエスという答えを探すために生きるのか。 (p49)
*心の殻を、割れずにいるだけだ。あまりに自分を傷つけるものが多すぎて (p70)
*信じられることが何よりの支えだった。裏切られないという確信。それが世界に満ちてさえいれば麻薬も銃も必要ないのだと、何年も前に兄に言われたことを思い出した。 (p117)
*私の知ってる女の子たちみんな、それが手に入らずにクスリや男でぐちゃぐちゃになって生きてる。そんな目に合ってまで生きてる言い訳がほしいだけなのに。(中略)私を愛して、ウフコック。 (p144)
*この全ては自分が起こしているのだという快感が込み上げた。それは圧倒的な支配力だった。物事を思い通りに動かし、感情を持つ人間さえもいいように操作する力。(中略)男のひとたち、みんな、いつもこんな感じだったんだ。これか、と思った。自分を支配する男たちが味わっていたものはこれだったのだ。この胸の焼けるような甘い思い。これをどうして自分も味わってはいけないのか。 (p263-p264) -
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茫然自失になるほど度重なる別れ。
しかし、裏を返せばそれだけの喪失感を覚えるほどの出会い・縁が春海にはあった、という事でもあり。
おことを喪い、伊藤様を看取る事も出来ず、泣き崩れる春海の姿が切なくてかないません。それだけ大事な人たちだったんだ、と。
そして、道策の一途なツンデ…もとい、ライバル心。本当に春海は人に恵まれている。
誰もがその大きな器に水を注ぎたくなる、いい表現です。
それでも改暦の儀は困難な事業。ありとあらゆる知と力を尽くして、ついに成就なるか……以下続巻、という時点で結果はアレなわけですけれどw
兎にも角にも幸せな春海の人生。
どんな困難に打ちひしがれようとも、やはり彼は幸せだと思います。
素晴らしい人の縁と全てを賭けられる夢がある。これ以上に素晴らしい人生は、そうはない。