冲方丁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
少女娼婦バロットは賭博師シェルに計られ爆炎にのまれた。瀕死の彼女は緊急法令スクランブル09により蘇り、シェルの犯罪を追う。
心を殺し、望むことを諦め、男たちに支配され、死さえ従順に受け入れかけていたバロット。彼女が蘇り、手に入れた力を操作する時に感じた征服感と高揚感の描き方が良かった。力を手に入れた人間は間違いなく彼女のようになるから。
まだ1冊目だけど、最後まで彼女が戦うだけの話なのか、今後彼女の内面の変化を描くのか、気になるところ。
必要以上にグロテスクな部分もあるけど、沖方丁のリズム感あふれる文体は好きだと思った。
*以下引用*
*愛の定義は与えることだ。それにはルールがある -
Posted by ブクログ
茫然自失になるほど度重なる別れ。
しかし、裏を返せばそれだけの喪失感を覚えるほどの出会い・縁が春海にはあった、という事でもあり。
おことを喪い、伊藤様を看取る事も出来ず、泣き崩れる春海の姿が切なくてかないません。それだけ大事な人たちだったんだ、と。
そして、道策の一途なツンデ…もとい、ライバル心。本当に春海は人に恵まれている。
誰もがその大きな器に水を注ぎたくなる、いい表現です。
それでも改暦の儀は困難な事業。ありとあらゆる知と力を尽くして、ついに成就なるか……以下続巻、という時点で結果はアレなわけですけれどw
兎にも角にも幸せな春海の人生。
どんな困難に打ちひしがれようとも、やはり彼は -
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Posted by ブクログ
ライトノベルから小説へ脱皮した、沖方氏の短編集。歴史小説的な天地明察につながる日本改暦事情からOut of ControlといったSFちっくな作品までをおさめた作品となっていて、筆者の想像力と疾走するような文体を思いっきり感じることができる。ちょっと森博嗣のような文体の作品も。
天地明察の本当に素晴らしい小説を生み出すに至ったのは、きっと時空を超えた想像力なんだろうなあ。「人間の心信・遊び心が極まって文化になるのだ」という粋を感じる文章から、筆者の持つ小説を書くということは、言葉を大事にして、それがもたらす文化に至るひとしずくを力一杯刻む作業なのだと感じた。仕事でもプライベートでも、自分自