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戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男――ディムズデイル=ボイルド。肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた……『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。
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Posted by ブクログ
「虎よ、虎よ」のような暴力と廃退と虚無、そして疾走感。 SFに限らず、ハードボイルドやダークヒーローものが好きな人にはお薦めできるなぁ。 独特の「クランチ」文体に慣れる頃にはもう世界に浸ってました。
スクランブルにおける圧倒的ラスボス、ボイルドが虚無に呑み込まれていない頃。心に潜む巨大な闇と対峙しながら、己を律し、仲間を気にかけ、ウフコックを大切に扱う姿に胸が締めつけられる。眠ら(れ)ない身体、フラッシュバックするビジョン。小さな金色のネズミが救いであり、全てを見透かされる故に恐怖でもあったのだ...続きを読むなあ。自分の傷を突きつけられる鏡は恐ろしく、また好きな相手に恥じている部分は見せたくないよね…。 ウフコックはめちゃくちゃキュート。人間の感情や社会構造についてスポンジのように学習する、まさに成長期という感じ。パートナーとしてのボイルドへの信頼と、周りに「必要とされたい」という欲求が純粋で、幼くて、なんともいじらしい。 スクランブルでは、バロットという不安定な主人公を支え・導く役割を担う頼りがいのあるネズミだったから、可愛い1000%な姿を見れるヴェロシティは素晴らしいでしかない。この先を考えると少し辛いけど…09の仲間たちは最後どうなるのか… 特殊能力持ちがバンバン出てくる楽しさがあり、全員に悲惨なトラウマがあるにはあるがスクランブルより陰鬱な雰囲気は薄めで(そうか?)、とっても面白いです。仲間と連携する貴重なボイルドが見れて興奮するし、気弱なドクターがこれからどう変わっていくのかも気になる。 また、ボイルド視点だからか文体が箇条書き(?)のようになっている。ト書きのような。独特で最初はびっくりしたけど、慣れると頭の中で映像が紙芝居のごとくパッパッと切り替わり、それが地続きになって面白い。臨場感があってバトルシーンに向いてる。 ボイルドとウフコックの過去が濃密に読めるヴェロシティ。スクランブルが好きだった方は必読だと思います。
文体はボイルドの客観的かつ冷酷な視点を表現しているのかと思ったが、他の方のレビューを読んでクランチ文体というものだと知る。なるほど。しかし作品にマッチしている。 映像的に目まぐるしく展開していく疾走感あるアクションが楽しい楽しい。ボイルドのチート能力っぷりは『スクランブル』でよく知っているが、彼の...続きを読む鉄壁のメンタルがまだ築かれていないあたりが不安を醸す。限りなく強いはずがどこか危うく、一歩間違えばすぐに誰かが死んでいきそうな雰囲気。先が楽しみ。
冲方的クランチ文体初体験。素地があったおかげか意外と馴染みやすい。字コンテ的な?感じか。テンポがとても良くなるが、想像力が追いつかない時もある。
マルドゥック・スクランブル以前の話。ボイルドが主人公の一大絵巻。 展開の速さがいいテンポで進む。なかなかの序盤ですよ。
マルドゥック・スクランブルの前日譚。なぜボイルドはあのように変わってしまったのか、ウフコックとの間にかつてあった絆は何だったのかが語られる。色んな能力者が出てくる、少しSF的なジョジョのように読める一方、ストーリーはかなり残酷で暗い。そして前日譚であるために、救いがないことも分かっている。
■マルドゥック・ヴェロシティ1 ★★★★☆ 星は衛星を束ねながら回転し進む。 美しく、煌々と輝きながら。 (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋) ○お前は不確定要素に心を砕きすぎる。 二分後のことに集中して、二分前のことを忘れろ。(P.229) ○「俺も、だんだんと人間の機微について理解が深...続きを読むまってきたと思わないか?」 「ああ。ひやっとする。」(P.276)
完全版ではなく、単なる新装版ではあったが、すっかり忘れていたので再読。スクランブルの完全版の時にも記載したが、やはり圧倒的にカトルカールの異形ぶりが際立つシリーズであり、それに対比する同じ生まれであるはずのO9のメンバーの健全ぶりと、特に主人公たるラスティポンプの人格が余りにスクランブルとかい離して...続きを読むおり、序章のスクランブルの最後のシーンに至るまでの徘徊者とユニバーサルアイテムとの2マンワンセルから別離までが描かれる。再読ではあり、また結末が最初に用意されている以上、先が読めているが、フラグメンツで示された鼠の最後を推し量るためには、もう一度、復習して臨むことが望ましいだろう、何しろフラグメンツではO9と同じ技術で製造されたと思しき敵の出現が予告されているからだ
『マルドゥック・スクランブル』では、ひたすらに恐怖の対象で でもどこか気になってしまうウフコックの“元”相棒、ボイルドが主人公。 彼がどうしてあぁいう結末になったのか、がわかる1冊。 久しぶりに半分徹夜をして、読みふけった。 ものすごいストーリーだった。 文体が独特だったけれど、それもすぐに慣れ...続きを読むて苦にならなくなった。 ともかく、おもしろかった。 『マルドゥック・スクランブル』よりも、もっとSFのにおいが強くなっていたと思う。 これは、ともかく一気に、一息に読むのがオススメ。 ウフコックとのかけあい、仲間たちの様子などなど、 1巻から刻々と、グラデーションのように変化していく様子や 3巻での畳み掛けるようなラストへの波が、 よく感じられると思うから。 これを読んだら『マルドゥック・スクランブル』から見えてくる景色も変わるのだろうな、と思うと そちらを読み返すのも楽しみだ。
マルドゥックスクランブルにも登場したボイルドというキャラクターの過去の物語。 ボイルドとウフコックの関係を見ている笑っちゃうけど、じりじりと悲しさも湧いてくるのが辛いね。 ボイルドの一人称視点の文体はスプライトシュピーゲル感あってエモい。
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