冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・覇舞謡(はぶよう)―織田信長
・五宝の矛(ほこ)―上杉謙信
・純白(しろ)き鬼札―明智光秀
・燃ゆる病葉(わくらば)―大谷吉継
・真紅(しんく)の米―小早川秀秋
・黄金児(おうごんじ)―豊臣秀頼
すっきりと短い文章がリズミカルに続き、とても読みやすいのだが、逆に文章がつるつると滑り、血は沸かず、肉踊ることがない。
どの主人公も同じ論理を内包し、一人それを抱えて戦に向かう姿には顔がない。
よくできた講釈を聞かされたようで面白くはあったが、心が震えるまではいかなかった。
冲方丁ってこういう文章を書く人だったかなあ。
隠しテーマである『道』にとらわれ過ぎたのではないか。
戦の要は道である。
軍団を素早く安全に運ぶための道は、物資を運ぶ道となり、その道を通って人が集まり、集落ができる。
戦の先を見据えた武将たちの物語。
元々は講談社の歴史アンソロジー企画「決戦!」シリーズとして書かれたものを、一冊にまとめたのが本作。
ばらばらの短編をつなぐのが、『道』ということなのだが…。
この中では、本能寺の変を扱った「純白き鬼札」が面白かった、
そう、本能寺の変の時、光秀は当時でいうともう老将なのだった。
見たいものだけを見、見たくないものを避けて信長に付き従った10年。
齋藤道三亡き後頼った朝倉氏を見捨て、将軍家をも切り捨てて従った信長に自身の老いを突きつけられた時、光秀は何を考えたのか。
これがしみじみ理解できる年齢に私もなったということか。 -
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久しぶりの歴史小説。『天地明察』&『光圀伝』で完全にノックアウトされて、冲方歴史作品への信頼が固まったんだけど、『はなとゆめ』がイマイチで、ひょっとして戦国ものに限って優れているのかも、と思い直して今に至る。それだけに、本作に対する期待もひとしお。で、結論としてはまずまず。件の二作品には到底届かず。短編集ってこともあるし、個人的には並べ方もまずかったと思う。最初の2章が全然ダメで、それだけだと☆2.5くらい。信長と謙信については、目下連載継続中の漫画作品をまさに読んでいるせいもあってか、事実の羅列にしか感じられんかった。3章以降はそれなりに楽しめたから評価は持ち直したけど、せめて発表順に並んでいたら、もうちょっと印象も変わったのかも。必然的に長くなりがちな歴史小説だけに、短編集で読んだ経験はあまりない気がするけど、やっぱりジャンル的に合わないのでは、と思えた次第。
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日本史は正直全然わからない自分でも知っているような合戦に臨む武将の短編集。いやぁ、面白かった!
歴史上人物だって一人の人間だし、こういう風に考えたのかもしれない、こんなことを感じながら戦場に臨んだのかもしれない、と思うとさらに面白かったです。
私はあまり時代小説を読まないのですが、筆者に思い入れがありすぎる作品だと、歴史上の人物が超人すぎたり、感情表現が奇天烈すぎたり、それにまた入れ込み過ぎる家臣などが出たりすると随分ウェットだなぁと思っていたことがありました。ま、お涙頂戴ものは昔から好まれる王道パターンではあると思うのですが。
この本では人間関係がそこまでドロドロしてないというか、自分がそうしたいからそうした、というような非常にわかりやすくカラッとした動機で動くので明快でわかりやすかったです。もしかしたらこういう一面もあったのかもしれない。なかったのかもしれない。その辺りを考えるのもロマンですしねぇ。
というわけで武士の世が終わる辺りではこういう痛快な時代が終わってしまうのか…という一抹の寂しさのようなものを感じました。戦はイヤなんですけどねぇ。 -
購入済み
ヒロインのイメージが違う
原作は冲方丁のSF傑作3部作『マルドゥック・スクランブル』
原作を夢中になって読んだのでこのコミック版にも期待した。
激しいアクションシーンを「絵」で見ることができるのはとても楽しいが、どうにもヒロインのイメージが違う。
原作者は本コミックの作者 大今良時を気に入ってコミカライズを依頼したとのことだが、ヒロインがどうにも幼すぎるような気がする。
私が抱いているヒロインのイメージは、原作文庫本のカバー絵のような、冷徹なイメージの美少女である。 -
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ネタバレ『マルドゥック・アノニマス3』を読んだとき、“ようやくガス室での再会に追いついた”と思った。
あれから2年。まだ、本当の意味で追いついてはいなかった。そこへ追いつくのは、おそらく次巻になるのではないだろうか?
この『5』の主役はバロットだ。
少しさみしいことに、ウフコックはほとんど喋らない。
『マルドゥック・スクランブル』は、バロットというひとりの少女がウフコックと出会い、殻を破り成長する物語だった。少し哀しい結末を迎えるが、それはバロットの心を描いていたからだ。
その意味で、『5』は正統な続編だ。
まだまだバロットは成長する。ウフコックが不在の間に、ウフコックが不在だから、大人になる。
もちろん、バロットとウフコックの二人を見ていたい。
けれども今は、次巻、バロットがどう対峙するのか楽しみでならないのだ。
そう。これはガス室までのミッシングリンクなのだ。