福澤徹三のレビュー一覧
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底辺に蠢く青年にスポットライトを当てる。
長野県出身の湯浅和希は、東京の大学に行ったが、コロナでほとんどオンライン教育で友人ができず。東京の会社を受けたが、受かったのはパープル会社。仕事も残業がないが給料も少なく、昇給の見込みもなかった。そして、会社を辞めて効率のいいデリバリーの仕事を始める。その仕事をしている人を「負け組ランドセル」と呼ばれる。父親からは、長野に戻ってこいと言われるが、郷里には帰りたくない。兄は国立大学を出て、塾の講師をしている。和希は、夏の暑さで、ふらふらになって、倒れ込んだのが純喫茶王宮。そこには柳刃と火野が運営していた。
その純喫茶王宮の対面には、幽霊レストラン(キッチンだけあって、デリバリー専門で多数の店の名前を掲げる)があり、そのアルバイトの悠人がいて、一緒に王宮でご馳走になる。
和希がデリバリーするレストランでクビになった小夜乃のアルバイトを紹介すると請け負ったら、結局それはキャンセルされて、小夜乃は王宮で働く。
和希、悠人、小夜乃の3人は、柳刃と火野の料理をうまいと言って喜ぶのだった。
親ガチャならぬ、こどもガチャなのだ。
悠人は、「底辺から抜け出すためには、他人から見下されないためにはお金を稼ぐしかない」という。柳刃は、「金で自信を買おうとするのは、心を金で売るのに等しい」という。
ネット社会において、ネットの匿名性に隠れて誹謗中傷やレッテル貼りを繰り返す連中は、他人を貶めることでしか満たされない。正論を盾にして価値観を押し付ける連中の多くは、自分の優位性を保つために正論を利用している。そういう卑劣な臆病者が、今の不寛容社会を作っている。
悠人の店主は、半グレで、その上の組織があり、点検詐欺の会社を経営している。和希は、お客の無理難題のクレームでデリバリーをクビになり、悠人の紹介で、点検詐欺の会社に行く。その仕事をやって、和希は逃げ出す。そして、監禁され、契約がキャンセルされたので、200万円払えと脅される。
悠人と和希が監禁されているところへ、柳刃と火野が助けに来る。
あまり、巨悪をやっつけるための潜入操作とは言えないなぁ。ちょっと、最後の仕掛けがしょぼい。しかし純喫茶王宮での柳刃の料理は、磨きがかかっているような気がした。 -
Posted by ブクログ
ハラハラして後半は一気読み。
そんなことしたら危ないに決まってるじゃん!ってことを登場人物たちがそれぞれやらかすから心臓に悪い。
タイトルの意味は途中からすぐわかってしまった。
元ヤクザの老人トビーは強くてヒーローのような扱い。
みんなが元ヤクザを結果的にいいように利用して問題を解決していく流れは、うーんと思った。
少女漫画にイケメンヤクザとの恋を描いたものが多くあるけど、それと同じで強くてかっこいいって所だけいいとこ取りする設定には違和感。
だってそもそもヤクザって法に触れることをしている訳だし。
トビーが元ヤクザだとしても、殺人の前科の理由が義理堅く親分の敵討ちだとしても、実は猫を愛する優しく強い素敵な人、とはならない。
とはいえ、物語自体はテンポよく面白かった。
猫の豆知識も知れる。
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Posted by ブクログ
第5弾
あまり人気のないペンション兼居酒屋が舞台。
できるだけ低予算でそろえた材料で作るイマイチだった食事が柳刃さんの手で絶品料理に。
料理に対する経験と手間を惜しまない姿勢がかっこいい。そして、自分でもちょっとやってみたくなる程度に少しハードルの低い感じがたまらない。目玉焼きの朝食のひと手間。休日にでもやってみようかなぁ〜なんて思わせてくれる。やらないだろうなァ〜私。
そして、昔、ペンション近くで起きた5億円強奪事件の時効が迫る。怪しい人物が何人か登場するが、柳刃さんや火野さんがかっこよく解決。お決まりのパターンって安心感と爽快感だわ。
何より、汗だくになって歩いたあとのオニギリと梅干しと冷たい麦茶。これは絶対美味い! -
Posted by ブクログ
なぜか、この侠飯シリーズは好きな作品だ。ヤクザの雰囲気を持った柳刃と火野。歌舞伎町に、半グレ集団の潜入捜査をする。
蓬創介は、山口県出身で、父親に育てられ、東京の専門学校国際ビジネス学院に入るが、卒業間際で就職先がない。その上、彼女に「蓬くんってまじめだけど、すっごく地味じゃん。いっしょにいても、あんまり楽しくないから」と言われてふられる。
創介が就職しようとした会社が半グレ集団の東京リッパーズだった。創介は、運び屋をやらされて、失敗し300万円の借金ができた。そのリッパーズの蜂矢翼、29歳に拾われ、蜂矢のバー、ニュー来夢で働くことに。じつに昭和的なレトロなバーであるが、良心的である。そこで、創介の同じ年の闇かわいい桝賀凛花がサポートとキャッチする二人だけのスタッフのこじんまりしたバーだった。そこに、ホストクラブで働いている本間鱈夫が、仕事終わってから飲みにくる。創介、凛花、鱈夫の3人組。
そこに、柳刃と火野がやって来て料理をする。コンビニで買ってきたバーの冷蔵庫にある冷凍食品を簡単な手法で、おいしくさせることで、三人の胃袋を満足させ、いろいろアドバイスするのだった。
柳刃はいう
「勉強とは、自分がいかに無知かを知ることだ」
「食事は生きる源だ。食事をおろそかにすれば、自分のこともおろそかになる」
「目標が見えねえ森のなかじゃ登りようがねえが、てっぺんが見えるなら、そこを目指せばいいだろ」
「本物の料理人は客を幸福にする。料理とは空腹だけでなく、心を満たすものだ」
「誰からも必要とされてないと思うのは、他人になにかを求めてるからだ。他人ではなく、自分に求めるんだ」
「結果がどうなるかよりも、そこへ至るプロセスが重要だ。なにを考え、なにをやったか、どれだけ真剣に取り組んだかが自分の知識と経験になる」
「幸福への道は、ただひとつしかない。意思の力でどうにもならない物事は悩まないことである」
ヤクザ風の警察官が、吐く言葉じゃないなぁ。それが、侠飯の言葉のご馳走だね。 -
Posted by ブクログ
突然やってきた人相の悪い二人組の男たちが美味い食事を食べさせてくれるシリーズの第4弾です。今回の舞台は立ち呑み屋で、お客は政治家の駆け出し秘書。彼らの狙いは一体何なのか、考えるのが楽しみになる一冊です。
主人公は、毎日の仕事に忙殺される政治家の秘書。様々な雑事、陳情応対、来客対応、書類仕事にイベント事の差配、果ては国会中継で主が居眠りしていないかのチェックとフォローまで、必死に仕事をこなす日々。そんな中で癒しになるのは、心を寄せているとある立ち呑み屋の店主の顔を見に行くこと。けれど、ある時その店のカウンターの中には人相の悪い二人の男が増えていた。およそ接客業には向かないように見えたその男たちは、態度は大きいものの料理の腕は確かで、初めは警戒していた主人公もいつの間にか店で彼らの酒と料理を食べながら常連たちと話すのが心地よくなっていく。そんな折、主人公が仕えている政治家のスキャンダルが週刊誌にすっぱ抜かれて――。
今回は政治と金の裏側を見るようなお話の構成でした。相変わらずの二人組は要所要所でいい味を出しています。けれど、今回は物語の主人公サイドとはつながりが少し薄く、登場すると美味しい料理とちょっとしたお説教ですっきりさせてくれる、立ち呑み屋の料理人という感じでした。
物語の中で料理のレシピを紹介していってくれるので、また時々読み返したいなと思います。登場してすぐの缶詰料理は美味しそうでした。常備食として買い込んだ缶詰の消費の際には、私も一手間加えて美味しいご飯を食べられるようにしてみようと思います。
シリーズ4作目、すっきりとした読み心地でした。
最後に前作までの登場人物が出てくるのも楽しかったです。
次作もまた美味しいご飯を読みたくなった頃に読んでいきたいです。