あらすじ
1人暮らしの部屋で、深夜パソコンに向かっていると背後から聞こえる奇妙な音……その正体に震撼する「カタカタ」。朝起きるたび、数が増え深くなっていく引っかき傷に、じわじわと追いつめられていく「傷」。実在の事故物件をめぐる、不穏なシンクロニシティ。併せて読むと怖さが倍増の「残穢の震源から」「三つの問題物件」他、62話を収録。日常に潜む忌まわしさと恐怖を端正な筆致で炙り出す、正統派の怪談実話集。
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Posted by ブクログ
恩田陸さんが帯書いていたし、福澤徹三さんの名前がこないだどこかで聞いたのでTwitterで見て気になって買った。面白かったです、どれも。恩田陸さんが好きそうなの分かるなーって。個人的に怖かったのは『赤い紙』かな。これがいちばん怖かったかも。こういう本は読まないと分からないので内容は差し控えますが、夏だし怪談物ってひとにはお薦めします。けっこう考えさせられたりしました。
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日常に潜む不可思議とその恐怖。
地縛霊の様にその場に残る念や、
近い未来に降りかかる災禍を予見するもの。
また、異世界に迷い込んでしまう怪異。
どれも、総毛立つような背筋の凍る見事な怪談話。
いや、実体験を元にしたとあるから、
取材元の方々からしたら遭遇したくはなかったと思うが。
そんな訳で私も嘗て一度だけ不思議な経験をしたので、
意味もなくここに記しておこう。
学生時代の話。
1Kの六畳間と、決して広くはないが学生の一人暮らしには十分事足りる部屋で、快適な日々を過ごしていた。
その日も無事一日を終え、ベッドに入り消灯した。
自覚の無い疲労が溜まっていたのか、
あっという間に意識が遠のき、眠りの深淵へ。
それからどれほど経った頃だろう。
誰かに強く右手首を掴まれる感覚が肌を襲い、目が覚める。
先述したが、一人暮らしだ。
時折友人が泊まりに来たりはしたが、その日はそんな来客もなかった。
当然ながら、手首を掴む人間など居るはずはない。
「夢でも見たのかな」
心地良い眠りを妨害された事へ僅かな怒りを感じつつも、
特に気にすることなく再び眠りについた。
その後は妙な夢を見ることもなく、
清々しい目覚めを迎えた。…はずだった。
いつも通り、めざ○しテレビを観ようとリモコンに手を伸ばしたその時。
全身から血の気が引いていく感覚が走った。
誰かに強く握られた様に、右手首がドス黒く鬱血していたのだ。
理由は未だに分からない。確かめたくもなかったし、その術もなかった。知らぬが仏とも。
そう、知らなくていい。知らない方がいい。
Posted by ブクログ
変わらずじんわり怖い福澤実話怪談。
今回は異界?が覗くような怪談が印象的だった。
ほかの実話怪談にもある、人が一切消え、戻ったら時間が大幅に経過していたというおなじみの異界?もあるが、
体験者にはまったく意味の分からない言葉、謎の音、場末の異様なバー、支離滅裂な手紙とそれが招き寄せた現象、異変が起きるホテルと何かを知っている従業員、建物内の謎の区画。
現実世界で起きたこと、現実にある場所なのに、それだけがポコリと異界の沼から浮かび上がった泡のようにうつる。
恐ろしい幽霊も、おぞましいスプラッタやらがなくても、異質な世界からあらわれるものは恐ろしい怖ろしい。
個人的に印象的だったのは、作者の出身地北九州の話。
ほかの本でも紹介されていたと思うが、事件や心霊譚が頻発するスポット的なもの。(中山市朗怪談だと千日前?)
北九州には2度ほど旅行にいったが、独特の雰囲気、活力や混沌さがある大都市。
そのうちで泊まった宿が、本書でも挙げられていた病院長バラバラ殺人と関係のあるホテル(身代金受け渡し指定場所)だった。
その時はまったく知らなかったが…。
あの独特、漫画家松本零士も育った九州の炭鉱都市に、人の目の少ないところでプクリプクリと異界の泡が湧いて出ていると思うと、ゾッとしてならない。
Posted by ブクログ
人間は思っているよりずっと頻繁に怪異に出会っている。あなたがその恐ろしい体験をしなかったのはただの偶然で、怪異はいつでもあなたが来るのを待っている。もしかしたら、気づいていないだけで、もう怪異に取り込まれているかもしれない。
こちらは、前日のホラー小説と違い62話からなる、怪談実話集。非常に恐ろしいものから、不気味なもの、不思議なものまで話は多岐に渡り読んでいて飽きなかった。中でもおすすめは「古本」「非常に悪い出品者」「応接室」「戻ってきた携帯」「見知らぬ駅」「地下倉庫」「赤い紙」「古本」は体験者が古本屋で購入してきた本に前の持ち主の痕跡(髪の毛の混入など)が残っておりそれだけで気分が悪いのだが、それ以外に思念のようなものなのか、はたまた執着する心なのか分らないが、そのようなものもついてきていて気持ち悪かった。「非常に悪い出品者」は落札した品事態の気味の悪い、そして一人どこかへ行ってしまった友人と、同時に消えてしまった落札物など話の細部がまったくわからないことがより不気味さを掻き立てる。あの落札物の正体は何だったのかという事と友人はそれをもってどこへ行ってしまい、今どこにいるのか、果たして生きているのかなど想像で補うしかなく、しかし消して結末はよいものじゃないだろうと予想がつくので非常に怖い。 「応接室」は体験者が働く清掃会社の派遣先で起こった怪異。特に派手な出来事はなかったが、応接室から聞こえる「シーッ、シーッ」という歯列の間から漏れ出る吐息のような音、そして、応接室にいた音の正体の姿を想像して背筋がぞぞっ。それは見てはいけないものを見た時の嫌悪感と恐怖感に似ていた。 「戻ってきた携帯」は紛失した携帯が、手元に戻ってきたまではよかったのだが、その後携帯を見ていると、高い所から下を写した写真が数枚入っている。警察が拾得者は不明と言ったり、変に言葉を濁したり、上からの写真があったという時点で、拾得者に何があったかは何となく察しがついた。でもそうだったとして、どういう意図で拾った人の携帯をそんな風に扱ったんだろう。警察もそこはできれば伏せてほしくないが……。「見知らぬ駅」は有名な都市伝説「きさらぎ駅」をほうふつとさせるような話でわくわく。駅自体が変な駅ではなく、実在する駅で害はなかったのだが、体験者が乗っていた電車が何処か別の世界を経由したという感じだった。体験者に危険が及んだわけではないが、もしその遠い駅にすらたどり着かず全く見知らぬ、存在しえない世界の駅などについていたらどうなっていたのだろうと、興味が沸いたが、私は絶対そんな目には合いたくない。 「地下倉庫」は警備員として働く体験者の不気味な体験。ビルの地下に眠る謎の洞窟。それ自体も不気味だが、その奥からやってこようとしていたこの世ならざるものも気味が悪い。過去に何があったのか判然としないが、その地下洞窟の正体がそうであるならば、そこにいたのは悲しい幽霊なのかもしれない。「赤い紙」これが一番意味が分からず、気味が悪くてしかたがなかった。変な手紙をもらったのだと友人が体験者に相談していたにもかかわらず体験者が帰る際にはもうすでに、友人は手紙にのっとって、目印といえる赤い紙を窓に張り付けていた。あんなに気味悪がっていたのに、それをすでに実行してしまっている点から、手紙をもらった時からすでに取り込まれていたのだろうか。
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1つのエピソードが3ページ程しかないので、非常に読みやすい。「残穢の震源から」と「三つの事故物件」は小野不由美の『残穢』に関連があると作者が言及しているが、言及していない「ゴミ屋敷」も『残穢』に関係している箇所があった。気づいた時は思わずニヤリとしてしまった。しかし、ネタバレになるのでこの感想では触れない…
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リアルな怪談はちゃんとしたオチがなかったり、不条理感が半端なかったりする感じがクセになってくる。体験談だから本人は死なないけれど、それでもいやだなぁと思わせるものがある。
Posted by ブクログ
私自身は霊感皆無だし、怪異に遭遇した経験もありませんが、虫の知らせなどはあるかもしれないと思っています。
勤務先が博物館で、研究者が「憑く」ものをわざわざ持ち帰っているような場所ですから、それなりに話も聴きます。私が休暇を取っていた日に収蔵庫で私の足音が聞こえたと翌日聞き、「そういえば私、一昨日収蔵庫のゴミ箱に古い上履きを捨てたで」と笑い話にしたら、怪談を集めている研究者がそれを自著に書いた、読んだらそれなりに怖い話になっていたなんてことも。
元を辿れば「怖」ではなかった話をいかに怖い話にするかは作家の技か。
Posted by ブクログ
サラっと読めてなかなかに面白かったですねぇ…! まあ、僕はあんまり怪談とかに面白みを感じない人間ですので、本当に楽しめたかどうかは分かりませんが…(!)
ヽ(・ω・)/ズコー
少なくとも読みやすくはあったよね! ということで、様々な体験をされている方がその体験談を語っておられます。スマホとかSNSとか、現代のワードも登場しているのを見ると最近のお話かもしれませんね。
ヽ(・ω・)/ズコー
デジタルに絡めとられた時代でもやはり不思議現象は後を絶たない…ということでしょうか。夜も更けてくる頃、一人で寝床に入って読むとまた違った恐怖が味わえるでしょう…。
おしまい…。