【感想・ネタバレ】怖の日常のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は思っているよりずっと頻繁に怪異に出会っている。あなたがその恐ろしい体験をしなかったのはただの偶然で、怪異はいつでもあなたが来るのを待っている。もしかしたら、気づいていないだけで、もう怪異に取り込まれているかもしれない。




こちらは、前日のホラー小説と違い62話からなる、怪談実話集。非常に恐ろしいものから、不気味なもの、不思議なものまで話は多岐に渡り読んでいて飽きなかった。中でもおすすめは「古本」「非常に悪い出品者」「応接室」「戻ってきた携帯」「見知らぬ駅」「地下倉庫」「赤い紙」「古本」は体験者が古本屋で購入してきた本に前の持ち主の痕跡(髪の毛の混入など)が残っておりそれだけで気分が悪いのだが、それ以外に思念のようなものなのか、はたまた執着する心なのか分らないが、そのようなものもついてきていて気持ち悪かった。「非常に悪い出品者」は落札した品事態の気味の悪い、そして一人どこかへ行ってしまった友人と、同時に消えてしまった落札物など話の細部がまったくわからないことがより不気味さを掻き立てる。あの落札物の正体は何だったのかという事と友人はそれをもってどこへ行ってしまい、今どこにいるのか、果たして生きているのかなど想像で補うしかなく、しかし消して結末はよいものじゃないだろうと予想がつくので非常に怖い。 「応接室」は体験者が働く清掃会社の派遣先で起こった怪異。特に派手な出来事はなかったが、応接室から聞こえる「シーッ、シーッ」という歯列の間から漏れ出る吐息のような音、そして、応接室にいた音の正体の姿を想像して背筋がぞぞっ。それは見てはいけないものを見た時の嫌悪感と恐怖感に似ていた。 「戻ってきた携帯」は紛失した携帯が、手元に戻ってきたまではよかったのだが、その後携帯を見ていると、高い所から下を写した写真が数枚入っている。警察が拾得者は不明と言ったり、変に言葉を濁したり、上からの写真があったという時点で、拾得者に何があったかは何となく察しがついた。でもそうだったとして、どういう意図で拾った人の携帯をそんな風に扱ったんだろう。警察もそこはできれば伏せてほしくないが……。「見知らぬ駅」は有名な都市伝説「きさらぎ駅」をほうふつとさせるような話でわくわく。駅自体が変な駅ではなく、実在する駅で害はなかったのだが、体験者が乗っていた電車が何処か別の世界を経由したという感じだった。体験者に危険が及んだわけではないが、もしその遠い駅にすらたどり着かず全く見知らぬ、存在しえない世界の駅などについていたらどうなっていたのだろうと、興味が沸いたが、私は絶対そんな目には合いたくない。 「地下倉庫」は警備員として働く体験者の不気味な体験。ビルの地下に眠る謎の洞窟。それ自体も不気味だが、その奥からやってこようとしていたこの世ならざるものも気味が悪い。過去に何があったのか判然としないが、その地下洞窟の正体がそうであるならば、そこにいたのは悲しい幽霊なのかもしれない。「赤い紙」これが一番意味が分からず、気味が悪くてしかたがなかった。変な手紙をもらったのだと友人が体験者に相談していたにもかかわらず体験者が帰る際にはもうすでに、友人は手紙にのっとって、目印といえる赤い紙を窓に張り付けていた。あんなに気味悪がっていたのに、それをすでに実行してしまっている点から、手紙をもらった時からすでに取り込まれていたのだろうか。

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2020年09月22日

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