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Posted by ブクログ
どう見てもヤのつく筋の人間に見える二人組が作る絶品料理のシリーズ第三弾。今度の舞台は下町ヤクザの事務所での賄番。相変わらずの美味しそうな描写、ごちそうさまでした。
主人公は、半グレ集団の下で闇金の店長をしている三十前の男。同年代の他の若い人たちのように遊びたいのも我慢して、せっせと金を貯めて、目標額が貯まったら独立してどこかでやっていこう、という計画的なようであまり計画という計画も立てていないような将来設計を持っていたところ、新しい商業施設を建てるための地上げの話が持ち上がる。立ち退き予定地に建っているのは、とあるヤクザの事務所。古くからあるその場所は、主人公の祖父の家だった。母が祖父と絶縁していたため、主人公は祖父とは面識がない。けれど、実の親族なのだからと地上げの説得に行けと上司たちから追い立てられ、なんとか説得しようとした主人公はあえなく失敗。その上、何故かそのヤクザの事務所で行儀見習いをすることに。
今作の主人公は、根は悪い人間ではないにしろ、裏社会の側の人間です。売り言葉に買い言葉で行儀見習いをすることになった祖父は古くから続くヤクザの一門の親方。そんなところに現れた例の二人組。
これは一体どういう着地をするのだろう、と思っていましたが、今回は登場人物がとてもよかったです。
主人公の祖父の親方と、その一門の古参の二人がとてもいい。古き良き任侠一家とはこういうものだったよな、と思わせる思想や姿勢が素晴らしい。
今時、畳の上での作法を知っている人は少ないでしょう。フローリングに椅子とテーブルの生活に慣れた人には、分からない感覚もあるかもしれません。ですが、行儀見習いとして入った主人公が事あるごとに『効率が悪い』『もっと要領よくできる』と言ってなかなか素直に向き合おうとできないことや作法の中に、大切にしなければならないことや教えがたくさんあるのではないかと思わざるをえません。
『ヤクザ』の語源は、今回本文中に出てくる話で初めて知りました。なるほど、花札かと膝を打つ心地です。言葉一つ、謂われ一つでまだまだ知らないことが多くあります。正直、厳しい道のりではあると思いますが、行儀見習いなどさせてもらえること自体が少々羨ましいです。
本編の中に出てくる『侠飯』は、今回も大変に美味しそうでした。一食一人当たり300円。その縛りの中で工夫をし、やりくりをして食事を作るというのは本当にすごいことです。
さりげなくレシピを本文に練り込んで下さっているので、また読み返して日々の料理に使ってみたいと思うものもちらほら。手始めにのりの佃煮を入れた卵焼きを作ってみましたが、大変に美味でした。
安くて簡単なレシピ本は、探せば世にはいくらでもあります。少し検索をかければ、インターネットには数多くの簡単ずぼら飯のレシピがヒットします。けれど、何かを作ろうと思う気力を呼び起こすには、『レシピ』があるだけでは不十分です。
うまそう。美味しい。なんだこれ、今まで食べたことない。〇〇の香ばしい匂いが食欲をそそる。
そんな、登場人物の反応や料理中の驚き、食卓に並んだ時の期待に浮き立つ表現。それらを一緒に味わうことができるから、ああ私もこれを食べてみたい、と思うのです。
私はあまり普段から食に執着のない人間なのですが、料理系の話を読みたくなるのは、それを読むことによって自分の食欲を呼び起こすことができるからかもしれません。
シリーズ次作で、どんな料理が飛び出してくるのか楽しみです。
Posted by ブクログ
前作を読んだのが約一年前なので、続きから読んでいけるか…
って思ったけど、
いけた。
今回もめちゃくちゃ面白かった。
なんちゅうか、ここまでの三冊ってどれも
根性なしのキャラクタが登場する
↓
柳刃さんと出会う
↓
最初は柳刃さんに不信感を抱く
↓
料理を通して目覚める
↓
明日から心を入れ替えてがんばる
って流れやのに、なんでどれも面白く読んでしまうんやろう(笑)。
それはわたしが根性なしやからか。他の根性なしたちが性根を入れ替えて前に進むサクセスストーリーを本能で求めるのか(笑)。
それもあるやろうけど、時代劇的安心感面白さもあるんかもしれへんね。
じつは柳刃さんの立場すら忘れてるまま読んだけど、べつに忘れてるまま読めるんで全然良かった。
卓磨くん、なんだかんだで若いのにちゃんと料理してると思う。
いや、わたしと比べんなっちゅう話やけど。
とりあえず、間を置かず次をリクエストしました。
なんだかんだで良い人ばっかり登場するし、素直なのはフィクションでも見ててとても心地良いです。
あと、文春文庫ってこんなに文字がでかかったっけ(ありがてえ…)。
Posted by ブクログ
今回なかなか柳刃と火野が登場しなかったので
違うパターンなのかな?と思って読み進めたら
登場しました
まあこの2人が主要人物だから出ないってことはないか
相変わらずの旨そうな賄い飯に集中してしまいましたが
ストーリーは前の2作よりかなり濃い
ヤミ金の店長をしていた青年が幹部に実の祖父の家を地上げしろと命じられる
祖父はヤクザの組長
しかし組は祖父の他にはじいさん組員が2人だけ
簡単にできると思ったら
そうは問屋がおろさなかった
なぜか組に住み込んで行儀見習いをすることに
そこに柳刃と火野がやってくる
そこで人間らしい暮らしをするうちに
すっかり性根を入れ替えた主人公
人情譚と料理がいい具合に混じりあった作品です
Posted by ブクログ
侠飯シリーズ 第3弾
プロローグ 幹部の椅子と実家の地上げ
1激安で激旨、鶏つくねピェンロー
2朝飯がばくばく進む、海苔玉子焼となめ茸豆腐
3激辛でカプサイシン効果、火の鶏と部隊鍋
4二日酔いの朝こそ旨い。カレー肉吸いと玉子かけご飯
5冷めているのに温かい。真夜中おにぎり
6安い肉ほど美味しくなる、わが家で作れる激旨牛丼
7旨すぎてスタミナ満点、オリジナル総菜の饗宴
8懐かしさは最強の調味料、心で食べる母の味
エピローグ 本物の任侠は人生の味を極める
渋川卓磨は、半グレ集団で闇金の店長をしていたが、リーダーの命により、地上げを担当させられることに。
それが卓磨の祖父で浅草で渋川組を構える伊之吉の組事務所だった。
行儀見習いとして組に住み込みながら地上げの機会を狙うも、客人として柳刃と火野が組に転がり込んでくる。
組織のために伊之吉から地上げの承諾を得なければならないが、組での礼儀作法や柳刃の激旨料理、伊之吉の温情に、本当の自分の生き方を見出していく。
今回も腹が減って仕方ないストーリー。
もはやこれは料理本。
Posted by ブクログ
感想
桜田門一家ってほとんど警察って言っているようなものでは!?
火野、銃とか結構軽々しく撃つな。今回も一件落着。
あらすじ
卓磨は串刺連合という半グレの傘下にある闇金の店長をやっている。両親はなくなり、孤独だ。ある日、連合の代表に呼び出され、自分の祖父にあたる渋川組の土地を地上げするように言われる。初めて渋川に会いにいくがけんもほろろな対応をされる。行儀見習いからなら置いてやると言われ、上の指示もあって住み込みで働く。
ある日、桜田門一家の柳刃と火野という者が現れて、渋川邸に住み込み始める。柳刃が作る料理で精がついて老人が元気になり始める。卓磨は、半グレの鮫塚から早く老人から地上げするように迫られる。地上げできない場合、出入りしている看護師の梨江に手を出すという。梨江を守るため、祖父の伊之吉が墓参りに出かけるタイミングを鮫塚に教えるが、罪悪感が芽生えて助けにいく。火野が駆けつけて、伊之吉は大したことない怪我で済んだ。卓磨はこれまで自分がしてきた闇金での所業を渋川組の面々に伝えて自首すると宣言する。
しかし、卓磨は鮫塚に切られた期限が気になって気が気でない。ある夜、鮫塚が50人体制で渋川組に踏み込み、絶対絶命と思われたが、柳刃が警察を動員して一網打尽にする。柳刃達は半グレの後ろにいた外資系の地上げ屋を狙っていたのだ。卓磨は渋川組で変わらぬ日々を送るのであった。
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