福澤徹三のレビュー一覧

  • 侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇

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    このシリーズはだいたい主人公がダメダメなやつで
    柳刃たちと料理を通して関わっていくうちに成長するというパターン
    今回も例外ではない
    今は就活にまで危険がつきまとう時代なんだなと
    うすら寒い思いをしながら読んでいた
    今回の主人公は就活で半グレ集団に引っ張り込まれそうになるという不幸にみまわれるが
    今回の構成では味方になる人物がやや多すぎるように思えた
    そのせいかハラハラドキドキする要素が少なかった気がする
    このシリーズ
    なぜかだんだん火野がカッコよく思えてくるのが不思議
    そして読んでると腹が減ってくるのが困り者
    柳刃のレシピは試してみたくなるし
    食欲倍増するから
    ダイエット中の人にはお勧めしない

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    2025年08月12日
  • 侠飯5 嵐のペンション篇

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    2018年出版。シリーズ第5作。今回は現金強奪犯。舞台はペンションで、様々な食事メニューでいつもの展開。流石に第5作ともなると、段々と調理のパターンが見えてくる...気がするだけで、決して自分では作れないが。今回はペンションであり、かつ居酒屋としても店を回しているという設定するだったので、肴ネタも有って盛り上がれたな。最終版で、あれこれの設定全てが大団円で纏まるのはちょっとやり過ぎか?とも感じたが、まぁ拘ることも無いだろう。

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    2025年08月04日
  • 侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇

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    侠飯9 ヤバウマ歌舞伎町篇
    著者:福澤徹三

    あらすじ:
    悪を倒して飯を食う――任侠×グルメ小説の第9弾!
    専門学校を卒業後、就職活動に失敗しバイト生活を送る蓬創介。とある企業の面接を受けに新宿を訪れるが、そこは極悪非道の半グレ集団が運営していた!個人情報を握られて逃げられない創介が歌舞伎町のバーで働かされるなか、頬に傷を持つあの男・柳刃が現れる。シリーズ最悪の敵を前に、再び侠たちの怒りが炸裂する!

    感想:
    シリーズ第9弾となる本作も、安定の面白さでした。毎回同じような展開にもかかわらず、柳刃と火野の正体が分かるまでのハラハラ感は健在で、読者を物語の世界に引き込みます。そして、やはり今回も“その瞬間”に彼らが助けに来てくれる――その安心感に、何度読んでもほっとさせられました。

    このシリーズの魅力は、ただのグルメ小説や任侠物ではなく、コワモテの2人が潜入捜査をしながら、事件に巻き込まれた人々の心に寄り添いながら、美味しい料理を振る舞い、最終的には彼らを苦しみから解放していくというヒューマンドラマがある点です。そこには必ず心に残る「大切な言葉」があり、読後に何かを学び、感じさせてくれます。老若男女問わず、多くの人に届けたいシリーズです。

    次回作でも、変わらぬ緊張感と安心感、そして温かい料理と温かい言葉に出会えることを期待しています。

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    2025年08月03日
  • マチルダによろしく

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     いやぁ、いい!福澤徹三はホント最高だ。人情味のあるヤクザを描かせると抜群に上手い。

     懲役30年の元ヤクザ、鳶伊。歳は65だが、とにかくカッコいい。半グレたちを物ともせずに立ち向かう姿は惚れ惚れしてしまう。とにかく曲がったことが嫌いで、こんなオッさんになれたらさぞかしいいだろうなと思ってしまう。
     
     大学を中退した壮真、無愛想で人間不信な澪央、40過ぎのフリーター、元警察で、現在便利屋を営む天音。そして元ヤクザの鳶伊。バラバラな5人が半グレの犯罪に巻き込まれるが、警察に頼ることもできない。

     5人は半グレたちに真っ向から挑んでいく。

     とにかく読んでいて気持ちのいい物語。ラストも最高!福澤さんには是非こういう作品をどんどん描いてほしいです。

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    2025年07月23日
  • 忌み地 弐 怪談社奇聞録

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    「忌み地」、第2弾。

    人から聞いた怪談や、幽霊が出る噂の場所や、
    実際に現地に赴いて調べている。

    このシリーズ、あまり怖い感じがしないのは、
    日常に起こりそうな不可思議な事が多いからかも。
    逆に、心が温かくなる話も多い。
    甥っ子が、墓参りに現れたり・・・

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    2025年07月22日
  • 侠飯4 魅惑の立ち呑み篇【電子特典 コミック収録版】

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    2017年出版。シリーズ第4作。今回は議員と秘書の展開。これまでの作に比較すると、政治と秘書に絡む闇が中心になる為か、追い詰められ感は少ない。設定を読み込むのに少しだけ疲れを感じていたので、その点では楽だった。これを「物足りない」「共感できない」とマイナス評価する人は、書評も下がるのだろうなぁ。料理面では、今作は「酒肴」と「締め」なので、飲まない人からの評価も下がるのかな。個人的には飲むので、楽しく、ヨダレを垂らしそうになりつつ読ませて頂きました。

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    2025年07月15日
  • 東京難民(下)

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    ネタバレ

    面白くて上下巻一気読み。
    主人公修は、結局ホームレスに。浅はかで甘ちゃん、何度も信用してだまされる。読んでる方は、そっちじゃない、と思うが当事者だと冷静な判断もできずこうなるのも仕方ないのか。必死で這い上がろうとしても振り払われる、登るきっかけさえつかめない、この国の福祉って誰の為かと思う。内容は辛くヘビーだが読み物として興味深くおもしろい。文章がうまいからページが猛スピードで進む。ストレス解消におすすめです。

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    2025年07月12日
  • 東京難民(上)

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    ネタバレ

    時枝修は確かに不幸が重なってはいるけど、選択肢すべてダメな方を選んでいるとしか思えない。流されやすい。そして今の時代、特に東京で一度穴にはまると連鎖反応ですべてなくなる。10年以上前の本のようだが今も同じどころか、ますますひどくなっている。あっという間に読み切り下巻へ…

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    2025年07月10日
  • 羊の国の「イリヤ」

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    ネタバレ

    『イリヤ』って入谷悟のことね!
    冴えないサラリーマンの入谷が自社の食品偽装を告げたことにより無実なのに逮捕されすべて失う。さらに暴力団系の事務所に騙された娘のため自身も殺し屋になる。
    回数を重ね体型も変わり裏稼業が身についてくる様子も、いつも窮地を四科田が救ってくれることも、そんなにうまくいくかなと思わなくもないがスピード感がありページが進む。グロっぽい描写も多いがスカッと読めて楽しかった。

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    2025年07月09日
  • 孤老たちの沈黙

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    孤独な中高年を待ち受ける絶望と希望の物語とは・・・
    そして、タイトルの意味を知った時、背筋がゾッとすること・・・

    7つの短編集は全てが面白かったです。
    本当にタイトルを知った時、ゾッとする怖さがありました。

    個人的には「渋滞からの脱走」が良かったです。
    あのスピード感と爽快感がたまらなく好きでした。
    ただ実際に体験するのは勘弁です。

    人の好みが分かれる短編集だと思います。
    もっと、福澤徹三さんの「侠飯」以外の作品を読みたくなりました。

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    2025年07月06日
  • 侠飯3 怒濤の賄い篇

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    2016年出版。シリーズ第3作。個人的には3作目までの中で一番良かった。それにしても、毎回美味そうな、でも決して自分に不可能な料理や材料でも無い、と云う所が堪らない。しっかり基本を抑えて忠実に、手を抜かずに手順を重ねるってのが、何かと教育的示唆として重ねて表現される。ちょっと鬱陶しく感じないでもない。と言いつつ、次の巻も間違いなく読むのだろう。うん。

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    2025年06月29日
  • 忌み地 怪談社奇聞録

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    タイトルに魅かれて読み始めた。
    4作目も出ているようなので、
    これから順次読もうと思う。

    なんといって、「実話」であることがみそ。
    全国津々浦々、糸柳さんと上間さんが丁寧に取材をしている。

    自分自身霊感が強いわけではないが、
    なんとなく嫌な感じのする場所はわかる。

    どんな亡くなり方をしたかで、その場所に残る思いもそれぞれだろう。
    井戸であれ川であら、「水」にまつわることは特に気になった。

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    2025年06月25日
  • 侠飯2 ホット&スパイシー篇

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    2015年出版。シリーズ第2作。見掛けはヤクザにしか見えない中心人物、実は警察関係の特務員...との設定の元に進む。料理と「仕事」への拘りが深い。出てくる料理はグルメ的な物ではなく、国内問わず日常的な「旨いもの」。あ、これ、スーパーで調味料買えるんだ!?作ってみようっ!と思わされてしまうこと、しばしば。腹が鳴る。1冊で1エピソードだが、必然的に暴力団関係の「悪」が相手になるので、その設定の展開を読むのに少し疲れる...。仕事、と言うか、自立して生きることの責任を周りに押し付けるな!的なメッセージも毎回強く。フンワリした作品ばかり読んで、少し緊張感を失い過ぎた時には丁度良いかな。

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    2025年06月16日
  • 超怖い物件

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    家や土地にまつわるホラーアンソロジー。
    事故物件だけでなく住民そのものが怖いヒトコワものまで豪華11話収録。

    糸柳寿昭氏『やなぎっ記』軽い雰囲気の日記だと思っていたら最後のメールで鳥肌立っちゃうやつ。

    澤村伊智氏『笛を吹く家』この方の描く歪んだ家族っていつも気味が悪いし悲惨…本当にいそうなのがまた怖い。

    芦花公園氏『終の棲家』宗教が関わるホラーではやっぱりこの方。得体が知れない信仰の気持ち悪さと逃げられない絶望感。

    平山夢明氏『ろろるいの家』ホラー描写が本書で一番怖かったかもしれない。不気味な現象に徐々に侵食されていく感じがゾクゾクした。

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    2025年06月10日
  • 怪談五色 破戒

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    川奈まり子先生が大好きで。
    川奈先生の過去話を読めて、更に呼ばれている感じがあって特に面白かった。
    史実に基づく怪談って、説得力があって好き。
    怪談って空想とか妄想寄りだと思うんだけど。史実と照らし合わせるとこんなに似ているところがあるんだよ!
    と、提示されるとゾゾッ以外にも何か得るものがあって好きなんだよね。
    怪談にそこを求め過ぎるのはどうかと思うのだけど、歴史の中に怪異ありみたいな感じで好きなんだよね。

    川奈先生の話ばかりしてしまったのだけど、基本この五色の怪談はどれも面白いのでおススメしたい。

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    2025年06月09日
  • 侠飯

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    2014年出版。暴力団組長が中心人物である学生の部屋に居座る形になり、部屋の台所でめちゃウマの飯を作り続ける、と言う...。ネタバレはしないが、成程そういう設定だったのか、と。読んでいて腹が鳴る。食事を済ませたばかりなのに...。

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    2025年05月29日
  • 作家ごはん

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    読みやすい!!
    するする頭に入ってくる文体だからすっごく読みやすい。
    竹林さんみたいなおじいちゃんがいたらよかったのに。

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    2025年05月28日
  • マチルダによろしく

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    まったくほのぼのしてない!
    鳶伊さんが今時の若者のせいで出所後の生活をめちゃくちゃにされる話。気になって一気に読んだ。壮真・透也は自業自得。沼尻さんもダメだけど先の2人よりはましかな。
    面白いけど読み終わった後くらい気持ちになる

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    2025年05月26日
  • 孤老たちの沈黙

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    福澤徹三『孤老たちの沈黙』光文社文庫

    中高年の絶望と希望を描く7編を収録の短編集。

    まだまだ輝かしい未来が待ち受けている若い世代の読者には、本作に描かれるような年寄りたちの苦悩や苦労は理解出来ないであろう。

    自分も還暦を迎えているが、50代とは違う体力の衰えや、身体のあちこちの痛みに驚きながら、半ばそんなものかと諦めている。それでも、慎ましくても構わないので、平穏無事な老後を過ごしたいと思っている。



    『孤老たちの沈黙』。老いは誰にも訪れるが、20代、30代の頃には自分が還暦を迎える時が来ることなど全く考えていなかった。長く生きていれば、恥ずべき過去の1つや2つはあり、歳を重ねるにつれ、時折思い出しては苦い気持ちになる。

    この短編は、様々な客が訪れる焼鳥屋で静かに繰り広げられるサスペンスと人生の機微を描く、味わい深い短編であった。

    焼鳥屋の主人である古屋心平は、還暦を迎え、最近はとみに年齢を感じるようになった。常連客のキャバクラに勤める女性は夫からのDVにあっていた。同じ常連客でその女性とたまに同伴するという70歳を過ぎたタクシー運転手は女性の身を案じ、離婚を促していた。やがて明らかになる女性の苦悩と驚きの展開……


    『凍えた親子』。非常に恐ろしい現実。結婚しない、或いは結婚出来ない中高年男女が増えているという。その原因の一つに経済的な問題があるのだろう。安定した職業に就けず、非正規労働やアルバイトで糊口を凌ぐ人びとが増えているのだ。

    そんな中高年男女の出会いと高齢の親を抱えた苛酷な暮らしを描きつつ、最後は肝が冷えるような恐怖の結末へと読者を誘う。

    まともな仕事にありつけず、年老いた父親の年金だけを頼りに生きる50代の息子はその父親の介護に疲れ果てていた。ある日、出会い系アプリで知り合った女性と良い仲になり、男女の関係になるが、その彼女はとんでもない秘密を抱えていた。


    『渋滞からの脱出』。ニュースなどでも時折、煽り運転の問題が取り上げられている。ああいう奴らは何故煽って来るのだろう。

    意外にも爽快感がを感じる短編。日常味わうことの無い恐怖とスリル。

    軽自動車で妻の妹の結婚式に向かう夫婦が高速道路で半グレたちが乗る車に煽り運転をされ、金まで要求される。たじろぐ夫に対して、妻が金蹴りと催涙スプレーで半グレたちに対抗し、高速道路を降りて、下道で逃げる。


    『都市伝説の夜』。口裂け女、トイレの花子さん、だるま女、きさらぎ駅とお馴染みの都市伝説が登場する。

    然程、恐怖は感じられぬ結末が物足りない。

    大学の都市伝説研究会というサークルで学生たちをとキャンプに行った52歳の大学講師。キャンプの夜、都市伝説の話で盛り上がるうちに近くにある廃墟となったラブホテルの開かずの間に行こうという話になる。


    『虫たちの島』。今やどこの旅館もホテルも禁煙で、その反面、酒は喜んで提供するのだから納得がいかない。

    一見、仲の良さそうな家族にも何かしらの問題が潜んでいる。さて、結末や如何に……

    台風が迫る中、40代半ばの夫婦と13歳の息子が離島に旅行に行く。着いた旅館は料理にはオーガニック野菜を使っているとか、敷地内は完全禁煙だとかやたらと五月蝿く、それでいてサービスは良くない。夫は密かに職場の女性社員と浮気を重ねていたが、別れるタイミングを図っていた。


    『ノーマネーノーライフ』。世の中、いつ何がどうなるか判らない。また、様々な詐欺や犯罪が身の周りで蠢いており、如何なる時も気が抜けないのだ。

    人生の落し穴に地獄を見るのか、それとも……

    60歳で迎えた定年後、嘱託として65歳まで勤め上げた主人公は妻と別居し、慎ましく暮らしていた。主人公は行き付けの安いスナックで知り合った不動産会社の代表取締役の誘いで、南国の島でバカンスを楽しむことにした。しかし、それは大きな罠で、主人公は窮地に陥る。


    『旅立ちの空』。車中生活にまで堕ちた中年男性の再生の物語。本短編集の最後を飾るに相応しいなかなか良い話であった。

    新宿歌舞伎町で2軒のキャバクラを経営していたが、コロナ禍で閉店を余儀なくされ、同棲していた若い女性に金を持ち逃げされ、違法賭博や闇金に手を出し、歌舞伎町から逃げ出した中年男性は死に場所を求めて、西に向かう。

    本体価格760円
    ★★★★

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    2025年05月25日
  • マチルダによろしく

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    殺人で30年服役していた刑務所から出所したばかりの元ヤクザ・鳶伊、コロナ渦で大学を中退した壮真、複雑な生育環境から人間不信になった澪央、真面目に生きてきたのに勤務先が倒産した沼尻の4人が共同生活を行うシェアハウスで、怪我をした地域猫であるマチルダの面倒をみることとなった。そんななか、壮真の親友・透也が撮影したある動画をきっかけに壮真たち4人やマチルダも半グレ集団を相手としたある事件に巻き込まれていくこととなる。


    登場人物のうち、壮真と沼尻の2人はコロナ渦により人生を狂わされているし、鳶伊や澪央は幼いころからの生育環境も良いとは言えない。言うならば、社会のなかで恵まれていない4人が暮らすシェアハウスである。そんななか、地域猫のマチルダの面倒を見たり、犯罪絡みの事件に巻き込まれた壮真を助けようとしたりと他者を助けることができる力がある。
    一方で、透也や半グレ集団たちのように『金が全てだ』『楽して稼ぎたい』と社会の悪いところを凝縮したような考えをもつ者たちもいる。半グレ集団の行いは胸が悪くなるほどだ。
    こういう者たちに巻き込まれたが最後、ラストの鳶伊のように覚悟を決めて他者を守るために行動を起こすしかないんだろうな。
    両親がおらず、幼いころから15歳まで過ごした施設では上級生から凄惨な苛めを受け、ヤクザになり、恩人の仇討ちのために殺人を犯して服役した鳶伊。出所しても他者のために行動し、ラストも病気を抱えながら他者を守るために平穏を捨てようとしている鳶伊。鳶伊の人生は、なんのための人生だったのかと思うと悲しくなる。半グレ集団のリーダーの決着がついたあとには鳶伊には幸せになってほしい。

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    2025年05月22日