福澤徹三のレビュー一覧
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コロナ禍真っ只中で書かれた二巻目。
一巻のような取材調査による局所的怪談、芋づる式に見つかるご当地怪談は多くないが、やはりどれも独特な話ばかり。
一話だけだが、福澤氏の実話怪談で何度か登場しているS霊園近隣の話もある。 S霊園はやはりそういうものが集まる「忌み地」のようだ。
ただ、その忌み地というのはホラー映画やマンガのようにわかりやすいものではない。一巻二巻を読むと、何かがある・何かがおかしい・変なことが多発する・何かつながりのありそうな出来事があるという、極めてうすぼんやりしたもののようだ。
自分ももしかしたら、そのうすぼんやりした磁場のなかに暮らしているのかも…と思ってしまう。 -
Posted by ブクログ
「怪奇小説好きは、結局怪奇実話に落ち着く」とも言われる。言い換えれば「ホラー好きは怪談実話にたどりつく」というところか。
怪談師の大家・I川御大は「創作している」ことを公言しているが、確かに聞くと小泉八雲や小川未明が元ネタだというものがわかる。実話怪談と名がついていても、読むとどこかで聞いたパターンというのも少なくない。
しかし、怪談社や彼らが出演する番組で語られる実話怪談は独特なものがかなり多い。
この本も水辺の幽霊・井戸は恐ろしい・事故物件の怪という怪談の定石もありながら、「発想が鋭すぎる」、特異な実話怪談がメイン。
取材で得た話、伝聞のため、はっきり怪異が描かれないことも多いし、何があったのかもわからないこともある。
怪談自体は曖昧模糊としている、しかし怪しげな物件は目の前にある、怪異ははっきりわかるのに原因があやふや、怪談の予感がありながらも又聞きどころか通行人の電話という曖昧さ等々…アンバランスがむしろリアリティに溢れていて楽しい。
某地域での怪異を集めると、朧気な全体像が見えそうで見えない、何かしらの繋がりらしきものがありそうな気がする、という感覚は、柳田国男の民俗学論のよう。
映画や心霊ドラマのようなわかりやすい恐怖ではないけど、じんわり怖い。これぞ実話怪談!
そういえば、本書でも紹介されてるお笑い芸人がMCの怪談番組を好きで見ているのだけれど、そこで語られる怪談もやはり唯一無二のものが多い。
そんななか、ある人が語った話が古典怪談の焼き直しのような内容だった。ここまで見ていると「聞いたことのある話」はむしろ浮いていたのだが、「それに似た話がありますね」としっかりつっこんでいた怪談社サイドがすごく印象的だった。やっぱり古典や伝承も押さえているお二人なのだなと感心した。
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悩める若者主人公と、潜入捜査官の柳刃竜一&部下の火野丈治のシリーズ。
もう9弾?!
ここまで来ると、ああ、この捜査をしているのねとすぐに分るが、それは面白さをマイナスする物ではない。
本業の傍ら、行きがかり上、生きづらい若者を助け、教え導き、支援する・・・そんな感じになっている柳刃さんたちだが、今回は個人的にちょっと深刻に感じた。
主人公は、専門学校を出たものの就職浪人中の、蓬創介(よもぎ そうすけ)
求人の募集に応じたところが、反グレ集団の活動の被害に遭ってしまう。
毎回、若者の抱える問題に寄り添っている作品だが、今回は巻き込まれたら最後、地獄を見る、闇バイトからの半グレ集団との関わりである。
創介のように真っ当に生きていても、うっかり面接に行って、こんなことになる。
美味しい食べ物がたくさん出てくるお話だけれど、うまい話には気をつけよ!ということ。
居場所がなくて家を出てきてしまう青少年が転落してしまうのは昔々からだけど、最近は大きな犯罪の手先に使われてしまうことも多いという。
「家に居られない」若者たちを、本当は行政がなんとかしなくてはいけないのだけれど。 -
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1.牛筋カレー、
「牛スジを煮込んだベースに、ターメリック、クミン、クローブ、コリアンダー、ブラックペッパーといったスパイスを足した。ほかに入れたのは、飴色になるまで炒めた玉ネギとビンダルーペーストだな」 「ビンダルーペースト?」
2.タイ料理、
「ナムプリックパオ。チリインオイルともいうが、唐辛子やニンニク、玉ネギや干しエビを大豆油で揚げてペースト状にしたタイの調味料だ」
3.ガーリック炒飯、「老抽王」
「スライスした大量のニンニクを、フライパンで炒める。ラードがなければサラダ油でもいい。ニンニクに軽く火が通ったら、いったんフライパンからだして、べつの器に入れておく。そのあと刻んだ豚バラ肉と白ネギ、飯を炒める。火力は常に最大だ。味付けは塩か、味覇という中華スープの素を使う」
4.辛子明太子うどん、稲庭
柳刃はうどんをザルに入れ、水ですすいでからガラスのボウルに入れた。続いてボウルに、ほぐした辛子明太子を入れ、ゴマ油をすこし垂らした。
5.ケイジャンスパイス
「ケイジャン料理は、アメリカのルイジアナ州が起源だ。ケイジャンスパイスはカイエンペッパー、ブラックペッパー、パプリカ、ガーリックパウダー、オレガノ、タイム、塩を混ぜあわせてある。このフライドチキンの衣には塩が入っているから塩味は濃いめだが、海で食べるにはちょうどいい。汗をかくから、塩分が欲しくなる」
真鍋順平、28歳、独身、情報サービス企業勤務。突然の“追い出し部屋”への配置転換にうろたえる順平は、ある日、ランチワゴンで実に旨い昼飯に出会う。店主は、頬に傷を持つ、どう見てもカタギではない男、柳刃―。任侠×グルメという新ジャンルを切り拓き、大好評を博したシリーズ第2弾、登場!文庫書き下ろし作品。 -
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柳刃は、任侠で桜田門一家の柳刃組4代目となっていた。なるほど、「桜田門一家」なんだね。それが、4巻目でよくわかったが、やはり正体不明だ。
藤堂旬一郎28歳は、衆議院議員 肝付泰造83歳の議員秘書だった。息子の兄、雄司は第1秘書で、主に肝付の身の回りのことをしたり車の運転手をする。政策秘書は弟の肝付邦彦だがほとんど何もしない。実質的な筆頭秘書陰元である。公設秘書に出来ないのは、配偶者と65歳以上の者。まぁ、家族運営の典型。肝付は、叩き上げの議員で、「名刺は、名が刺さると書いて名刺だ。相手の心に刺さるよう、一枚一枚気持ちを込めて配るんだ」というのが持論だった。人をたらしこむことは全てする。絵に描いた議員であるが、ダークな部分も合わせ持っている。そのダークな部分は、陰元が処理している。
肝付泰造のスキャンダルが週刊誌にスクープされそうになるのを、政治結社、炎政塾の総裁、骨田力也に妨害させるために、大きな荷物を藤堂旬一郎に運ばせる。炎政塾の構成員は100人以上に及び、機関紙の購読や多額の献金を強引に迫る。旬一郎は、国会議員の持つ金の動きについて、違和感を持っている。旬一郎は泰造に「お前の責任だ。俺は知らない」という。
そんな旬一郎の唯一の楽しみは、酒屋であり居酒屋のチドリヤ酒店で一杯やることだった。そこの経営者小梅が目当てだった。隠れ家的な居酒屋で、常連だけで成り立っていた。そこに、チェーン店をするということで、柳刃と火野が手伝いに来る。柳刃のつまみのメニューが、簡単だけど美味しそうなのだ。5分で作れる缶詰コース、北大路魯山人の考案した常夜鍋、ピンチョス、ビステッカ、豆料理など。柳刃は多国籍料理ができる。そして、レシピも書いてある。読みながら、作ってみたい料理もあった。
常夜鍋は、鍋にニンニクと生姜を一カケラ入れ、日本酒を8分目入れ、たぎってから、豚肉とほうれん草をしゃぶしゃぶふうに食べる。なるほど。
ピンチョスは、スペイン料理で、一口で食べられる串に刺したつまみ。同じくタパスは、皿に乗せたつまみ。ビステッカは、イタリアのビーフステーキのこと。豆料理は、納豆の礒部巻きがおもしろそう。手軽な居酒屋料理で、手間をかけて安く売る。
そして、この物語は、小梅は一体どんな謎を持っていたのか。柳刃と火野はどんな目的なのか。
意外な方向に進んでいくので、少し肌合いの違う侠飯になっている。