福澤徹三のレビュー一覧
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『侠飯4 魅惑の立ち呑み篇』
福澤徹三氏の『侠飯4 魅惑の立ち呑み篇』は、ドラマ化・マンガ化もされている「読むと腹が減る小説」シリーズ第4弾です。藤堂旬一郎、28歳の国会議員秘書が、立ち呑み酒屋で心の安らぎを見つける物語。今回は特に、お酒と相性抜群の簡単なおつまみレシピが豊富に登場します。
永田町近くの立ち呑み酒屋で藤堂が出会うのは、眼光鋭く頬に傷を持つ新店長。この怪しい男が作るつまみの数々が、読むだけで腹が減り、さらにお酒を飲みたくさせる魅力を持っています。缶詰を使った簡単レシピなど、実際に試してみたくなる料理が満載です。
特にハイボールの回は、読んでいるだけでその香りが漂ってくるかのような描写で、たまりません。そして、シリーズの一貫したテーマである「正義が勝つ」物語は、今回も健在。爽快な読後感が楽しめます。
この本を読めば、心もお腹も満たされること間違いなし。料理とお酒が好きな方には特におすすめの一冊です。 -
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どう見てもヤの字の二人組が供する、めくるめくグルメの世界の第二弾。今回も大変美味しそうな一冊でした。
主人公は、ある日突然リストラ部署に異動させられて日々の鬱屈をためていたところ、とあるランチワゴンに出会って少しずつ何かが変わっていく。二人組で営業しているそのランチワゴンは、店員がヤクザや暴力団の関係者でないかと疑わしく思う雰囲気なのを除けば、昼も夜も営業しているとんでもなく美味しい飯屋で、訊けば作り方も答えてくれる太っ腹ぶり。けれど、ある日を境に弱みを握られ、スパイのようなことをさせられることに。二人の目的は、そしてリストラ部署に異動させられた主人公たちの行く先は。
前作を読んでいると話の展開に想像がつく部分もありますが、それはそれとして今回も大変に美味しそうな料理の連続でした。タイトルの『ホット&スパイシー篇』との文言通り、スパイス香る描写に食欲がそそられることも何度もありました。あまり自分ではスパイスを多用しないので、それだけでそんなに美味しくなるのか、と読みながら感心してしまうことも。
そして、食事が美味しそうなだけではない、人生の苦みを感じて、自分の身を顧みさせられる部分があるのも前作同様でした。
誰でも自分の都合、自分の側の主張で物事を考えがちですが、立場が違えば見えるものも違う。相手の側からはどう見えていて、どう考えているのか。そこに想像力を働かせる大切さを再確認した気持ちです。
今作で最後に叫んでいた主人公たちが、今後どうしていくのかを見るのが楽しみです。
また、前作の主人公たちも少し登場するシーンがあったので、今後のシリーズで今作の主人公たちが出てきたら楽しそうだと思いました。 -
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現地取材にて蒐集した怪談実録の第二弾。
コロナ禍に入ってからの時期の取材ということで、現地取材では苦労をしたのだろうことが窺えます。前作は土地や地域にまつわる話が多かった印象ですが、今作では土地や地域以外の不思議な出来事なども含めた怪談が収録されています。
私はオーディブル視聴でこちらを読んでいますが、ナレーターの方の淡々とした語り口もあって、さらりと読むことができます。特別に怖がらせようとする演出をせず、取材をした編集部の二人と、現地でそれを語ってくれた方の会話を聞いているようで、何かをしながらでも聴きやすいです。
特に興味深いのは沖縄の話。現代でも「ユタ」の方がごく当たり前に頼られる存在として身近にいるということも独特ですが、本州と離れているだけに少し質の違う話があったりする地域だと認識しています。また別の巻でも沖縄の話が聞けるといいなと思います。
まだシリーズが続いているもののようなので、続刊を読むのが楽しみです。 -
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ネタバレ侠飯シリーズ 第8弾
書き下ろし。
プロローグ 悩める底辺ユーチューバーと二軒の屋台
➀激安なのに味は本格。うちで作れる鉄板メニュー
②包むの簡単餃子と博多屋台の名物がビールを呼ぶ
③赤ワインが止まらない。北海道と中華の絶品グルメ
④フライパンひとつで至福の味。海鮮とチーズの饗宴
⑤イタリア、スペイン、そして岡山の超激ウマ料理
⑥旨すぎる秋の味覚と本ワサビで食す極上ステーキ
⑦人生最大のピンチ、それでも旨いさらさら茶漬け
エピローグ 自分ではなく誰かのだめに。任侠の男がまたひとり
底辺ユーチューバーの浩司が、ひょんなところから柳刃の屋台を手伝うことに。
何をやってもうまくいかず、人のせいにしがちの浩司や登場人物に、人の役に立つ幸せを説く柳刃たち。
テロなどに巻き込まれながら、若者たちは新たなステップへ。 -
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警視庁特務部捜査官の柳刃竜一と火野丈治が、潜入捜査のかたわら料理の腕を奮って、悩める若者のリスタートを援けるヒューマン × グルメ小説。シリーズ9作目。
なお主人公は人生に行き詰まった若い男性で、物語は彼の視点で描かれる。
◇
山口県でタクシー運転手の父親と2人暮らしだった蓬創介。進学のため憧れの東京に出てきたまではよかったが、努力せずに入れる専門学校に入学したのが失敗の元。
卒業しても就職先がなく、彼女には速攻でフラレた。カラオケボックスのバイトで食いつないでいたが、3ヶ月前にそこも閉店してしまった。以後、正社員目指して中途採用の求人先を当たっているのだが、返ってくるのは軒並みお祈りメールである。
まもなく12月を迎える。創介の心も懐も冷え込むばかりだった。
そんなある日、ある会社から面接の連絡がきた。創介は喜び勇んで出向いたものの、面接はなぜかファミレス。
個人情報を詳しく聞かれ、保険証の写真まで撮られたうえ、翌日アパートに送られてくる荷物を指示された場所に届けるよう頼まれた。
不審に感じつつ迎えた翌朝。
受け取った宅配便は送り主が匿名になっている。その時スマホに着信があり、荷物の受け渡し場所に指定されたのが新宿大久保公園の公衆トイレ前。
ここに至ってようやく怪しいと思った創介が、その荷物を持って警察に向かおうとしたところ……。 (「プロローグ」) 全7話とプロローグ及びエピローグからなる。
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本作には3人の若者が登場します。
創介以外の2人、凜花と鱈夫は家庭環境の悪さがあり、とにかく家を出たかったというのは理解できます。 ( 特に鱈夫は命名からして誕生を歓迎されていなかったことがわかります。)
主人公の創介が、もっとも甘えた考えの持ち主だったと言えます。 ( シリーズのいつものパターンです。)
将来の目標が見つからないけれど、東京に行きさえすればなんとかなるかな。だから取りあえず手近なところに進学して、卒業を目指してみよう。などと考える。
創介もそんな、人生を主体的に生きようとしていない若者の1人でした。
流れに身を任せるだけ。言われたことをただこなすだけ。うまい話を疑わない。
まさに半グレにつけ込まれるような甘い人間です。
けれど柳刃たちと出会うことによって、準備することの大切さや創意工夫の意義を身を以て知ることになりました。
特に料理を通して、生きる上での背骨になる心構えを教わったのは大きいと言えます。
毒親のもとで育ち上京後も小狡い連中に虐げられていた鱈夫。パパ活暮らしの荒んだ生活を送っていた凜花。この2人にさほどの屈折ぶりが見られないどころか、まっすぐ優しい人間性を保持していたことは少しできすぎている気がしますが、それだけに応援する気になるのも確かです。
今回も柳刃の見せる料理の腕に魅せられるばかりでした。しかも、自分でも ( 頑張れば ) 作れそうだと思ってしまうレシピです。
ビールの注ぎ方やスパークリングワインの定義などは ( 山口恵以子さんのおかげもあって ) 知っていましたが、やはりグルメ小説としての価値が高いシリーズだと再認識しました。 ( 実際、柳刃たちの捜査や推理の様子はほとんど出て来ないのでミステリーではないのでしょうね。)
柳刃の蘊蓄垂れたがりの一面も、気に入っています。次作も楽しみです。