あらすじ
「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」――少女が雑誌に寄稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者“マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。
同窓会をきっかけに、故郷の実家に泊まることになった「私」。すでに実家には誰も住んでおらず、何も無い家に過ぎないはずなのに、「私」以外の何者かの気配が段々と濃くなっていく。居間にたたずむ邪悪な笑みをたたえた阿弥陀如来像、座敷の布団の中で蠢くモノ、そして――。忌まわしい記憶とともに、何かが迫ってくる(三津田信三「何も無い家」)
ホラー界の巨星、三津田信三が、屈指のホラー小説の名手七人それぞれに相応しいテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を」と依頼して編まれた戦慄のアンソロジー。
感情タグBEST3
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このアンソロジーを一言で表すなら、「とても怖い」。とにかく怖い描写や不気味な描写が多い。
澤村伊智『サヤさん』ある霊能者に出会った小学生の話。前半の怪異に襲われる不気味さ、不条理さと、後半の物語の真相、謎の残るラスト。どれをとっても怖い。『予言の島』を事前に読んでおくとなお良い。
加門七海『貝田川』実話の様な怪談、その真偽は不明。フィクションだと思っているのに、そうだと断言することが出来ない。
名梁和泉『燃頭のいた町』「現世」と「異界」の境界が曖昧になり、いつしか怪異に襲われる。だが、この話は怪異より人間のほうが怖いと思う。
菊地秀行『旅の武士』旅をする武士を中心として語られる時代劇怪談。連続殺人事件の真相は不明。ラストに謎が残る。
霜島ケイ『魔々』人間の怨み、呪いの力は恐ろしい。大きく膨れ上がって、人やものに被害をもたらす。やはり人間は怖い。
福澤徹三『会社奇譚』色々な会社で起こった奇妙な出来事。ただの偶然か、それとも何らかの因果によるものか。原因がわからない怪異が一番怖い。
三津田信三『何も無い家』その家には「何も無い」が「何か」がいる。特に怪異は出てこないが、闇の中に何かがいるような錯覚に囚われる。いや、実際に「何か」はいるのかもしれない。ラストもとても不気味である。
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面白かった。澤村さんの短編がお目当てだったけれど、どの作品にも背筋がヒヤッとさせられた。最近民俗学と絡めた小説が好きなので、霜島さんの作品は思わぬ収穫だった。
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一篇一篇を読み終わる度に、さすがだ、とニンマリしてしまった。皆さん、特にこのメンバーに依頼をした三津田さん、お見事としか言いようがありません。
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大好きな三津田信三さんのホラーと、三津田さんの選ぶ作家さんとテーマで編集者としての三津田さんも楽しめるという、ファンには嬉しい企画の本です。
静かな夜、自室で読むのにぴったり。
勘違いかな、でも変や感じがするな、という日常の中に潜む怪異を感じることができました。
「何も無い家」の、肌触りまで気持ちのわるさを感じられる空気感、さすがです。
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澤村伊智 霊能者怪談
投稿文から浮かび上がる霊能者。面白かった。さすが。
ヒトコワではないが、ダメだと思いながらもずるずる先延ばしたり、無視したりする心理がめちゃくちゃわかる。
加門七海 実話系怪談
実話かフィクションか。実際に足を運んで写真をとって、写真が変化する。怖かった。
名梁和泉 異界系怪談
燃頭はフィクションだったが、子供達の想像力や願いによって実在化するのが良いし、黄泉というのも良いが、戻ったところで、っていうラストも良い。
菊地秀行 時代劇怪談
淡々と場が映り話が進んでいく。まあまあ。
霜島ケイ 民俗学怪談
住もうとした家がおかしいのは嫌だなあ。猿かもという思い込み、思いたい気持ちがわかる。呪いが解き放たれるラスト良いな。
福澤徹三 会社系怪談
どんどん話が進んでいくので面白い。ブラックすぎるのがホラーでバランスとれてる。
三津田信三 建物系怪談
なにかあるかもでドキドキしながら読めた。まるっきり何もないかもしれないが、でもやっぱり何かある。
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三津田信三の元にホラー界屈指の作家6人が
集まり、各々、テーマ別の怪談を描く……(; ´⊙Д⊙)ゾワッ
バラエティーに飛んだ7作品でした!
個人的に面白かったのが、
『サヤさん』澤村伊智
新居に越してきた家族に起こる祟り
そしてあの!霊能者が現る!!
いや〜まさかねあの人が出るとわ笑笑
内容もぼきわんが来るみたいな感じで面白かった!!
『燃頭のいた町』名梁和泉
ひょろひょろな長身にフラフラな足取り
見たものを震え上がらせるという亡者
その名も……燃頭!
サイレントヒルの様な話だった
燃頭が追っかけてくるーーー!
いや〜中々面白かったぁ〜('▽')ヨカッタ
『魔々』霜島ケイ
ひょんなことから咲希は亡くなった祖母に家に
住むことにしかし…夜な夜な天井から物音が…
物音の真相からラストの展開がめちゃ怖い
やっぱり民俗学はたまらね〜
1番好きな作品でした!
以上3作品が自分好みでとても良かったです!
他にまだ4作品あるのですが
正直…あまり好みではなかったですwww(¯―¯٥)
テーマ別に描かれているので好みが分かれると思いました。
なので自分好みの怪談を探しながら読んでみるのはいかがでしょうかな?笑笑
怖さもあまり怖くないので苦手な人でも読めると思います!
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‘ふさわしいテーマ‘っていうのがとても良い。確かに望まれているのは、それぞれに振られている短編だろう。
初見では名梁和泉さん、見知りでは福澤さんがよき。
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7つのホラーアンソロジー。
「自分が最も怖いと思う怪談」という課題で集まっただけあって本当に怖いです。それぞれ全然毛色の異なる怪談なのですが、どれもズシンと肩が重くなるような、負のエネルギーを引っ張り込んでしまったような戦慄を感じます。
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発起人の三津田信三を含む七人の作家によるホラー短編集。
それぞれ三津田氏から与えられたテーマに沿った『最も怖いと思う怪談』を集めた。
読んだことのある作家さん、初めての作家さん、それぞれ雰囲気の違うホラーを楽しめた。
これを機に読んだことない作家さんの作品に手を伸ばしてみようと思った。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さんの話、気になってた作家さんの話、いろいろ読めて楽しかった。
特に澤村伊智さんの「サヤさん」はとても私好みですごく良かった。澤村さんの他の小説もぜひ読んでみたい。
時代劇系のお話をホラーに関わらず全く読まないので、そこに触れられたのも良かった。
ぜひ続編も期待したい。
Posted by ブクログ
7人の作家によるホラーアンソロジー。
編者の三津田信三が、それぞれのテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を書いて下さい」とお願いして出来上がった一冊。
澤村伊智「霊能者怪談」
加門七海「実話系怪談」
名梁和泉「異界系怪談」
菊地秀行「時代劇怪談」
霜島ケイ「民俗学怪談」
福澤徹三「社会系怪談」
三津田信三「建物系怪談」
霜島ケイ「魔々」と名梁和泉「燃頭のいた町」が面白かった。
「魔々」田舎の古い家に一時的に住むことになった主人公が夜な夜な天井や壁からの異音に悩まされ、リフォーム業者に調べてもらうと、塗りつぶされた壁の向こうに階段があり、屋根裏には白い布が被さった神棚が…怪しさ満点。民俗学怪談好きです。
「燃頭」は異界系怪談であり、都市伝説系怪談でもあり、頭がマッチみたいに燃えた怪物が追いかけてくるとか視覚的にも怖い。
三津田信三「何も無い家」安定の建物怪談。見取り図のあるホラーとかミステリってテンション上がる。
「自分が最も怖いと思う怪談」という割にはそんなにか?と思うものも多かった。作家の皆さんにはなかなかハードルの高いお題だったのでは。とはいえ色んなタイプの怪談が楽しめる一冊でした。
三津田さんに「見取り図系怪談アンソロジー」企画してほしい!
Posted by ブクログ
三津田信三が、7人のホラー系作家を集め、それぞれにテーマを与えた後「自分が最も怖いと思う怪談を書いてくれ」とお願いして出来上がった本。
『燃頭のいる町』が好きだ。
清太は「つながりがなくなったから」と言っていたが、タンタンはつまみ出した。
主人公は病気で老い先短く、両親もなくし、友達もなくし、妻と子ともつながりを無くしているが、しかし「養育費」で首の皮が1枚繋がっている。まだつなぎ止められている。
「もう嫌だな」と思うギリギリのところにいるからポケットの中にはスナック菓子がある。食ったら終わりだ。
『サヤさん』に関しては、自業自得感が否めない。皆やってる、ではない。人を呪わば穴二つ。
最後の最後で読者に呪いをかけるのは良かったが、呪い方が雑だなと思った。