中山七里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コロナ禍で世間がワクチン推奨派と反対派に大きく分かれる中、志賀倫成が副編集長をつとめる『週刊春潮』は、雑誌の売れ行きを第一に、反ワクチンキャンペーンと言われてもおかしくない方向へと舵をきっており、志賀は旧友の医師・伊達充彦から呼び出され、出版人としての良識を問われてしまう。伊達の病院では現在も己を犠牲にしてまで前線でコロナと戦っている医療従事者たちが多数いたが、反ワクチン団体から抗議活動をされるなど、ギリギリの日々を送っていた。そしてある日、〈阿神儀会〉(あかぎかい)と呼ばれる反ワクチン団体のメンバーが病院に乗り込み、ワクチンや医療機器を破壊するという抗議活動を受けるが、ワクチン保管庫の前で〈阿神儀会〉の代表が何者かに殺害されるという事件が起こる。
実際のコロナ禍に合わせて書かれた作品だけど、ここまでの抗議活動を受けた病院って本当にあったりするんだろうか。マスクもせず、ディープステートを謳い、でも実際に自分が発症したらワクチンをうってくれと懇願し、時すでに遅く持病から悪化して亡くなっていく反ワクチン団体所属のメンバーたち。そんな人たちに自業自得だと苦言を呈しながらも最善の治療を施していく医療従事者たち。本当に頭が下がる。犯人は誰?というのは一応あるけど、今回はそれよりも医療現場やジャーナリズムに焦点をあてた作品になっている。そして『夜がどれほど暗くても』の一応続編ということになるのか?主人公は『週刊春潮』副編集長の志賀で、奈々美と現在も一緒に暮らしていることに触れている。事件を受けて乗り出してくるのは警視庁捜査一課の桐島班所属の宮藤賢次と葛城公彦。ということで『スタート!』や、『静おばあちゃんにおまかせ』の話なんかもちらっと。 -
Posted by ブクログ
能面検事シリーズ第三弾!
無差別殺人と爆弾魔「ロスト・ルサンチマン」
ロスト・ルサンチマンは無差別殺人の殺人犯釈放を求めて爆弾を仕掛けます。
そして、不破もその爆弾に巻き込まれてしまいます。
無差別殺人の理由。
就職氷河期で正社員になれなかった。ロストジェネレーション世代!
世の中への復讐といっても、許されるものではありません。しかし、その正当化を煽るSNS。
ある意味、今の社会を表しています。
そして、犯人を釈放するように求める爆弾魔「ロスト・ルサンチマン」
その目的は?犯人は?
という展開です。
なんとなく、展開が分かるなあって思っていたら、これドラマ化されていて、ドラマ見てました!
ありゃま...
上川さんが能面検事やってたわ!
とはいっても、楽しめました。
第三弾となって、ますます不破の仕事ぶりが恐ろしい..
部下にも上司にもなってもらいたくない(笑)
お勧めです。 -
Posted by ブクログ
傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲。
キリスト教において、人を罪に導くとされる七つの悪徳をテーマに、名前が「七」にちなんだ作者さんが描く、7作のアンソロジー。
そもそも悪徳がテーマだから、どの作品も読後感は良くない。イヤミス寄り。それでも、どの作家さんもテーマにあった内容で、個性もありながら、テンポよく、あっという間に完読。
半分の作家さんが初読みだったけど、特に嫉妬は世界観も怖くて、読んでいて、引き込まれてしまった。
既存の4人の作家さんは安定。短編でもやっぱり面白い。
七つの大罪と言うと、どうしても、映画の「セブン」をイメージしてしまっていたのだけど、それに劣らないくらい、個人的には面白かった。 -
Posted by ブクログ
2026.5.16 NHKの特集ドラマ「有罪、とAIは告げた」です。芳根京子が主演を務め、試験的に導入されたAI裁判官と人間の裁判官が殺人事件の真相を巡って対立するリーガルミステリーです。
半歩先のリアルを描くリーガル・サスペンス!
東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円は、日々の業務に忙殺されていた。公判、証人尋問、証拠や鑑定書の読み込み、判例の抽出、判決文作成と徹夜が続く。
東京高裁総括判事・寺脇に呼び出された円は、中国から提供された「AI裁判官」の検証を命じられる。〈法神2〉と名付けられたそれに過去の裁判記録を入力すると、裁判官の思考を〈再現〉し、出力するというのだ。果たして〈法神〉が一瞬で作成した判決文は、裁判官が徹夜し苦労して書き上げたものと遜色なく、判決も全く同じものだった。業務の目覚ましい効率化は、全国の裁判官の福音となる。しかし円は〈法神〉の導入に懐疑的だ。周囲が絶賛すればするほどAI裁判官に対する警戒心が増していく。 -
Posted by ブクログ
ショパン・コンクールで5位入賞し、現在はモスクワ音楽院で教壇に立つヴァレリー。ロシアはウクライナとの国際情勢の影響で海外アーティストの公演を取り止めるなどの文化的鎖国ともいえる制裁をとっており、他国の音楽に触れることが生徒の成長に繋がると考えるヴァレリーにとってはもどかしさを抱えていた。そんな折、ショパン・コンクールで競った岬洋介がロシアでコンサートを開催することを知り、岬に学内で演奏してもらう約束をとりつけるが、ボリス学部長からは猛反対を受ける。そしてその晩、ボリス学部長は密室状態の宿舎で何者かに殺害された。警察は学院内部の犯行を疑い、ヴァレリーをはじめ、学生にも疑いの目を向け拷問し――。岬はヴァレリーたち音楽家を守るため、そして自身のルーツを辿るために事件の真相を追う!
登場人物が限られていて描写も少ないので後半から犯人の当たりはついたのですが、動機がいまいちピンとこなくて、岬もそこまでははっきりしないまま内情が明かされたので、ミステリとしては拍子抜けな部分も。ただ岬洋介のルーツが明かされるとともに、ヴァレリーとの関係性も判明する節目のストーリーでした。最後の終わり方が切なすぎて、戦争で引き裂かれるものの大きさや当事者の苦しみが迫ってきた。兵器よりも音楽でつながりあえる、殺し合いではなく友人として生きられる世界であってほしい。