小川洋子の作品一覧
「小川洋子」の「孤独をのぞき込む 秘密の読書会」「博士の愛した数式」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「小川洋子」の「孤独をのぞき込む 秘密の読書会」「博士の愛した数式」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
早稲田大学第一文学部文芸専修卒。1988年『『揚羽蝶が壊れる時』』でデビュー。『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞など数々の作品で受賞。代表作『博士の愛した数式』は映画化されている。
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Posted by ブクログ
「芝居の幕が降りたあとも 拍手の波が引いても
ここには残っている ときめきの欠片が」 -劇団四季 ゴーストアンドレディより-
名古屋四季劇場がその10年の歴史に幕を下ろす時、それを取り上げていたニュース番組のアナウンサーが、「劇場に直接足を運ぶということは、キャストと観客とスタッフ,そこに集まった人が一体となる経験と不可分。場所というのはそれだけで大きな意味を持つ。」と話していて思わず頷いてしまったことがあった。
劇場に集まる人間が舞台作品に馳せる思いや観劇の思い出は、それらを上演する劇場にときめきの欠片として残っていて、星座のように光輝いている。それを拾い集めて物語にしてくれているような そんな作品。読んでいると、劇場への愛と好きな物に囲まれているときの心が温かさを思い出させてくれる。
Posted by ブクログ
数字の世界の美しさ、世界の広がりを、愛情に満ちた文字で表した圧巻の物語だと感じました。
解説文(藤原正彦氏)も含めて、至上の作品です。
主人公の息子・ルートに向ける博士の限りない愛情に、この親子はどれだけ救われたのでしょうか……わずか十歳の少年が、博士に返そうとする真摯な愛にも、心打たれます。
ほんとうに賢い子ですが、その優しさと我慢強さゆえに、博士のように無償の愛を注いでくれる大人がいてくれなかったら、もしかしたら違った未来を辿ったかもしれないという危うさも感じられました。
主人公が博士に対して寄せる信頼にもすこしの危うさがあり、しかし、そのことは直接的には明示されません。
序盤の文章に息子が登場しないことも、またひどく危ういです。
だからといって、息子への愛情や心配がないわけではなく、寧ろその逆だということに気付かされるのは、そこそこ読み進めてからだったのですが……
書かれないことへの想像を、ごく自然に誘われていくような読み心地でした。
そうして考えていくと、書かれないことというのは虚数のようだなとも思います。
まさに博士の言っていた、「とても遠慮深い数字だからね、目につく所に姿を現さないけれど、ちゃんと我々の心の中にあって、その小さな両手で世界を支えているのだ」という言葉がしっくりきます。
実は、学生時代にもこの作品を読もうとしたことがあったのですが、そのときは読み進めることができませんでした。
今は、若いシングルマザーとして生きる主人公の困難が、そのほんのかけらでも想像することができるようになったからか、ページを繰る手が止まりませんでした。
つくづく、ある作品を読むのに最適な時期、あるいは読むことに困難の生じる期間というものがあるなぁと感じます。
今、出会うことができてよかったと、心から思える作品でした。