サイレントシンガー

サイレントシンガー

1,900円 (税込)

9pt

著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。

内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。たったひとりの家族であるおばあさんが働いているあいだ、幼いリリカは野辺の老介護人に預けられて育った。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。

やがてリリカは歌うことを覚える。野辺の重要な行事である“羊の毛刈り”で初めて披露された彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?

名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。

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サイレントシンガー のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この本を読んでしずかでいること、それを自分に許せた。感情を何かで表現したり、人に分かりやすく話をしたり。そうでなくても、自分の中でしずかに感じること。あらたな道がひらけた気持ち。

    0
    2025年12月03日

    Posted by ブクログ

    リリカは野辺にいるサイレントシンガー。題名の意味はわかっていく。とても静謐な守られている場所。
    美しい歌が目立つことはない、そのことがこの物語をシンプルかつ美しいものにしているように思えた。

    0
    2025年11月18日

    Posted by ブクログ

    アカシアの野辺に住む人たち、そしてリリカのこと。きっといつか忘れてしまう、でもそれでいいのだろう。

    少しの隙間に潜むおどろおどろしさや、日々の暮らしの傲慢さ、加えてとても綺麗な結晶のようなものを見せてくれる。

    0
    2025年10月14日

    Posted by ブクログ

    内気な人々が集まり生活する集落で、赤ん坊の頃から育った女性が主人公。

    一般社会の騒々しさに疲れ、言語を操ることなく、特別な指言葉で必要最低限のコミュニケーションをとる人たちの生活は、極端に慎ましく静かだ。
    自分の色を出さない、どこにでも自然に溶け込んでしまう歌声をもつ主人公は、そのコミュニティが心

    0
    2025年10月12日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの本は小川さんだけしか書けないものだと思う。そして私はそれがとても好きだ。
    主人公は私の周りにはいない、とても静かな人。怒ったり騒いだり、自分の運命を嘆いたりもしない。しないことの方が断然多い。だから映画にもなかやかならないけれど、その厳かな静けさが貴重でたまらない。

    0
    2025年08月24日

    Posted by ブクログ

    生きとし生けるものだけでなく魂もが一体化した野辺の特別な空間。沈黙こそが多くを語る。とても印象的な作品です。

    0
    2025年08月23日

    Posted by ブクログ

    無限の沈黙が美しい 
    『内気な人の会』の会員が住むアカシアの野辺。正確で丁寧で心のこもった指言葉を使う。
    リリカは無言でいるもののために歌う。
    長い時間を丁寧に綴った静かな物語はとても繊細で美しかった。

    0
    2025年12月05日

    Posted by ブクログ

    小川洋子、なんかもうほんとうに唯一無二の作家だなあ…。静けさというものをこんなにも言葉にして、物語の雰囲気に漂わせることができる作家なんて小川洋子しかいねえだろという気がしてくる。不完全なものの良いところに目を向けたり、すてきなものにしたりするってとてもやさしい。物語が終わったあとも、この静けさがず

    0
    2025年12月07日

    Posted by ブクログ

    静かで美しい本だった。
    内気な人の会改め、アカシアの野辺で暮らす、指言葉を使う静かな
    人たち。そこで育ったリリカの一生。
    そこはかとなく暗く怖い面もあり、料金係の人との恋?のような出会いもあり、リリカと共に一生を体験したかのような本。
    静かな世界が美しく、まぶたの裏に羊たちが浮かんできた。
    優しい、

    0
    2025年11月13日

    Posted by ブクログ

    小川洋子の個性爆発の素敵な作品。ちょっとホラーな気配も感じる。でもこの世界は不思議と気持ちが落ち着く。

    0
    2025年11月02日

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