サイレントシンガー

サイレントシンガー

小説・文芸
1,900円 (税込)

9pt

著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。

内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。たったひとりの家族であるおばあさんが働いているあいだ、幼いリリカは野辺の老介護人に預けられて育った。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。

やがてリリカは歌うことを覚える。野辺の重要な行事である“羊の毛刈り”で初めて披露された彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?

名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春e-book
  • タイトル
    :
    サイレントシンガー
  • タイトルID
    :
    1912681
  • ページ数
    :
    296ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年06月20日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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サイレントシンガー のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    毎日、夕方の5時になると町役場からの放送で「家路」が流れる。
    あまりにも自然に溶け込んだ歌声のため、人々は熱心に聴きいる事もなく、1日の区切りとして耳にしているだけで、誰が歌っているのかなどの関心を抱く者は誰もいなかった。

    この地域に、ちょっと変わった人々が暮らす集団が存在していた。
    彼らは極端な内気の性格のため、言葉を交わす人との関わりを避け、沈黙を優先した生活を営んでいた。
    その地域に、おばあさんと孫娘リリカの二人が雑用係として加わることになる。
    おばあさんはリリカを育てるために、この変わった人々が暮らす地域に職を得て、外部の人々との接触を担当する雑用係として働くことになる。

    リリカの成長とともに、物語は小川さん独特の不思議な世界を醸し出す。
    一人の少年が「アカシアの野辺」周辺で行方不明になり、大捜索にもかかわらず見つけ出すことはできなかった。
    おばあさんは少年を孤独にさせないようにと、廃材などを使って人形を数多く作り、森の池の湖畔に立て飾った。
    そしてリリカは湖畔で行方不明の少年や森の動植物たちに向かって歌い続けるのだった。

    人と接することの少ないリリカも、成長した証として恋に巡り合うが、リリカは恋というそのものを理解していない。
    純真な青年はリリカの生い立ちを理解して、踏み入った行動は慎む心優しい人だった。
    二人は人が殆ど立ち入ることのない「アカシアの野辺」の森を散策しながら会話をし、僅かながらも外界の世界をリリカは知ることになるのだが、やはり生きる世界は沈黙の「アカシアの野辺」だと強く認識する。
    そして孤独感を自ら意識することもなく、高貴とも云えるリリカの人生が綴られていた。

    0
    2026年03月16日

    Posted by ブクログ

    小説は読者の精神の状態によって響き方が変わる。また読まれる環境によっても受け取り方は変わる。こんなにうるさくてせっかちな世界に生きる私にとって、鎮静剤のような物語だった。一枚の舌より二つの耳を重視する人々に囲まれてリリカは美しい声で歌い、それを認められた。ずっと彼女の『家路』が流れる町であってほしいけど、いつかは新しく明るく賑やかな歌と取って変わるのだろう。それでも小川作品の愛読者は、静かなシンガーを求める少数者がいることを知っているだろう。時折こんな世界に触れて心を落ち着けたいものだ。

    0
    2026年02月24日

    Posted by ブクログ

    この物語は言葉ではなかなか表しにくいものだと思うでもあえて一言でまとめるなら静謐さだと思う
    静かに進んでいくが、決して単調ではなくりりかの歌がこの物語にさらに色を加えていると思った
    なんだが静かに私の心の中に染み渡っていくような作品でした

    0
    2026年01月20日

    Posted by ブクログ

    小川洋子の世界の捉え方をなぞると、いつも今生きている世界の見え方が少しだけ変わる気がする。
    きっとわたしが見落としてしまうもの、気付けないことを彼女は丁寧にやさしく拾い続けている。

    0
    2026年01月16日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの大切にしている世界なのかな。
    静寂のなかでも伝わるものがあるのは生きているうえでの強みみたいなものだなあと感じた。
    個性が皆輝いていて、不思議なんだけど、なんか共感できる…。なぜだか自分の存在が優しく肯定されているような、美しくて儚い物語でした。

    0
    2026年09月11日

    Posted by ブクログ

    静寂を愛する人々の間で育った少女が、歌を通して無生物と心を通わせていくさまを描いている。小川洋子らしさはあったが、何を最も描きたかった話なのかはよくわからず、話としてもオチが弱いために残念さが残った。

    0
    2026年09月11日

    Posted by ブクログ

    舞台は、静かというよりほぼ無音なのに、大切な音や声だけは伝わってくる。
    わかりやすい事件や出来事が起こるわけじゃないのに
    独特の胸騒ぎがする。けれども決して不快な胸騒ぎではないので不思議。
    静かにゆっくり何かが動いていて、最後にごとっ!と音を立てて結末に行く感じ。

    りりこの人生の大きな出来事だけを文章で羅列してみると、悲しい、切ない、可哀想、となるかもしれないが、その最後には、この人らしい終幕というか、
    落ち着くところに落ち着いた、というような印象。

    りりこの人生は可哀想なのか?
    母親は長い髪の毛で自殺、祖母と生きてきて
    その祖母も亡くなってしまって、
    1人で暮らしていたが、独りぼっちだったのか。

    けして賑やかではないが、賑やかや、派手さが、
    幸せや豊かさとは違うのではないか。

    その景色の一瞬だけを切り取ると、
    りりこの人生は、寂しい人生と言われてしまうかもしれないけど、

    その歌声と共に生きて、
    最終的にはその歌声を求めて1人の人が訪ねてくる。
    そして訪ねてきた時に、本人はそこにいなくても、
    本人について伝えてくれ、一緒に想いを馳せてくれ、りりこが大切にしてきた仕事の仕方を守ってくれる人がいる。

    それはすごく
    やさしい人生を送ったというか、
    豊かだったきがする。

    人の人生は
    いろんな面があるし
    長さや派手さだけでない。

    自分以外の何かに対して
    可哀想だとか切ないとか感じることは大切だし、
    他者に対して想いを巡らせることも大切で、それ自体はとても優しいことだけど、
    想像の域を超えて、決めつけるのは違うなと
    自分の暮らしに置き換えてみても思える作品だった。

    物語を通して、静かでしーんとしていて、
    水がぽちゃん、と落ちる自然の音や
    衣服が擦れる音、だけで
    声は少ないけど、

    だからこそ
    りりこの歌声が聞こえてくるような

    綺麗な物語だった。

    0
    2026年08月05日

    Posted by ブクログ

    面白かった。独特の雰囲気がすごい。
    あんなにも世界が煌めいて見えたのに、それが終わってしまう瞬間があるというのをひたひたと描いているというか、物悲しいけど綺麗な終わり方だったな。『家路』聴くと泣いてしまいそう。

    0
    2026年06月05日

    Posted by ブクログ

    不思議な物語。 何度か中断しながらも読み始めるとその世界に引き込まれ、穏やかな気持ちで読み終わりました。
    忙しい毎日を過ごしている時、こういう世界に浸るのもいいですね。

    0
    2026年05月17日

    Posted by ブクログ

    どことなく掴めないけれど、そこにあるように感じる言葉たち。声こそ、聞こえないけれど、どこかから無の声が聞こえるような気持ちになった作品。

    0
    2026年05月16日

サイレントシンガー の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春e-book
  • タイトル
    :
    サイレントシンガー
  • タイトルID
    :
    1912681
  • ページ数
    :
    296ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年06月20日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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