【感想・ネタバレ】サイレントシンガーのレビュー

あらすじ

著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。

内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。たったひとりの家族であるおばあさんが働いているあいだ、幼いリリカは野辺の老介護人に預けられて育った。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。

やがてリリカは歌うことを覚える。野辺の重要な行事である“羊の毛刈り”で初めて披露された彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?

名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この本を読んでしずかでいること、それを自分に許せた。感情を何かで表現したり、人に分かりやすく話をしたり。そうでなくても、自分の中でしずかに感じること。あらたな道がひらけた気持ち。

1
2025年12月03日

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この物語は言葉ではなかなか表しにくいものだと思うでもあえて一言でまとめるなら静謐さだと思う
静かに進んでいくが、決して単調ではなくりりかの歌がこの物語にさらに色を加えていると思った
なんだが静かに私の心の中に染み渡っていくような作品でした

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2026年01月20日

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小川洋子の世界の捉え方をなぞると、いつも今生きている世界の見え方が少しだけ変わる気がする。
きっとわたしが見落としてしまうもの、気付けないことを彼女は丁寧にやさしく拾い続けている。

0
2026年01月16日

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またしても独特の世界観を体験させてくれた。おばあさんと主人公リリカは野辺に住む。無口で手話と異なる独特の指言葉を使って会話する野辺の人たちの売店で仕事をするようになる。その売店も独特。客と顔を見て接客することはない。そこに通い続ける料金所の男性と親しくなる。リリカはボイトレを受け、その講師から仮歌の仕事が紹介される。その仕事は音程通り、依頼者が望む通りに歌う必要がある。歌手のように上手く歌うことを求められることはないが、表に出ることのない影のような存在であり続けるリリカの慎ましさ、そしてたくましさがある。

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2026年01月01日

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「内気な人たちの会」を称する男の人ばかりの共同生活の場、「アカシアの野辺」で育った女の子リリカの話。リリカは歌を歌う。名もない、後世にも残らない、誰もリリカぎ歌ったとは気づかない空気に溶けていく歌を歌う。おばあさんと、介護人と、羊の毛刈り係と、歌の先生と、羊と人形たちと、料金係さんとリリカの、静謐を旨とする生活の物語。

0
2025年12月25日

Posted by ブクログ

リリカは野辺にいるサイレントシンガー。題名の意味はわかっていく。とても静謐な守られている場所。
美しい歌が目立つことはない、そのことがこの物語をシンプルかつ美しいものにしているように思えた。

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2025年11月18日

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アカシアの野辺に住む人たち、そしてリリカのこと。きっといつか忘れてしまう、でもそれでいいのだろう。

少しの隙間に潜むおどろおどろしさや、日々の暮らしの傲慢さ、加えてとても綺麗な結晶のようなものを見せてくれる。

0
2025年10月14日

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無限の沈黙が美しい 
『内気な人の会』の会員が住むアカシアの野辺。正確で丁寧で心のこもった指言葉を使う。
リリカは無言でいるもののために歌う。
長い時間を丁寧に綴った静かな物語はとても繊細で美しかった。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

沈黙を愛する人たちとともに育ったリリカは、やがて歌で多くの人や動物たちとのつながりを増やしていく。けれどその歌声は持ち主を問われない、聞く人や生き物たちの内側に積もっていく、かたちのないもの。むしろかたちがないからこそ、説得力を持ち、心に残りつづける。

そんな歌をうたえる彼女はとても清らかだけれども、まるで音にあふれた現世とそれを受け入れられないものたちとの橋渡し役かのようでもあり、ずっと寂しい存在のようにも感じました。奉仕するような愛に満ちた彼女そのものが、作者の描く世界を体現する美しさのみで構成されていて、ひとのかたちとしての集大成かのようにも思えました。

絡みあったふたつがひとつになった骨、ポーズを決めたままの人形、回転するテーブルで疎通する意志、語られない物語の断片たち。いろんな要素の、少しずつのさびしさと硬質さ、そして毅然とした汚されない美しさそれぞれが、静かに沁みていく物語でした。

0
2026年01月18日

Posted by ブクログ

あまりに静謐で無言で無限で、こうして感想を残すことすらノイズになってしまいそう。

「アカシアの野辺」に住みたいかと言われれば悩む。
人に入りすぎるのも入られすぎるのも嫌だけど、あそこまで無言と孤独を愛せるだろうか。

「アカシアの野辺」の特徴から、衰退していくことは自明だったように思うが、少しずつ衰えていく共同体に暮らすことも「完全な不完全」を体現しているのだろう。

声を使って会話することのない野辺に住む男たちでも、一人一人が決まった木に思いを伝えることがある。
この小説では口から声を出さないことと、歌うことに焦点を当てているが、「聴くこと、聞き上手」な野辺の男たちにも作中触れられている。

普段は外部からの音を聞くのみの男たちではあるが、自分の声を自分で聞き、自分の思いを耳から入れて、認識して咀嚼する時間は自分と世界を繋ぎ、同時に隔てる足場のようなものであったと感じた。

感想が難しい!
静かに静かに通り過ぎていく風に乗った歌のような小説。


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2026年01月09日

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小川洋子さんらしい、静かな文章。
読んでいて心が落ち着きます。
本の中の世界がとても優しくて愛おしく、
読み終えたとき、自然と涙が流れました。

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2026年01月04日

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小川洋子さんの描く静かな世界。
リリカは、“内気な人の会“と称する人達に囲まれて育った。彼らは言葉を話さず、指言葉で最低限の会話をする。
言葉を尽くしても思いが伝わらずにもどかしいことがある。彼らが無言でも分かり合えて、思いが伝わる様子に心温まった。
時折描かれる少しグロテスクな描写や、悲しい出来事も、この静かで優しい世界に溶け込んでしまうようだった。
小川洋子さんの小説にはいつも生きづらさを抱えているような人が登場するが、読み終えた後は、自分は自分のままでいいのだと思える。

0
2026年01月02日

Posted by ブクログ

なんだろう不思議な物語
大人の童話のような感じ
沈黙の人達が住む土地で育ったリリカ
母親が死に 祖母に引き取られ
沈黙の人達の保健室で老介護人に
世話され指で挨拶することを覚える

自然と一体となり歌うことを覚え
祖母も自然との関わり方を教えた
自然と自分が一体化する
そこで歌う自然とともに

最後は死者の話相手になる人形の池で
死んでしまう
それはそろそろ昔のように歌えないと
リリカが感じ始めた頃だった

0
2025年12月31日

Posted by ブクログ

小川洋子さんの世界からただいま戻りました‥‥
どっぷりと世界観に浸りました。
おばあさんと二人暮らしのリリカ。
家の隣の広大な森を買い取り移り住んできたのは“内気な人の会”と称するグループ。宗教的施設でも、営利目的の会社でもなく、ただただ内気な人たちの集まり。やがて門には“アカシアの野辺”と書かれた看板が掲げられるようになる。
とにかく、“内気な人の会”とか“アカシアの野辺”とか、本を数ページ読んだだけで、小川洋子さんの世界へスーッと引き込まれて行きます。
“内気な人の会”の雑用係として働くことになったおばあさんと、その孫娘のリリカは唯一“アカシアの野辺”に入ることができる二人。
『魂を慰めるのは沈黙である』をモットーに生活している“内気な人の会”のメンバー。
彼らはどんな人生を経て、ここに辿り着いたのか、そこには全く触れられていませんが、こんな場所があったっていいよな、と思う読者は一定数いるのではないかな。
人の記憶に残るものではないが、邪魔にならない歌声を持っているリリカ。
“内気な人の会”とリリカの歌声が呼応して、静かな静かな物語になっています。
声なき声を持っている者も、ここに存在している。大きな声をあげずとも、存在している。静かに存在している、そんな物語だと受け取りました。

0
2025年12月18日

Posted by ブクログ

小川洋子、なんかもうほんとうに唯一無二の作家だなあ…。静けさというものをこんなにも言葉にして、物語の雰囲気に漂わせることができる作家なんて小川洋子しかいねえだろという気がしてくる。不完全なものの良いところに目を向けたり、すてきなものにしたりするってとてもやさしい。物語が終わったあとも、この静けさがずっと守られることを祈ってしまう。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

静かで美しい本だった。
内気な人の会改め、アカシアの野辺で暮らす、指言葉を使う静かな
人たち。そこで育ったリリカの一生。
そこはかとなく暗く怖い面もあり、料金係の人との恋?のような出会いもあり、リリカと共に一生を体験したかのような本。
静かな世界が美しく、まぶたの裏に羊たちが浮かんできた。
優しい、とはまたちがう、静かだけど美しい本だった。

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2025年11月13日

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小川洋子の個性爆発の素敵な作品。ちょっとホラーな気配も感じる。でもこの世界は不思議と気持ちが落ち着く。

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2025年11月02日

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小川洋子さんファンからすると待望の6年ぶりの長編とのことで読まないわけにはいかない一冊。

内気な人々が集まって暮らす“アカシアの野辺”で人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話する。その土地で生まれ育ったリリカの歌声は人々の何気ない日々の中に溶け込む。
小川洋子さんの美しい文体にいちいち感動し、心惹かれながら静かで心温まる優しい物語に包み込まれました。

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2025年09月09日

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内気な人々が集まって暮らす「アカシアの野辺」で雑用係のおばあさんの孫であるリリカは、その沈黙の里で歌を紡いでゆく・・・
内気な人たちが、自発的にコミュニティを形成するのかなという違和感はあったものの、優しい語り口で、童話のようなファンタジーのような小川さんの世界観はとても心地いいです。
リリカには、この物語をうまく成立させなくてもいいから、料金係さんと幸せになってほしかったなぁという思いが残ります。
ドボルザーク「家路」、小学生のころ下校時に放送されていました。

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2026年02月01日

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静けさの中、誰も邪魔しないように、寄り添うように生きた女性の生涯の話。おとぎばなしのような、祈りのような、綺麗で優しいお話だった。

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2026年01月12日

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「歌は祈り」と言っている歌手がいたけれど
そういう事かな…

静かで霧がかったような不思議な話

だけど…ちょっと自分の気持ち的に読むのがしんどかったな…
気分じゃなかったと言うか…
途中で辞めたらもう読まなくなると思ったのでなんとか読み進めた

読むタイミング間違えたなー
またタイミング良い時に読むかもー読まないかもー

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2026年01月07日

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『魂を慰めるのは沈黙である』
言葉なしに〝指言葉〟で話しあう人々が集う土地で
リリカは歌う、目立たず影側(シャドウ)から。
沈黙と歌声とが織りなす清らかで哀しい物語。

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

とても静かな物語で、最初から最後まで何かを訴えるような劇的なことが起こるというわけではないが、それでも静かな中でこそ伝わってくるメッセージもあった。
言葉数が少なくとも、むしろ伝わることは大きいということ。自分自身の激しすぎる主張は、誰かの気持ちを踏みにじっているということ。人間は自然の中の一部であり、完全に分かつことはできないということ。

沈黙の中でこそ深い意味が伝わるというこの作中の世界観は、まさにこの作品を読むということそのものによって伝わってくるような気がした。

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2025年12月27日

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◼️ 小川洋子「サイレントシンガー」

彼女は沈黙のために歌う。精巧に築かれたフィールド。恐れ入りました。

小川洋子は「猫を抱いて象と泳ぐ」で日本にポール・オースターみたいな作家がいたのかと驚いた。しかし数作品読み進めるうちに、独自の、他人には理解してもらえない範囲を作り、それをひたすら守る、という手順のようなものにやや腰が引けた感覚もあった。

今回も同じではあるのだが、ここまで発想を広げて組み上げたことにただ感心して、唸った。

「魂を慰めるのは沈黙である」
有名温泉地近くの山の一角。金網や厳重な門、柵で囲まれた施設「アカシアの野辺」そこに住む男たちは沈黙を好み、指を使った言葉で意図を伝え合っていた。宗教団体でもなく、施設内で作ったお菓子や飼育している羊の毛から加工した毛糸を売り、外界との接触を避けていた。その施設で働く祖母とともに乳飲み子の頃から野辺で過ごしていたリリカは役所が毎夕にかける「家路」を歌うことになる。成長してボイスレッスンに通っていたリリカには、先生を通じてさまざまな仕事が持ち込まれる。それは自分の存在を消すような歌の依頼だった。

まずは「アカシアの野辺」、その近くの山地の川や池の近くにリリカの祖母が造った大きな人形を並べた公園のような場所という聖域のようなエリアを設定したこと。公園はいかにも森閑とした、しかし自然が美しいというだけではなく、幾星霜もそのままにあるという空間であり、物語の雰囲気を雄弁に醸し出している。

何よりリリカへの歌の依頼、その種類の多さに感心する。お葬式、アシカショーのアシカが歌うのを模した歌、本番の歌手の録音を前に、イメージを固めるために行う「仮歌」。そんな仕事があるんだと読み手の知的好奇心を刺激する。

また、恋人となる有料道路の料金係の男の趣味、隠されていた世界の有名作家の原稿が見つかるという架空の記事を書くというのも、長く読まれなかった、そしてこれからも存在しない、サイレントな記事であり幻の原稿である。

全ての要素が沈黙につながっている。その発想と現出のさせ方、ストーリーの噛み合わせが見事で、これが著者の、研ぎ澄まされた筆致だと心深く悟る感覚がある。

2つ、野辺から有料道路を越えてトンネルをあくつか抜けたところにある有名温泉街、というのは、著者が兵庫県西宮市在住であることを考えると、有馬温泉ではないかと思える。私もなじみのルートだ。

リリカという名前は、作中に痛み止めの薬から取ったのかもというくだりがある。私も頚椎をひどく痛めた時にお世話になったのですぐに思い当たった。リリカはしばらく経ってから強い痛み止め効果をもたらすのです。浸透するように効くところが少し作中のリリカのキャラに通じるものある、のかも。

リリカの歌は、関係者の間ではそれなりに名前が売れているが、歌い手が誰かと気にされない、認識されないまま。野辺の住人たちも干渉しない、そして大事な人にも聴かせない。物語の進行は予想通り。それが美学というものか。

恐れ入りました。

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2025年12月18日

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なんか最近妖しい感じの内容が多くなってきたような気がする。寂しくて悲しくてひっそりと生きている世界観。無とは何かを考えさせられる。ただ、あまりにも詩的すぎて没入できないまま読み終わってしまった。

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2025年12月06日

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小川洋子さんは俗世から離れた人たちの話を描くのが上手いと思う。沈黙に包まれ静かに暮らす人々の情景が浮かぶようだった。最後は切なかったな。そこ含めて良かった。

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2025年11月24日

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沈黙を愛する人々が集う共同農園。そこに言葉は無く、指文字での会話が行われている。
門番小屋に幼少期から祖母と住むリリカ。ある日、リリカの歌を聞いた祖母は羊の毛刈りの時に、側でリリカが歌うように取り計らう。羊も聞き惚れる奇跡の歌手が誕生か、と思わされる展開とは真逆。町内で流れる夕方の「家路」が最初の仕事。何十年にも渡って流されるが、誰も気に留めない。沈黙の人々に寄り添うような歌声が持ち味。
祖母が亡くなったり、共同農園の人々も亡くなったり減少して行く中で、どんどん不吉な方向に向かって行く。一時、恋人ができることもあったが、やはり駄目なようだ。全体的にも静謐な中で物語を終えてしまった。重い内容に、本を読むスピードが鈍ってしまった。

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2025年11月04日

Posted by ブクログ

不穏な事件がたびたび起こりながらも緩やかな時間が流れる街で生きた声なきものにしか歌えない少女(から女性)のお話。数秒間だけしか聴かれない使い捨ての歌、大衆歌謡が死滅した現代へのアンチテーゼとも読める。我々に必要なのはリリカの歌うような、全てを持たなくなった時に必要とされる歌なんだろう

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話すことをやめた人たちの集落でうわれ育った1人の女性の話
彼女は奇跡の声を持ち、どんな音色も奏でることができ、様々な要求に応える
彼女に恋人はできたが、その地から離れることを拒んだ彼女は恋人と別れることになる
話すことをやめて人たちの話だからか、静かなトーンで進む物語
言葉は必要なのか?
考えさせられた

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん、私としては今ひとつ。このところの小川洋子ワールドは、切なさよりも不気味さ気持ち悪さの方が若干優ってきてないか。

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2025年10月15日

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