耳に棲むもの

耳に棲むもの

1,881円 (税込)

9pt

耳の中に棲む私の最初の友だちは
涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。

補聴器のセールスマンだった父の骨壺から出てきた四つの耳の骨(カルテット)。
あたたかく、ときに禍々しく、
静かに光を放つようにつづられた珠玉の最新作品集。

オタワ映画祭VR部門最優秀賞・アヌシー映画祭公式出品
世界を席巻したVRアニメから生まれた「もう一つの物語」

「骨壺のカルテット」
補聴器のセールスマンだった父は、いつも古びたクッキー缶を持ち歩いていた。亡くなった父の骨壺と共に、私は親しかった耳鼻科の院長先生のもとを訪ねる。
「耳たぶに触れる」
収穫祭の“早泣き競争”に出場した男は、思わず写真に撮りたくなる特別な耳をもっていた。補聴器が納まったトランクに、男は掘り出したダンゴムシの死骸を収める。
「今日は小鳥の日」
小鳥ブローチのサイズは、実物の三分の一でなければなりません。嘴と爪は本物を用います。
残念ながら、もう一つも残っておりませんが。
「踊りましょうよ」
補聴器のメンテナンスと顧客とのお喋りを終えると、セールスマンさんはこっそり人工池に向かう。そこには“世界で最も釣り合いのとれた耳”をもつ彼女がいた。
「選鉱場とラッパ」
少年は、輪投げの景品のラッパが欲しかった。「どうか僕のラッパを誰かが持って帰ったりしませんように……」。お祭りの最終日、問題が発生する。

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  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    136ページ
  • 電子版発売日
    2024年10月09日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    19MB

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耳に棲むもの のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    小説と並んで、装幀、装画・挿絵もすばらしい。群像に掲載された短編を集めた作品集です。なかでも『骨壷のカルテット』の世界観と描写は、これぞ小川洋子さんというもので、これから私は何かにつけて「耳に棲むもの」に思いを馳せることになりそうです。

    0
    2025年05月31日

    Posted by ブクログ

    「閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。」

    幻想的だけど、人間の生々しさ描かれており、独特の読後感がある。
    この作品の感想や解釈をもっと言葉にできるようになりたい。

    0
    2025年12月08日

    Posted by ブクログ

    第1章は補聴器のセールスマンとして生きた父に対する娘の視点から始まって、以降の章は父でありセールスマンである男が耳に棲むものと出逢う話が続いている。どの話も生き物の死が添えられているので、苦手な方はご注意を。小川洋子さんはいつも、現代でも中世でも何処でもない(登場するワード的には現代のものだけど)純

    0
    2025年10月08日

    Posted by ブクログ

    音と死をめぐる幻想的な物語。
    補聴器売りの男が出会った物たちが彼の耳の中に棲んでいたのかもしれない。
    静かに進む不思議な世界に引き込まれたが、難解でもあった

    0
    2025年07月30日

    Posted by ブクログ

    閉じられた静かな孤独で満たされている世界をひたすらにたゆたえる味わい深い本。小川洋子さんはこれまで何冊か読んで来たものの私個人の好みとは微妙にズレていることが多かったのですが、これは一瞬で恋に堕ちてしまった。心と身体に染み渡る静けさを深く堪能出来た。

    0
    2025年05月23日

    Posted by ブクログ

    ある意味、童話的でメルヘンでもあり残酷でもあり、時代や地域(国)を超えた普遍性がある作品だと思う。ある補聴器販売員を軸とした物語。

    0
    2025年05月11日

    Posted by ブクログ

    今回はちょっと残酷な場面が幾つかあって、ザワザワしたが読み始めるとあっと言う間に小川洋子さんの世界に入っていけてやはり好き。

    0
    2025年05月06日

    Posted by ブクログ

    骨壺の中の骨。
    その骨は、生前、補聴器のセールスマンでした。
    骨壺から始めて、彼の物語を遡っていきます。

    耳の奥で誰かが音楽を奏でています。補聴器で塞げば、耳に棲むものがこぼれ落ちる心配はありません。
    そんな小さな世界の奥へ奥へと導かれながら、人としての原点へと帰っていくような感覚になりました。

    0
    2025年05月05日

    Posted by ブクログ

    補聴器といえば、聞こえづらい外の音を伝えてくれるものだ。
    だが、小川洋子さんの魔法がかけられると、耳の奥で鳴っている、かすかな音楽を聴き取るための道具に思えてくる。
    そして、泣きたくなるような悲しみや苦しみに満ちた秘密が、思わずこぼれ落ちてしまわないように、そっと封印するための御守りのようにも感じら

    0
    2025年04月27日

    Posted by ブクログ

    補聴器の販売員をする主人公。
    その人生の時系列を遡っていく5篇。
    この作品も小川洋子の密やかでどこか不穏な世界観が発揮されていて良かった。

    0
    2025年03月30日

耳に棲むもの の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    136ページ
  • 電子版発売日
    2024年10月09日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    19MB

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  • 【閲覧できる環境】
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