小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
そうそう、帝劇ってこういう場所だった。こんなふうに世界の全てを含んだ、最高に美しい劇場だった。新しくなるのは寂しいけど、あのころの帝劇がこんなふうに文字のかたちで残されていて嬉しい。この本があれば私たちは帝劇の色や匂いを忘れずにいられる。
【読んだ目的・理由】帝劇を舞台にした小説と聞いて読みたくなったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.6
【一番好きな表現】一枚のチケットを持ってさえいれば、ガラス扉で区切られた境界を踏み越え、今日一日、自分のためだけに用意された椅子に腰掛けることができる。誰もそれを邪魔できない。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
ネタバレこういう小説が読みたいねん!と感じるくらいにとてもよい小説を読んだ気分です。
全八編の短編集。ほっこりするし、しんみりするし、キャラクターは一生懸命だし、ファンタジックなところもよき。
2年くらい前に観劇を趣味に加えたことと、自分にも大好きで応援している人がいることもあって、解像度が上がった気がする。
小川さんの描いた設計図に従って、それぞれの短編がひっそりと接続されていくさまがとてもよくて、感動的だった。
読み終わったあとには、行ったことも見たこともないのだけれど、ちゃんと自分の帝国劇場が頭の中に出来上がっていた。
特にお気に入りは「一枚の未来を手にする」「スプリングゲイト」「劇場は待ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレかなり傷んでて、実家で古びて捨てられそうになってたから、(小学生の時も読んだし、読んでから捨てるか〜)と思ったけど、捨てらんないス!
おしゃれすぎ。
ひそやかに、でもここにしかない感情の共有がなされている。
もうビデオテープが壊れちゃった博士が江夏の全盛期のカードをIDカードみたいに携帯してるの、良すぎる。その通りだね。
人生が眩しかった頃で、永遠に止まってしまった博士が持っているのが、全盛期の1番活躍してた頃の江夏のカードなの、よく博士のことを表していると思う。
ちっちゃい頃読んだ時の記憶だと「未亡人に博士取られた; ;」みたいな最後だった記憶だけど、全然そんなことなかった。ルートも中 -
Posted by ブクログ
あまりにも静かで言葉足らずな登場人物たちだけれど、ものすごくたくさん話をした気がする。大きな出来事なんてほんの数回しか起きなかったし、描写の一つ一つが繊細だけど発見に満ち溢れていている様が、読むほど疲れる。でも、読むほど癒される。
小川洋子さんの新作「サイレントシンガー」を読んだばかりなので、言葉や心ををチェスの一手に込められる主人公が、サイレントシンガーのあの子ともリンクする。
静かであること、言葉を尽くさないこと、言葉という枠組みで相手や世界を断じないことの尊さを、小川さんはずっと書いてるんだな。
それにしても私たちはおしゃべりすぎる。この本に出てくる人たちのように、言葉足らずだけれど