小川洋子のレビュー一覧
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短期記憶障害のある元数学者の「博士」とそこへ家政婦として雇われた「私」と私の息子「ルート」の優しい物語。博士の数学の蘊蓄を自分でも理解しようと努める「私」とルートが愛おしい。そして数字の面白さをちょっと味わうこともできる。小川洋子は「密やかな結晶」以来2冊目だが、どちらも記憶を失うことが中心テーマ。私にとっては「博士の愛した数式」のほうがしっくり来る話だった。
実際に短期記憶障害のある人のドキュメンタリーを観たことがある。イギリスの元学者の話だったが、この物語に出てくる博士のモデルになったのではないかというくらい。体中にメモを貼るということはしていなかったが、メモ帳に覚えておきたいことをい -
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小川洋子の作品はあまり読んだことがなかったが、本屋で装丁とあらすじに惹かれて購入。
最高傑作。読むことをお勧めしたい。
舞台はとある島(架空の島だが、描写的にかなり日本的だと思った)。この島では、鳥、香水、春(季節)、左足など記憶が少しずつ消滅していく(記憶の消滅というのが少しややこしく、概念自体が消失するわけではなく、それ自体を思い出せなくなり、またそれを見たとしても、それに関する思い出を想起したり、使用用途・目的、どのような物だったかを具体的に把握することができなくなるし、興味も湧かなくなるというのが近いかな、、、ちなみになぜ記憶が消滅するのかは描かれない。それは超常現象・災害にも近い -
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チェスはルールぐらいしか知らないですが、タイトルに興味を持ったのと小川洋子さんだからという理由で手に取ってみました。
チェスに詳しくなくても、物語の中で美しく描写されるチェスの世界はぐいぐいとこちらを惹き込み、魅了してくれる。
チェスを通して大切な人たちと出会い、別れ、成長していく少年の一生が描かれている。象のインディラ、猫のポーン、少女ミイラ。チェスを教えてくれたマスター、老婆令嬢、総婦長。弟と、育ての親である祖父母。“リトル・アリョーヒン”。
一人ぼっちだった彼は、生まれたとき閉じきっていた唇に代わり、チェスで人と繋がっていく。
切なく物寂しい雰囲気が漂いながらも、優しい物語でした。マス -
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ネタバレこの本、本当に良かった。帝国劇場に関わった様々な人を書く短編集。帝国劇場に行ったことのない私でも、まさにこの本の案内をするかのように「案内係」の世界を描く「ホタルさんへの手紙」から始まる物語の世界にどっぷり浸かるようにして読んでいけた。
小川洋子さんの静謐な世界と観劇への愛、一見風変わりな、スポットの当たらない仕事を誠実に描き出す力が合わさって、素晴らしい短編集になっている。その人個人の物語と、演目の物語と、帝国劇場の持つ歴史が重層的に重なり合うところもすごい。小川洋子さんの物語の持つ一種の不気味さはちょっと影を潜めているけれど、演劇への愛が際立っていていいと思う。
どの物語もとても良いので迷 -
Posted by ブクログ
2025年2月に一時休館した帝国劇場がモチーフとなった短編集。本の遊び紙が、帝国劇場を彷彿させる色でした。
帝国劇場自体がプレゼントの入った箱のようで、中にはたくさんの働く人の矜持と素敵な出来事がつまっているような感じがしました。
ひとつの舞台を作り上げるために、細かいところにまで手が届くような仕事があり、それを読むのが楽しかったです。
帝国劇場を愛おしいと思う気持ちに満ち溢れた人たち、ひとりひとりにスポットライトを浴びさせたようなこの短編集、とても素敵でした。
小川洋子さんの表現力で、帝国劇場への情熱が見事に表現されていました。
私の本棚に、また一冊素敵な本が仲間入りしました。