小川洋子のレビュー一覧

  • 劇場という名の星座

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    帝国劇場を思い出しながら読んだ。
    フィクションだけど、この作品の中に書かれている人物や椅子が実在していたら…と想像しながら読むととても楽しかった。
    初めて帝劇に行ったのは子供の頃母に連れられて『レ・ミゼラブル』を観に行った時。最後に帝劇に行ったのも母と『レ・ミゼラブル』を観に行った時。
    私にとって帝劇は母と行く場所で、『レ・ミゼラブル』を観に行く場所だったんだなぁと改めて思った。
    でももっと他の作品を観たかったし、もっともっと通いたかった…
    新しい劇場はどんな感じになるのだろう。
    ステンドグラスの裏に住んでる少年がまた住める場所があるといいな。

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    2026年04月11日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    久々に小川洋子の小説を読んで、こんなにも暖かくて悲しい手触りだったのかと思い、感動した。ブラフマンという言葉の響きと、謎のまま「娘」によってはねられ、埋葬された生物。タイトルを思い出すたびに、「創作者の家」の噴水に入り込んだような気持ちになる。

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    2026年04月11日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    最初にこの本を書店で手に取った時、表紙の白い小鹿が人質となった人物の悲しさや絶望感を象徴しているのだろうか、と思いました。しかし、作品を読み終わると、白い小鹿の目が人質一人ひとりの大切な過去を見つめているような気がしました。人質の絶望感というよりも、物語の温かさが胸に残る小説でした。

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    2026年04月09日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    与えられた環境を受け入れて自由を手に入れる。人間の欲と切り離された慎ましく優しい綺麗なお話。肯定も否定もしない人間愛。心の傷がすーっと溶けて頭の中がクリアになるような気持ちになりました。

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    2026年04月08日
  • 博士の愛した数式

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    80分で記憶が消えるのは、良くも悪くもあるんだなと感じた。
    物語の最初から見える、ルートの人の気持ちを汲み取る能力は10歳なのにすごいものだと思った。
    記憶を思い出すために付箋を貼る動作をする、合間合間に博士が同じことを尋ねる描写を入れるなど細かいところまで書かれてて情景が浮かびやすかった。

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    2026年04月07日
  • 人質の朗読会

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    人質たちが暇つぶしに、何か一つ思い出を文に書き出して朗読し合おうとする。今必要なのは、じっと考えることと耳を澄ませることだ。これを読んで、
    小川洋子さんが「物語の役割」で、辛い現実を乗り切るための手段として物語がある、と語られていたのを思い出した。

    杖 子供の頃足を怪我した太った下っぱ工員さんに、のこぎりで切った枝を渡して助けてあげた。十数年後、交通事故で意識を失っていたわたしの頭の中に、工員さんがバーナーと立派なお面を持って現れて、足を治してくれた。目覚めたら、切断寸前だったらしい足は、どうにか持ち堪えてくれていた。バーナーとお面は、世界を壊すのではなく創り出すものだったと気付いた。

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    2026年04月06日
  • 劇場という名の星座

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    小川洋子さんの作品には、本当にハズレがなくて大好きな作家の1人なのだが、今回も素敵な物語だった。
    新しく生まれ変わるために取り壊される帝国劇場を舞台に8つの物語が紡がれる。劇場で働く人、観劇を楽しみに生きている人、劇場の中にいる少年、様々な観点から物語が進んでいく。
    連作短編ではないが、世界観が所々関わっているのもいい。
    登場人物は、決してしゃしゃり出ることなく帝国劇場の中に静かに佇んでいる。
    読み終わるとこの本を手に観劇に行きたくなる。
    そして幕間で読むのだ。
    いつまでも読んでいたくなる帝国劇場の愛に溢れた素晴らしい一冊だった。

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    2026年04月05日
  • 博士の愛した数式

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    言わずと知れた名著。

    どうやったら文にこれだけの温もりと包容力を
    持たせられるのか。
    ほんとうに場面としては何でもないところで
    涙が出てくる。

    『ルート記号の中に数字をはめ込むとどんな魔法が掛かるか、三人で試した日のことはよく覚えている。四月に入って間もない頃、雨の降る夕方だった。』
    たったの2文で数字と記号の世界から、
    緑の芽吹く色彩の世界へとつなっていく。

    この文章を日本語で読めることが幸せ。

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    2026年04月05日
  • 劇場という名の星座

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    舞台が好きで裏方を志すものです。小川さんが舞台を色々見ていらっしゃるというのは、エッセイなどを読んで知っていましたが、これほどまでに、我々が劇場に惹かれ、そこから感じる煌めき、ときめきを拾って文章化してくださるとは。内容はフィクションで具体的な他人の物語だけど、そこに介在する感情だったり、見える景色があまりにも自分の身に覚えがある。自分の今まで見てきた作品や、さまざまな劇場での思い出、大事な感情を言語化してくれてありがとう。普段表舞台で見える人の活躍だけでなく、劇場に関わる色んな人にもスポットを当ててくださってありがとう。人生ことあるごとに読み返したい、大事な1冊になりました。

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    2026年03月31日
  • 博士の愛した数式

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    みんなにおすすめして歩いてる。
    一文一文が優しくて愛に溢れた本だった。
    こんなに優しい文章があることを初めて知った。
    いい本すぎて小川洋子さんのことりも買った。
    私も無垢な人々を愛して、向けられた愛を全身で受け入れられる人になりたい。
    世の中は意外と単純なのかもしれない。
    涙が出そうになるのでかなり小分けに読んだ。
    カフェでは最後まで読めない。

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    2026年03月31日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    前作が好きだったので本作も手に取った。
    著者の人柄や姿勢が滲み出ているエッセイ集。
    特に読書や執筆に関するエッセイがとても心に響く。色々な情報が溢れた現代で、やはり小説が好きで、その世界を鑑賞し追体験し思索することの幸せ。小川さんが紹介した本も読みたくなった。

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    2026年03月28日
  • 博士の愛した数式

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    博士が隣にいて数学を教えてくれている。
    そんな風に感じさせるくらい博士は親しみを感じ、数学を愛し、その魅力を伝えてくれていると感じた。
    特に素数について、私は高校生の時は割り切れないことに違和感をもちあまり好きではなかった。しかし、この小説を通して見ると素数の魅力が感じとれ、この素数の次の素数は何だろうと考えてしまうくらい数字が楽しく感じた。
    主人公の息子、ルートと博士の間にはお互いに特別な信頼関係を築いている。博士はルートを一人の守るべきものと考え、記憶能力に支障があってもルートは博士のことを一人間として敬意を払う姿には胸を打つものがある。この信頼のもとのやり取りが終始変わらず流れており読ん

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    2026年03月23日
  • 博士の愛した数式

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    流石の記念すべき第1回本屋大賞受賞作品、心温まる素晴らしい小説だった。野球や数学はあまり詳しくないが、気にせず読み進められた。今後素数を見つける度に博士のことを思い出すと思う。

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    2026年03月23日
  • 博士の愛した数式

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    ネタバレ

    静かに、穏やかに、琴線に響く物語だった。
    「私」とルートと博士との間に流れる時間と情景が読書中の私自身を癒してくれました。

    ルートをおんぶしての帰り道の場面で、
    幼いころ、お祭りの夜店で大はしゃぎしすぎて疲れて眠くなった私をおんぶしてくれた亡き父を思い出した。
    父におんぶされた記憶は後にも先にもあの時だけ。嬉しくて、ずっとこのままでいたくて起きていたけど寝たふりをしていた私。
    あったかくて大きな父の背中。
    博士が父と重なって泣いてしまった。

    博士が走らせる鉛筆の音、ルートがチラシの裏を使おうとめくる音、夕飯の支度の音、かすかに流れるラジオの音声、優しく長く差し込む夕陽。幸せってこういう事な

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    2026年03月23日
  • 密やかな結晶 新装版

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    すごい。すごすぎる。こんなに美しい文章に出会ったことはないんじゃないかな。
    途中から、完全に作者の虜になってしまった。

    理不尽に消滅していく世界、受け入れる主人公と拒むR氏。
    受け入れちゃいけない、と頭では分かっていても、心が追いつかない。
    主人公の心がゆっくり消滅していくのと同時に、読んでいる私も理不尽を受け入れているように感じた。

    消滅の前に書き上げたタイプライターの小説。途中までは分からない事もあったけれど、最後が見事だった。消滅してゆく著者が、消滅を受け入れる小説を書き残したこと、悲しかったな。

    おじいさん……。優しくて大好き。

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    2026年03月19日
  • 海

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    再読。のはずなのに「風薫るウィーンの旅六日間」「バタフライ和文タイプ事務所」以外はほぼ記憶から抜け落ちてる。「風薫る」は不謹慎なすべらない話。「バタフライ」はなかなかに癖。「海」「銀色のかぎ針」「ガイド」が特によかった。

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    2026年03月17日
  • 密やかな結晶 新装版

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    いろんな感想があるのかもしれないけれど、私の感想としては、悲しい話であり怖い話であり、どこか「今リアルに起きていること」の話。
    なくなっていく現実に鈍感になっていくのも怖いけど、最後までなくなっていく現実に抗えないラスト1人になるのも怖いな。

    川上弘美さんと同じくで昔からあれこれ読んできた作家さんだけれど、小川洋子さんの話の多くには救われない人やネガティブな現実から脱するのを諦めた人が出てくる(私の印象)。元気なときに読んで悲しみと美しさに浸るのは幸せだけど、元気がないときに読むとけっこうキツい。

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    2026年03月17日
  • 密やかな結晶 新装版

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    小川洋子さんの記憶の消滅に関する小説。
    『博士の愛した数式』でも80分しか記憶を持たない数学者がおり、今回の小説と「記憶」というテーマで共通するところがある。

    儚く自然と涙がこぼれるような物語。
    モノが人々の記憶から消滅していくということは、モノに宿る人々の想いさえも無くしてしまうことなのかもしれないと感じた。

    私自身も数々の記憶を忘れてしまっているのだろう。
    ただ、今回小説を読んだことで、その時の想いや感情などできる限り日記に留めておきたいと感じた。
    それが記憶、その時の感情・情景を思い出すことに繋がると思うから。

    解説で、記憶しているがゆえに、迫害され、粛清される。そこで、ユダヤ人差

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    2026年03月17日
  • サイレントシンガー

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    毎日、夕方の5時になると町役場からの放送で「家路」が流れる。
    あまりにも自然に溶け込んだ歌声のため、人々は熱心に聴きいる事もなく、1日の区切りとして耳にしているだけで、誰が歌っているのかなどの関心を抱く者は誰もいなかった。

    この地域に、ちょっと変わった人々が暮らす集団が存在していた。
    彼らは極端な内気の性格のため、言葉を交わす人との関わりを避け、沈黙を優先した生活を営んでいた。
    その地域に、おばあさんと孫娘リリカの二人が雑用係として加わることになる。
    おばあさんはリリカを育てるために、この変わった人々が暮らす地域に職を得て、外部の人々との接触を担当する雑用係として働くことになる。

    リリカの

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    2026年03月16日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    題名に強烈に惹かれて手に取った。小川洋子のエッセイ。どの作品も読みやすい。印象的なのは題名と同じ話。ほんわかした内容かと先入観を持って心躍らせながら読み進めると「そうきましたか!」と膝を打っていた。発想力が素晴らしい。

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    2026年03月15日