小川洋子のレビュー一覧

  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    帝国劇場を主役とした8つの掌編、連作集。とはいえ劇場を取り巻くそれぞれの人々の描写が細かくかつ魅力的。

    「いくら世界一の舞台装置を作ったって、それは単なる機械にしかすぎない。生きている舞台にするには、そこに立つものが息をしてなくちゃ」

    筆者の小説以外のルポ、工場だったり職人を取材し描いた経歴が本作に見事に活かされている。職人的な裏方に各作品でスポットライトが当たる。舞台の上で演ずる役者が主役でないのが面白い。

    他の芸術とは異なる一発勝負かつ公演期間の長さによるドラマ。それらを支える名もなき人々の地味な人生への見事なエールでした。

    0
    2026年07月10日
  • 密やかな結晶 新装版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人々はそれぞれに、人生で出会った記憶の結晶を保存しておくための心の洞窟がある。あたたかな結晶もあれば、意図せずとも洞窟の壁に刻み込まれてしまったものまで。
    そこは誰かに見せるためではなく、誰かが足を踏み入れることを許すべき場所もなく、ただ自分がいつでもその結晶に触れることができる、非常に密やかで尊い空間。 


    この小説に出会えた素晴らしい体験を、洞窟にて大切に保管しておこうと思う。

    0
    2026年07月10日
  • 完璧な病室

    Posted by ブクログ

    作中人物が生きづらい日常を克服しながら、脆い夢を見続ける。あてもないせせらぎのように。人間の心に潜んである複雑な気持ちは計れ知れない。暗闇の中に生きていくしかないにも関わらずほんのりと儚い蛍が遠くから見えてくる日もある。悩ましい問題に臨んでいる登場人物が、一人一人読者の胸を鷲掴んで、底知れなく動揺させてくる。しかし著者が難しい話題に触れながら、さらさらと快く流れていくような言葉を使っている。傷ついた心の裏には萎んだ優しさの名残が残っている。

    0
    2026年07月09日
  • 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    業務日誌を見て肩の荷がおりました。身近に感じるようになったかなと思いつつこんなに感性が豊かな人はやっぱりいないと思いつつ

    0
    2026年07月09日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    そうそう、帝劇ってこういう場所だった。こんなふうに世界の全てを含んだ、最高に美しい劇場だった。新しくなるのは寂しいけど、あのころの帝劇がこんなふうに文字のかたちで残されていて嬉しい。この本があれば私たちは帝劇の色や匂いを忘れずにいられる。

    【読んだ目的・理由】帝劇を舞台にした小説と聞いて読みたくなったから
    【入手経路】買った
    【詳細評価】☆4.6
    【一番好きな表現】一枚のチケットを持ってさえいれば、ガラス扉で区切られた境界を踏み越え、今日一日、自分のためだけに用意された椅子に腰掛けることができる。誰もそれを邪魔できない。(本文から引用)

    0
    2026年07月06日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    博士の記憶が80分しか持たないからこそのストーリーの素晴らしさがあった。√と友達ってところがなんか良い。

    0
    2026年07月04日
  • 凍りついた香り

    Posted by ブクログ

    長編だったけど読み始めたら止まらなかった。プラハの旅は、私の心も美しく輝いていくようにも思えた。
    スケートするルーキーは彼の心そのもので、今頃は天国でたくさん踊ってジャンプしたり、スピンしているのだろうと祈りのような気持ちも覚える。算数を教えていたという最後のくだりは、私にとっても衝撃的。やっぱり大好きなものに、そこに戻っていくんだなぁとつくづく思う。 お腹いっぱいになった小説でした。

    0
    2026年07月03日
  • 人質の朗読会

    Posted by ブクログ

    『本を読む人はうまくいく』で紹介されていた本
    やっと読むことができた!
    人質の方たちが語るエピソードが、日常に潜むなんてことないものだったけど、どれも本当に綺麗で読み入ってしまった

    0
    2026年07月02日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    劇場というひとつの舞台において、劇が始まる時に始まっているわけではなく、観劇している人、演じている人だけであるわけではない。特別な場所だけど、特別ではない世界。

    0
    2026年06月27日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    最近読んだ中でいちばん世界を美しく編み直してみせてくれた本。物語りの二軸である「数学」と「野球」は、どちらかというと関わりを持たずに生きてきた分野。数学は好きでも得意でもなかったし、野球はいまだにルールの理解さえ曖昧という野球音痴だが、それでもこの物語に差す光のまばゆさを感じながら文字を追うことができた。中高の数学、やり直してみようかな?と最近本気で考え始めている。

    0
    2026年06月27日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    数学好きな私にはたまらない小説。数学の美しさ、魅力を最大限に引き出した表現と共に、そこに相応しい人の関わりがあり。80分しか記憶がもたないとかシングルマザーとか、義理姉と弟の関係性とか、どれも普通じゃないけれども、簡単には理解できないけれども確かに存在している静かな美しさ、慕情、愛。ここに存在している思いこそが私が1番惹かれる感情なのではないかなと思わせてくれる作品。フェルマーの最終定理も読んだので、より深く感じ入れた気がする。

    0
    2026年06月27日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    こういう小説が読みたいねん!と感じるくらいにとてもよい小説を読んだ気分です。
    全八編の短編集。ほっこりするし、しんみりするし、キャラクターは一生懸命だし、ファンタジックなところもよき。
    2年くらい前に観劇を趣味に加えたことと、自分にも大好きで応援している人がいることもあって、解像度が上がった気がする。
    小川さんの描いた設計図に従って、それぞれの短編がひっそりと接続されていくさまがとてもよくて、感動的だった。
    読み終わったあとには、行ったことも見たこともないのだけれど、ちゃんと自分の帝国劇場が頭の中に出来上がっていた。
    特にお気に入りは「一枚の未来を手にする」「スプリングゲイト」「劇場は待ってい

    0
    2026年06月27日
  • 海

    Posted by ブクログ

    小川洋子の短編集「海」。
    表題作では、結婚の承諾を得るため許嫁の実家を訪れた教師の「僕」と、許嫁の「小さな弟」との心の交流が描かれる。作中で演奏されない鳴鱗琴という楽器は、心に大切にしまっておきたい「思い出」のメタファーだと思う。子供の頃の楽しかった思い出や辛かった思い出、甘酸っぱい思い出、そして苦い思い出。それらを思い出すとき、いろいろな感情がよみがえってくる。そして、そうした感情は誰かと共有するのも良いけれど、そっと自分の中で愛でるのも良い。そう気づかせてくれる一編。

    0
    2026年06月26日
  • ことり

    Posted by ブクログ

    これほど人の生に関して美しく儚く残酷に書ける小川洋子の他に誰がいると思えるほどの作品だった。
    猫を抱いて象と泳ぐの時も思ったが一人の人間にフォーカスしてその人生を描いた作品の上手さは計り知れないものがある、
    小川洋子の文からしか感じ取れない独自の感情がそこにはあって風景や場所を頭で思い描くのではなく心の中にその本の世界が作られる様な感覚になる、そしてそこから匂い、音風が滲み出てきてそれがとても心地よく愛おしいのである。

    0
    2026年06月27日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    有名な物語だけど、いまさらながらようやく読めました。
    大学受験以降数学とは疎遠になったけど、数字の美しさにハッとさせられるエピソードがたくさん。
    博士の頑固さと暖かさ、親子の博士に対する敬愛が涙を誘う作品。

    0
    2026年06月26日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    かなり傷んでて、実家で古びて捨てられそうになってたから、(小学生の時も読んだし、読んでから捨てるか〜)と思ったけど、捨てらんないス!

    おしゃれすぎ。
    ひそやかに、でもここにしかない感情の共有がなされている。

    もうビデオテープが壊れちゃった博士が江夏の全盛期のカードをIDカードみたいに携帯してるの、良すぎる。その通りだね。
    人生が眩しかった頃で、永遠に止まってしまった博士が持っているのが、全盛期の1番活躍してた頃の江夏のカードなの、よく博士のことを表していると思う。

    ちっちゃい頃読んだ時の記憶だと「未亡人に博士取られた; ;」みたいな最後だった記憶だけど、全然そんなことなかった。ルートも中

    0
    2026年06月19日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    相変わらず小川洋子はいい。

    劇場というひとつの舞台だけで、さまざまな物語を生み出している。

    それぞれに人の気持ちが現れていて、読者に安心感を与えてくれる。また、全ての話が誰かの物語なんだと優しく教えてくれる。

    0
    2026年06月18日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    劇場に芝居を観に行ったことはないが、いずれは行ってみたいと思う。
    私は『レ・ミゼラブル』かなぁ。

    劇場には様々な空間や扉、椅子があり、それぞれの役割がある。
    劇場に集まる人たちとその中で働く人たちとの心温まる連作短編。

    0
    2026年06月17日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ

    あまりにも静かで言葉足らずな登場人物たちだけれど、ものすごくたくさん話をした気がする。大きな出来事なんてほんの数回しか起きなかったし、描写の一つ一つが繊細だけど発見に満ち溢れていている様が、読むほど疲れる。でも、読むほど癒される。

    小川洋子さんの新作「サイレントシンガー」を読んだばかりなので、言葉や心ををチェスの一手に込められる主人公が、サイレントシンガーのあの子ともリンクする。
    静かであること、言葉を尽くさないこと、言葉という枠組みで相手や世界を断じないことの尊さを、小川さんはずっと書いてるんだな。

    それにしても私たちはおしゃべりすぎる。この本に出てくる人たちのように、言葉足らずだけれど

    0
    2026年06月16日
  • 博士の愛した数式

    Posted by ブクログ

    よかった!!!!!!!
    小川洋子さんの本を初めて読んだけど、節々に言い表せない優しさ?を感じて、意味わからんところで度々泣きそうになった。

    0
    2026年06月16日