小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレヘンリー・ダーガー他、過去の人たちのエピソードから
インスパイアされ書かれた10の作品。
とても小川さんらしさに溢れた短編集。
母乳ババロアをこんなにさらっとそこに自然にむしろ必然的に
あるように書けるのは小川さん以外いない、と思います。
過去の人たちのエピソード自体も面白く
装丁もとても良かったです。断然文庫派なので
文庫待ちですが違う絵になってしまってたら
ハードカバーを買うかも。。
2025年10月7日再読
結局文庫を購入しました。
1度目のときに書いた「母乳ババロア」が書かれた作品で
「再読だわ…」と思い出しました。
誘拐の女王
主人公よりお姉さんのその後が気になります
散 -
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朋子が過ごした立派なお屋敷ではないけれど、子どものころ、一時期祖母の家で過ごした日々が、今でも色濃い思い出となっていることを、改めて感じました。
朋子にもミーナにも、伯父や伯母、ローザおばあさん、米田さんに小林さんにも、朋子の母にも、そしてポチ子にも心のどこかに影はあって、それでも、温かく過ごした日々を想像すると涙が滲みます。
そして、いつか来るお別れも、すべてが消え去ってしまうわけではなくて形をかえるだけなのだと思うと、私自身にも必ずいつかは訪れる様々な人との別れ、自分自身との別れ(本作を読んだあとでは、別れという表現は違う気がしますが)が、恐ろしいものではないのかも知れないなと思うこと -
Posted by ブクログ
ネタバレ何かの比喩かな?と思った「人質の朗読会」というタイトル、そのまま「人質の朗読会」の話でした。
その人質は全員亡くなったことが明かされ、複雑な気持ちで読み始めることになります。
人質となってから時間も過ぎ、少し周りを見る余裕ができる頃。囚われの身である8人もだんだん打ち解けてきたのかな。
殺伐とした状況の中で、せめて穏やかな時間を過ごすためにできる事。
未来がどうなるわからない今、絶対に確かな過去の記憶を思い出し、したため、語る事。そしてそれに耳を傾ける事。
それで自分を、お互いを支えていたのかな。生きるための朗読会であることは間違いなく、だから切ない。
他人からしたらなんて事ない出来事だ -
Posted by ブクログ
『小川洋子のつくり方』の中の全作品紹介を読んで興味を持った一冊。
大学で心理学を専攻した身として、河合隼雄はもちろん知っていたけれども、なぜかどうしても著書を読む気持ちにならず、当時周りがみんな読んでいたのに、何となく話を合わせて読まなかったわたし。
今この本に出会えて良かった。
''人間は矛盾しているから生きている、整合性のあるものは生き物ではなく機械です''
矛盾を意識し、折り合いをつける。その折り合いの付け方が個性であり、物語だ、と。2人がそこで共感していて、共感し合えることが素晴らしいと思った。
その物語を小説にして見せてくれる小川洋子さんの -
Posted by ブクログ
すごく面白くて1時間半ほどで一気読み。見学する工場に基準はなく、とにかく著者の気になる工場に行ったそう。
出てくる工場は、
·エストロラボ(細穴屋)
·グリコピア神戸
·桑野造船(ボート)
·五十畑工業(サンポカー)
·山口硝子製作所(ガスクロマトグラフィーの部品)
·北星鉛筆
時々出てくる著者の妄想劇が面白くてクスッとする。作家さんってやはり想像力が豊かなのだろうか。
また、工場見学のレポは細やかで温かな視点で書かれており、これまた笑ったり、なるほどと唸ったりと読んでいてとても楽しかった。
同著者の『科学の扉をノックする』も読んでみたくなった。 -
Posted by ブクログ
最後まで読み終わるのが本当に嫌だった。この優しくて静かな物語が終わってしまうのが寂しくて寂しくて、残り数ページを捲るのが躊躇われた。
私はチェスのルールなんてこれっぽっちも知らなかったけれど、だからこそチェスの宇宙をその広さを存分に味わえたのかもしれない。
カツカツと音を立てながら敵陣に攻め入っていくチェスというゲームはただただかっこいいものだと思っていた。こんなに優しさに満ちているなんて知らなかった。
物語に出てくる彼らが特別に不幸とか幸せ者だとかではない。なのに満ち足りた気持ちとまだ何か物足りなさと、二つの空気が一緒にあって今までにない読書体験でした。
特にエチュードでS氏とみんなで -
「ブラフマンの埋葬」
この小説は、人にも場所にも名前がないおとぎ話だ。年代不詳、どこかの国の、山と海と川と沼に囲まれた村。
芸術家の桃源郷「創作者の家」で管理人を務める若者の僕は、森で親とはぐれた小動物を「ブラフマン」と名付けて飼い始める。
よそ者の男とつきあう雑貨屋の娘への僕の恋心。
ひと夏が過ぎ、季節風が死の気配を運んでくる。
この得も言われず愛らしい生き物がなんという動物なのか書かれていないが、そこが限りない夢想を誘って効果的だ。
読み手に具体像を思い描かせない力があり、それがこの小説をファンタジー以上のものにしているのだ。
映像文化に押されている小説だが、この小説を読むと、今もって言葉だけに成し得る魔