小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あまりにも静かで言葉足らずな登場人物たちだけれど、ものすごくたくさん話をした気がする。大きな出来事なんてほんの数回しか起きなかったし、描写の一つ一つが繊細だけど発見に満ち溢れていている様が、読むほど疲れる。でも、読むほど癒される。
小川洋子さんの新作「サイレントシンガー」を読んだばかりなので、言葉や心ををチェスの一手に込められる主人公が、サイレントシンガーのあの子ともリンクする。
静かであること、言葉を尽くさないこと、言葉という枠組みで相手や世界を断じないことの尊さを、小川さんはずっと書いてるんだな。
それにしても私たちはおしゃべりすぎる。この本に出てくる人たちのように、言葉足らずだけれど -
Posted by ブクログ
小川洋子の作品はあまり読んだことがなかったが、本屋で装丁とあらすじに惹かれて購入。
最高傑作。読むことをお勧めしたい。
舞台はとある島(架空の島だが、描写的にかなり日本的だと思った)。この島では、鳥、香水、春(季節)、左足など記憶が少しずつ消滅していく(記憶の消滅というのが少しややこしく、概念自体が消失するわけではなく、それ自体を思い出せなくなり、またそれを見たとしても、それに関する思い出を想起したり、使用用途・目的、どのような物だったかを具体的に把握することができなくなるし、興味も湧かなくなるというのが近いかな、、、ちなみになぜ記憶が消滅するのかは描かれない。それは超常現象・災害にも近い -
Posted by ブクログ
チェスはルールぐらいしか知らないですが、タイトルに興味を持ったのと小川洋子さんだからという理由で手に取ってみました。
チェスに詳しくなくても、物語の中で美しく描写されるチェスの世界はぐいぐいとこちらを惹き込み、魅了してくれる。
チェスを通して大切な人たちと出会い、別れ、成長していく少年の一生が描かれている。象のインディラ、猫のポーン、少女ミイラ。チェスを教えてくれたマスター、老婆令嬢、総婦長。弟と、育ての親である祖父母。“リトル・アリョーヒン”。
一人ぼっちだった彼は、生まれたとき閉じきっていた唇に代わり、チェスで人と繋がっていく。
切なく物寂しい雰囲気が漂いながらも、優しい物語でした。マス -
Posted by ブクログ
美しく、そして悲しい物語だ。
森、泉、果てしなく広がる草原。これ以上ない大自然の中に「創作者の家」があり、あらゆる芸術家がそこを訪れては楽器を演奏し、小説を書き、編み物をしては帰って行く。「僕」はそこに住み込みで創作者達のお世話係をしている。ある日、母親からはぐれて傷ついた動物が迷い込んできたのを保護し、「ブラフマン」と名付けた。そこからが僕とブラフマンの濃密な生活の始まり。僕はこよなくブラフマンを愛し、かわいがり、ブラフマンは僕を慕い甘える。寝る時は存在を確かめるように尻尾を絡め、姿が見えないと不安がる。もう可愛くて仕方がない。犬とおんなじ。でも犬じゃないんですよね。犬のように賢いけど水かき -
Posted by ブクログ
もっと早く読みたかった!素晴らしい本です。
私も文学部出身なので、科学者の方々の思想や思考にはとても興味がありつつも、きっと自分には理解できない範疇なんだろうって、諦めていました。伝記を読むくらいしかしてこなかったかな。
そりゃあ土台も何も無いのにいきなり論文を理解しようなんて無謀ですが、今回小川洋子さんのアプローチで見事に私も科学の扉まで辿り着けた気がしています。(そう思い込む事がきっと大事だし楽しいです♪)
7人の方々の好奇心、探究心、そして人間はまだまだという謙虚な姿勢、とても感動しましたし、お話の一つ一つも本当〜に面白かった。
虚数の話、高校一年の時に聞きたかったです、数学を敬遠し -
Posted by ブクログ
多分小さな子供、胎児ないし大人の生殖能力に感染する病かなにかが流行って残された大人だけが未来が閉ざされた世界で細々と暮らし続ける話、なのかしら。もう子供が育たない産まれないとなれば物理破壊の災害がなくても社会は廃れていくのでしょう。犯罪も大して無さそうで、昔は荒れたこともあったけど今はやったところで...という諦観が乾いた砂のように降り積もる世界。その中で唯一の未来の拠り所がガラスの箱だった。
しんみりと読んでいたらいきなり(いきなりでもないが)えろいことが始まったので面食らったが、生殖を伴わない睦事とはこういうことか…という気持ちで読んだ。