小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“静かな革命”みたいな言葉が似合う小説だなと思った。主人公の少年は自分の大切なものと平穏を守るために、残酷な現実と向き合い、時には対峙し、時には逃げ出す。その現実の残酷さにすら気がついていない時もあり、意味がわからないまま大人の世界に翻弄されてしまうけれど、実際生きていてもそんなことは起こりうる。少年の優しさと信念は、自分を変化させながら、時には変化しないことを目標にしながら、ゆるやかに人生を包み込んでいく。小川洋子さん初読みだけど、すっごいわ。
とにかく序盤から話がどう転がっていくか全く予想できない。先に背表紙を見ていたからチェスの話と知っていて読んだけれど、少年とチェスとの出会いの前にも -
Posted by ブクログ
博士の愛した数式が良かったから他の読も〜と思って、小川洋子が好きという人からおすすめされて読んだ。短編です。けど、4つあるうちの3つは苦手だった。(冷めない紅茶は良かったよ)
はっきり言うと胸くそ系だと思う。でも、主人公の心の中で思っていることや自分が嫌悪する世界を見る視線の残酷さ、悲しいことに、認めたくないんだけど、それはどこかで知っている気がする。それを言語化して突きつけられると、だとして何?って言いたくなってしまう。自分の中に心当たりがあるが故にこうやって怒りのような気持ちが湧いてくるんだと思う。不快感、というか不愉快感?
はぁ〜、まじでここまで変態性を描かれてしまうと暗い気持ちになるよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ消滅を受け入れていく人々に、悔しさからくる怒りのような感情が湧いた私はR氏側なのだと思う。
でも、年老いていつか記憶というものが不確かになって、身体が自分のものではないように感じた時、すべてを静かに受け入れていくというのもまた1つの方法なのではないかとも思った。
そうなるまで、消滅のない私は、忘れてしまったことを時々思い出しながら、記憶を大切に日常を送ろうと思った。この先の人生で何かを失ったら、「密やかな結晶」は誰にも奪えないことを思い出したい。
ナチスやコロナ禍の社会を元に込められた壮大なメッセージはもう少しじっくり考えてみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』『ブラフマンの埋葬』を過去に読んだことあり。ブラフマンがかなり純文系で、以降あまり手に取らず。久々に手に取った。
いい本だった。やはり作家の書く文章に限る。半端な訳者の文とは読みやすさが違う。
西の魔女よろしく、田舎での素敵な思い出が綴られた形式の作品。日常のちょっとした所作や会話に光を当てて、美しさを感じさせる文章だった。
ちょっと自分でもやってみる。
好きな季節というものが決まっていなかったのだが、今年で明確に「秋」になった。
仕事から逃げるように、金曜日の午前中に、メトロにのって江戸川の汽水域に。太陽光をキラキラと跳ね返す川面を眺めな -
Posted by ブクログ
ネタバレヘンリー・ダーガー他、過去の人たちのエピソードから
インスパイアされ書かれた10の作品。
とても小川さんらしさに溢れた短編集。
母乳ババロアをこんなにさらっとそこに自然にむしろ必然的に
あるように書けるのは小川さん以外いない、と思います。
過去の人たちのエピソード自体も面白く
装丁もとても良かったです。断然文庫派なので
文庫待ちですが違う絵になってしまってたら
ハードカバーを買うかも。。
2025年10月7日再読
結局文庫を購入しました。
1度目のときに書いた「母乳ババロア」が書かれた作品で
「再読だわ…」と思い出しました。
誘拐の女王
主人公よりお姉さんのその後が気になります
散