小川洋子のレビュー一覧

  • 密やかな結晶 新装版

    Posted by ブクログ

    小川洋子の作品はあまり読んだことがなかったが、本屋で装丁とあらすじに惹かれて購入。

    最高傑作。読むことをお勧めしたい。

    舞台はとある島(架空の島だが、描写的にかなり日本的だと思った)。この島では、鳥、香水、春(季節)、左足など記憶が少しずつ消滅していく(記憶の消滅というのが少しややこしく、概念自体が消失するわけではなく、それ自体を思い出せなくなり、またそれを見たとしても、それに関する思い出を想起したり、使用用途・目的、どのような物だったかを具体的に把握することができなくなるし、興味も湧かなくなるというのが近いかな、、、ちなみになぜ記憶が消滅するのかは描かれない。それは超常現象・災害にも近い

    0
    2026年06月13日
  • ブラフマンの埋葬

    Posted by ブクログ

    一つ一つの風景が淡い印象で
    キレイに流れていく感じでした。
    その中でも娘の登場が何となく色が濃く
    何かありそうな気配でした。
    最後の結末で、全体の淡い色が
    強め絵の具で、塗られたような、、。
    でも、ホルンの音と、レースのおくるみが
    また、淡い色に戻してくれた。
    小川先生の作品は、2冊目ですが
    本当に後から、ジワジワと残ります。

    0
    2026年06月12日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ

    最初は退屈かもしれないと思いながら読み進めていましたが、気が付いたら、とても静かな世界に引き込まれていました。大切な本のひとつになりました。

    0
    2026年06月11日
  • そこに工場があるかぎり

    Posted by ブクログ

    普通の工場でも
    小川さんのまなざしを通してみると
    かけがえのないもので輝いて見えてくる。

    知識としては知っていたことでも
    改めてその価値を教えてもらえるし、
    まったく知らなかった価値も知ることができる。

    いくら機械化されていても
    日本人らしい職人技はどこにでも息づいていて、
    自分のようにガバガバの感覚と思い通りにならない手先(障がいというわけではない)(ただの不器用)だとどうにもならない領域が多いことを改めて知らしめられたりもする。

    0
    2026年06月09日
  • 琥珀のまたたき

    Posted by ブクログ

    大きな庭と古い館の中で、そっと声を小さくして、紡がれる、家族だけの豊かな時間。とらわれているようで、どこまでも自由で、美しく広く、深い世界を自ら編み出せる人たち。大自然のなかで、耳を澄まして、手を伸ばして、見えないもの、聞こえないものにまで触れようとする繊細な世界。

    もう少し大人になったら、荒々しい性の目覚めなどで、綻んでしまうのかもしれないけれど、その寸前までの時間が、琥珀の中にぎゅっと閉じ込められているみたい。
    美しい世界、堪能しました。

    0
    2026年06月08日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ

    チェスはルールぐらいしか知らないですが、タイトルに興味を持ったのと小川洋子さんだからという理由で手に取ってみました。
    チェスに詳しくなくても、物語の中で美しく描写されるチェスの世界はぐいぐいとこちらを惹き込み、魅了してくれる。

    チェスを通して大切な人たちと出会い、別れ、成長していく少年の一生が描かれている。象のインディラ、猫のポーン、少女ミイラ。チェスを教えてくれたマスター、老婆令嬢、総婦長。弟と、育ての親である祖父母。“リトル・アリョーヒン”。
    一人ぼっちだった彼は、生まれたとき閉じきっていた唇に代わり、チェスで人と繋がっていく。
    切なく物寂しい雰囲気が漂いながらも、優しい物語でした。マス

    0
    2026年06月07日
  • ミーナの行進

    Posted by ブクログ

    子どものころの感性を大人が再現するのはむつかしい。感動する閾値も違うし、そもそも物理的に見ている視点が違う。大人は、虫を見て仲間だと共通点を探すことはないし、星を見てその燃え尽きる瞬間に想いを馳せることもしなくなる。だから文学が必要なのだ。

    0
    2026年06月07日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本、本当に良かった。帝国劇場に関わった様々な人を書く短編集。帝国劇場に行ったことのない私でも、まさにこの本の案内をするかのように「案内係」の世界を描く「ホタルさんへの手紙」から始まる物語の世界にどっぷり浸かるようにして読んでいけた。
    小川洋子さんの静謐な世界と観劇への愛、一見風変わりな、スポットの当たらない仕事を誠実に描き出す力が合わさって、素晴らしい短編集になっている。その人個人の物語と、演目の物語と、帝国劇場の持つ歴史が重層的に重なり合うところもすごい。小川洋子さんの物語の持つ一種の不気味さはちょっと影を潜めているけれど、演劇への愛が際立っていていいと思う。
    どの物語もとても良いので迷

    0
    2026年06月06日
  • 続 遠慮深いうたた寝

    Posted by ブクログ

    小さな命の塊
    人の身体を丸ごと抱き留める経験は、そうたくさんできるものではない。私も小さい頃、両親や祖父母や見知らぬ誰かに、抱っこしてもらったはずた。その記憶は残っていない。しかし、大人になっても、名前も知らず、これから二度と会う機会もないだろう誰かを抱っこすることが、こんなにも幸福なのは、思い出せない遠い記憶がかけがえのないものだからだろう。

    0
    2026年06月06日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    2025年2月に一時休館した帝国劇場がモチーフとなった短編集。本の遊び紙が、帝国劇場を彷彿させる色でした。

    帝国劇場自体がプレゼントの入った箱のようで、中にはたくさんの働く人の矜持と素敵な出来事がつまっているような感じがしました。

    ひとつの舞台を作り上げるために、細かいところにまで手が届くような仕事があり、それを読むのが楽しかったです。

    帝国劇場を愛おしいと思う気持ちに満ち溢れた人たち、ひとりひとりにスポットライトを浴びさせたようなこの短編集、とても素敵でした。

    小川洋子さんの表現力で、帝国劇場への情熱が見事に表現されていました。

    私の本棚に、また一冊素敵な本が仲間入りしました。

    0
    2026年06月03日
  • 劇場という名の星座

    Posted by ブクログ

    演劇の舞台である劇場。その中でも長い歴史と大きなキャパシティーを持つ帝国劇場がこの連作短篇集の主役だ。収録された8篇には、観客や劇場スタッフ、俳優などが登場し、彼らの“特別な一日”が描き出される。演劇愛に満ち溢れた筆致で語られる物語はとても読みやすく、最近の小川さんの作品に感じていた難解さはなかった。
    帝劇は名前はもちろん知っているし訪れたこともあるが、そこで演劇を鑑賞したことはない。作中に登場するのは超有名なタイトルばかりで(観たかったな……)と思わされた。

    0
    2026年05月30日
  • ブラフマンの埋葬

    Posted by ブクログ

    美しく、そして悲しい物語だ。
    森、泉、果てしなく広がる草原。これ以上ない大自然の中に「創作者の家」があり、あらゆる芸術家がそこを訪れては楽器を演奏し、小説を書き、編み物をしては帰って行く。「僕」はそこに住み込みで創作者達のお世話係をしている。ある日、母親からはぐれて傷ついた動物が迷い込んできたのを保護し、「ブラフマン」と名付けた。そこからが僕とブラフマンの濃密な生活の始まり。僕はこよなくブラフマンを愛し、かわいがり、ブラフマンは僕を慕い甘える。寝る時は存在を確かめるように尻尾を絡め、姿が見えないと不安がる。もう可愛くて仕方がない。犬とおんなじ。でも犬じゃないんですよね。犬のように賢いけど水かき

    0
    2026年05月24日
  • 科学の扉をノックする

    Posted by ブクログ

    もっと早く読みたかった!素晴らしい本です。

    私も文学部出身なので、科学者の方々の思想や思考にはとても興味がありつつも、きっと自分には理解できない範疇なんだろうって、諦めていました。伝記を読むくらいしかしてこなかったかな。
    そりゃあ土台も何も無いのにいきなり論文を理解しようなんて無謀ですが、今回小川洋子さんのアプローチで見事に私も科学の扉まで辿り着けた気がしています。(そう思い込む事がきっと大事だし楽しいです♪)

    7人の方々の好奇心、探究心、そして人間はまだまだという謙虚な姿勢、とても感動しましたし、お話の一つ一つも本当〜に面白かった。
    虚数の話、高校一年の時に聞きたかったです、数学を敬遠し

    0
    2026年05月23日
  • 密やかな結晶 新装版

    Posted by ブクログ

    引き込まれてどんどん読んでしまう、怖い童話のような物語。でも、不思議とすべてが美しく、静かで、怖ろしくない。いや、あたたかささえ感じる。

    0
    2026年05月20日
  • 小箱

    Posted by ブクログ

    多分小さな子供、胎児ないし大人の生殖能力に感染する病かなにかが流行って残された大人だけが未来が閉ざされた世界で細々と暮らし続ける話、なのかしら。もう子供が育たない産まれないとなれば物理破壊の災害がなくても社会は廃れていくのでしょう。犯罪も大して無さそうで、昔は荒れたこともあったけど今はやったところで...という諦観が乾いた砂のように降り積もる世界。その中で唯一の未来の拠り所がガラスの箱だった。
    しんみりと読んでいたらいきなり(いきなりでもないが)えろいことが始まったので面食らったが、生殖を伴わない睦事とはこういうことか…という気持ちで読んだ。

    0
    2026年05月20日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    生まれつき唇に不具合を持つ少年がチェスに光を見出す。

    デパートの屋上の象のインディラ、プールの水死体、バスの家に住むマスター、そこかしこに死が纏わりつく中で少年は体格は少年のまま青年に、チェスで生きていくようになる。

    現代のおとぎ話のような。圧倒的。

    文庫の裏表紙に「小川ワールドの到達点を示す傑作」とありますが本当にそうなのかもしれない。ずっと積んでおいたんですがとうとう読んでしまった。読んでしまったね…、と思わせてくれる作品。個人的にこれを超える作品ってそうそう無さそう。

    0
    2026年05月20日
  • 海

    Posted by ブクログ

    静かで無駄のない
    まっすぐな
    文章が読みたくなって選んだ本。
    間違いなかった。
    大きな出来事は何もなく
    ただ人と人の交流を
    冷静に見つめ
    簡素な言葉で
    そのまま紡いでいるだけなのに
    記憶という
    やさしい毛布に
    くるまれているような心地だった。
    「ありふれた言葉にこそ
    真実が宿っているんだ」
    そんな言葉たちに
    背筋をしゃんと伸ばされる。

    0
    2026年05月19日
  • 科学の扉をノックする

    Posted by ブクログ

    素晴らしい一冊でした。

    科学に対する小川さんの姿勢が素敵すぎる。
    テーマは「宇宙」、「鉱物」、「遺伝子」、「スプリングエイト」、「粘菌」、「遺体科学」、「肉体生理」。
    それぞれの専門家に小川さんがインタビュー。
    わかりやすい解説だけれど、それだけでは終わらない。
    科学を通して、それぞれの人生、生き方が描かれている。
    これからの自分の生き方が変わってきそう。

    この本もみんなに読んでもらいたい一冊です。

    0
    2026年05月14日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

    Posted by ブクログ


    窮屈な場所で限りの無い思考の世界に入り込むお話。

    おばあちゃんの布巾や唇の脛毛など
    みんな少し気になるポイントがあるけど
    それが愛着に変わるのが不思議。

    響いた。

    2026.05.04-64冊目/年

    0
    2026年05月12日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

    Posted by ブクログ

    「生きる意味」は?と聞かれて「死ぬまで生きる」と答える人生を歩んできました。多分そこには「自分らしい人生」をおくる、という物語があった気がしました。
    人の命は短く、ままならない。その中に自分だけの物語を紡ぐことが全ての人に、必要なのだと、改めて考えさせられました。
    そして、架空の良質な物語を紡ぎ出す、小川さんをはじめとする文筆家の魔法で、我々は日々生きているのだと、感謝です。

    0
    2026年05月10日