小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
8つの短編の中で『亡き王女のための刺繍』は小川洋子さんならではの妖しい毒っ気が美しかった。『かわいそうなこと』も良かったなあ。敏感なアンテナを大人になっても持ち続けている作者は日々の中で辛くなることはないのだろうかと心配になると同時に羨ましい。
でも、一番好きだったのは『一つの歌を分け合う』。同じ時代を生きる人たちは大縄跳びみたいに次々この世を抜けていく。だけどそれはおしまいじゃなくて、帰れる、焦がれた人たちに合流できるという優しい気持ちで越えられる一線。レミゼラブルから受け取れるうちのそんなひとつを、たった二十数ページで表せられるのがすごい。 -
Posted by ブクログ
この人の文章、多分特に自分のツボなんだろうけど本当に魅力的。
小説の面白さの一つは、読み進めながら自分なりに想像を膨らませて着色していくところにあると思うけど、この作品ほど読者に想像のゆとりを設けてるものは無いように思う。
建物ひとつとっても、動物ひとつとっても、読む人によってまったく違った色形で記憶になっているような気がする。
小川洋子さんにしか書けないこの尊さというか、儚さというか、整いきった危うさはなんなんだろう。
沈むみたいに、縋るみたいに、飲み込まれるみたいに、ずうっと文章を読んでいたくなって、不思議。
今作においては、人物などの固有名詞が出てこないという世界観も