小川洋子のレビュー一覧

  • 科学の扉をノックする

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    科学のスペシャリスト7人のお話は、平凡な暮らしをしている私には到底聞き及ぶ事のない分野のお話ばかりで、時に難解なものがあるのは当然のこととして、とても興味深く貴重なお話の数々、感動しながら読みました。
    そもそも科学の扉をノックする小川洋子さんが流石だな〜というのと、それを読みやすくまとめてあるのがまたすごい。

    村上和雄先生のサムシンググレート。
    アポロ宇宙飛行士もその言葉を発したのではなかったでしょうか。
    偉大なる何ものか。先生の本も読んでみたい。

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    2025年09月21日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    『小川洋子のつくり方』の中の全作品紹介を読んで興味を持った一冊。
    大学で心理学を専攻した身として、河合隼雄はもちろん知っていたけれども、なぜかどうしても著書を読む気持ちにならず、当時周りがみんな読んでいたのに、何となく話を合わせて読まなかったわたし。
    今この本に出会えて良かった。

    ''人間は矛盾しているから生きている、整合性のあるものは生き物ではなく機械です''
    矛盾を意識し、折り合いをつける。その折り合いの付け方が個性であり、物語だ、と。2人がそこで共感していて、共感し合えることが素晴らしいと思った。

    その物語を小説にして見せてくれる小川洋子さんの作品は、だから心に響くのか。

    「傍にいること」の章では、''苦しみ、悲しみを受け止め、一緒に苦しむけど、望みを失わずにピッタリ傍にいれればもう完璧''だ、と。
    娘に対しても、仕事上でも、常に心に留めて行動すべき金言だと思った。

    必要な時に必要な本に出会えるんだなぁ。

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    2025年09月15日
  • そこに工場があるかぎり

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    すごく面白くて1時間半ほどで一気読み。見学する工場に基準はなく、とにかく著者の気になる工場に行ったそう。

    出てくる工場は、
    ·エストロラボ(細穴屋)
    ·グリコピア神戸
    ·桑野造船(ボート)
    ·五十畑工業(サンポカー)
    ·山口硝子製作所(ガスクロマトグラフィーの部品)
    ·北星鉛筆

    時々出てくる著者の妄想劇が面白くてクスッとする。作家さんってやはり想像力が豊かなのだろうか。

    また、工場見学のレポは細やかで温かな視点で書かれており、これまた笑ったり、なるほどと唸ったりと読んでいてとても楽しかった。

    同著者の『科学の扉をノックする』も読んでみたくなった。

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    2025年09月14日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    かなり食らった
    官能小説だと聞いて読んだが官能的なものもエッセンスにありつつも穏やかで脆く儚い小川ワールドが広がっていて、それに加えていつもよりも激しさを増した表現が響いた
    主人公の気持ちに入り込みやすかった 心情表現の奥ゆかさも凄い

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    2025年09月07日
  • ブラフマンの埋葬

    「ブラフマンの埋葬」

    この小説は、人にも場所にも名前がないおとぎ話だ。年代不詳、どこかの国の、山と海と川と沼に囲まれた村。

    芸術家の桃源郷「創作者の家」で管理人を務める若者の僕は、森で親とはぐれた小動物を「ブラフマン」と名付けて飼い始める。
    よそ者の男とつきあう雑貨屋の娘への僕の恋心。

    ひと夏が過ぎ、季節風が死の気配を運んでくる。
    この得も言われず愛らしい生き物がなんという動物なのか書かれていないが、そこが限りない夢想を誘って効果的だ。

    読み手に具体像を思い描かせない力があり、それがこの小説をファンタジー以上のものにしているのだ。
    映像文化に押されている小説だが、この小説を読むと、今もって言葉だけに成し得る魔術がある事を再認識させられた。

    ブラフマンとは何者だろう? 象徴的な解釈はいろいろあるだろうが、読み終えて、ほーっとため息をつくしかなかった。

    小川洋子の小説は、いつも余韻がとりわけ素晴らしいのだ。

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    2025年09月02日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「生きるとは、自分の物語をつくること」
    物語は、既にそこにある。
    なんか、分かりそうな言葉だなと、最近感じる。自分の視野で見えているものは一時的で、その瞬間瞬間に過ぎないけれど、人が生きてるだけで、それは全く瞬間的でない。そこには間違いなく過去があって、歴史があって、今までとの繋がりがあって、多様な偶然が折り合った果てに、今の自分がここにいる。
    何となく毎日を生きてると、すぐに忘れてしまうし、今この感想を書いている間も、自分が「そういった意味」で現実を見れているかと問われると、見たいように認知している部分があるし、確かとは言えないよなと感じる。
    近代化学の発展から、合理的で効率的であることが求められる社会だけど、個人的には、そういう「物語」とか、その人がそこに存在してる理由,意味みたいなものが魅力的だと最近感じるし、それを社会の渦に巻取られて忘れてしまわないようにありたいと、思う。でも、自分は能力値が高い訳では無いし、中々難しいだろうなと感じてもいる。
    だから、今を大事にしたい。最近、思い出に支えられていると感じることがある。それは全部事実だけど、母の愛だったり、家族の愛だったり、誰かの労りとか,「思い」であることが多くて、思いが形には見えないけれども、確かに存在するのだから、今を大事にしたいかな、とか考える。
    うっちーにこの前言われた、「逃げてる」ってのもそうだと感じるし、相変わらず常時焦ってばっかな感じは拭えないし、「浅はか」なのだなと論理的に思うことも多々あるが、それでも、生きていけたらなぁと、思う、感じる。

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    2025年08月12日
  • ミーナの行進

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    ネタバレ

    宝塚の祖母の家には、暖炉や三角天井の屋根裏部屋や網戸にできる裏口や裸足で駆け回れるフカフカ芝生の広い庭があって大好きだった。庭には大きな桃の木と柑橘の木が植えられていて、夏休みに遊びに行くと桃の実には新聞紙を折った袋がかけてあり、柑橘の木にはアゲハの幼虫がいた。
    父と母が離婚して、その家に行くことは許されなくなってしまったので、そんなことももうずっと忘れていた。でもこの本を読んで、その家で過ごした夏休みのことを鮮明に思い出した。

    ミーナがベッドの下に書き溜めて隠したお話が、存外に暗いものだったことで、彼女が身近に死を感じていたのだと分かる。
    朋子は「完璧な家」に「全員が揃う」ことが何より大切で、子供心に叔父さんの行動にストレスを感じている。
    おばあさんは独りで日本に来たことで、家族が皆ナチスによって失われ自分だけ生き残った悲しみを抱えている。
    叔母さんも、米田さんも、小林さんも、お兄さんも…

    そういった各々の薄曇りを感じさせながらも、思春期の少女2人が1年間子供らしい伸びやかさで成長していくストーリー。一日が30時間くらいあったあの頃。

    祖母の家を、大人になってストリートビューで覗いてみたら、平凡な家でささやかな庭だった。
    それも何年か後には住宅地一帯が取り壊され、マンションになった。
    でも朋子の記憶に鮮明に残るあの家のように、祖母の家とあの庭も、私の中に永遠に在り続ける…

    何度も読み返したくなる一冊になりました。

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    2025年08月11日
  • 遠慮深いうたた寝

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    「ほんの数ページしかない小説でも、一度読んだだけでは見えてこない世界が隠れている。活字の間からこぼれ落ちてしまう何かがある。安易に分かったつもりになるのは、読み手の傲慢さに他ならない。──だからこそ再読には意味があるのだと思う。百年でも二百年でも小説は、書かれた時のままの形でそこにあり続ける。にもかかわらず、読み手の成長や社会の変化によって、見せる姿が違ってくる。その時必要とされているものを、差し出してくれる。つまり小説は、作家一人の力で書かれるのではなく、読者の働きがあって初めて、成立できるのだ」

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    2025年07月30日
  • ホテル・アイリス

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    ネタバレ

    読者を選ぶ内容だと思いますが
    すごく主人公に共感しました

    変わらない日々、どうしようもない嫌悪と、母親(他人)殻否定される主人公、だけど今現状の世界から出ていくことはできない少女
    そんな少女はたまたま老人に恋をした、それが汚い罵り言葉から始まった事だが、きっとどこに彼女の希望があったのだと思う。
    罪を抱え最後にしたいと考えていた老人、そして変えられないけど終わりにしたい認めて欲しいと望む少女。
    二人が認め合える、愛し方というのは「破壊」しかないのかもしれない。

    自分がどこか消えてしまいたい、破壊されたいと望んだ時に読むと救われた本です。

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    2025年07月27日
  • ミーナの行進

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    赤毛のアンを彷彿とさせるようなでも数十年前の芦屋での美しい世界の物語。とても好きなジャンルだった。
    物語のどの登場人物も大好きになれたし、小川洋子さんの日常を美しく彩る文才のお陰でこの本を通じて心が綺麗に洗われた気がする。起承転結があるようなどんでん返しがあるようなタイプのお話ではないが、一気読みしてしまった。

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    2025年07月27日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    か〜な〜り〜前から
    読みたいなと思いつつ
    なかなか出会う事なく
    保留にしていた本
    (↑そんなんばっかり)

    初見でびっくり!という
    知識的な所は無かったけど
    おふたりそれぞれの
    知識や経験や諸々...が
    スパークしてる感じが
    とても良かった

    人間も「父親」になる
    というのは難しいように
    ゴリラも学んで経験して
    尊敬される「父親」に
    なるのだ...格好いい〜!

    人様にもおすすめしたい本!

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    2025年07月22日
  • ミーナの行進

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    友達に誕生日プレゼントでもらった本
    いつも読む続きが気になってドキドキとかどんでん返しとかではないけど、ミーナと朋子の思い出を読んでいると心が温まる感じがした。自分がしんどい時に読んだ部分でちょうどミーナが泣いていた。
    仕事帰りの電車で少しずつ読んだから時間がかかったけど、どんなに仕事で嫌なことがあっても帰り道が楽しみでこの1ヶ月乗り切れた。

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    2025年07月16日
  • ミーナの行進

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    思い出は色褪せないことを教えてくれる 
    芦屋の洋館、伯父さんの家で1年暮らすことになった朋子の日記のようなお話。読んでいるときに、脳裏に描き出される人物や景色や出来事が、なんていうか自分もそこにいたい!と嫉妬させられるほど生き生きとして素晴らしい。
    そして、時々「あれから何十年たっても」みたいな描写が入ると、そうかこの出来事は遠い昔のことか、と思いながらも、私にとっても決して忘れたくない色褪せてほしくない大切な思い出になる。読み終わりたくなかったが、読み終わったあとすごく前向きになれた。大好きな作品に仲間入り。

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    2025年12月05日
  • 科学の扉をノックする

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    これは面白い!一気読み。しばしば感涙しそうになる。「1.宇宙」「2.鉱物」「3.DNA」「4.スプリングエイト」「5.粘菌」「6.遺体科学」「7.トレーナー」という科学のスペシャリスト7人へのインタビューなんだけど、この感動はなんだろう?どの方も素晴らしいのは確かなんだけど、お話を聴き受け止める小川さんの感性に共感するところが大きいのかなぁ。

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    2025年07月05日
  • そこに工場があるかぎり

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    ものを作ることは人間にしかできないこと。
    それは人間に想像力があることとイコール。

    穴を開ける、お菓子、乳母車、ボート、ガラス、鉛筆。
    派手ではないけれど、なくてはならないものを作る人々。
    それを見て、文章を書く小川さんの視点がよい。
    小川さんの工場のチョイスもいいし、大変楽しい工場についての本でした

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    2025年06月16日
  • 耳に棲むもの

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    小説と並んで、装幀、装画・挿絵もすばらしい。群像に掲載された短編を集めた作品集です。なかでも『骨壷のカルテット』の世界観と描写は、これぞ小川洋子さんというもので、これから私は何かにつけて「耳に棲むもの」に思いを馳せることになりそうです。

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    2025年05月31日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    対談の柔らかくあたたかい雰囲気が良い。
    カウンセリングと物語の話もとても興味深いが、個人的には、河合隼雄さんの著書や対談を通して小川洋子さんが「なぜ小説を書くのか」という、若い頃には答えるのが苦痛だった問いに対して、「誰もが物語を作っているのだ」という気づきを得て答えを見つけていった、というあとがきの文章がとても素敵だった。

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    2025年05月22日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    タイトルに惹かれて。金言だらけだった。人間はつらいときにその人なりの物語として落とし込んでいる。「個」は自分の知ってる範囲内。人間は矛盾しているから生きている。

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    2025年05月17日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    8つの短編の中で『亡き王女のための刺繍』は小川洋子さんならではの妖しい毒っ気が美しかった。『かわいそうなこと』も良かったなあ。敏感なアンテナを大人になっても持ち続けている作者は日々の中で辛くなることはないのだろうかと心配になると同時に羨ましい。
    でも、一番好きだったのは『一つの歌を分け合う』。同じ時代を生きる人たちは大縄跳びみたいに次々この世を抜けていく。だけどそれはおしまいじゃなくて、帰れる、焦がれた人たちに合流できるという優しい気持ちで越えられる一線。レミゼラブルから受け取れるうちのそんなひとつを、たった二十数ページで表せられるのがすごい。

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    2025年05月17日
  • 博士の愛した数式

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    博士の愛した数式

    何度読み返ししても、博士と家政婦さんとルートの絆に温かい感情が湧いてきます。映画もこの作品の品格を損なわない素晴らしいものでした。

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    2025年05月15日