小川洋子のレビュー一覧

  • 博士の愛した数式

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    数学と小説、どちらも対照的であるコンテンツをうまく掛け合わせていて本当に面白かった。何よりも設定がページをめくる意欲を掻き立てた。

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    2025年12月19日
  • 博士の愛した数式

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    「数字は世界共通言語」ということを思い出しました。
    3人の心温まるヒューマンドラマの種として、数学が輝きます。
    数式はたくさん出てきますが、数学に明るくなくても読めます。
    ただ、数学に興味がある人の方がより面白い作品であると感じられるかと思います。

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    2025年12月18日
  • サイレントシンガー

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    小川洋子さんの世界からただいま戻りました‥‥
    どっぷりと世界観に浸りました。
    おばあさんと二人暮らしのリリカ。
    家の隣の広大な森を買い取り移り住んできたのは“内気な人の会”と称するグループ。宗教的施設でも、営利目的の会社でもなく、ただただ内気な人たちの集まり。やがて門には“アカシアの野辺”と書かれた看板が掲げられるようになる。
    とにかく、“内気な人の会”とか“アカシアの野辺”とか、本を数ページ読んだだけで、小川洋子さんの世界へスーッと引き込まれて行きます。
    “内気な人の会”の雑用係として働くことになったおばあさんと、その孫娘のリリカは唯一“アカシアの野辺”に入ることができる二人。
    『魂を慰める

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    2025年12月18日
  • そこに工場があるかぎり

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    ふと気づくと、金属に穴があきはじめている。そもそもの目的がこれなのだから、驚く必要もないのに、なぜかとても不思議な現象を目にしている気分になる。一点の窪みが少しずつ、慌てず慎重に、奥へ奥へと潜り込んでゆく。電極と金属は一定の距離を保ち、決して触れ合わない。電極の回転も、穴の形成も、想像よりずっとゆっくりしたスピードで行われる。金属はまるでそれが自らの意思であるかのように、穴を受け入れている。この密やかな営みを、火花が祝福している。(第1章 株式会社エストロラボ〈細穴屋〉より)

    凡ゆる仕事には、たとえ文化勲章受賞者ではなくとも、匠の技が隠れている。と、私は思う。
    例えば、封筒詰めの単純作業であ

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    2025年12月17日
  • 博士の愛した数式

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    記憶が80分しか持たない、数学を愛した博士と、家政婦として働く女性、その息子であるルートの物語。
    特に博士とルートの関係性に心が暖かくなりました。
    そして、博士が純粋に、数式が大好きなんだなという気持ちがひしひしと伝わってきて、人生でこんなに愛するものがあるって、すごく幸せだなと感じました。

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    2025年12月15日
  • まぶた

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    小川洋子さんならではの素敵な言葉選びと不穏な雰囲気が漂う短編集。。
    バックストロークは強烈。まぶたは流浪の月みたいだと思った(まぶたが先です)。2001年にこの物語が存在したんだと思うと不思議な感覚。

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    2025年12月14日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    静謐な朗読を聞いているような作品だった。
    時に熱く語られているのにどこまでも客観的で、静かで穏やか。冬の午後にぴったりだった。
    時折差し込まれる夢か現か分からないお話にエッセイと創作の境目がなくなる感覚が小川洋子作品、という感じがして心地良かった。
    まさに「優れた文学に出会うとそれがエッセイか小説か分からなく」なった。

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    2025年12月12日
  • 博士の愛した数式

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    物事の本質の重要性に気づかされ、
    数式の魅力に惹きつけられた。

    オイラーの公式:複雑なことは、+1で静寂になる。自分も扱ってきた数式だが、とても納得する表現であった。大人になりつつある今だからこそ、疑問を抱く気持ちを忘れずに生活していきたい。

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    2025年12月12日
  • ミーナの行進

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    海外のお話し⁉️って何度も思った作品!

    何十年も前に観た“赤毛のアン”とか“フランダースの犬”な世界観を感じました✨♡

    小川洋子さんの作品にまた触れてみたい^_^

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    2025年12月10日
  • 博士の愛した数式

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    80分の記憶しか保てない博士と家政婦の私、その息子「ルート」が織りなす日常が静謐に描かれていた。会うたび0からリスタートする関係性に毎回胸を締め付けられるけれど、「永遠の真実」である数式が見えない何かを証明し痛みを温かく照らしてくれる。忙しない現実世界でもこういうゆっくりとした繋がりや今この瞬間を大切にしていきたいなと思えた。

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    2025年12月09日
  • 耳に棲むもの

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    「閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。」

    幻想的な一方、人間の生々しさ描かれており、独特の読後感がある。
    この作品の感想や解釈をもっと言葉にできるようになりたい。

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    2025年12月08日
  • サイレントシンガー

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    小川洋子、なんかもうほんとうに唯一無二の作家だなあ…。静けさというものをこんなにも言葉にして、物語の雰囲気に漂わせることができる作家なんて小川洋子しかいねえだろという気がしてくる。不完全なものの良いところに目を向けたり、すてきなものにしたりするってとてもやさしい。物語が終わったあとも、この静けさがずっと守られることを祈ってしまう。

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    2025年12月07日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    リトル・アリョーヒンには、チェスがあってよかった。

    彼にとってチェスは、単なるゲームではなく、人生そのものだった。勝ち負けが存在するのはもちろんだけれど、彼が本当に大切にしていたのは、どんな「棋譜」が生まれるかということ、そしてそれを通じて誰かと交わされる「会話」だったのだと思う。

    チェスは人生のように、対峙する相手や盤を挟む場所によって、まったく違う表情を見せる。汚い手を使ってでも勝ちを急ぐ者もいれば、報酬のために勝ち方にはこだわらない者もいる。そこには、その人がどんな人生を生きてきたかが、そのまま染み出している。

    象徴的なのが、マスターがアリョーヒンを叱る場面だ。橋のたもとで賭けチェ

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    2025年12月07日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    『密やかな結晶』の世界では、社会から一つひとつ、何かが静かに消滅していく。その中で「密やかな結晶」とは何なのだろうか、と読みながらずっと考えていた。

    小川洋子作品を通底するテーマに、「記憶の継承」「存在が滅びても、その記憶は残り続ける」というものがある。本作もまた、その系譜の上にある物語だと感じた。

    この世界におけるささやかな救いは、消滅に囚われた人々の中で、なおも消えたものたちの記憶を抱き続ける編集者の存在だ。
    彼は、すべてが消滅したあとの世界で、「わたし」が書き残した小説=物語の記憶をその身に宿したまま、歩き出していく。物語はその場面で終わるが、彼の中に残ったそれらの記憶は、なおも続い

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    2025年12月07日
  • 博士の愛した数式

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    記憶が80分しか持たない数学者とその家政婦とその息子のお話。

    博士とルートの関係がとても好き。優しさで溢れている。

    記憶が80分しか持たない博士の人生は辛いものがあるかもしれないが、ルートとの出会いは忘れてもなおまた築ける関係性がとてもいい。

    数学は苦手なので、定理とか数式の話はよくわからない。数式を見てもそれが美しいとはどういう意味なのか、やっぱりわからない。
    でもこのお話は終始優しさでできていて、美しいお話だったなと思える。
    第一回本屋大賞受賞作。

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    2025年12月05日
  • 薬指の標本

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    勝手に登場人物を外人にして読んでしまうくらい現実離れしていて、でも普通に読めてしまっていて
    自分もこの話の中に取り込まれているような気がして変な感じになった

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    2025年12月04日
  • 遠慮深いうたた寝

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    小川洋子さんの言葉に触れるたび、私の心を守ってくれた物語たちを思い出す。小川洋子さんの作品もその一つだし、このエッセイもその一つになった。
    心が頑なになって、みんなが敵に見えてしまったときに、また読み返したい本。私は弱いし何もできないけど、そんな私を守ってくれる物語が世界にはあふれていると気づかせてくれる、お守りのような本。

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    2025年12月01日
  • 密やかな結晶 新装版

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    小川洋子さんで記憶の消滅といえば『博士の愛した数式』が有名だが、本書は個人的な消失にとどまらない。島の人々の記憶から森羅万象が徐々になくなっていく、というとんでもない話である。

    何かを失うということは人間にとってどういうことなのか。人を人として成立させているものは何だろうか、ということを考えさせられる。

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    2025年11月30日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    どうしてなのか分からないんだけど、急に胸をつかんでくる文章や、短編に出会う。
    そういう文章には五感も鮮明に立ち表れてきて、その物語が心に住み着く、そんな感じがする。

    これは〇〇をモチーフにしてるのか?と疑問符がついたまま終わる作品がいくつかあるけど、何度も読み返してわかったりするんだろうな〜
    小川洋子先生の本もっと読ませてもらいます

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    2025年11月29日
  • 博士の愛した数式

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    博士と義理の姉がどういう関係だったのかや「ルート」がどういう人間だったのかなど、引っかかったままの部分もあるが、そこは本筋ではなかったのだと思う。

    博士が見ていた数字という真理の世界の一端を垣間見ることができて面白かった。

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    2025年11月29日