小川洋子のレビュー一覧

  • 不時着する流星たち

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    ぞくぞく。不穏。そわそわ。ざらり。
    もしかしたらどこかにいるかもしれない不思議な人たちのお話。実在した人をモチーフに着想された短編集。発想力に脱帽です。再読。

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    2021年06月28日
  • やさしい訴え

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    空気感が素晴らしいです。
    はっきりと書かれていないけれど、みんな、ほんとうに全員が置かれている状況を理解しています。
    わかったうえで、どうすべきか、行動しています。
    でも、人も動物です。
    したい、触れたい、という気持ちは抑えられない。
    それが限りあるものであり、失う危険もあるものだから、だからなおのこと感情が高まっていきます。

    札幌行きをやめさせるための咄嗟の行動(言動)には少なからず驚きました。
    でも、それは、行けばそうなる、ということがわかるから。もしも自分ならそうするだろう、そうなるだろう、ということの裏返しですね。

    結論としては敢えて言わない大人の対応で新しい道を踏み出すのですが、

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    2021年05月27日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    小川洋子さんは、それほどたくさん読んでいるわけじゃないが、文章が詩的で美しいと思う。
    これは小説ではなくエッセイなのだが、毎日の暮らしを描写するだけでも、例え方とかが、まるで音楽のよう。
    私は綺麗なものには綺麗とか美しいとかしか言えないんだが、
    小川さんにかかると、そこにひとつの物語が現れるような気がする。
    ラジオで本の紹介の番組をもってらして、そこでの語り口もゆったりとしていて好きだ。
    小説家ってのは深く深く、いろんなものを視る、んだろうなあ。
    語りかける相手がいることの、救いを想う。

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    2021年04月13日
  • 余白の愛

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    耳を病んだわたしは、ある座談会で速記者Yと出会い、彼の指に惹かれる。

    F耳鼻咽喉科病院と、病室の窓からマロニエ越しに見えるホテル。離れにあるささやかな美術館。
    まるで絵に描いたような美しい風景が、目の前に広がっていく。
    静かな物語にもかかわらず、終始ドキドキしていた。
    記憶の引き出しの中に、もう一つの世界があるようで、想像力をかき立てられる。

    ずっとわたしの傍らにいてくれた、甥っ子のヒロの優しさと、幻想的でとてつもなく美しい世界を存分に堪能することができた。

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    2020年12月12日
  • 妊娠カレンダー

    購入済み

    妊娠カレンダー

    なにか怖いと思うシーンが何回かあり、思わぬ方向に話が進んでいくのではという冷静な興奮を与えてくれるストーリーだった。

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    2020年11月11日
  • 偶然の祝福

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    また好きな本に出会ってしまった。
    悲しみや寂しさ、影が通奏低音として流れている文章が好きだな。
    お手伝いのキリコさんの話が好きです。

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    2020年11月03日
  • 余白の愛

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    地球っこさんに教えていただいた本。

    小川洋子さんのすばらしい世界観。
    とても文学的で物語の中に引き込まれました。
    静かに流れる物語が、読み終えるのが惜しいと思いました。
    これは手元に置いておいて、何度も読み返したいと思います。

    ありがとうございました。。。

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    2020年10月31日
  • 博士の愛した数式

    ネタバレ 購入済み

    やさしい

    数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。

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    2020年09月07日
  • 世にも美しい数学入門

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    「すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる」の反対が数学。
    なかなか役立つ時が来ないし、その時が何千年後だったりする。
    そもそも役立つことを目指さない、美しさと感動だけを求めるのが数学。ただその一心で取り組んでるのが数学者だというのは、世間の数学者へやイメージとだいぶかけ離れている気がする。

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    2020年08月14日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    小川洋子さん「夜明けの縁をさ迷う人々」、2007.8発行、9つの短編小説が収録されています。どれも味わい深いです。興味深い話、怖い話、奇妙な話。興味深く強く印象に残ったのは、「ラ・ヴェール嬢」と「お探しの物件」。「涙売り」と「教授宅の留守番」は怖い恐い話でした。奇妙な話の中には、彼岸と此岸の交差する話が多いです。

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    2020年07月11日
  • 凍りついた香り

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    小川ファンなので冷静に星がつけられません。

    亡くなった恋人をたどる心の旅のお話です。物語が始まった時に既に恋人は亡くなっていて不在です。不在だからこその存在感は小川さんの作風の特徴であり、一貫しているので心地よく読みました。

    取り留めもないと言えば取り留めもないと思うのですが、だからこその哀しみを感じます。

    恋人の仕事が調香師というのもこの物語にぴったりで、香りは目に見えないけれど香りというものの背景には必ず思い出があるのだと思う。

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    2020年06月02日
  • 言葉の誕生を科学する

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    言葉はどのようにして、うまれたのか。自分にとっても子供の頃からの疑問を、好きな作家さんが脳科学者の方と考察していく様子が、とても興味深かった。歌うのは、鳥とクジラと人間だけ!なんてロマンティックなんでしょう。科学なのに。科学だから?
    デバやジュウシマツに向けるお二人の優しい目線も、読み進めていて温かい気持ちにさせてくれる。

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    2020年05月29日
  • 余白の愛

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    静かな空気感と清潔感がずっと漂ったお話。
    耳を病んだ主人公の記憶と現実をめぐって物語は進んでいきます。

    どこか、何かが狂っているけれども淡々としている。登場人物たちもそれらには気に留めることはない。

    穏やかな愛がとても心地よかったです。

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    2020年05月16日
  • 小箱

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    『今初めて、自分の顔がこんなふうだったと知ったかのような気分を味わう。園児たちの鏡に、私の姿が上手い具合にちょうど収まっている』

    小川洋子は「喪失」ということに拘っている作家だと思う。何かが決定的に失われてしまった世界を描いていると言ってもよい。そして、いつもその失われたものは、直接的には描かれない。読者に訴えかけられるものは喪失を味わった人の気持ちだけ。そのことを覚えていようとする者たちの決心だけだ。

    それともう一つ、小川洋子は「子供」という存在にも強い思い入れがあるように思う。小川洋子の描く子供は大抵思慮深く大人びている。「博士の愛した数式」でも「猫を抱いて象と泳ぐ」でも「琥珀のまたた

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    2020年04月26日
  • 心と響き合う読書案内

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    小川先生の書評には、登場人物や作者に対する親しみを感じます。なんというか、本の読み方から純文学というものにどう向き合うかまでを教えてもらったような読後感でした。
    僕にとっては通学や仕事の合間という自分だけの世界で、本好きのおばあさんのお話を語り聞かせてもらうひととき。そんな感覚を味わって楽しんでいました。
    特に、小川先生のアンネ・フランクに対する感覚はとても素敵です。読書って、ふらっと外に出て、友人がいないか気にしながら歩く散歩のようだと思わせてくれます。
    この気持ちをいつでも思い出すために、手元に置いてある大好きな一冊です。

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    2020年04月26日
  • ボタンちゃん

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    ネタバレ

    小川洋子さんをチェックしているので買いました。ボタンを擬人化するのはわかるけど、ボタンホールを擬人化するのは目からウロコです!
    幼児のブラウスから転がり落ちたボタンちゃんは、部屋の中を探検して、持ち主の小さな女の子が使い古した、スタイやぬいぐるみと出会う。みんな女の子に忘れられてかわいそうだけど、でも、自分たちがいたから、彼女は大きく可愛く成長したのよ、と、ボタンちゃんに教わる。
    子供向けというよりは、お母さん向けの絵本かな。私は好きです。

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    2020年04月12日
  • やさしい訴え

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    人はそれぞれに収まる居場所がある。新田さんと薫さんはチェンバロという共通の世界の中で幸せを共有する2人でありその世界に瑠璃子が入ることはできない。不倫で分かれた旦那と不倫相手にもそんな世界があったのだろう。奪われた側は呆気なく感じるが、奪う側に立つとなかなか共通の世界に入り込むということはできない瑠璃子の気持ちが鮮明に描かれている。居場所がない孤独は自分自身しか知り得ないものだと思う。そんななかで生きるリアルさが鮮明に映し出される作品だった。
    小川洋子の作品は3作目だが情景や感情が非常に丁寧かつ繊細に描かれていた。

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    2020年04月09日
  • 博士の愛した数式

    匿名

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     作者は数学の美しさに対して、心をひかれていて、それを博士を通して表現しています。
     博士と家政婦とその子供との交流はとても暖かいものを感じます。
     博士は長時間記憶を保つことができません。それは、異形なものであり、そのような不具者を描くところに作者の真骨頂があります。
     この作品では不具者を描いてもグロテスクにはならず、それが一般受けしたのだと思います。

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    2020年02月25日
  • 人質の朗読会

    匿名

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     人質になった日本人たちが極限状態の中で自らのエピソードを語っていく物語です。

     とても平易な語り口調で綴られる物語は彼らがもう亡くなっていることもあり、セピア色の写真を見るようです。

     小川洋子の作品の中でも、その完成度の高さからもっとも好きなものの一つです。

     小川洋子の特徴のひとつのグロテスクさがあまり前面に出ず、叙情的な部分が際立った作品であると思います。

     私は特に「槍投げの青年」が好きです。陸上競技特有のストイックさや、力強さや、繰り返しのルーティーンからの高揚感などが、その文章の中で鮮やかに蘇ります。

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    2019年12月13日
  • 不時着する流星たち

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    面白かったです。文庫で再読しました。
    何度読んでも、このモチーフでこの物語を描くのか…と驚いてしまいます。
    カタツムリのお話がパトリシア・ハイスミスだったり、肉詰めピーマンのや文鳥のお話は最後の方にモチーフが少し出てきたり。小川さんの視点、不思議で惹かれます。
    単行本の時には恐らく読み飛ばしていた、肉詰めピーマンのお話の息子さんが読んでる絵本、気になる…と思っていたら、エドワード・ゴーリーの「むしのほん」でした。こちらも読みたい。
    こちらのお話たちもとてもひそやかでした。

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    2019年12月12日