小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
数冊読んだことがあって、基本的には好きな小説家の手による書評集。とはいえ、最初から書評という形を取られていたものではなく、ラジオで話したものの字起こしってことだから、ちょっとニュアンスが異なる。ラジオで流れるってことは、読書家ってよりはもう少し一般寄りの相手が対象となる訳で、それもあってか、選ばれている作品も有名どころが占めることになっている。ブックガイド好きで、それらをよく読む目からすれば、既知・既読作品の割合が高い。かといって、刺激のない退屈な読み物となっていないのは、本書のリーダビリティの高さによるところも大きい。ラジオで話している内容だけに、伝わりにくい言葉は含まれないし、時間制限のあ
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Posted by ブクログ
時間を忘れて一気に読破したくなるサスペンスフルな小説もいいけど、
不思議でシュールでユーモラスな1つの短編の世界に
1日の終わりにじっくりと浸るのも読書の醍醐味だ。
本書はまさに寝る前に1話ずつ
ゆっくりと読んで欲しい短編集。
たちまち非日常にさらってゆく魔力と甘美な陶酔。
残り香のように漂う異国情緒。
小川作品に顕著な、
物語の中、息を潜めた死の匂いとうっすらとした狂気。
どの話も様々な動物たちをモチーフに、
そこにしか居場所のない
小さな場所に生きている人を描いている。
スーパーマーケットで試食品のデモンストレーションガールをする女性は
狭いモノレール沿線から抜け出せない自分の -
Posted by ブクログ
年老いた翻訳家と少女の倒錯愛の物語
冒頭の娼婦と翻訳家が揉めるシーンの
ホテルの娘がマリ
乱れた姿で逃げるように部屋から這い出て口汚く罵る娼婦に「黙れ、売女」と明瞭な言葉で圧した翻訳家に心が惹かれたマリ
二人は再開するが彼はあの時の威圧はなく貧相で力なく弱々しかった
彼女に送ってきた手紙の
翻訳家の文字は異常なまでに乱れがなく
綴る言葉は知的で美しくとても紳士的
これから何度も書かれる手紙のシーンは大好きでした
しかし、彼の島ではあの時の高圧的で異常な支配者だった
ここまでのシーンに振り回される心地良さ
ギャップの描き方が見事でマリが快楽へ没入していく様は圧巻
醜く老いた翻訳家に瑞々