小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「わたしの耳のために、あなたの指を貸してもらえませんか」
耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれ、わたしは歩み出す。入院中の病室で夫との離婚が成立した。最後まで優しかった夫がわたしに残したのは、耳の治療に十分なお金と甥のヒロだった。ある座談会をきっかけにYとの交流は深まり……
十三歳の少年、マロニエ越しに見えるホテル、ヴァイオリンの耳鳴り、博物館の補聴器。
不思議な作品だった。結末を読んで、題名の意味を考えた。「余白の愛」。余白とは、Yが速記した紙の余白ということだろうか。それとも、Yの指を包み込んで眠ったあとの空間だろうか。何を比喩しているのか分からないけど、確か -
Posted by ブクログ
空気感が素晴らしいです。
はっきりと書かれていないけれど、みんな、ほんとうに全員が置かれている状況を理解しています。
わかったうえで、どうすべきか、行動しています。
でも、人も動物です。
したい、触れたい、という気持ちは抑えられない。
それが限りあるものであり、失う危険もあるものだから、だからなおのこと感情が高まっていきます。
札幌行きをやめさせるための咄嗟の行動(言動)には少なからず驚きました。
でも、それは、行けばそうなる、ということがわかるから。もしも自分ならそうするだろう、そうなるだろう、ということの裏返しですね。
結論としては敢えて言わない大人の対応で新しい道を踏み出すのですが、 -
ネタバレ 購入済み
やさしい
数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。
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Posted by ブクログ
『今初めて、自分の顔がこんなふうだったと知ったかのような気分を味わう。園児たちの鏡に、私の姿が上手い具合にちょうど収まっている』
小川洋子は「喪失」ということに拘っている作家だと思う。何かが決定的に失われてしまった世界を描いていると言ってもよい。そして、いつもその失われたものは、直接的には描かれない。読者に訴えかけられるものは喪失を味わった人の気持ちだけ。そのことを覚えていようとする者たちの決心だけだ。
それともう一つ、小川洋子は「子供」という存在にも強い思い入れがあるように思う。小川洋子の描く子供は大抵思慮深く大人びている。「博士の愛した数式」でも「猫を抱いて象と泳ぐ」でも「琥珀のまたた