小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小川洋子さんの文章がとにかく美しいと感じます。
独特の世界観のため、読み手も想像力が必要ですが、文章の海を漂うような心地よさがあります。
著者の作品は「博士の愛した数式」をかなり前に読んで、これが2冊目ですが、素晴らしい作家さんと再認識しました。
チェスってこんなにも深く、その人の生き様までも表現するゲームなのだと初めて知りました。
(もしかして将棋や囲碁もそうなの?)
通勤時間にいつも読書をするのですが、
最初から美しい文章に引き込まれて、
これは満員電車などではなく
家で猫を撫でながら読みたい
と思いました。
しかし、少年がリトルアリョーヒンとして深海クラブでチェスをさすようになってから、満員電車の片隅でぎゅーっとなりながらコッソリ読んでいると
人形の中の少年と同化しているような気持ちにもなるのでした(笑)
電車が正方形であれば完璧だったのですけど。
また、デパートの屋上から降りられなくなったゾウのインディラの話は
映画「マイライフアズアドッグ」の
人工衛星に乗せられたライカ犬の話を思い出しました。
とても好きな映画です。
が、内容はこちらの本の方がずーっと濃く深く美しく心に食い込んできました。 -
Posted by ブクログ
「約束された移動」「ダイアナとバーバラ」「元迷子係の黒目」「寄生」「黒子羊はどこへ」「巨人の接待」“移動する”物語、六篇。
ここに収められている作品に登場する老人たちの、穏やかな立ち居振る舞い、言葉づかい、仕事ぶり、そして、熱帯魚、子羊、小鳥、子供たちとのふれあい、そのどれもすべてが美しい。
それらは、人目につかず、ひっそりとした佇まいなのだけれど、普通と違ってどこかずれてしまっている、その哀しさがまた美しいと思える。
一旦この物語に足を踏み入れてしまうと、読み終わるのがもったいないとさえ思ってしまう。
濃密で不思議な魅力のある、独特な世界。 -
Posted by ブクログ
生まれた時から、言葉が当たり前にある環境だから、言葉ですべての物事を定義してしまうこと自体の意味や、不可解さについて考えたことなかったな
言葉遣いなど、言葉に達者な人でありたいなあとは思っていたけれど、そのマイナス面についてもあるのね、やっぱり物事って全て両面性がある。。当たり前って危険ね
普段よく人間で(笑)話題になる恋愛、結婚、親子関係その他、人間も動物の一種と考えるとなんだか単純化された
今は特に戦争について考えさせられることが多いから、争いのテーマの部分も納得しながら読みました
共存、想像力は私にとって永遠のテーマ!
戦争が存在する理由:言葉 死者 共感性 (トーテム 農耕社会 科学 アイデンティティ 宗教)
ーそれがなぜ本性のように語られるかというと、人間が言葉によって比喩の能力を手に入れたから。
ーその簡単さが不気味です。簡単であればあるほど、こちらの都合によっていくらでも操作できる。誇張もできるし、嘘もつける。
ーA=B.B=A コップという言葉とコップそのもの、テロリストとイスラム教徒
本来間違っている理論をすんなり通してしまう通路
ーもともと違うものを、同じ価値基準でまとめ上げる〜言葉を使うというのは、世界を切り取って、当てはめて、非常に効率的に自分の都合のいいように整理しなおすってこと
ー現代の人間は、その一体感が進むあまり、集団の中に自分を没入させて尽くすような意識に行きついてしまいました。他者のためとは違う、集団のため。これは動物には絶対にない心の在り方です。
言葉の網ですくい切れないものが溢れている世界に、つい最近まで人間は他の動物と一緒に暮らしていた。言葉に頼れば頼るほど、僕たちの世界はそれ以前に獲得した豊かな世界から離れていく。それは生物としての人間にとってあまりにももったいない損失なのではないか。〜長い進化の歴史を通じて鍛え上げてきた感性の中に言葉を調和させることで、より幸福な世界を手にすることができるのではないか〜
それぞれの生物に与えられた時間があり、それをあるがままに生きるのが生命の営みというものだ。それぞれの生物は持って生まれた能力に従って世界を構築している。〜
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Posted by ブクログ
ネタバレ「わたしの耳のために、あなたの指を貸してもらえませんか」
耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれ、わたしは歩み出す。入院中の病室で夫との離婚が成立した。最後まで優しかった夫がわたしに残したのは、耳の治療に十分なお金と甥のヒロだった。ある座談会をきっかけにYとの交流は深まり……
十三歳の少年、マロニエ越しに見えるホテル、ヴァイオリンの耳鳴り、博物館の補聴器。
不思議な作品だった。結末を読んで、題名の意味を考えた。「余白の愛」。余白とは、Yが速記した紙の余白ということだろうか。それとも、Yの指を包み込んで眠ったあとの空間だろうか。何を比喩しているのか分からないけど、確かに存在していたYとの時間ーー記憶ーーを心に留めておきながら、「わたし」と気持ちを重ねたいと思う。