小川洋子のレビュー一覧

  • ホテル・アイリス
    年老いた翻訳家と少女の倒錯愛の物語
    冒頭の娼婦と翻訳家が揉めるシーンの
    ホテルの娘がマリ
    乱れた姿で逃げるように部屋から這い出て口汚く罵る娼婦に「黙れ、売女」と明瞭な言葉で圧した翻訳家に心が惹かれたマリ

    二人は再開するが彼はあの時の威圧はなく貧相で力なく弱々しかった
    彼女に送ってきた手紙の
    翻訳家...続きを読む
  • 沈黙博物館
    久しぶりに胸を打つ話を読んだ。老婆の描き方が素晴らしく、魅力的だった。自分だったら形見は何になるのだろう、と想像するのも楽しめるというか。言葉にならない思いがたくさん溢れてきた作品です。読み終わった時、この本に出会えてよかったと思った。
  • 最果てアーケード(1)
    小川洋子氏原作の漫画。小説も出ており、内容は概ね同じ。
    ただ、漫画では小説でぼかしていた所をはっきりと描いているので、両方読むとしたら先に小説を読むのがお勧めです。
  • とにかく散歩いたしましょう
    エッセイでした。
    たくさんありすぎて、9割ほどは良かったのですが、ちょっとだけ普通な話が混じってて、ちょっと残念でした。
  • 夜明けの縁をさ迷う人々
    奇妙だけれど、圧倒的な存在感と不吉さを持った短編集。感動作ではないが、これもまた、何かの最高峰であることは間違いない。
  • 沈黙博物館
    象徴に満ち溢れている。

    沈黙。形見。博物館。冬。
    身寄りのないことが、逃げ場のないことが分かった主人公。高齢の老婆。バイソン。
    解説でホロコーストとの関連に触れているが、その文脈で行くと多くのことがなにかにあてはまる。

    そして、圧倒的で静謐な世界観。
    特に沈黙の伝道師の存在が不可思議で考えさせら...続きを読む
  • 凍りついた香り
    なんと魅力的な主人公だろうか。視覚を塞ぎ、嗅覚、聴覚、触覚に生きた。
    誰かが損なわれることに我慢がならず、自分を失った弘之。ルーキー。
    プラハのジェニャックも魅力的。言葉を超えた世界。
    最後の算数を教える場面の描写で泣いた。
    自殺の理由なんて外からは分からない。それがメッセージ。
    ただ彼は受け入れた...続きを読む
  • ホテル・アイリス
    感動作ではない。ただ、息が詰まるような、それでいて生きている実感に乏しい場面が続く。SMも含め倒錯とはそういうものなのかもしれない。

    これからマリはどうなるのだろうか。
    物語は閉じたが、希望は見えない。

    これは少女のエゴの物語なのだろうか。思索は尽きない。
  • やさしい訴え
    深み、静謐を描ききった、チェンバロと三人を主軸に廻る物語。小川洋子の傑作。演奏家の方の解説で、チェンバロという楽器の持ち味を知る。

    全ては失われたのに、永遠が見つけられた。奇跡としか言いようのない読書体験。
  • 刺繍する少女
    善人として生きるのは、限界がある。誰もが両義的で、言葉にしてはいけない闇を抱えている。そういう短編集。

    どれも心に強い染みを残していった。
  • ボタンちゃん
    小川洋子さん初の絵本ですって
    やっぱいいなあ
    2016課題図書(低学年)だったそうです
    特に劇的なことが起こるわけではないけれど
    子供の成長
    岡田千晶さんの絵が胸にしみました
    心がほっこりして本を閉じました

    ≪ ボタンちゃん 今はゆっくり 夢の中 ≫
  • ボタンちゃん
    ボタンちゃんとボタンホールちゃんの笑顔見れただけで幸せな気分になった。

    なんて優しい視点で書かれた絵本なんだろう*
  • 凍りついた香り
    よく知っていると思っていた恋人のことを、実は何も知らなかったと知ることは、どれだけ悲しいことだろうか
  • 夜明けの縁をさ迷う人々
    まるで夢の中にいるような浮遊感を持つと同時に、不思議な世界観に溺れてしまいそうでもある短編集。
    どの短編も、読み進めていくほどに主人公のいる世界が歪み、輪郭がぼやけ、視界には靄がかかっていく。
    ところどころで出てくる不気味で恍惚とした単語には、背中を指先で撫でられるような感覚を抱いてしまう。
    小川洋...続きを読む
  • ボタンちゃん
    低学年の課題図書を見ていたら、小川洋子さんの絵本が!小川洋子さんの小説が好きだけど、知らなかった…初の絵本。
    ということで、娘のためにというより自分のために即買いした絵本。

    娘に読んで聞かせてたら、最後の方でウルウルきてしまい、あやうく泣きながら読むところだった。

    小川洋子さんらしいストーリー。...続きを読む
  • 偶然の祝福
    ああ、エッセイかと思って読んでいたから!
    すごいハラハラしちゃって。
    いまも、ほんとはエッセイ?とちょっと思ってる。
    作品と現実の境界線をいい意味で曖昧にしちゃったすごい作品だ。
  • 博士の本棚
    『博士とは誰か』

    小説を書き始めてから、あまり小説を読まなくなった。エッセイや写真集に物語を探している。

    私は今毎日コツコツと小説を読んでいる。その中の物語にどっぷりと使っている。

    世界に魅せられているのは、同じ。内側の世界と閉じる世界。
  • ボタンちゃん
     平積みの課題図書を見ていて見つけました。今年の小学1,2年生の課題図書です。
     あの、小川洋子さんが絵本を?!
     「妊娠カレンダー」しか読んだことありませんが、妊婦の姉に対する、妹の毒を隠し持った視点に驚愕したのを思い出しました。
     そんな人が絵本・・・!
     興味本位で開いてみると・・・。
     引き...続きを読む
  • ボタンちゃん
    赤ちゃんのもちもののような、やさしい絵本。
    絵本でも、やっぱり小川洋子さんらしい丁寧な文体だと思った。
  • 博士の愛した数式

    絵が綺麗

    小説は未読ですが、フンワカした絵が魅力です。
    お話はチョット悲しいですが、その分引き込まれました。