小川洋子のレビュー一覧

  • 口笛の上手な白雪姫

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    彫刻や博物館の展示品や声など、普段あまり注目されなそうなモチーフへの深い洞察や想像力に圧倒される。赤ちゃんや子供の描写が特に好き。
    人とあまり関わらずにひっそり暮らしていても、生き物やモチーフに対する敬意で瑞々しく生きている。

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    2021年12月26日
  • まぶた

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    不思議な空間。良かった。
    堀江敏幸さんの解説が完璧なので、ほかに書くことがない。

    どれも印象的だけど、『まぶた』『お料理教室』が特に。

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    2021年11月20日
  • 最果てアーケード

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    1人1人奇妙ながら物語があって小川さんらしい温もりとミステリアスで骨董品のほこりのような落ち着く本だった。べべとお嬢さんとお父さん、そしてアーケードの人たちが愛おしい。

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    2021年11月15日
  • 博士の本棚

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    日常的なことや些細なことでも、深く考えると、そこから面白いこと、新しい発見を見出せるということを、この本は教えてくれました。

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    2021年11月13日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    非常に面白かった。
    ゴリラや他の霊長類との比較でヒトを知る、と要約してしまうとつまらないのだが、いろいろ考えさせられながら、ユーモアもありつつ叙情的な対談。

    言葉というのは、長い進化の歴史の中ではまだ新しいからどこか安っぽいんだとか

    樹上生活の哺乳類がコウモリとサルに分かれ、飛ぶ方を選ばなかったサルは、鳥になりたかったという思いがあり、同じ祖先から分かれた我々は、その思いを受け継いで、今も飛ぶことに憧れるのではないかとか

    家族、社会、性、様々なことについて。
    お二人の語り口も実にいい。

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    2021年11月10日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    エッセイとは知らずに手に取った。
    とても、とても素敵だった。小説もすごく好きだけど、小川洋子さんのあたたかな人柄がにじみ出た本当に素敵な1冊でした。
    なんだか知らずに抱えていたやるせなさとかかなしみとか、いろんな思いをふっと軽くしてくれるような、そんな本だった。素直に心の奥まで染み込んだ。今の私に絶対に必要だった気がする。出会えてよかったなぁとしみじみ。

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    2021年10月12日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    「わたしの耳のために、あなたの指を貸してもらえませんか」
    耳を病んだわたしの前にある日現れた速記者Y。その特別な指に惹かれ、わたしは歩み出す。入院中の病室で夫との離婚が成立した。最後まで優しかった夫がわたしに残したのは、耳の治療に十分なお金と甥のヒロだった。ある座談会をきっかけにYとの交流は深まり……
    十三歳の少年、マロニエ越しに見えるホテル、ヴァイオリンの耳鳴り、博物館の補聴器。

    不思議な作品だった。結末を読んで、題名の意味を考えた。「余白の愛」。余白とは、Yが速記した紙の余白ということだろうか。それとも、Yの指を包み込んで眠ったあとの空間だろうか。何を比喩しているのか分からないけど、確か

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    2021年09月30日
  • 博士の本棚

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    「博士の本棚」エッセー
    小川洋子さんはエッセーもおもしろい。
    短編集なので、ちょっと空いた時間にサラッと読める。

    「博士の愛した数式」を執筆するエピソード(ちょっとだけ抜粋)
    「完全数を背負う投手」
    『28は完全数。この一行を眺めてひらめいた。江夏の背番号じゃないか、と。ここから江夏豊を愛する数学者を主人公にした小説がスタートした。(中略)28が持つ永遠の完全さに比べ、人間とは何とはかなく、不完全な存在であろうか』といった具合に...。
    「読書は楽しい」

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    2021年07月10日
  • 不時着する流星たち

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    ぞくぞく。不穏。そわそわ。ざらり。
    もしかしたらどこかにいるかもしれない不思議な人たちのお話。実在した人をモチーフに着想された短編集。発想力に脱帽です。再読。

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    2021年06月28日
  • やさしい訴え

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    空気感が素晴らしいです。
    はっきりと書かれていないけれど、みんな、ほんとうに全員が置かれている状況を理解しています。
    わかったうえで、どうすべきか、行動しています。
    でも、人も動物です。
    したい、触れたい、という気持ちは抑えられない。
    それが限りあるものであり、失う危険もあるものだから、だからなおのこと感情が高まっていきます。

    札幌行きをやめさせるための咄嗟の行動(言動)には少なからず驚きました。
    でも、それは、行けばそうなる、ということがわかるから。もしも自分ならそうするだろう、そうなるだろう、ということの裏返しですね。

    結論としては敢えて言わない大人の対応で新しい道を踏み出すのですが、

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    2021年05月27日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    小川洋子さんは、それほどたくさん読んでいるわけじゃないが、文章が詩的で美しいと思う。
    これは小説ではなくエッセイなのだが、毎日の暮らしを描写するだけでも、例え方とかが、まるで音楽のよう。
    私は綺麗なものには綺麗とか美しいとかしか言えないんだが、
    小川さんにかかると、そこにひとつの物語が現れるような気がする。
    ラジオで本の紹介の番組をもってらして、そこでの語り口もゆったりとしていて好きだ。
    小説家ってのは深く深く、いろんなものを視る、んだろうなあ。
    語りかける相手がいることの、救いを想う。

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    2021年04月13日
  • 余白の愛

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    耳を病んだわたしは、ある座談会で速記者Yと出会い、彼の指に惹かれる。

    F耳鼻咽喉科病院と、病室の窓からマロニエ越しに見えるホテル。離れにあるささやかな美術館。
    まるで絵に描いたような美しい風景が、目の前に広がっていく。
    静かな物語にもかかわらず、終始ドキドキしていた。
    記憶の引き出しの中に、もう一つの世界があるようで、想像力をかき立てられる。

    ずっとわたしの傍らにいてくれた、甥っ子のヒロの優しさと、幻想的でとてつもなく美しい世界を存分に堪能することができた。

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    2020年12月12日
  • 妊娠カレンダー

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    妊娠カレンダー

    なにか怖いと思うシーンが何回かあり、思わぬ方向に話が進んでいくのではという冷静な興奮を与えてくれるストーリーだった。

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    2020年11月11日
  • 偶然の祝福

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    また好きな本に出会ってしまった。
    悲しみや寂しさ、影が通奏低音として流れている文章が好きだな。
    お手伝いのキリコさんの話が好きです。

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    2020年11月03日
  • 余白の愛

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    地球っこさんに教えていただいた本。

    小川洋子さんのすばらしい世界観。
    とても文学的で物語の中に引き込まれました。
    静かに流れる物語が、読み終えるのが惜しいと思いました。
    これは手元に置いておいて、何度も読み返したいと思います。

    ありがとうございました。。。

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    2020年10月31日
  • 博士の愛した数式

    ネタバレ 購入済み

    やさしい

    数字を、数式を、数学を美しいと初めて感じられた。私は終始ゆったりとした空気感を感じながら読みすすみましたが、読み終わるのはあっという間でした。

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    2020年09月07日
  • 世にも美しい数学入門

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    「すぐに役立つものはすぐに役立たなくなる」の反対が数学。
    なかなか役立つ時が来ないし、その時が何千年後だったりする。
    そもそも役立つことを目指さない、美しさと感動だけを求めるのが数学。ただその一心で取り組んでるのが数学者だというのは、世間の数学者へやイメージとだいぶかけ離れている気がする。

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    2020年08月14日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    小川洋子さん「夜明けの縁をさ迷う人々」、2007.8発行、9つの短編小説が収録されています。どれも味わい深いです。興味深い話、怖い話、奇妙な話。興味深く強く印象に残ったのは、「ラ・ヴェール嬢」と「お探しの物件」。「涙売り」と「教授宅の留守番」は怖い恐い話でした。奇妙な話の中には、彼岸と此岸の交差する話が多いです。

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    2020年07月11日
  • 凍りついた香り

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    小川ファンなので冷静に星がつけられません。

    亡くなった恋人をたどる心の旅のお話です。物語が始まった時に既に恋人は亡くなっていて不在です。不在だからこその存在感は小川さんの作風の特徴であり、一貫しているので心地よく読みました。

    取り留めもないと言えば取り留めもないと思うのですが、だからこその哀しみを感じます。

    恋人の仕事が調香師というのもこの物語にぴったりで、香りは目に見えないけれど香りというものの背景には必ず思い出があるのだと思う。

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    2020年06月02日
  • 言葉の誕生を科学する

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    言葉はどのようにして、うまれたのか。自分にとっても子供の頃からの疑問を、好きな作家さんが脳科学者の方と考察していく様子が、とても興味深かった。歌うのは、鳥とクジラと人間だけ!なんてロマンティックなんでしょう。科学なのに。科学だから?
    デバやジュウシマツに向けるお二人の優しい目線も、読み進めていて温かい気持ちにさせてくれる。

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    2020年05月29日