小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
地球の裏側のどこか知らない国、
8人の日本人の乗ったマイクロバスがバスごとゲリラにより拉致される。
世間には、一通りのゲリラの実態なども報道されるが、100日を超える膠着状態になり、世間からは少しづつ忘れ去られていく。
その危機の真っ只中の彼らは、生きて帰れるのか死ぬしかない中で、一人一人の朗読会が始まる。
短編小説みたいだ。
一人一人の物語を静かに、淡々とみんな聞いている。その話は子供の頃のことや若い時のこと、人が聞いても感動も何もないお話。
何なんだろうな。
何かしら、薄暗闇の中で静かに瞑想のような感じすら受ける。
心が透明になりそうだ。
私は「冬眠中のヤマネ」が好きだ。
いったいこん -
Posted by ブクログ
ネタバレ不思議な手触りの小説。
まずブラフマンが人間ではないこと。でもどんな種類の生き物かは明かされない。
「僕」が何歳ぐらいなのか、どんな過去があってどうしてそこで働いているのか、そもそもどこの国のいつ頃の話なのか、すべてがはっきり語られない。
この手掛かりの少なさにも関わらず、ブラフマンの生き生きとして描写に冒頭から引き込まれる。
何と言ってもほとんど犬っぽいブラフマンの仕草の描写が可愛い。タイトルどおり「ブラフマン」は「埋葬」されてしまうという予測ができていたが、あまりの愛らしさに、ブラフマンが無事に元気なまま終わるように願いながら読んだ、
時々現れる、「僕」のブラフマンに関する観察日記のよ -
Posted by ブクログ
2025.21
遠慮深いうたた寝をコロナ禍に
家の屋上で寝っ転がって読んでから
小川洋子さんの文章が好きなことに気付き
あの頃救われた気持ちになったので
特別な本だったのだけど、
"続"が出て嬉しい。
あの時本屋でつるんとした装丁に惹かれたけど
"続"も陶器のようなデザインでかわいい。
小川洋子さんの文章は心が穏やかになる。
これからも遠慮深いうたた寝が続いてほしい。
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P23 精いっぱい仕事を頑張る、というその頃合いが分からない。私は今、ぎりぎりまで自分を追い込んでいるか?もうこれ以上は無理だ、というところまで這い上がろうとしているか -
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ネタバレ舞台をモチーフとした短編集です。小川洋子さんだなあと思いながらの読書でした。研ぎ澄まされた文章に、不思議な世界が広がっていました。装画はヒグチユウコさん。この雰囲気と色合い、好きな感じです。そして何かが潜んでいるような感じもしました。背表紙もおしゃれです。
以下は、読者の私が気に入った短編の感想です。
【指紋のついた羽】
ひとことで言えば〈無言の世界の美しさ〉。
バレエのラ・シルフィードに魅せられた少女。逆さまに置いた工具箱の上で上演される無言の世界。その世界になぜか美しさを感じ、幼い頃から少女を知っている縫い子さんの優しさが心地よかったです。二つの光と二人の後ろ姿の描写で締めくくった最 -
Posted by ブクログ
9話の不思議な世界の短編集だ。
特に印象深かったのは⋯
⚫︎「 曲芸と野球 」
「私」が少年野球を楽しんでいた小学校4年生の時、常に3塁側のファールゾーンで女性の曲芸師が椅子を4脚積み重ねての稽古をしていた。
しかしチームメイトには、その曲芸師の姿は視界に入っていないようだった。
大人になった「私」は、年に数回のペースで草野球を楽しむのだが、今でも三塁側のファールゾーンから曲芸師が「私」を見つめている。
⚫︎「 イービーの叶わぬ望み 」
老舗の中華料理店のエレベーター内で、誰かに産み落とされていたイービー。
お店に勤めていた心優しいチュン婆さんがイービーの育ての親になる。
成長とともにイー