小川洋子のレビュー一覧

  • 洋子さんの本棚

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     同世代、同郷(岡山)で、名前も同じ「洋子さん」はともに文筆業。無類の本好きだった2人は、どのように本を読み、どんな本に背中を押され、今が形づくられたのか…。時代を分け、思い出深い本のリストを公開し合い、対話していきます。

     2013,2014年の文芸誌掲載と「語りおろし」で、意外にもゆっくり話すのは互いに初めてとのこと。少女時代〜思春期〜家を出る…と続く5章構成で、各章末にオマケの対話、巻末に〈人生問答〉が付録されています。

     語るほどに2人の距離が縮まり、親しみやすい素が晒され、文学以外の話題にも花が咲きます。が、やはり深いのは自身の創作(小川さんの物語の種)やエッセイ(平松さんの記憶の断片)を生み出す言葉へ想いです。

     特に小川さんの、旅が大嫌いの出不精を自認し、(アンネ・フランクへの思い入れも)動きたくとも動けない人へ共感し、閉じ込められている人に興味があるとの話に、そういうことか!と納得です。
     また、2人がこれまで心酔してきた本がたくさん取り上げられているので、ブックガイドの側面もあって、また読みたい本が増えます笑。

     2人の生育歴や人生観、日常のこだわりなど、魅力的な情報が満載でした。特に、さり気なく散りばめられた創作に関わる部分は、2人の各作品の背景を補足してくれるような対話集でした。

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    2026年09月23日
  • 妊娠カレンダー

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    小川洋子の食欲の描き方が好き。取り憑かれたみたいに、食べ物を欲してる様子なんだけど、静かな欲求。どこか乾いてる感じ。

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    2026年09月21日
  • ことり

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    ネタバレ

    温かさと切なさを同時に感じる作品でした。
    言葉を選ばなければ閉ざされている世界、とも言えますが、誰と比べることのない主人公と兄の世界に触れられる…それは他者の幸せと比較してしまう私自身には穏やかなひとときになりました。
    また、人のこうしたい、ああしたいという願望の控えめでリアルな描かれ方も内向的な主人公の機微をよく感じ取られて面白かったです。

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    2026年09月21日
  • 人質の朗読会

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    不思議な会があつまる公民館。これは現実なのか夢なのか。少しホラー味のある小川陽子さんの素敵な本でした

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    2026年09月20日
  • ことり

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    静かで冷たい、この作家の空気感は残しつつも、マイノリティに対する温かさと優しさが詰まっていた。
    冒頭で、小鳥の小父さんが亡くなる事が分かっているので、どんな出来事でゾッとさせてくれるのか期待をしてしまったのだが、そういう事ではなくて、淡々として静かな結末だった。しかしそれが、妙に納得したし、冷酷さを求めていた自分を浅はかだと思った。

    ※マイノリティと書いたけど、あとがきにあるマージナルな人という方が、表現的には合っている気がします。

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    2026年09月18日
  • 妊娠カレンダー

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    小川洋子の書くはなしは、いつも終わり際にほんとうに終わることができるのかと不安になる。それでいていつもぴったり終わるのだ。最初からそこで終わると決まっていたというように、ぴたりと。食べることはグロテスクであり、だからこそ官能的でもある。小川洋子は食べることに恨みでもあるのだろうか。小さな震えが本を持つ指から伝わってくる。あまりにも小さなものだから息を止めていないと感じられないようなそれが、僕をいつも幸福(しあわせ)にする。

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    2026年09月17日
  • 小川洋子が読みとく『アンネの日記』 NHK「100分de名著」ブックス編

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    アンネの日記の斬新さは、架空の親友キティに宛てた手紙という形式をとったことにあるという。
    それによって、単なる日常の記録から、「特定の誰かに読まれる」ための、飽きさせないユーモア、推敲、演出、空間を想像させる表現力が加わって、文学に昇華した。
    誰かに読まれるかもしれない(し読まれないかもしれない)文章を書くことには、なんとも言えないスリルがある。書かなければ忘れ去られ思い出すこともできなかったような些細な洞察や考え方の変化、風景が軌跡として積もっているというのは、なんとも甘美なライフワークかと思う。

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    2026年09月13日
  • 遠慮深いうたた寝

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    記憶の中の川を辿り、小鳥を見れば彼らがどのように暮らしているかを想像し、それがいつの間にか心の中で動き出し言葉を発している、、、なんて豊かなんだーー小川洋子を読むといつもその感性の豊かさ、鋭敏さに嫉妬しそうになる。

    モディアノの章とフランクルについての章が良かったな。やっぱり小川洋子にとってホロコーストの記憶はすごく大切なものなのだと思う。と同時に、彼女は今の世界をどう捉えているのか気になる。

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    2026年09月12日
  • サイレントシンガー

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    小川洋子さんの大切にしている世界なのかな。
    静寂のなかでも伝わるものがあるのは生きているうえでの強みみたいなものだなあと感じた。
    個性が皆輝いていて、不思議なんだけど、なんか共感できる…。なぜだか自分の存在が優しく肯定されているような、美しくて儚い物語でした。

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    2026年09月11日
  • サイレントシンガー

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    静寂を愛する人々の間で育った少女が、歌を通して無生物と心を通わせていくさまを描いている。小川洋子らしさはあったが、何を最も描きたかった話なのかはよくわからず、話としてもオチが弱いために残念さが残った。

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    2026年09月11日
  • ブラフマンの埋葬

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    美しい言葉で表現される
    美しい景色や情景がとても印象的。
    また、夏の終わりに読みたい。

    今回は、私の好きな小川洋子表現(地下室のような湿った感じと、仄暗さを併せ持っていて、少し得体の知れない感じがするのだが、温度が無いわけじゃなくて、ほんのり温かい)が、最初から最後まで漂っているという小説ではなく、ただ一言「埋葬」という表現で、切なさと哀しさが小説全体で表現される美しさを包んでいて、表題と内容の対比がより世界を際立たせている。それによって「諸行無常」の美しさを感じた。

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    2026年09月09日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    妊娠の経験はないが、いつか来るその日が少し怖くなった。毒は盛らない。
    ドミトリーや給食室、プールは学生時代に経験したものたち。そこに対する考え方が興味深い。自分もプールは怖くて、泳げない。あそこでどうしようもない恐怖感と一種の侮辱感を味わった苦い思い出がある。

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    2026年09月06日
  • ブラフマンの埋葬

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    悪戯好きで泳ぐのが得意な不思議な生き物、ブラフマンと青年のひと夏の物語。
    何処か遠くの田舎の情景が浮かび上がり、静かに物語に引き込まれていく。
    短いけど素敵なお話だった!

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    2026年09月04日
  • 遠慮深いうたた寝

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    とても美しい文章で日常が描かれていてとてもよかった。やはり作家さんのエッセイは日常の解像度とその言語化表現に感嘆するものがあり、毎度圧倒される。読者の働きがあってこそは自分が小説を読む動機が作者目線で綴られていて本当に良かった。

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    2026年09月03日
  • 劇場という名の星座

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    小川洋子さんの美しい文章で帝国劇場を舞台に様々な人たちの心情、見える景色が描かれていて素晴らしかった。
    盲目な男性が観劇をし、その案内係となるエピソード「ホタルさんへの手紙」がとても印象深い。

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    2026年09月02日
  • 劇場という名の星座

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    やっぱり小川洋子さんが描く世界観、好きだ。
    普段から観劇ということをしないので、もちろん帝国劇場に足を踏み入れたことがない。
    帝国劇場を知っていたらもっと楽しめた作品だったんだろうな。
    「幸運の椅子」座ってみたい。

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    2026年09月02日
  • 世にも美しい数学入門

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    ​サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』を読んでいる途中、ふと本棚の隅にある本書を思い出して手に取った。『博士の愛した数式』はかつて映画で観たはずだが、内容はほとんど覚えていない。しかし、対談形式で進む本書の面白さには引き込まれ、一気に読み終えてしまった。
    最近、仕事を通じて数学に触れる機会が増え、関心が高まっていたタイミングだったこともあり、この美しい世界への「入門」に胸が躍った。
    数学者という人種はきっと世間一般から見れば風変わりなのだろうが、一度直接会って、その思考や情熱に触れてみたいと思わせる一冊だった。

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    2026年08月30日
  • 遠慮深いうたた寝

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    小川洋子の推し活の様子が読めると聞いて購入したのだけれど、読み終わってみれば印象に残ったのはむしろ、芥川賞授賞式の二次会に行こうとする時の心と身体が離れてゆくような様を描いたどこか幻想的な一編だったり、私も敬愛する内田百閒について書いている文章だったりした。短編のエッセイってたくさんの文章の中に幾つか物凄く印象に残るものがあるとあとかや何度も読み返すことになるものだけど、この作品も私にとってそういうものになりそう。

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    2026年08月30日
  • 耳に棲むもの

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    ネタバレ

    5つの短編集。
    読みやすいのだけれど物語は独特の奇妙さがあっておもしろい。
    特におもしろかったのは最後の「選鉱場とラッパ」だった。
    輪投げの景品に置かれていたラッパ。それがどうしてもほしい少年の気持ち。誰もラッパを選ばないようにと願いながら、キーホルダーや鉛筆などを選んでいく成功者たちをホッとしつつも「なぜそんなつまらない景品を選ぶのか」と不思議がる感じがよくて、わたしは少年になった。だから最後の方はとても辛くなった。蹴り上げた野良犬と盗んだラッパ。たっぷりの罪悪感が辛かった。

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    2026年08月28日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    小川さんが読んできた本がたくさん紹介されて(全く知らなかった作家も)いて興味深かった。読みたいリストが増えました。

    胸をぎゅっとつかまれる、家族のエピソードがいくつもあった。死を見つめる小川さんの独特な視点は美しく、憧れてしまう。

    エッセイを読んでいると、どうしてこんな優しい方があんな残酷な小説を書けるんだろう?と不思議に思う。それがまた魅力的。

    アンネ・フランクについての思いの深さも共有できてうれしい。

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    2026年08月27日