小川洋子のレビュー一覧

  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    1日で読みきった。
    私は基本的に抑揚の少ない作品は飽きちゃって読めないからミステリーばっか読んでるけど、この本はいい意味で抑揚が少なくて、なのに飽きなかった。
    少年を通して見る世界がなんて美しいんだろうと思った。
    繊細で丁寧な表現で、文字を通して感じる彼が生きる世界がとても素敵だなと思った。優しくて、静かで穏やかで凪みたいなのに、ちょっと残酷で切ない。
    すごく複雑で深い感情なのに、一つ一つの言葉が軽くて柔らかいから、水の上を歩いてるみたいな感覚だった。
    読んだあとはちょっと切なくて優しい気持ちになった。もう1回読みたい。

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    2026年02月05日
  • とにかく散歩いたしましょう

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    小川洋子さんが新聞に月一連載していたエッセイを一冊にまとめた本
    表紙にもいるラブラドールのラブとのお話が印象的な一冊です

    ・本の模様替え
    一度読んだ本でも中身をきちんと覚えていないことはもちろん、何なら内容を改変して覚えてしまっていることもあるよね、というお話
    『走れメロス』のストーリーを180度反対に覚えていたお話がおもしろかった。

    ・キャベツ共有の和
    家庭菜園を始めた小川さんが作物につく虫やナメクジを観察して気づいたことを書かれたお話
    自分のことを思い返すと子供の頃は虫が平気だったのに、大きくなるにつれて苦手になり、最近また平気になりつつある。じっくりと虫たちの動きを観察する余裕が自分

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    2026年02月05日
  • 人質の朗読会

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    人質として、いつ処刑されるか分からない状態の中で、自分の人生の一部を文章にして朗読し合う話です。
    緊迫した状況下で、ほのぼのした話、切ない話、楽しい話が発表します。
    牢獄の中で生きる糧を見つける人質の心情を上手く掴んでいて、その発想が面白かったです。

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    2026年02月02日
  • 人質の朗読会

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    こんなにも生と死、いつも通りの生活の有り難みを感じられる小説はあまり読んだことはありません。

    極限のなか感謝、後悔、恐怖、様々な感情を押し殺して朗読会を行います。

    8人の人質は偶然その場に居合わせただけで、皆それぞれの生活があり、家族や友人がいる。年齢や性別も違っているお話がとても身近に感じられます。9人目の、通訳の政府軍兵士が語った「彼らは祈りにも似た行為であった」の一文には涙が出そうになりました。
    悲しいけど、素敵な短編小説です。

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    2026年02月01日
  • ことり

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    小鳥の小父さんと言われる男性の生涯の物語。人間が理解できない言葉を話す兄の言うことを唯一理解できる存在として、兄と肩を寄せて暮らす日常は、変化を好まず、小鳥のさえずりをはじめ、ほかの人には見えない何かを大切にひっそりと、それでも少しずつ世界がズレていく様子が物悲しい。

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    2026年02月01日
  • ことり

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    静かで独特な世界観の中で、1人の人間がいかに生きて亡くなっていったのか見守ることのできる作品だった。
    周囲の人々からの偏見や狭い生活圏の中で、言い訳することもせず(できず)、自分が大切とするものを淡々と守りながら静かに生きる小父さんのストーリーに触れられたことに意義を感じた。

    【印象に残ったフレーズ】
    "鳥籠は小鳥を閉じ込めるための籠ではありません。小鳥に相応しい小さな自由を与えるための籠です"
    「いくら鳥が鳴いていても、気づかない人がいるのと同じです」

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    2026年02月01日
  • ことり

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    解説のタイトルが、「取り繕えない人たちへの愛の歌」なんだけど、ほんとうにそれに尽きるなあ…と。小川洋子の、はぐれ者にやさしいところがとてもすき。なにも知らない人から見たらたぶん「変」なんだと思うし、自分も実際目の当たりにしたら「変」って感じるんじゃないかなと思うし、でもこの物語のようなその人の世界を尊重する物語があることに誰だってほっとする気がする。感情移入したわけでもないのに、切なさとさみしさと安心が混ざってため息が出た。

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    2026年01月31日
  • ブラフマンの埋葬

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    どんどん残りのページが減っていく。
    ほとんど無くなるページに焦らされる。
    紙の本で読む良さを味わった気がする。

    結末は、そうなりますか。
    小川洋子さんの静かな物語。

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    2026年01月31日
  • ことり

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    小川洋子さんの文章の端正さ、美しさが輝く作品だった。小父さん、お兄さんはきっといわゆるマイノリティであり、ポーポー語という「みんなとは違う言葉で話す人」であるが、共感できないマイノリティとしてではなくて、誰しもが理解したいと思いながら完全には理解できないことを実感として感じられた。小父さんとお兄さんも、コミュニケーションは通じているが、一緒の言葉で会話できているわけではなく、わかり合っている人でも、完全に理解し合うことはできない、という人間の根源的な寂しさと、だからこそ耳を傾けたいと思う尊さを感じた。

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    2026年01月31日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    「物語」は今年少し強めに関心を持ってみようかなと考えているテーマの一つ。まずは導入ということでこちらの本から。何の気なしに手に取りましたが河合隼雄さんの最後の対談本で、しかも途中で終わってしまっていたものだったのですね。『ブラフマンの埋葬』を題材にした会話はぜひ読んでみたかったので残念ですね。
    物語というものが持つポジティブなパワーについては既に学んでいたり実感している部分もあるのでそういう意味では心理師としての河合さんのいう物語の効用についてはまぁそうだよね、という感じで、むしろ小川さんの物語ることに対しての使命感のような感覚や創作についての感覚が面白かった。今後探っていきたいのはむしろ物語

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    2026年01月28日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    前作に引き続き、小川洋子さんのエッセイは
    なんだか心地良くて不思議な楽しさがある。

    月、おじいさん、通りすがりの人、
    子供のゴリラ、少年、
    フィギュアスケートの高橋大輔も出てくる。

    本の紹介は実際手に取ったことがない本が多くて、なかなか難しそう。。
    でもいくつかメモはしました。

    真冬の眠れない夜にホットミルクを飲みながら
    読むのがピッタリ。静かで穏やかで染み入る言葉たちに囲まれて私もうたた寝。
    なんとも幸せな読書時間でした。

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    2026年01月29日
  • ことり

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    ネタバレ

    花鳥風月(この話では「鳥」の部分しかないが)を楽しむことへの豊かさを感じる本だった。無害な小父さんが時の経過とともに虐げられていくのは見れられなかったが、小鳥の歌がいつも傷を癒してくれる描写が素敵だった。

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    2026年01月27日
  • 密やかな結晶 新装版

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    あたりまえのようにあった身の回りのものが一つ一つなくなっていく、儚く寂しいお話だったけど読後感はそんなに悪くないのはなんでだろう。

    途中からアンネの日記を重ねながら読んでました(作家の原点となったアンネ・フランクの『アンネの日記』へのオマージュとのこと)

    島から突然あるものが"消滅"するのだけど、それを処分することで忘れる者とR氏のように消滅することができない者(記憶がなくならない者)が交わり合えないところがどちらの立場も悲しくて切なかった。

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    2026年01月23日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    もしかしたら伯母はアナスタシアの使用人で、革命によって理不尽に命を奪われた彼女を悼むために自らがアナスタシアと名乗り、剥製のように永遠を生きようとしたのではないか、、途中まではそのような想像を巡らせながら読んでいた。しかし、作者の静謐な文章や生々しさをも美しさへと変容させる描写に、伯母が誰であろうと〝今ここで慎ましやかに幸せを感じて暮らしている〟その事実だけで充分だと感じさせられた。

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    2026年01月22日
  • 人質の朗読会

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     ずっと心の中にあり、人に話す程ではない、落ちもない話だけど忘れられなくて、思い出すたび、鮮やかさを増す記憶。私にもそんな話があるだろうか。
     語り手一人一人の、その人となりが、息遣いが、ひとつひとつの話に感じられる。
     お気に入りは、『死んだおばあさん』。

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    2026年01月22日
  • サイレントシンガー

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    沈黙を愛する人たちとともに育ったリリカは、やがて歌で多くの人や動物たちとのつながりを増やしていく。けれどその歌声は持ち主を問われない、聞く人や生き物たちの内側に積もっていく、かたちのないもの。むしろかたちがないからこそ、説得力を持ち、心に残りつづける。

    そんな歌をうたえる彼女はとても清らかだけれども、まるで音にあふれた現世とそれを受け入れられないものたちとの橋渡し役かのようでもあり、ずっと寂しい存在のようにも感じました。奉仕するような愛に満ちた彼女そのものが、作者の描く世界を体現する美しさのみで構成されていて、ひとのかたちとしての集大成かのようにも思えました。

    絡みあったふたつがひとつにな

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    2026年01月18日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    「今日は何日だ?三月三十日か。野ウサギの受死日じゃないか。いかん、私としたことがうっかりしておった。野ウサギの関節付きもも肉を食べねばならん日じゃった。日も暮れてきた。私はもう行く」p16

    という序盤の台詞に、なんだその意味の分からない日は!?なんだこの婆さんは!?と笑った。

    それはもう窃盗じゃないか、というやり方をしてでも収集してきた形見の数々。誰かが死ぬ事に登録番号をつけて増えていく。

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    2026年01月14日
  • ミーナの行進

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    大きな事件が起こるわけでもなくただひとりの生活を物語にした小説。
    ゆっくりとした時間のなかでの追体験は読んでいて心地よい作品でした。

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    2026年01月14日
  • からだの美

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    ハードル選手がハードルを飛び越える瞬間に見せる足裏、石川佳純さんのボールを見つめる視線、羽生善治さんが駒を指す中指、等。
    筆者により、思いがけない身体の美しさが浮かび上がる随筆です。

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    2026年01月13日
  • 人質の朗読会

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    人間一人一人の人生がささやかな思い出で支えられている。辛い経験。悲しい記憶。過去には色々あるけど、ぐっと今も自分の軸となって心を支えている記憶って凄く素敵だなと思った。
    やまびこビスケットのお話が個人的には凄く良かった。2人の距離感がビスケットを通じて縮まっていくのが大家さんの整理整頓への考えが凄く良くて私も整理整頓しようと大家さんとお話しているような不思議な感覚だった。

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    2026年01月12日