小川洋子のレビュー一覧

  • 遠慮深いうたた寝

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    知人からおすすめされたエッセイ集。
    色んな題材でエッセイが書かれていて
    一般にイメージするような日常の中での気になった話や面白い話だけじゃ無くて
    中には読書感想やホラー、幻想といった小説的なものまである。
    この一冊で幅広いエッセイの形に触れる事ができる。

    あとがきにも書かれているが
    「結局は文学のない世界では生きられない」
    というのが全体的なテーマとの事で
    読み終わって
    意識的にしろ無意識的にしろ
    日々の生活の中って否応なく文学的要素って転がってるんだよな
    と再認識させてくれた。

    文芸作品を読むのってなんの意味があるのって考える人もいると思うけど
    今まで感じ取れなかった視点に気づけるという点でも
    やっぱり本を読むのって大なり小なり人生に影響ってあるよね。

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    2026年07月05日
  • 耳に棲むもの

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    箸休め的に読んでたけどこっちの方がおもしろい気がする。

    純文学、耳という官能器を繊細に表現してる。

    癖に刺さりそう。
    特に4話目がエロい!

    純文学。

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    2026年07月11日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ネタバレ

    小川洋子の「物語の役割」を読んだことがあり気になったので。アンネの日記が文学的にも優れていたことを初めて知り驚いた。

    物語ることで自らを救うことがある
    学びは未来への希望である

    極限だからこそ本質が見えてくるのだと思った。

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    2026年07月01日
  • 不時着する流星たち

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    変わった人たちが描かれた短編集で、個人的に好みだった。
    どの話も独特の感性を持った人達が描かれていて気になる。
    でも時々私の読解力が良くないせいかどうゆうことか分かりづらいところもあり。話が全然入ってこない時もあった(通勤中に読んでたから私がたまたま疲れてただけかもしれないけど)
    どの話もどこか病的なものを感じて少し怖いというか不気味な気もするけど爽やかなような気もするなんとも言えない話ばかりだった。

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    2026年06月29日
  • 薬指の標本

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    表題作『薬指の標本』

    童謡「赤い靴」を流しながら読みたいお話。あとなんか、唐突に「ぼのぼの」の「しまっちゃうおじさん」を思い出しました。どちらも、「子供の頃なんとなく怖かった記憶」ですかね。

    以下は「密やかな結晶」との比較も含みます。

    『密やかな結晶』の後に読んだのだけど、雰囲気が似ていて、特にその作中作と構造が似ている。
    発表としては『薬指の標本』表題作の初出:1992年7月
    『密やかな結晶』単行本:1994年1月
    『薬指の標本』単行本:1994年10月
    とのことであり、『薬指の標本』からさらに純度を増したのが『密やかな結晶』であるように見える。
    『薬指の標本』は短いが、小川洋子の作品に繰り返し現れる要素がかなり露出した形で詰まっている作品だった。標本室、靴、地下室、保存、閉じ込め、正確な手順を持つ男、自我の薄い主人公、身体の一部への集中。これらが非常に直接的に配置されている。

    『密やかな結晶』と比べると、『薬指の標本』は官能がかなり濃い。そこには明らかに封じ込められたい欲望がある。主人公自身も「自由になんてなりたくない」「この靴をはいたまま、標本室で、彼に封じ込められていたい」という方向へ傾いていく。つまり、まだ主人公の側に欲望が見えている。
    一方で『密やかな結晶』は、「そうされるしかない」物語である。そこでは、主人公が「そうされたい」と選ぶより前に、世界そのものがすでにそのように閉じている。選べないというより、選ぶ必要がない。自由がないからこそ、自由であらねばならない負担からも解放されているように見える。

    小川洋子はこの2つしか読んでいないが、この系統の作品には、少女趣味的な美しさがある。
    標本瓶、古い建物、閉じられた部屋、秘密、指、靴、箱、保存。そうした道具立てによって、成熟した現実から少し外れた箱庭の美学が作られている。

    主人公たちは、強い自我を持って世界にぶつかるタイプではない。叫ばない。戦わない。暴れない。むしろ、自我がないことに徹しているように見える。しかし、何も感じていないわけではない。感受性は非常に鋭く、温度、湿度、匂い、手触り、相手の動作、部屋の静けさを細かく拾っている。ただ、それを「私の欲望」「私の怒り」「私の判断」として所有しない。感受性はあるのに、主張がない。この自我の薄さが、世界や他者に侵入される余地を作っている。

    こちらが選んだからではない。
    こちらが望んだからではない。
    どうしようもないものに巻き込まれた。
    だから仕方がない。

    この「仕方がない」が、欲望の言い訳になっている。
    乙女心とは、自分の欲望としてではなく、外側の必然として訪れてほしいと願うことなのかもしれないなと思った。

    『薬指の標本』を読んだことで、『密やかな結晶』の異様な完成度がよく見えた。
    この二作は、同じ毒を別の溶媒に溶かした作品のように見えました。

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    2026年06月30日
  • ことり

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    小鳥を通じて兄と、人と、繋がりながら生きた「小鳥の小夫さん」の不思議な人生の話。

    小川さんらしい、不思議なお話でとても好きでした。
    「小鳥の小夫さん」は、きっと本の中に暮らす彼の周囲の人々から見たら、平凡で、無口で、ちょっと変わっていて、やや話しかけづらい男性だと思います。

    しかし、そんな人の人生の中に、一冊の本になるような物語がある。
    そんな感じの本です。


    私が特に好きなシーンは、目白の鳴き声大会での、小夫さんの一世一代の大胆行動です。
    その前に出てくる鈴虫の老人の話も伏線になっているような感じで、小夫さんらしい行動だなあと。

    鳥は飼わないと言ったお兄さんや、鳴き声大会の小夫さんの行動と対峙するように、小夫さんは最期鳥を飼っていて、鳥籠を抱えたまま事切れたのも印象に残りました。
    お兄さんは、決まった行動が好きで、安心するある種機械のような人である一方、
    小夫さんは、イレギュラーなこともするし、辻褄の合わない感情を持っていたり、人と交流することもできたり、人間的な人に描かれているような気がします。
    だからこそ、小鳥や、お兄さんをとても愛していたような。


    個人的に、
    小夫さんとお兄さんの様子は、映画のレインマンを想起させましたね。
    2人とも似ているところもあり、違うところもあり、違うところをお互い好きであるような関係性。
    お兄さんがサバンとかASDっぽい感じも似ています。
    レインマン好きな人はハマるかと!

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    2026年06月29日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    可愛いタイトルに惹かれて買ってみた。
    謎の浮遊感に満ちた御伽噺のようだった。主人公ののチェスに重ねるのは図々しすぎるけど、人生とは一期一会というセッションで、私も1つ1つの歌う機会を大切にしようと思えた。そして、自分の幸せは自分で決めること、かなー。
    個人的な話ほど普遍的なメッセージが宿る不思議と、誰かの宝物をそっと見せてもらったような静かな高揚感に包まれた。

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    2026年06月28日
  • 琥珀のまたたき

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    琥珀の中に映し出される繊細で美しい世界。
    少しの綻びが更なる綻びを生んで、元に戻らないからこそ一瞬一瞬が綺麗なんだろうな。

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    2026年06月27日
  • ことり

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    愛することと愛されることは決してイコールではないのだ。

    ことり、お兄さん、司書。おじさんが愛したものはおじさんを愛してくれたかもしれない。
    でも、世界を構成する要素というのはそれだけではない。愛するものと嫌いなものの間にとてつもない量の どちらでもない がいる。

    最近私は、周りにいる人の多くにとって、私はどちらでもないものなのだと感じることが多い。
    おじさんみたいに自分の世界を大事にする時間を増やそうと思う。

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    2026年06月26日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    標本になることで彼らの関係は完結する。靴の音だけが響く標本室で、彼女は最後、自分の薬指を思ったのだろうか。
    この標本室は必要な人にだけ開かれ、おそらく、バイトの看板を見れるのも「必要」としているだけなのだろう。初め読んでいた時はこんなに給与も休みも良くて、暇そうな仕事羨ましすぎる……と思ったけど、この運命を辿るなら、羨ましくはない、のかなあ。
    ずっと静謐な空気の漂う、神秘的な話で好きだった。

    わたしはもう、この標本室のことならなんでも知っている。からの最後の2ページが恐ろしく美しい。

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    2026年06月26日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ネタバレ

    淡々と進んでいく物語の中にきらきらと光るものが散りばめられていた
    中盤あたりになってようやく、秘密警察がナチスや粛清にあたるのだと気付いた
    どうしても消失していく感覚がわからなかったけど、R氏や主人公の母がどう感じていたのかを想像できて面白かった

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    2026年06月23日
  • 薬指の標本

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    おとぎ話のような世界観でスラスラ読めた。
    部屋の内装に関する表現が素敵で心が踊る
    弟子丸氏、とても魅力的なんだけどやばいが勝ってしまった

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    2026年06月17日
  • ミーナの行進

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    ネタバレ

    読んでいて映像が頭に流れ込んでくるような、まるでそばで誰かに読んでもらっているような、そんな気持ちになった。
    ミーナと過ごす時間はとても楽しくて、ミーナは不自由ながらとても眩しかった。
    山火事の晩の出来事が不意打ちすぎて、あそこが結局いちばん印象的だったかもしれない。
    あとはマッチ箱に書いてある話はどれもとても面白かった。ミーナの描く物語は、小川洋子さんの本と同じ、不思議な優しさと温かさがある。

    そっと心が温かくなる感じに、改めてこの人の描く少し不思議な物語が好きだなぁと思った。

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    2026年06月17日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    たくさんの話が、握り寿司のフルコースのように箱詰めされている1冊。
    静かに面白い。
    決して多くない文字数で、きちんとまとめられ、整えられている。

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    2026年06月14日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    『喜嶋先生の静かな世界』と通ずる、心地良い読後感。口数少ない人物の内面を丁寧に描写する作者の能力。すごいなあ(小並感)。


    「君は言葉で説明できる、手にとって他の人に見せることができる目的のために、一度でもチェスを指したためしがあるのかね?〔…〕私はいつでも、チェスがしたいからチェスをする。それだけだ。」P197

    チェスのためにチェスをする。
    國分功一郎『手段からの解放』にも同じような話出てきてたのを思い出した。

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    2026年06月14日
  • 博士の愛した数式

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    記憶が80分しかもたない博士と、派遣されてきた家政婦とその息子のルート。

    博士が敬愛する数字と数学に魅入られ、いつしかコミュニケーションのひとつとなる数字。そして阪神の江夏豊。

    家政婦とその子供という立場だけでなく、孤独の博士にできた“友達”として、関わっていく様子は、とても温かいものでした。
    80分しか記憶がもたない博士になるべく混乱を与えないよう話を合わせ、なるべく心地よい空間になるよう努めた二人。
    ルートをはじめ、子供には無償の愛を注ぐ博士、そして記憶がもたないながらも家政婦にだんだんと信頼を寄せる博士。気難しいようにみえてとても温かい博士。

    人との関わりについて考えさせられるストーリーでした。

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    2026年10月08日
  • 密やかな結晶 新装版

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    すごい本を読んでしまった…すごく引き込まれたし、ずっと不気味で、先がどうなるのかまったくわからなかった…アンネの日記を読まないといけないかも

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    2026年06月12日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ネタバレ

    〈備忘録・ネタバレあり〉
    小学生の頃にアンネフランク物語を読んだことがあったが、アンネの日記は未読。
    アンネの日記がこれほど引き込まれる理由や、日記がアンネにとってどのような存在であったかの考察が書かれており、興味深かった。そして書く、という行為の尊さも改めて感じた。

    ▼引用
    日記は本来、自分以外の読者を必要としません。しかしアンネは自分自身の感情をノートにただぶつけるのではなく、苦しい事柄でも楽しい出来事でも、そこからあえて距離をとって言葉を紡ぎ出し、読者たるキティーに手渡すという構図をとりました。客観的な視点を確立したことで、この日記は文学にまで昇華したのです。  そして、キティーの存在を用いたことによる、もうひとつの効果がありました。それは、毎回必ず最後に「アンネより」、あるいは「アンネ・M・フランクより」と署名したことです。毎回名前を刻むことは、「私はここに生きているのだ」と確認する作業となったはずです。世界にたったひとりしかいない自分、個人としての独立した自分の存在を、アンネは日記に繰り返し刻みつけることになったのです。 「キティーはいつも辛抱づよいので、このなかでなら、わたしの言い分を最後まで聞いてもらえる」と、アンネは記しています。反論も否定もせず、ただ黙って話に耳を傾けてくれる友人。そう考えるとキティーはアンネにとって、カウンセラーのような存在だったのかもしれません。

    …

    この本からアンネの年相応の可愛らしさや、いかに利発で言語化や観察力に秀でていたかがよくわかった。姉のマルゴーなんて、別人になりすまして受けていた通信教育の会社から、辞めないでくれと言われたくらいの才女だった。才能あふれる少女少年たちの未来を残酷に閉ざしたことが悔やまれてならない。

    恐ろしい時代の中隠れて生活しながらも、アンネたちは小さな楽しみを生み、探し続け、ユーモアは逞しく生きる力を育むなと感じる。

    ユダヤ人の家族それぞれにこういったストーリーがあるはずだが、彼らは人間としての尊厳を奪われ、まるでモノのように扱われ、虐殺された。亡くなられた人たちの無念を思うとやるせなく胸が痛む。
    また、アンネたちの協力者たちのように、命懸けで守った方たちもたくさんいたのだろう。
    アンネの日記、絶対読もう。

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    2026年06月14日
  • 妊娠カレンダー

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    純文学の王道みたいな作品。
    特に2つ目と3つ目の話はそう思った。

    個人的には中でも2つ目のドミトリイがおもしろい。状況としてはかなり不気味な話になりそうなのに、表現によって優しい柔らかな心地に捻じ曲げられてる感じ。

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    2026年06月06日
  • サイレントシンガー

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    面白かった。独特の雰囲気がすごい。
    あんなにも世界が煌めいて見えたのに、それが終わってしまう瞬間があるというのをひたひたと描いているというか、物悲しいけど綺麗な終わり方だったな。『家路』聴くと泣いてしまいそう。

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    2026年06月05日