小川洋子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ3編とも静かだけど少し不穏な物語で好みだった。
「妊娠カレンダー」
グレープフルーツの皮に農薬が付着していることを意識しながら妊娠中の姉ためにグレープフルーツのジャムをせっせと作る妹。神経質な姉に対する嫌悪感な気もするけど、ただ農薬が付着しているんだろうという事実だけを見つめている感じがした。
「ドミトリイ」
まさか先生が黒幕⁉︎と思っけど違った。浮世離れした寮が魅力的。手足が不自由な先生の動きの描写が細かくてすごかった。
「夕暮れの給食室と雨のプール」
電報っていいなぁと思った。「誰でも一度は、集団の中に自分をうまく溶け込ませるための、ある種の通過儀礼を経験すると思うけど、僕はたまたまそれに -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集2作品の詰め合わせである。まず最初はタイトルにもなっている「薬指の標本」標本を作る店で働く20代の女性の視点で紡がれる幻想的な物語だ。現実にはない世界観だと読んでいるだけで夢か現かに迷い込んだような感覚と詳細な描写はないのに色っぽい話だと感じ取った。途中で今まで働いていた女性たちはこつ然と消えることが多かった、アパートに住む老婆の発言だと特徴的な靴の音を鳴らし地下室の標本室に降りて行ったと書かれた時は主人公は標本を作る店主と肉体関係にあったしいずれ足と一体化し足から外れなくなる靴を貰っていて本人もどんどん靴を脱ぐ気がなくなっていくから主人公は何かを標本にして消えるだろうなと思った。結果タ
-
Posted by ブクログ
ネタバレ幸福な人たちを見て、この人たちの幸福が、このまま一生続いてくれたらいいと、純粋に願ってあげられることは、度々ある。けれども、その幸福な人間が、自分の嫌いな人間だったら、早く不幸になってくれないかと内心思うこともある。その源泉にあるのは、その嫌いな相手に対する妬みかもしれないし、自分が幸せになれない劣等感かもしれない。ただ、「妊娠カレンダー」に描かれている「わたし」の姉に対する心情というのは、そういった普通に想像できる範囲の気持ちとは、一線を画している。にもかかわらず、妊娠した姉に作るグレープフルーツのジャムが、農薬に汚染されているかもしれないと想像するその心理は、どこかで自分も抱いたことがある