小川洋子のレビュー一覧
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アーケード街大家の父親を亡くしたわたしが、お店を訪れるお客様と織り成す小さな物語。
どこかもの悲しい雰囲気のなかに灯る小さな光、お店それぞれの味わいがありました。
小川洋子さんの作品に漂う雰囲気は本当に独特。
穏やかで静謐な世界観。
レース屋、義眼屋、ドアノブ店、勲章店など、
「一体こんなもの、誰が買うの?」
という品を扱う店ばかりが集まってるアーケード。
買いに来る人は少ないけど必要とする人がいて、そんな人のためにお店がある。
お気に入りは、
*衣装係さん
*百貨辞典少女
*紙店シスター
小川さんの作品は、個人的にやっぱり静かな環境でゆったり落ち着いて読みたい。
小川さんの文章表現が -
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『寡黙な死骸 みだらな弔い』以来に読む小川さんの短編集。
レース、使用済みのはがき、勲章、義眼等一見役に立たなそうな品物を扱う店が連なるアーケードと、そこに住む住人達と買い物客のエピソードを一つずつ丁寧に拾い上げた連作は寂しく、ときに静かな狂気を孕んで紡がれている。
どのお話も死や別れを絡むせいか、全体的な雰囲気が物悲しい。しかし、この連作の語り部である「私」はアーケードの大家の娘としてそこまで悲観的ではない。アーケードの配達係としてアルバイトをする彼女と、彼女の助手である犬のベベがかわいらしいエッセンスを仄暗い小説に加えている。
個人的なお気に入りは最初の「衣装係さん」と「遺髪レース」だった -
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目次
・飛行機で眠るのは難しい
・中国野菜の育て方
・まぶた
・お料理教室
・匂いの収集
・バックストローク
・詩人の卵巣
・リンデンバウム通りの双子
小川洋子の小説の体温は低い。
それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。
たとえひとの命を救ったとしても。
そこに「ない」ものを書くのも上手い。
「ありえない」と言うほど強い「無」ではなく、気づくとそこには「ない」」ものの持つ気配。
この絶妙な塩梅が、心地よかったり不気味だったりと、作品に彩りを与える。
ストーリーを味わう作品集ではないと思うので、具体的なことを書いても意味わからんことに -
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ネタバレ舞台にまつわる短編集。
とても綺麗でおとぎ話のような表現が多く、素敵な場面が想像しやすかった。
いくつかのお話の感想を以下に。
『指紋のついた羽』
縫い子さんは少女の心がわかっているのか、と思うくらい手紙の返事が適当。
機械油が溜まった道すら綺麗に感じてしまう表現が素敵。
少女の工具箱の上で作り出す舞台を理解できている縫い子さんも、想像力をできる範囲で表現する少女も愛しい。
『ユニコーンを握らせる』
ローラ伯母さん、、かつての恋人(?)をずっと待ち続けているのか…
角が折れた描写は別れてしまったことを指すのか、女優として輝けなかったことを指すのか、はたまたどちらもか…
部屋の空洞がとてもい -
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小川洋子の作家になる原点が、『アンネの日記』というのが、よくうかがえる。小川洋子は中学一年の時、『アンネの日記』を読み、日記を書く喜びを知った。その積み重ねが小川洋子という作家を作った。アンネに対する信愛の情が、この本にはある。小川洋子のつむぎだす文章が温度があると感じていたが、そのことを納得する。そして、1994年にアンネ・フランクのほんの僅かな人生を送ったところを訪ねる。そしてアンネにまつわる人にインタビューし、アウシュビッツ収容所を見る。人間の殺伐として残酷な歴史を自分の目と身体から感じる紀行文。アンネ・フランクの存在を言葉で表現する。小川洋子はいう「アンネを語ろうとすれば、当然ナチス
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ネタバレ<感想>
世界で最も有名な日記といえば「アンネの日記」私の『アンネの日記』との出会いは小学生の夏休み。「戦争」について知るの宿題から。
p.109「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!1944.4.5)」
2023年の今もなお、アンネ・フランクさんは生き続けている。
戦争について取り上げた作品はいろいろあるが、私にとっては『海からとどいたプレゼント (現代の創作児童文学) 上崎 美恵子 (著), 笠原 美子も記憶に残る。
ちなみにこの作者、小川洋子さんの作品との出会いは『妊娠カレンダー』が芥川賞受賞で人気だった頃。姉が購入したのを借りました。
p.07「優れた文学は必ず待っていて -
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“夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。”
その子犬のような小さな生き物は、痩せて傷つき、震えている
“最初に感じ取ったのは体温だった。
そのことに、僕は戸惑った。
朝露に濡れて震えている腕の中の小さなものが、こんなにも温かいなんて信じられない気持ちがした。
温もりの塊だった。”
それから僕はブラフマンとの濃密な日々を過ごしていき、彼の生態について詳しく記録していくのだ。
※ブラフマンの尻尾
※ブラフマンの眠り方
※ブラフマンの食事
※ブラフマンの足音
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そして最後は……
※ブラフマンの埋葬
なんて愛おしいのでしょう。
愛情しかありません。
この -
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私も読んで触れてみたかった…!
閉塞感ある隠れ屋の中でも
生きる希望を失わず 真っ直ぐに
世界を観ていたアンネ
アンネから観た世界はどのように
映っていたんだろう…
8月中に1冊は 戦争の作品に触れてみようと思い
今年はこちらの作品を読むことに決めました
あの時代 あの限られた人たちの中で
日記を通して 少女から大人へと
成長していったアンネ
日記で綴った自分自身の言葉に
時には励まされながら
決してユーモアを忘れなかったアンネ
小川洋子さんの感性で 抜粋された
アンネの日記の言葉に何度もウルウル…
私も自分自身を見つめるきっかけになりました
この本に出会えたこと