小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ10編の短編集
心がどうしようもない状態の時の私にとって特効薬、小川洋子さんの作品
溜めておいたもの(特効薬なのであえて積んでいる)を手に取りました。読み終わってもまだ落ち着かないけれどこれがなかったら私の心はどうしようもないままはず
解説にも書かれているとおり、狂気や死の物語なのに読めばその静謐さにどこか心落ち着いて惹かれるのは童話のように読めるからでしょうか、グリム童話も内容は残酷ですし…
刺繍する少女
こんな風に消えてなくなってしまいたいときもあるかな…
森の奥で燃えるもの
耳の中の奥が気になってしまうお話
ケーキのかけら
書かれた当時ならこんなアルバイト(物品整理)もあったかも。今はシステマチックになったけど情緒がなくなったなぁ
キリンの解剖
夜中の工場、入りたすぎる
トランジット
自分自身の体験を思い出しました。知らない人とずっとおしゃべりしたり(逃げ出せなかった)、上に行きたいのに上方向のエスカレータがなかったり…。 -
Posted by ブクログ
亡くなった人の形見を展示する博物館をつくることを依頼された、博物館技師の物語。形見を見れば、持ち主の人生が語れる老婆と、その養女、そして庭師と一緒に進める博物館づくり。なぜか形見は盗み集めるという作業で、後半事件性も帯びてしまうが、全体として村上春樹の作品で感じるような、不思議な別世界観がある。
作中に出てくる「アンネの日記」や、沈黙の伝道師、少女の頬にある星形の傷など、物語のベースにはホロコーストがあるのではと思わせる要素も多いが、そう限定せずに読んでも、現生とは次元の違う場所を描いているのではという考えは拭えず、物語の最後までその謎を追う面白さもあった。 -
Posted by ブクログ
私は数学が大の苦手科目でしたが、高校生の時にある数学教師との出会いをきっかけに数学への捉え方が変わりました。その恩師の口癖は「どうしてそうなるのかも理解せず、公式覚えて問題解いて、それって虚しくないか?」「わからない問いにぶつかったらとにかく実験してみればいい」でした。数学が得意科目になることは遂にありませんでしたが、少なくともこの言葉たちはその後の私の人生の指針になっています。
この対談の中でも「数学は実験科学のようなもの」と、どんな天才による大発見も地道な実験を重ねて生まれていることが示唆されていて、「腕組みしててもなにもわからない。まず実験してみる。そして観察する」というスタンスはこれからも大切にしたいと思いました。
また、数学における中世ヨーロッパの遅れは、宗教や哲学の流れを踏まえると当たり前のように感じますし、ゼロを発見したインド人の包容力も既知のことでしたが、本書で紹介されていた日本人の数学における活躍の目覚ましさは恥ずかしながらあまり知らず、とても驚くとともに誇りに感じました。目の前に様々な問題はありますが、美しさへの感性が研ぎ澄まされるような国に生まれ育ったことは幸せなことですね。
さて、「不完全性定理」が発見されてしまった今、数学や哲学の未来はどうなっていくのでしょうか。また千年後は今とは違う真理の地平が開けているのでしょう。でも、どのような未来を辿ったとしても、この対談を読んだ今、その世界は神様の悪戯としか思えない美しさに溢れてるんだろうと思えます。
今この瞬間もこの世に隠された美しき真実があると信じ、未解決問題に人生を賭けて向き合う数学者の皆さんに、心からエールをおくりたくなる一冊です。 -
Posted by ブクログ
「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子の小説やエッセイに夢中になった時期もがあったのですが初期の作品も読んでみようと初めて買った文庫本でしたが積読になってました。
この人にかかると、毛穴から汗が吹き出して止まらなくなるような表現力が呪縛のようにねっとり絡んできて息苦しさを覚えて少し距離を置いてみたくなったんですよね。
この人に睨まれると動くことさえできずに直立不動になってしまうほど緊張します。よそ見してる隙に逃げ出したくなるのですが、またこっちを向いたら制止してヘビに睨まれたカエルとゆうかダルマさんが転んだ状態ですよぉ。
【完璧な病室】
弟の病状を説明する主治医の均整のとれた肉体にうっとりする表現なんか、水に滴る筋肉を想像するとか小川さん以外が言ったら、ただのエログロ変態だと思ってしまうのですけど。ベットに鞄を置いたらぴんと張られたシーツが風紋のようになったとか、胸がざくろが割れたように痛かったとか卑猥に感じると思えば、摘出したチョコレート嚢胞がビーフシチューと同じ色してたとか、しばらく食欲なくしそうな視覚表現だけど、これに嗅覚まで加えたら吐くかもしれない。ホルマリン漬けの胎児を眺めて悦に浸ってそうな不安げな安心感にドキリとします。
【揚羽蝶が壊れる時】
この作品は臭すぎでした。アンモニア臭だとか生ゴミの匂いがプンプン臭覚を刺激するんです。
認知症の祖母を施設に預け終わった後の罪悪感だとか、もうこの人の表現にかかったら度の強い眼鏡掛けて足元がグニャグニャ揺れてピントが定まらず頭痛がして吐き気を催すような感じでした。散りばめられた言葉の中に、ノイズとかロッキングチャアにモーターバイクにバレリーナ、これ絶対に佐野元春の歌詞に出てくる単語意識してますよね。元春はさりげなく悪ぶって気障だけど害はないのに対して、小川さんは妖艶さが加わって退いてしまいそうになるんです。帯に「こうして小川洋子は出現した」って書いてあったけど、私だったら「妖狐が出たぁああ!」ってビックリマークもあと3つぐらい付けたくなる。「ライオンゴロシ」って棘をもつ植物の生態にゾクゾクしました。
初期の洋子さんは艶かしくグロテスクで好奇心旺盛なマッドサイエティストって感じでした。
残りの2つも不穏で不安定な不思議な感覚。
読んでいるだけなのに五感が刺激され心拍が乱れるは、急にトラウマが襲ってきたりで臨死体験に近い感覚を味わうことができました。
4つの短編に出てくる『わたし』が同一人物に見えてしまう。年やら名前は違っているけど何度も転生してるようでゾワーって感じが悩ましい。
これだけ振り回されたら、安らかに眠りたいって思ってしまうww