小川洋子のレビュー一覧

  • 琥珀のまたたき

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    制覇したわけではありませんが、小川洋子さんの作品で「ことり」に次いで好きな作品。静かで仄暗く、埃っぽい(けなしてません)世界が美しい言葉で綴られています。
    それぞれの結末が放りっぱなしなのもたまりません。読後は自由に思いを巡らせてくださいと委ねられている気がして好きです。

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    2023年03月05日
  • 海

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    いずれの作品も詩を読んでいるような錯覚を覚える。純文学なのにこれだけ引き込まれる作家はいないと思う。

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    2023年03月05日
  • 沈黙博物館

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    ある村に博物館を建築するため、博物館技師が呼ばれた。
    博物館で展示するのは死んだ村人たちの形見。
    小川洋子さん独特の世界観。
    静かに時は流れるが、なんとなく不穏な空気が漂います。
    そこは音は聞こえるのに音がない世界。
    震えました。

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    2023年03月05日
  • 琥珀のまたたき

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    琥珀のまたたき 小川洋子

    壁の中の邸にひっそりと暮らす3人の子供と母親。
    壁の外に出ることは許されていない。
    そんな生活を描いた作品。
    そんな生活だから些細な出来事が彼らにとっては一大イベントと感じる。その様子を繊細に描いてる。

    読み進めると、実際に起こっている出来事なのか、琥珀の描いた絵の中の出来事なのか、分かりにくい場面もある。
    けど、絵は琥珀の目に写った世界を描いたもの。つまり、琥珀にとっては実際の出来事になる。

    これまで読んできた小川洋子さんの作品の中でも特段に静かな世界観を感じる。子供が3人もいれば、賑やかで派手になりそうなものだが。そうならない魅力。

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    2023年02月23日
  • 原稿零枚日記

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    ネタバレ

    苔料理専門店で食事を終えた翌朝、爪が緑色になっており、"本物の苔を食べた証拠ですよ。"と言われたり。
    自分の親族がいるわけでもない近場でやっている色んな学校の運動会に、こっそり混ざってみたり。
    その参加賞で貰った学習ノートを、原稿を書くのに良さそうだ、判子を押すところもあってよくできましたの判子を押したりして、モチベも上がりそうだとやってみたり。
    あらすじ係をやっていたら、技量に磨きがかかり、ついには本編よりあらすじの方が面白くなってしまい解雇されたり。
    "ドウケツエビの宇宙"というタイトルのトランペットオリジナル曲だったり。

    クスッと笑えるところがた

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    2023年02月21日
  • ホテル・アイリス

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    ホテル・アイリス 小川洋子

    ホテルで働く少女。
    売女と揉めた老人。
    老人と再会し乱暴に犯される。
    少女は惹かれる。
    SM。DV。
    小川洋子さん云うと、薬指の標本を想起させる。翻訳家の老人は、マリーという主人公の作品を描いていると言うが彼の死後その本は発見されなかった。

    少女の心情の変化が飾り気なくシンプルに描写されている。

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    2023年02月15日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    香りはどうしようもなく儚いくせに怖いくらいに記憶に残る。愛した人が去れど、その人の香りは消えない。小川洋子、好きだ…

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    2023年02月13日
  • 掌に眠る舞台

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    私は、入学試験のためにローラ伯母さんの家に四泊した。伯母さんと言っても親族の中で誰とも血がつながっていなかった。祖父の先妻の連れ子という関係だった。親戚の中では、伯母さんは、「昔、女優だった人」と呼ばれていた。ローラは伯母さんの当たり役だったらしいお芝居の役名である。伯母さんの住んでる町に着いた。そこの古い公団住宅の一室が伯母さんの家だった。間取りは1LDKで、目立つ家具は細長いソファと正方形のテーブルと二脚の椅子だけだった。伯母さんは手袋を編んでいた。一日一目と決めて。また、食器には「ガラスの動物園」のローラのセリフか書かれていた。毎日食事をしたときにお皿やコップの底にどんなセリフが隠れてい

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    2023年02月13日
  • 博士の愛した数式

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    あたたかいの一言

    博士の切なさと家政婦さんのあたたかさを感じられるお話。読み終わった後に温かくなりたい人はこの本を読むべき。読み終わりまでルートと書いているところが個人的に好きだった。

    #エモい #ほのぼの #癒やされる

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    2023年02月04日
  • 最果てアーケード

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    全体を通して、静かなお話
    ひっそりと、静かに、でも確実に、光の中に存在しているアーケードが浮かんでくる。
    綺麗なだけでなく、少しの狂気なんかも含まれている。
    結局「私」はどんな人物で、何歳で、生きているのか死んでいるのか、生きているなら何をして生活しているのか、そんなことがほとんど分からなかった。
    どこか非現実的なで、偽物のようなアーケードだけど、本当にあったら行ってみたくなった。

    親しい人、大切なものを失くすことへの向き合い方のひとつのヒントを教えてくれるような気がしました。

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    2023年02月03日
  • 余白の愛

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    ネタバレ

    ハッピーエンドではないが、読んだ後幸せな余韻に浸れる名作。Yとの関係を何といえばいいのか分からないが、どうしようもなく愛に溢れていたと思う。手の動きをこんなにも美しく表すことができるとは…

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    2023年02月02日
  • 薬指の標本

    匿名

    購入済み

    すごい

    どうしたらこういうことを思い付けるんだろう、とその想像力に驚き通しだった。表題作ももちろんすごいけど、二編目の「六角形の小部屋」に引き込まれた。読み進めるほどに、日常の裏側の見てはいけない世界に迷い込んでしまうような心地で、次に何が起こるか知るのが怖いくらいだった。

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    2023年02月02日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    ネタバレ

    表題作を含む8編からなる短編集。
    子どもの目線で書かれている話は、あー、子どもってそういう見方をするかも、と思わせられるし、子どもを偏愛する大人が描かれている作品は少しせつない感じがする。

    個人的には、想像のなかでローバと話すことで吃音が直った男の子の話を描いた"先回りローバ"にほっこりさせられた。また、"かわいそうなこと"では、自分がかわいそうだと思ったことをノートに書き始めた少年を描いているが、中でも博物館に展示されているシロナガスクジラに対する感想が好き。

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    2023年01月29日
  • 約束された移動

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    一目は奇怪だ。
    全部思い込みで独りよがりなのでは、と思う。
    けれど「一目」の向こう、事実の奥、真実と呼べるものをどれだけ知っているのかと自問するとき、それは各々の胸内にしか息づかないことを風を受け止めるように思い出す。

    秘密、誇り、傷痕……
    いろいろな名がつくかもしれないそれを、本を開くときだけ、読み手もひそやかに共有している。

    (藤本可織氏の解説も素敵です)

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    2023年01月24日
  • 科学の扉をノックする

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    数学はいつでも苦手だったけれど、科学はどうだったか思い出せない。自分が親しく科学的学問を学んだのは高校生の頃、地学で星の運行にふれたのが最後。
    目に映るもの全てに詩情があるというなら、同じく科学のまなざしを持って世界を読み解くことが、こんなにも豊かに可能であるとこの本は教えてくれる。

    特にすきなのは3章と6章。
    死への流れと死のかたち。

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    2023年01月24日
  • 博士の本棚

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    小川洋子優しすぎ素直すぎとても好き
    どんなつまらない日常のことや機械のことでも小川洋子の言葉なら繊細な物語に見える
    村上春樹が好きなことも何の衒いもなく言っていて、すごい、気取って見えない

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    2023年01月18日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台にまつわる短編集。いつもながらの静けさの中に漂う不思議な空気感が「あぁ、小川洋子さんを読んでいる…」と感じさせられる。

    ラ・シルフィードに魅せられる少女を世話する縫い係、昔女優だった叔母、失敗係と交通事故の女性、不思議なコンパニオン、馬車の本屋に罪悪感を持ち続ける男性、ヤモリ。どの主人公も過去の何らかの思い、と舞台が結びつき展開されていく物語はどれも秘密めいた空気を纏っており、それに呼応するように自分自身の過去の出来事を呼び起こし自分の中の秘密感が増幅される。これが自分にとっての小川洋子さんの雰囲気かな。

    表紙のイラストはヒグチユウコさん。とても内容にあった雰囲気で素敵。表紙のイラスト

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    2023年01月15日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台をテーマにした短編集。
    短編自体が繋がってるのかな?と思ったところもあったけど、やはり繋がってはおらず独立してる話のようだった。
    表紙の装画に心惹かれて手に取る人も多いのではないでしょうか?装画はヒグチユウコさんです。
    猫の絵のイメージ強いヒグチユウコさんですが、この少女の横顔も美しいですね〜!

    クラシックバレエ、ミュージカル、ストレートプレイ、クラシック音楽、温泉街にある廃墟と化した演芸場…。
    舞台はたくさんある。
    実在する演目、固有名詞が登場するものの、内容に踏み込んではいないから、舞台のことや内容を知らない人でも楽しめると思います。

    どの話も、小川洋子さんのお話だな〜!って感じ。

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    2022年12月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    不思議な話

    短編だから一話一話がさらっと読めるふんわりとしたホラーです。
    続きをめくるとストーリーが終わってるという感じですっきりとした終わりではないですが、何か胸の中にほんのりと残して終わる話です。

    #ダーク #切ない #深い

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    2022年12月17日
  • いつも彼らはどこかに

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    お気に入りは静かなぬくもりを感じた「ビーバーの小枝」
    なんだかぞわっとしたのが「断食蝸牛」
    いつもの小川作品のように、見つめるのはにぎやかな大通りではなく、どこかの片隅。気づかずにいるかもしれない世界をすくい上げてくれる。
    タイトル通り、どこかにいる彼らを感じた短編集。

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    2022年12月13日