小川洋子のレビュー一覧

  • 約束された移動

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    ネタバレ

    小川洋子の短編小説を初めて読んだ。

    小川洋子作品に流れる静けさや文字の美しさは、文字や小説という体系を超え、感じたことのない感覚にさせてもらえる。

    ここで好きだった作品は、「寄生」と「巨人の接待」。
    この2作品に感じたのは、一見不快感を抱く言葉やものが見方を変えただけで、大切で重要なものに見えてくるという点だ。

    寄生する、亡くなる、枯れるという言葉は、あまりいい思いはなかったが、小説の中で違った角度で照らされており、大切に感じることができた。
    小説家って凄い。

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    2025年05月01日
  • 遠慮深いうたた寝

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     まとまった小川洋子さんのエッセイを読むのは初めてでした。素晴らしい小説世界の創作秘話や素顔がうかがい知れ、小川さんの日常にそっと触れられた感があって興味深かったです。

     小川さんの描く世界観が腑に落ちたり、語りかけられ考え思わず納得したりと、気にも留めない自分の日常を、新たな視点で見直すきっかけにもなりました。各編の内容がいかに深いことか! 「言葉を捨て去る」「答えのない問い」の前段などは、惚れ惚れします。

     2012年から続く「神戸新聞」の連載、他に約10年間のエッセイから厳選された作品の数々…。日々の出来事、思い出、創作、野球やミュージカルなど、物語の裏側が描かれます。
     ミュージカルの推しなどで、高揚感のある話もありますが、現実世界から想像が膨らみ、非現実の間を行き来するような雰囲気の話も随所にあります。そしてやっぱり静謐で温かく美しい文体です。

     おそらく小川さん自身が、元気で楽しいときに陥る視野の狭さを自覚し、律しながら他者を思いやる姿勢が伝わってきます。小川さんがある種の哀しみを抱えていることで、想像力を働かせているのかもしれません。本とつきあいながら、優雅に歳を重ねるのも悪くない、と思わせてくれる一冊でした。

     ※本文庫版も単行本版同様、上出惠悟氏が焼いた陶板画(九谷焼)を名久井直子氏が装幀した美表紙で、第55回造本装幀コンクール「日本書籍出版協会理事長賞」を受賞しています。

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    2025年04月29日
  • 耳に棲むもの

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    補聴器といえば、聞こえづらい外の音を伝えてくれるものだ。
    だが、小川洋子さんの魔法がかけられると、耳の奥で鳴っている、かすかな音楽を聴き取るための道具に思えてくる。
    そして、泣きたくなるような悲しみや苦しみに満ちた秘密が、思わずこぼれ落ちてしまわないように、そっと封印するための御守りのようにも感じられないだろうか。

    補聴器の移動販売員だったお父さんは言う。

     ”閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。”

    お父さんの骨壺の中から、かつて耳に棲んでいたものたちが四つの欠片として取り出されたとき、彼らはお父さんの胸に仕舞われていた心の声を、娘である私に話しだす。収められた四つのエピソードは、耳に棲んでいたカルテットが語る幻想譚だ。
    それは過去の記憶のようでもあり、また少し違うものでもあるだろう。
    救い出したものたちが秘めていた物語。
    そして消え失せてしまわないように、お父さんが自分の心と耳の小部屋を差し出して、匿ってきた物語たちなのだから。

    夕暮れの砂場で、写真に写った涙の粒をトレースして譜面を作る縦笛演奏家は、鉱山の選鉱場から漏れる光を辿って作った架空の星座を五線紙へ音符に置き換えていた少年と、時を超えて響きあっている。
    高齢者住宅を定期的に訪問する、年老いた補聴器のセールスマンさんと介護施設の助手である女子大生は、時や外界から隔絶された水面の世界で、耳をぴったりと重ね合わせて一つになる。
    土に埋もれた小鳥のブローチを掘り起こすことで、世間の理解など決して求めない孤独で行き場のない魂への悼みが、静かに解放される。
    すべてが、束の間だけ開いた時空のあわいに、滑り込んでしまったかのような物語たち。

    補聴器の入った鞄を下げて、町から町へと旅するように巡っていたお父さんは、もう一つクッキーの空缶を鞄にひそませて持ち歩いていた。
    クッキー缶とガラクタのような中身たちは、お父さんの死と共に消えてしまった。
    独り遺された娘は、父の耳に棲んでいたカルテットを、自身の子供の頃の思い出が詰まった、のど飴の缶に納める。
    娘の手で静かに振られた缶が奏でる音は、父の鞄から漏れていたカラカラという音と同じだ。

    亡くなった者の声を思い出せずとも、懐かしい音が親と子をつないでくれる。そのイメージが美しい。

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    2025年04月27日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    初小川洋子さん。奇妙でユーモラスな人たちのお話がどれも面白かった。夢の中の世界みたい。短編集は時間かかるものが多いけどこの作品は数時間で一気読みした。

    「曲芸と野球」
    スポーツの話は中々入り込めないから心配したけど、僕と曲芸師の不思議な絆が面白くて引き込まれた。最後の方でなんだか怪しくなってきて。最後は幻覚なのか…?

    「教授宅の留守番」
    まず舞台設定が面白い。部屋の中にどんどんお祝いの花が届いて埋もれてその中でお腹いっぱい食べ物を食べまくる。

    「イービーのかなわぬ望み」
    このお話とても好き。人間椅子を思い出す雰囲気。イービーが上手に半分にした小さなデザートを食べさせてくれる。私の淡い恋心みたいなものにきゅんとする。

    「お探しの物件」
    世にも奇妙な物語みたいな雰囲気で面白い。中でも好きなのは、「酷い先端恐怖症の女の人のために作られたのに肝心の本人は一歩も新居に踏み入れられず亡くなった丸い家」と「あらゆる動物の中で最も長寿なゾウガメのリリアン邸」がお気に入り。

    「涙売り」
    涙で楽器の音色をよくする女性が関節カスタネットのために痛みの涙を流す愛の狂気的物語…。自分の足の指を切っていくの怖すぎる…笑

    「パラソルチョコレート」
    このお話も好き。子どもの私の裏側にいるおじいちゃん。パラソルチョコレートで繋がった表と裏の二人。よくわからないのに温かい。

    「ラ・ヴェール嬢」
    村田沙耶香さんみたいな奇妙さと桜庭一樹さんみたいな性愛の描写って印象。小川さんこういうのもかくんだ。

    「銀山の狩猟小屋」
    あまり刺さらなかった。

    「再試合」
    二度目の野球のお話。小川さんが野球好きなのかな?
    お風呂にも入らず歯も磨かず、毎日カレーを食べて、レフトの彼を見続けるのが絶妙に気持ち悪い。百三歳のおじいさんの言おうとしてることが全部わかるようになるのが(笑)この女の人も前歯が一本しかなくなっておじいさんとお揃いなのが(笑)

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    2025年04月17日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    他者の視線を気にせず、思うままに振る舞うのは簡単じゃない。何かに強いこだわりを持っているならなおさら。私はそう思うのだけれど、ここで描かれる人物たちは、偏執的な自分を良しとし、ありのままの姿で何をも恐れず突き進みます。そのエネルギーは、いったいどこから湧いてくるのでしょう…
    8つの短編、どれも面白かったですが、表題作が一番心に残りました。舞台となっている銭湯の壁画の森に、私も迷いこみたいです。そして小母さんのように、幼い命に対して、私に何かできることはあるのかしら…と考えてしまいます。何かできる人でありたい。

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    2025年04月12日
  • 遠慮深いうたた寝

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    やっぱりこの人の言葉や文章は好きだ
    めっちゃ阪神ファン(笑)
    偏愛している文学、小説を書くこと…
    色々な考えや出来事を垣間見れて楽しい

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    2025年04月07日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    タイトルに惹かれて購入したけど、お二人の対談でこんなに心温まるとは、、人生に正解を求められる世の中だけどそんなことないと改めて。生きるのがしんどい時や、「こう生きなきゃ」と縛られる人に読んでほしい。答えは書かれてないから、自分に問いかけながら読み進めていくのが◎肩の力を抜くヒントになります。他者との関わりの中で人生(物語)は変わるし、人生=物語って言葉が大好きです。

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    2025年04月02日
  • 琥珀のまたたき

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    小川洋子さんの世界観、想像力、感性はとても素敵だと思います
    独特の世界の中に生きる人々の、世の中に影響されていない価値観や心の豊かさに触れることによって気持ちが楽になるというか、自由になるというか
    騒がしい世の中ではなかなか気づけないことに触れられる気がします

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    2025年03月18日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    雪がしんしんと降り積もると世界が沈黙したみたいに感じるよなあと思った。
    「小川洋子氏の作品は音がないのだ」なんていう評価を読んだことがあるけれど、この作品では沈黙が静けさが静寂が何度もこんこんと表現されていて、ざわついて苦しい私の現実から目を背けるのにぴったりだった。「音がない」という評価については、そんなことないよと思う。小川洋子作品の特徴である"静謐さ"を「音がない」と表現するのはちょっと省略しすぎだと思う。
    兄さんに手紙が届かないという部分で、「ああ、この人は生きているお兄さんとは違う沈黙の、死の世界に行ってしまったんだ」と気づいた。小川洋子さんの本では、「届かない手紙、届けない手紙」が時たま出てくるね。博物館技師である主人公がアンネフランクと顕微鏡を形見として所蔵したところも、母と兄の形見というよりは、2人と別の世界へ来てしまった自分の形見だと感じた。ここの部分は巻末の解説で構造的に意見が加えられていて、感じることはできたけど自分では言語化できなかったから、読んで「ああ」と思った。
    連続殺人事件の推理小説でもあるし、読み応えがあったな。それに、女の人が主人公でない小川洋子作品は久しぶりに?読んだ気がする。他はなんだろう、猫を抱いて像と泳ぐかな?いや、そんなことないや、ことりも男の人だったけか。
    とにかく小川洋子さんの作品が大好きだから、まだ読んでいないこの作品があることが嬉しかったし、読んだ後もうれしい。
    私は死ぬことは怖くないのだけれど、この作品のように、もし、シロイワバイソンの亡骸に雪のふりつもる、転べば手のひらが真っ赤に染まる、沈黙博物館という切実な役割のある世界に閉じ込められてしまうのかと思うと、死ぬのは恐ろしいと思う。

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    2025年03月08日
  • 耳に棲むもの

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    VR作品と本書の両方を楽しむと彼の人生の全体像が見えてすっきりします。
    VRの公式のあらすじだけでもぜひ読んで欲しい。

    小川洋子らしさ全開の洗練された短編集だったと
    思う。忘れられたもの、閉じ込められたものに
    手を差し伸べたやさしい小説だった。
    自分にとって大事なものをここ最近は書き続けていると本人もどこかで言っていたのがよく分かる。
    「琥珀のまたたき」「密やかな結晶」あたりと似た何かを感じたが、それ以上に主人公が小川洋子そのものである気がして、読んでいて満たされていくのを感じた。

    編によっては好みが分かれるのは理解できる。
    「今日は小鳥の日」は、共感はできない世界の1エピソードという受け止め方でも良いと思う。
    小川洋子が影響を受けてきたものを考えると、「閉じ込められること」「自由」「祈り」「慰め」…そんなことについて描いたのかなあと、私はなんとなく解釈している。

    「選鉱場とラッパ」は複雑な精神の成長過程が描かれていたのだと思う。
    言い表せられないむしゃくしゃした感情、悪と分かっていても手を伸ばしてしまう衝動、成長に伴う綺麗ではない部分が小川洋子によって掬い上げられたということだろう。
    彼女は、現実では許されない事にも、小説の中では優しく手を伸ばしてあげることができるとどこかで語っていた。

    かつて彼の悲しみに寄り添ったカルテットの音楽。その演奏を聴けなくっても、それは消失ではなく彼の中に潜んでいる。その証に彼の涙はカルテットの演奏の音符となり楽譜となる。
    そのことが軸となり、各編を繋いでいる密やかなまとまりが心地よかった。

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    2025年02月03日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    結論とか答えみたいなものはこの物語の中に明確に描かれておらず、すでに亡くなった人の足跡を辿る道のりは奇妙さと焦燥感があるのだけど、不思議と満足感を味わえる。

    自分から傷つきに行ったり泥を被ることで、受ける傷の深さを想定の範囲内で済ませようとする人の繊細さ、優しさ、弱さ、強さを考えてしまう。

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    2025年01月31日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    久しぶりに読んだ小川洋子さんの著書。
    8つの短編。

    それぞれの物語の主人公たちは、ひっそりと偏った内面の世界を持ち、他と分かち合うことは決してない。その孤独は不幸というよりも、本人にしか見えない調和を守るためにある。

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    2025年01月29日
  • 完璧な病室

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    学生の頃に冷めない紅茶を読んだのが小川洋子さんの読み初め。具体的に何が、ということがうまくつかめないながらも心に残って好きな小説でした。今回30年ぶりの再読でまた同じ感想を抱き、小説の素晴らしさとともに、相変わらず言葉にできない自分を感じました。

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    2025年01月29日
  • 琥珀のまたたき

    ネタバレ 購入済み

    すごく凄惨な事件でありながら、作中の人物に負の感情がほとんど存在しないように表現されており、清らかさがあった。

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    2025年01月23日
  • ボタンちゃん

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    娘と一緒に読みました。
    娘の赤ちゃん時代の子育てを思い出し、アンナちゃんと娘を重ね合わせて、こんなに大きくなったんやな〜と、改めて感じられました。
    娘も「ガラガラ持ってたな〜」と、赤ちゃんグッズを懐かしんでいました。(もう、家にはないけどね)笑

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    2025年01月16日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    幼少期の自分が救われるような心温まる短編集。そこに存在することや言葉ではない部分で「大丈夫だよ」を伝えてくれる存在。そういうものが人生には必要。

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    2025年01月13日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    10編の短編集

    心がどうしようもない状態の時の私にとって特効薬、小川洋子さんの作品

    溜めておいたもの(特効薬なのであえて積んでいる)を手に取りました。読み終わってもまだ落ち着かないけれどこれがなかったら私の心はどうしようもないままはず

    解説にも書かれているとおり、狂気や死の物語なのに読めばその静謐さにどこか心落ち着いて惹かれるのは童話のように読めるからでしょうか、グリム童話も内容は残酷ですし…

    刺繍する少女
    こんな風に消えてなくなってしまいたいときもあるかな…

    森の奥で燃えるもの
    耳の中の奥が気になってしまうお話

    ケーキのかけら
    書かれた当時ならこんなアルバイト(物品整理)もあったかも。今はシステマチックになったけど情緒がなくなったなぁ

    キリンの解剖
    夜中の工場、入りたすぎる

    トランジット
    自分自身の体験を思い出しました。知らない人とずっとおしゃべりしたり(逃げ出せなかった)、上に行きたいのに上方向のエスカレータがなかったり…。

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    2025年01月10日
  • 沈黙博物館

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    亡くなった人の形見を展示する博物館をつくることを依頼された、博物館技師の物語。形見を見れば、持ち主の人生が語れる老婆と、その養女、そして庭師と一緒に進める博物館づくり。なぜか形見は盗み集めるという作業で、後半事件性も帯びてしまうが、全体として村上春樹の作品で感じるような、不思議な別世界観がある。
    作中に出てくる「アンネの日記」や、沈黙の伝道師、少女の頬にある星形の傷など、物語のベースにはホロコーストがあるのではと思わせる要素も多いが、そう限定せずに読んでも、現生とは次元の違う場所を描いているのではという考えは拭えず、物語の最後までその謎を追う面白さもあった。

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    2025年01月02日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    気付きが色々と。もっと長くお二人の会話を読んでいたかったな〜。河合さんが亡くなっちゃったので仕方ないけれど。

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    2024年12月20日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    小川洋子はひたすら美しく優しい物語を書くという勝手なイメージがあったので、衝撃だった。美しく優しい、のだけれど、恐ろしく奇妙でもあった。図鑑の最後は非現実では?と思った。トランジットとキリンの解剖が好き。

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    2024年12月19日