小川洋子のレビュー一覧

  • 偶然の祝福

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    細かい描写を読み進めていると、いつのまにか物語のなかに入り込んでいる感覚。そして、思わぬ方向に連れていかれている。『盗作』もまさにそんな感じだった。

    『失踪者達の王国』の伯母さん、『キリコさんの失敗』のキリコさん、『エーデルワイス』の弟、それぞれが大切にしているものや事柄と、それに対する思いを、私はちゃんと感じとれたか、と思ってしまった。

    『涙腺水晶結石症』は、一番好きだった。ひどい雨のなか、ベビーカーと40キロのラブラドールのアポロを連れ、歩く。孤独を感じながらも、大切なものを守りたい思いに後押しされ、頑張る気持ち、そして訪れる絶望、希望。小さな白い結晶がそれらの全てをもたらした。アポロ

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    2024年06月29日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    小川洋子さんの世界観と美しい文章を堪能するにはじゅうぶんな一冊。ほんとうに無駄のない、でもごちゃごちゃしていなくて、ひたすら洗練された文章を書かれる…。「先回りローバ」がやさしくてすきだったなあ。でも、「仮名の作家」も最高に気持ち悪くてよかった。

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    2024年06月29日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    昔、立花隆の「サル学の現在」を読んで、人類の先祖がチンパンジーのように残忍ではなく、ゴリラのように穏やかな性格だったら我々はもっと平和な歴史を刻んだだろうなと思っていた。どうやら、僕の考え違いだったようだ。山際先生は集団間の暴力の理由を言葉、死者の利用、共感性としている。ユヴァル・ノア・ハラリ「サンオピエンス全史」言う処の認知革命が原因なんだな。

    山際先生の近親相姦のタブーの起原説に納得した。育てる経験が性的な関心を抑制する。そのインセスト・タブーがあるからこそ娘を他の家に差し出すことができる。また、類人猿のメスは親元を離れて繁殖するとある。
    ここでレヴィ・ストロースの云う「女の交換」が発生

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    2024年06月12日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    3人が三様、抱えているモノがあり、それをお互いで癒していくお話だと思いきや、2人と1人という構図に。しかし、空間は違えど、最後は3人でまとまる事の美しさ。

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    2024年05月26日
  • 偶然の祝福

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    博士の愛した数式の作者だから。そんな軽い気持ちで手に取ってしまったが、とても裏切られた。第一話から仄暗い雰囲気が漂い、後半はドロリとした感触が胸に残る。飼い犬のアポロの存在が無ければ凍えていたかもしれない。そう思わされるくらい引き込まれた。

    一生懸命生きてる人にきっと響く作品だと思いました。

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    2024年05月15日
  • ミーナの行進

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    本棚は居間にあったほうがよいと思った なんかジーンとくる。ミーナと自分の生活が淡々と語られるだけで特に大きな事件や展開があるわけではないのに。1972年というのが自分の思い出が輝いているから共感できるのかな。群青色って単語、今使うかな?当時はその名前のクレパスや色鉛筆があって好きな色だったな。懐かしいな。

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    2025年12月18日
  • 海

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    動物のドキュメンタリーを見なければ眠れない「小さな弟」と海風を受けて初めて音が鳴る鳴鱗琴。表題作「海」を含めた短編7編すべてに散りばめられた小川洋子さんらしい美しい文章が胸に残りました。

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    2024年05月04日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    河合さんの本を読むのは2冊目ですが、このおじさん好きだわ。大人が失った、子どものときに持っている力に着目されているところとか、深くお聞きしてみたい。それとか、相手の存在を受けとめる力も見習いたい。
    この方のそういう人間力の根っこに、文学とか人文学的な関心とか経験が大いにあるんだなと実感する。まさに、生きることは、自分の物語をつくること であると、自分に対しても他人に対しても思いながら人と関わっておられるのだなと思った。
    「博士の愛した数式」は映画で観たのみですが、そういう河合さん的な、子どもの力に着目するような読み方をしたら面白そうだと思った。

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    2024年05月03日
  • 密やかな結晶 新装版

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    鳥と島 学生時代は猛勉強したら、追いつけない人などいないと思っていました。でも、だんだんと世界の広さを知り、才能を持っている人がいることに気づき、努力や練習では辿り着けない場所があることが分かったのです。それなのにそのことを肯定できない時間が続き、藻掻き苦しみました。その結果、こんなポンコツな人間が出来上がったのだと思います。

    世界が認めるこの小説を身体に浸み込むように読めたらなと思いながら読みました。

    ある島から色々なものの記憶が消えていくというお話です。その中で「島」で「鳥」が消えるくだりが出てきます。漢字が似ていて「島」を「鳥」と読んだり、「鳥」を「島」と読んだりしてしまいま

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    2025年12月03日
  • ブラフマンの埋葬

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    タイトルからも、どこかでこの愛すべきブラフマンとの別れがあるのか、と推測しながら、その美しい自然に囲まれた世界の中での、ブラフマンとの愛おしい生活を、爽やかな文体と共にドキドキしながら味わった。

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    2024年04月21日
  • 最果てアーケード

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    とあるアーケードを軸にした短編集。それぞれの話が絡み合って短編集全体として一つの作品となっている。何かをテーマにした短編集は小川洋子さんのよくあるパターンだが、それぞれの話が関連し合うというのは意外と珍しいかも。こういう個別の話はそれぞれで完結するものの全体として大きな話が流れてる、というのは連続もののTVドラマとかでよくある手法と思うが、1話ずつの長さがちょっと読むのにちょうどいい分量なのもあり、TVドラマを見ているような趣もある。

    内容は小川洋子さん特有の現代のファンタジー。レースの切れ端、使われた絵葉書、義眼など、何だか美しくて儚い雰囲気がいい。特に以前読んだ『猫を抱いて象と泳ぐ』の空

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    2024年04月21日
  • 完璧な病室

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    目に見えないものを見て
    外から見えようがない物を抱えて生きていく
    抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら

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    2024年04月20日
  • 沈黙博物館

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    形見を収蔵する博物館で、それぞれの人生を象徴するものの文脈を紡ぐ物語。事件の犯人が誰なのか、途中の展開の仕方が絶妙でスリリングだった

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    2024年04月18日
  • いつも彼らはどこかに

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    ネタバレ

    小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。

    ・・・
    作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。

    タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みます。

    あらすじを書こうと思ったのですが、上記の重層性の関係で説明しきれんと思い、このようにバッサリやりました。

    帯同馬・・・タイトルは『フランスの凱旋門賞で優勝が期待されるディープ・インパクト。慣れない土地への移動のストレスを緩和するためにピカレスクコートが帯同場として出国した。』という点より。主人公は(おそらく)大阪モノレール間のみ移動できる電車恐怖症の女性(職業;実演

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    2024年04月14日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    奇妙で微笑ましくも少し怖い9つの短編。

    狭い。小さい。無くなる。
    待ってましたと言わんばかりの小川ワールド。

    野球や甲子園の描写が魅力的。
    生き生きとした人や風景と匂いが伝わる。

    「夜明けの縁」とは何か。
    しばらく思いにふける。

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    2024年04月12日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    花巻空港が出てきたので、
    主人公が逃げ込んだ別荘は
    春子谷地や安比高原あたりの別荘地やペンション街を勝手に思い浮かべて読んだ。

    でも物語を読んでいる最中は
    外国にいるような不思議な空気感に包まれる。

    チェンバロ、
    カリグラフィー、
    なんとも幻想的な湖や森。

    夫に裏切られたり、暴力を振るわれたわけだから
    本来なら暗くなりそうな内容なのに、
    その世界が癒やしてくれるような気がした。

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    2024年04月09日
  • ブラフマンの埋葬

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    場所は日本なのか?登場人物は日本人なのか?それとも外国の話なのか?ブラフマンと名付けられた動物は猫なのか、野生動物なのか?最初から最後まで想像力をあちらへこちらへと働かせながら読書する絵のない絵本のような小説でした。
    人生経験を総動員して小説中の情景を想像する。その情景をこれまで見聞きした人物、生き物、映像に当てはめる。あまりいい読書の仕方ではないなーと思いつつ、情景にあった映像パズル探しが覚醒しました。たぶん作者の意図に沿った映像を半分も見つけられなかったと思いますが、勝手に想い描いた映像を構成すると立派な映画が自分の中で出来上がっていました!
    読書をする際に自分の感性を信じて読みひたること

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    2024年03月25日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    『やさしい訴え』
    ラモー作曲のチェンバロの曲だ。

    『やさしい訴え』は新田氏と薫さんを静かに結びつける。瑠璃子さんがいくら新田氏と物理的に近づいたとしても。
    三人とも傷を負っていた。演奏恐怖に陥ってしまったピアニスト。婚約者を結婚直前に亡くした女性。夫の不倫で居場所をなくした女性。
    瑠璃子さんの発する嫉妬にまみれた言葉が、宙を舞う。その訴えは当たり前の感情だと思うけど、発すれば発するほど新田氏との距離が遠ざかっていくように思える。
    やはりきっぱりと瑠璃子さんは失恋した。
    瑠璃子さんに居場所は見つかるのだろうか。
    薫さんの純粋な真っ直ぐさがドロドロを消していく。
    かなわないんだな。
    瑠璃子さんが

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    2024年03月24日
  • からだの美

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    小川洋子さんの優しい痛みを伴うお話が好きで、よく読むんだけど。こちらは、お友達にお勧めしてもらったエッセイ。人間の体の部位をこんなにも美しく語れるなんて、さすが小川洋子さん。その中でも、「声」についてのエッセイが良かった。ここだけ、体の部位じゃないんだもんな。考えてみると、「声」って不思議。臓器で空気を振動させて音を作り出す。その空気の震えがあなたの鼓膜を揺らす…。なんか、すごくない?(語彙力!)私の妹が沖縄三線の新人賞コンテスト?に出た時のこと。古典だから、歌詞なんて全くわからない。にもかかわらず、まったくの門外漢の私にも良い歌はわかる。声って楽器なんだな、と思った。ヨガのYouTubeも見

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    2024年03月24日
  • からだの美

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    小川洋子さんの書く、何気ない物事の細部に目を凝らすようなエッセイがとても好き。今回は色々な分野のプロの方々や動物たちのからだの動きや思考についての考察で、やっぱり好きだった。高橋大輔選手のプログラムを見返したくなった。

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    2024年02月20日