小川洋子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
琥珀のまたたき 小川洋子
壁の中の邸にひっそりと暮らす3人の子供と母親。
壁の外に出ることは許されていない。
そんな生活を描いた作品。
そんな生活だから些細な出来事が彼らにとっては一大イベントと感じる。その様子を繊細に描いてる。
読み進めると、実際に起こっている出来事なのか、琥珀の描いた絵の中の出来事なのか、分かりにくい場面もある。
けど、絵は琥珀の目に写った世界を描いたもの。つまり、琥珀にとっては実際の出来事になる。
これまで読んできた小川洋子さんの作品の中でも特段に静かな世界観を感じる。子供が3人もいれば、賑やかで派手になりそうなものだが。そうならない魅力。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ苔料理専門店で食事を終えた翌朝、爪が緑色になっており、"本物の苔を食べた証拠ですよ。"と言われたり。
自分の親族がいるわけでもない近場でやっている色んな学校の運動会に、こっそり混ざってみたり。
その参加賞で貰った学習ノートを、原稿を書くのに良さそうだ、判子を押すところもあってよくできましたの判子を押したりして、モチベも上がりそうだとやってみたり。
あらすじ係をやっていたら、技量に磨きがかかり、ついには本編よりあらすじの方が面白くなってしまい解雇されたり。
"ドウケツエビの宇宙"というタイトルのトランペットオリジナル曲だったり。
クスッと笑えるところがた -
Posted by ブクログ
私は、入学試験のためにローラ伯母さんの家に四泊した。伯母さんと言っても親族の中で誰とも血がつながっていなかった。祖父の先妻の連れ子という関係だった。親戚の中では、伯母さんは、「昔、女優だった人」と呼ばれていた。ローラは伯母さんの当たり役だったらしいお芝居の役名である。伯母さんの住んでる町に着いた。そこの古い公団住宅の一室が伯母さんの家だった。間取りは1LDKで、目立つ家具は細長いソファと正方形のテーブルと二脚の椅子だけだった。伯母さんは手袋を編んでいた。一日一目と決めて。また、食器には「ガラスの動物園」のローラのセリフか書かれていた。毎日食事をしたときにお皿やコップの底にどんなセリフが隠れてい
-
Posted by ブクログ
舞台にまつわる短編集。いつもながらの静けさの中に漂う不思議な空気感が「あぁ、小川洋子さんを読んでいる…」と感じさせられる。
ラ・シルフィードに魅せられる少女を世話する縫い係、昔女優だった叔母、失敗係と交通事故の女性、不思議なコンパニオン、馬車の本屋に罪悪感を持ち続ける男性、ヤモリ。どの主人公も過去の何らかの思い、と舞台が結びつき展開されていく物語はどれも秘密めいた空気を纏っており、それに呼応するように自分自身の過去の出来事を呼び起こし自分の中の秘密感が増幅される。これが自分にとっての小川洋子さんの雰囲気かな。
表紙のイラストはヒグチユウコさん。とても内容にあった雰囲気で素敵。表紙のイラスト -
Posted by ブクログ
舞台をテーマにした短編集。
短編自体が繋がってるのかな?と思ったところもあったけど、やはり繋がってはおらず独立してる話のようだった。
表紙の装画に心惹かれて手に取る人も多いのではないでしょうか?装画はヒグチユウコさんです。
猫の絵のイメージ強いヒグチユウコさんですが、この少女の横顔も美しいですね〜!
クラシックバレエ、ミュージカル、ストレートプレイ、クラシック音楽、温泉街にある廃墟と化した演芸場…。
舞台はたくさんある。
実在する演目、固有名詞が登場するものの、内容に踏み込んではいないから、舞台のことや内容を知らない人でも楽しめると思います。
どの話も、小川洋子さんのお話だな〜!って感じ。