小川洋子のレビュー一覧
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ネタバレいつもの小川さんらしく、登場人物たちには名前がなくて殊更注目されるような人物ではないんだろうなと思っても、登場人物たちの仕事はぴったりとその世界に収まっている。
代わりがおらず、万が一他の人がその仕事をすればそれは取り返しがつかないほど全く違うかたちにその世界を変えてしまうんだろうなというくらいに。それに、変わってしまった世界になると前のことなどすぐ忘れられてしまうだろう。
そんな些細な人の一瞬を切り取る小川さんの目線は優しい。薄っすらと漂う狂気や、抑え込まれないグロテスクも、この尊さはなくならない。さすが小川さんだ。
普段、自分のしている仕事は代わりがきくと思っていて、仕事のためにはそれが良 -
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◆自分の人生にとって一大事が起きている最中にも、自分以外の世界を観察している。
◆日記と向かい合ったとき、彼女は大人になったのです。「言葉を探す」という作業が、彼女を年齢以上に成長させたのだと思います。
◆真理を描くとき、そこに必ずユーモアが生まれます。人間が一生懸命に生きている姿は、やはりほはえましい。
◆隠れ家にあって肉体的には外へ行けないぶん、観察と考察の対象は自分へと向かいます。内側へずっと深く降りていく。逆にいえばこの環境が、彼女を普通の女の子より早く大人にさせたのだと思います。
◆彼女たちは隠れ家で徹底的に静かな生活を余儀なくされていたにもかかわらず、静謐さが貴重だという。 -
Posted by ブクログ
【好きなだけ窪みに身を沈めていられるよう、ただ黙って放っておいた】
「一体こんなもの、誰が買うの?」という品を扱う店ばかりが集まった小さなアーケードの話。
「私」も店主たちも登場人物がみな大切なものがあり、繊細だけれど芯が通っているため、発言の一つ一つにハッと思わされる。
短編集のようだが話に繋がりはあって、ただ時系列がバラバラ。しかし不思議と違和感がない。
作中に「それを必要としているお客さんが来るまで、わたしたちはいつまでも待った。」という一節があるが、もしかするとこの話の一つ一つが読者が必要とするタイミングで読まれるようになっているのではないだろうか。 -
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しばらく小川洋子さんは満腹気味でゲップでそう。「オ」の棚を通り過ぎるときは迂回したり背表紙に視線あわせないように通るのですがそうなると必然的に小川糸さん、恩田陸さんもスルーしてしまうので残念に思ってしまう。
後ろ髪引かれながら奥に進むとあまり目立たない場所なんですが本殿の裏にあるお稲荷様のように新刊のラックが置かれているのです。覗いてみるとなんと小川洋子さんの新刊が立てかけてあって開いてみよやと言わんばかりに鎮座していらっしゃるではないですかぁあww
妖狐かぁああ!!
って、叫びたくなるのを抑えて、神託に「謹んでお受けいたします。」と柏手を打つよりほかありませんでした。(てへぺろ)
とゆうこと -
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野球選手(例えてイチロー)のその時々に使われる筋肉、フィギュアスケーター(例えて高橋大輔)のうなじ、ヨット選手の体の動き、などなど。
ありありと目に浮かぶがごとくの素晴らしい描写。
さすがにプロの文筆家だな(当たり前だけど)
イチローにしても高橋大輔にしても小川さんは熱烈なファンなんだろうな。
そうでなければここまで細かい観察はできない。
ふふっと笑ってしまったのは、外野手のたたずまいの説明というか、外野手の心の内を想像して書いている下り。
タイムを取ってマウンドのあたりで数人が作戦会議をしたり、はっぱをかけてる時の外野手の疎外感・・・って。
仲間の声より、スタンドの観客の声の方がよく聞 -
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ネタバレあの小川洋子さん作の絵本、ということで手に取った一冊。
読んでいて、映画『トイ・ストーリー』を思い出した。
小さなアンナちゃんの、お出かけ用のブラウスの一番上にとまっているボタンちゃん。丸いお顔のかわいい女のコ。
一番上にいるから、アンナちゃんの一番近くでアンナちゃんのことを見ていられる。いわば特等席に居られる存在。仲良しのボタンホールちゃんと一緒に、お出かけ中のちょっぴりおすましのアンナちゃんのことをニコニコしながら見守っている。
そんなボタンちゃんにある日ハプニングが。なんとボタンの糸が切れてしまってボタンちゃんが遠くに転がっていってしまい…。
小さなアンナちゃんがもっと小さな頃、大切 -
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2013年に東北地方で出会った土着神事に亡くなった子どもが死後も成長し結婚できるように、玩具や文具を納めたり花嫁・花婿人形を収めたガラスケースを奉納する親たちからインスピレーション得て書いた作品だとか。
『ことり』から7年ぶりの長編小説。
子どもが死んで一人もいない町の元幼稚園に暮らす語り手の私、講堂にはガラスの小箱の中に、わが子を亡くした親たちが成長に見合う品々を収め続ける。(ぬいぐるみにお菓子、漢字ドリルからニキビ用の塗り薬とか)
西風の吹く頃には、子どもの遺髪を弦にした竪琴、乳歯や 爪を入れた小瓶の風鈴など、小さな楽器のイヤリングを耳たぶにぶら下げて丘の上で風を受け、「一人一人の音楽