小川洋子のレビュー一覧

  • 妖精が舞い下りる夜

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    作家さんを等身大に感じるのに、エッセイを読みたくなりますよね。作家さんと自分との接点を見出して嬉しくなったり。小川洋子さん、本人も認めるように小説では少し昏い世界をお書きになりますが、阪神の熱烈なファンであるなど意外性たっぷりです。

    おこがましいようですが、小川さんは
    「書きたい人」なのだなぁ、天性の作家さんなんだなぁと思いました。どの言葉を掬いとるかということに専心しつつ、一方で言葉にできない空間に意識を払っている。金井美恵子さんらの小説について綴った箇所も、とても素敵でした。

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    2025年02月13日
  • 言葉の誕生を科学する

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    「言葉」を通して、コミュニケーションや自己意識、時間などについて考察する。
    読みやすくてあっという間に読んでしまったけど、もう一度あれこれ考えながら時間をかけて読み直したいとも思う。

    後半、小川さんが小説の意義について述べる部分が印象的だった。対談が進むにつれて小川さんの中で想いが広がっていく様子を感じた。「ことり」読み直したいなぁ。

    「言葉を解きほぐす技術がないといけない」という言葉は胸に留めておきたい。何事も一言で片付けない。こうして読んだ本も、「これよかったな〜」とラベリングして終わらせない。

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    2021年09月13日
  • 犬のしっぽを撫でながら

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    今まで読んだエッセイにもラブちゃんが登場するのですが、これを読むと何故、犬を飼おうと思ったかがわかります。その理由がまた親近感を感じてしまいました。それから、ラブちゃんと初めての散歩や、もし小川洋子さんがサッカー選手や水泳の選手だったらって話がとても面白くて、私の頭の中ではギャグマンガ風の動画が再生されているような気分でした。

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    2021年09月13日
  • ホテル・アイリス

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    「生」と「死」と「エロス」のトライアングル。
    「死」は突然やってくる。
    「死の準備」と隣り合わせで歪んでしまった欲望を
    持つ翻訳家の前に現れた少女。
    漫然とした「生」の中の住人。
    そこの住人にとって翻訳家の
    '屈折した欲望'は雷のように感じたのだろう。
    雷を脳ではなく肌で理解し受入れた少女は
    翻訳家にとって何よりもの宝物。
    「エロス」とは「愛」と似て異なるもの。
    翻訳家にとって己を迎合してくれた
    初めての「女」であり
    人生最後の「女」
    決して自分で現像することはなかった
    「フィルム」が
    己が生きた証なのだろう。
    己の死が近づいてくるのを感じ始めた男にとっては
    切ない物語。

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    2021年09月11日
  • やさしい訴え

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    あなたは、”三角”にどんなイメージを持つでしょうか?

    全ての形の中で最も鋭角に囲まれる”三角”。その形からは、一見鋭くて攻撃的な印象も受けます。しかし一方でピラミッドや山のイメージが思い浮かぶようにバランス感のある安定した印象も受けます。しかし、そんな一見安定した印象のある”三角”も、それを180度回転させると極めて不安定な状態に陥ります。日本では道路標識の”止まれ”や”徐行”など、特に注意喚起を要する標識にこの”逆三角”が使われ、その不安定さを煽る感覚から、運転手の心情により訴えかける効果を出しています。

    では、そんなイメージの”三角”を人と人との関係に例えるとどうなるでしょうか?そう、

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    2021年09月01日
  • 小箱

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    あなたは、『夏至の翌日、プール開き』を自宅でするんだ!という友人の話を聞いたらどう思うでしょうか?

    えっ?実は超お金持ちだったんだ!羨ましいなあ、そんなある種の妬みや僻みの感情が巻き起こるのではないでしょうか?でも、『一搔きし、二搔きめの最後が完全な形を取りきらないところで、早くも向こう岸に到着してしまう』と聞いたとしたら、それってただの子供用プールじゃない、と呆れ返ると同時に、そんな友人のことを危険人物かもしれない?と訝しがるかもしれません。また、

    あなたは、毎月末の日曜日、『お邪魔して、よろしいですか?』とやってきて幼稚園の園庭の遊具を使う奥さんを見たらどう思うでしょうか?

    えっ?

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    2021年08月30日
  • いつも彼らはどこかに

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    最近、時折読んでいる小川洋子さんの文庫本は、全て、私が引っ越してきた町で見つけた古書店で購入したもので、実は少々煙草の匂いが残っていました。まあ、気にする方もいらっしゃるとは思いますが、私は問題なし(むしろ、後で見開きがよれよれになっていることに気付いた方が嫌)。

    逆に、私の前に読んでいた人はどんな人だったのだろうと、想像してしまう。リラックスしながら読んでたのかな、なんて。自分のスタイルで読書したいのは、すごく共感できる。

    前置きが長くなったが、この短篇集に登場する人たちは、皆、それぞれの行動スタイルというか、夢中になるものを持っている。しかし、その裏には、何かを失ったことが原因になって

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    2021年07月22日
  • 余白の愛

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    私にとって小川洋子さんの小説を読むことは自分の軸を整えること。人生で大切にしたいものを示してくれているような気がするのです。

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    2021年07月16日
  • まぶた

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    小川洋子ワールドがなんとも言葉にできないけれど、心地よい。リンデンバウム通りの双子が個人的に大好きだった。

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    2021年07月12日
  • 科学の扉をノックする

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    10年近く本棚に眠っていたので手に取った。

    まずこの本の特徴として、小川洋子さんが書いているだけあって文章が読みやすい。
    読みやすいといってもユーモラスだというわけではなく、何というかスラスラ入ってくる。
    それは一つ一つの情景・感情描写にも普段から気を使い、細部にまで目を向けているからだろう。

    このような作家特有の繊細さを持って科学について書かれるとどうなるか。
    科学をストーリーとして味わえるのだ。
    科学の内容だけでなく、そこに携わる科学者の心情までも事細かに描いてくれている。
    よって、「科学をしている人」を客観的に見ることができるのだ。
    「科学者はそんなことを考えながら科学と向き合ってい

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    2021年07月11日
  • 科学の扉をノックする

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    宇宙、鉱物、遺伝子、放射光、粘菌、遺体科学を専門とする6名の研究者と、プロ野球のトレーニングコーチを取材して、それぞれの専門的な内容にも触れつつ、宇宙や生命といった科学の奥深さ、面白さを紹介した本。

    著者の小川洋子さんの科学に対する愛が端々に感じられ、大人でも子どもでも、読んだ人たちが、科学に興味を持つきっかけにもなると思う。

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    2021年06月27日
  • 博士の本棚

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    小川洋子さんのエッセイは初めて読んだのですが、子供の頃のことを読んでいると、歳が近いこともあって、懐かしい気分になりました。小川洋子さんの本はもちろん、この本の中に出てきた本も読みたくなりました。

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    2021年06月21日
  • 不時着する流星たち

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    10篇の短編集。
    人だったり、言葉だったり、植物だったり。
    ちょっとしたそういうトコロから着想を得て紡がれたようなお話たち。
    ここからそんなお話になるのか、とか、
    そこに着想を得ていたのか、とか。
    小川さんの凄さを改めて感じる作品たち。

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    2021年06月14日
  • 科学の扉をノックする

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    作品名のとおり、入門書の一歩手前のようなインタビュー記事のようなものでありながら、小川洋子さんの妄想から始まる各章はとても物語的。グルーヴ感満載の読み心地で、研究者の方々の人となりがひしひしと伝わってきて楽しい。

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    2021年05月26日
  • 小箱

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    ネタバレ

    廃墟となった郷土資料館のガラス箱は
    今は幼稚園で亡くなった子どもたちの無言の声と成長を保存するための小箱となっている。

    幼稚園で小箱の管理をする番人。
    歌うことでしか話せないバリトンさんが持ってくる
    入院中の恋人からの手紙を解読する作業。
    丘で行われる、亡き人たちの物で作った耳飾りで自分1人だけで行う音楽会。

    幼稚園の朽ち果てた遊具で時折遊ぶクリーニング屋さんの奥さん。
    息子を亡くし、彼が歩いた場所しか歩けなくなり
    死者の小説しか読まなくなった従姉。

    生きる人と小箱に積み重なる死んだ子どもたちの成長の記録。
    一人一人の胸にいつまでも成長し続ける子どもたちの記憶。
    それを思う尊さと深い幸福

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    2021年05月16日
  • 洋子さんの本棚

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    二人の洋子さんが、人生に影響を与えた本について対談。 教養と感性が豊かな人はこうやって文学を愉しむのか。物語の背景と自身の経験を重ね合わせながら昇華させてる。 飴玉を嘗めるように幸せな記憶を思い出して乗り切るって素敵。

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    2021年05月04日
  • 洋子さんの本棚

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    2人の洋子さんの対談集です。

    平松洋子氏はさぞかし多くの食にまつわる
    本を読んでいるのでは、と思いましたが、
    ここで語られているのは文学作品ばかりで
    した。

    そうだろうなあ。

    文章が上手いのは、やはり幼少の頃から
    多くの良書に触れていたからなのだな、と
    納得しました。

    小説家である小川洋子氏も当然しかりであ
    あり、それゆえ2人の本にまつわる楽しい
    対談集に仕上がっています。

    本好きの女性はどのような本を読んで、
    自身の成長につなげていくのかが分かる
    一冊です。

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    2021年04月22日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ストーリーというよりも描写の残し方が全般的に秀逸。
    ストーリーは「教授宅の留守番」と「銀山の狩猟小屋」が面白く、前者はテンポの良いコントから小説らしいオチにもっていく形がよかった。後者はいまだにサンバカツギがなんなのか謎で想像力を掻き立てられた。

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    2021年03月31日
  • 刺繍する少女

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    1番図鑑がインパクトあった。
    読み終わるとゾクゾクする。
    普通の話をしていたのに、一瞬で狂気に繋がる。
    口裂け女的な妖怪チックな、いきなり非現実に陥る感じに似てる気がした。

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    2021年03月29日
  • 刺繍する少女

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    「キリンの解剖」という話のわたしと守衛さんのやりとりが心地よかった。
    工業地帯?をランニングするわたしの姿とそれを見守る守衛さんの画を思い浮かべながら読んだ。

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    2021年03月28日