【感想・ネタバレ】人質の朗読会のレビュー

あらすじ

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた――紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして……。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。今はもういない人たちの声、誰の中にもある「物語」をそっとすくい上げて、しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

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Posted by ブクログ

やっぱり小川洋子作品にはハズレがない。夢の中にいるような、原風景を見ているような、生きているけどすぐ側には常に死があるような。この本の中で特に好きだったのは「やまびこビスケット」「B談話室」「槍投げの青年」「花束」かなー。解説で紹介されている小川さんの言葉「物語として残しておきたいと願うような何かを誰でも一つくらいは持っている」「それらを見つけ、言葉ですくいあげてゆくときのわくわくする気持ちが好き」。自分には出来ない言語化をしてもらってる感じ。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初にこの本を書店で手に取った時、表紙の白い小鹿が人質となった人物の悲しさや絶望感を象徴しているのだろうか、と思いました。しかし、作品を読み終わると、白い小鹿の目が人質一人ひとりの大切な過去を見つめているような気がしました。人質の絶望感というよりも、物語の温かさが胸に残る小説でした。

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2026年04月09日

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人質たちが暇つぶしに、何か一つ思い出を文に書き出して朗読し合おうとする。今必要なのは、じっと考えることと耳を澄ませることだ。これを読んで、
小川洋子さんが「物語の役割」で、辛い現実を乗り切るための手段として物語がある、と語られていたのを思い出した。

杖 子供の頃足を怪我した太った下っぱ工員さんに、のこぎりで切った枝を渡して助けてあげた。十数年後、交通事故で意識を失っていたわたしの頭の中に、工員さんがバーナーと立派なお面を持って現れて、足を治してくれた。目覚めたら、切断寸前だったらしい足は、どうにか持ち堪えてくれていた。バーナーとお面は、世界を壊すのではなく創り出すものだったと気付いた。

やまびこビスケット 味より型の種類が重要なビスケット。嫌われ者の大家さんにとって、家賃は決して横取りされてはならない獲物であり、整理整頓は理屈抜きの生存本能であった。工場でたまに貰える不良品を、大家さんと食べるようになった私。厄介者扱いされる不良品は、大家さんと私の仲間だ。大家さんが亡くなった部屋の丸テーブルには『整理整頓』のアルファベットのビスケットが綺麗に並んでいた。私はそれを布に入れ、お守りとして大事にした。

B談話室 そこでは様々な集会が開かれる。どんな種類の会にも僕はすんなり入り込める才能があるようだ。不思議なことに必ず片隅に空いた席があるのだ。ここでの色んな経験が、僕が作家になったきっかけだった。世界中のひっそりとした場所にB談話室はある。ささやかな繋がりを持つ者たちが、真に笑ったり泣いたり感嘆したりできる場所。

冬眠中のヤマネ 僕は子供の頃、いろんな事柄について「分かる」と感じる場面が多かった。受験に受かることも、茶店の店主が死ぬ日も。でも「分かる」と思っていたことは全部、外から発信されたものばかり。老人を背負って石段を登っているとき、二人はつなぎ目なく一つにつながり合っている、と感じた。生涯で初めて、本当に何かを「分かった」瞬間だった。片目の濁った老人が静かに泣きながら、片目しかない冬眠中のヤマネをくれた。それを僕はずっと側において過ごした。自分の身体の一部のように。

コンソメスープ名人 僕は八歳で、留守番中。隣の家の娘さんが、母(車椅子で庭にじっと動かずに居るから、ミイラになろうとしているんだと僕は信じている)にコンソメスープを作らなければならないから台所を貸して欲しい、とやってきた。どんよりした雰囲気は、台所に立った瞬間、一変した。テキパキと働き、眼差しは真剣だった。温度計を刺すという使命を与えられた僕は誇らしい気持ちで、これを飲んでミイラになれるなら幸福なことだと思った。娘の母は三日後に亡くなったそうだ。

槍投げの青年 槍を投擲する、ただそれだけの練習だった。眼前で繰り広げられているのは、肉体を使う運動であると同時に、孤独な思索でもあった。何かに打ち込んでいるとき、真に自分との対話ができるんだろうと思う。描写が細かくて、槍と青年の一体感を表現しているのが印象的だった。
亡くなった夫の代わりに、頭の片隅に住み着いた青年が心の支えになってくれた。素敵な終わり方だった。

死んだおばあさん 「死んだおばあさんに似ている」。子や孫の世話に一生を尽くした祖母の、うつむき祈りを捧げる顔。偏屈なおばあさんが晩年、妄想の中でヴァイオリンを弾く顔。実にさまざまな、自分と似ているらしいおばあさんが登場する。「でも私自身は子供を持つことができず、死んだおばあさんには永遠になれないのです。」終わり方が衝撃だった。世にも奇妙な物語のような雰囲気だった。

花束 バイトの最終日、唯一の僕の担当であった葬儀典礼会館の課長さんに立派な花束を貰った。死者があの世で着替えるためのスーツを買いに来る人だった。僕は昔、腹違いの妹が大事にしていた人形をこっそり持ち出し、社宅の階段の踊り場から投げ落としたことがある。その後、同じ場所で投身自殺が起き怖くなった。帰り道の交差点にお供えされた枯れた花に気づき、綺麗に掃除して貰った花束を生けた。そして課長さん、妹の人形、ここで亡くなった誰か、身を投げた主婦に祈りを捧げた。

ハキリアリ ハキリアリの行進を「一つ一つの切れ端は皆形が違うのに、見事に統制が取れて、切れ目のない一続きになっている。ジャングルを静かに流れる、緑の小川だ。」と言った例えが素敵だと思った。
緑の小川は、苦心する素振りも見せず流れてゆく。自分が背負うべき供物を、定められた一点へと運ぶ。
そのようにして人質は自分たちの物語を朗読した。
物語が一つ語り終わるたびに、そうだ、この人たちはもう居ないんだと、寂しい気持ちになった。話の終わりに今の職業が出てくるのも、楽しみにしながら読んでいた。

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2026年04月06日

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普段、腕や首や血が飛び散ったり井戸から貞子が出たりするものばかり読んでいるので、文字通り心が洗われた気持ちになった。
たまには心をお洗濯しないとだめですね…。

ささいな日常を(もちろん練りに練られた内容なのだけども)繊細で丁寧で厳選された言葉で綴られると、こんなにも濃密な世界になるんですね。
どの話も素敵なだったのですが、個人的には「B談話室」と「コンソメスープ」が好きでした。

この物語を語った人々がどうなったかは、冒頭で語られているので、だから余計に最後のエピソードの「この朗読会が終わらなければいいのに」という一文が胸に応えました。
読み終わってため息です。余韻引きずるわー。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

監禁されたことによる人質の方たちの朗読会。人は誰しも語りたくなるような思い出を持っている。事件や事故大きいことではないかもしれない。けれども、自分にとって大きいことは物語のように話は進んでいく。
素晴らしい小説です。

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2026年01月18日

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ネタバレ

命は尊いものであり、生きていると色んなこと起こってくるけど、感動を大切にしたいと、この本を通して感じた。

やまびこビスケットの大家さん
整理整頓は自己防衛の最良の武器である。意地悪なばあちゃんってイメージが強いけど、これはその通りなのかも。大家さんと動物園に行くほど仲良いって、すごい展開
亡くなる最後まで、整理整頓を心掛けてた。守り抜いた、人間味のある内容でもあり、深かった。

B談話室
公民館の部屋、談話室。いろんなことに使われてる。
受付の女性に無理やりな感じで参加することなった。行き当たりばったりで話してるのがすごい。
最後、おじさん40年もやって、女性なんていない、あの女性はなんだったんだろう…

冬眠中のヤマネ
おじいさんとの出会いが、眼科医になろうという、背中を押した経験でもある。

コンソメスープの名人
隣の娘さんの料理かっこいい、憧れる。一切迷いがない様子とか。

槍投げの青年
こんなに槍投げの様子を豊かな表現でこんなにも文で書けることに感動。さぞかし青年かっこいいんだろうな。

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2025年12月09日

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ネタバレ

戦争やテロ、災害などでたくさんの人が亡くなる悲しい出来事が起きたとき、私たちはつい、その出来事の大きさを「量」で測ろうとしてしまう。十万人が亡くなった、数百万人が被害にあった――そんな数字のインパクトで、悲劇の大きさを捉えようとしてしまう。

『人質の朗読会』は、冒頭で「テロによって人質に取られていた8名は全員亡くなった」と告げられるところから始まる。彼らの死後に発見された、朗読会の様子を収めた記録テープがラジオで放送されることになり……という導入で、読者は最初から「登場人物のいく末」を知らされたまま、物語を読み進めていくことになる。

そこで強く感じるのは、「彼らは確かに生きていた」という、当たり前だけれど揺るぎない事実だ。そして、「彼らにもそれぞれ豊かな人生があった」ということでもある。8名の朗読には、それぞれの人生、それぞれの感情、それぞれのきっかけが刻まれていて、なぜこのツアーに参加したのかという理由も一人ひとり違っている。その記録を、死後になって私たちが耳にするという体験は、「この人たちが生きていたことを忘れないでほしい」という願いを、静かに突きつけられているようでもあった。

もし自分が死ぬとしたら、自分と関わってきた人たちに願いたいのは、「僕の声を忘れないでほしい。僕の声をどこかで覚えていてほしい」ということだ。なぜなら、人の記憶はその人の声と密接につながっていて、声を通じて、その人の表情や仕草、言葉の選び方やものの考え方まで、丸ごと立ち上がってくるからだ。だからこそ、人質たちが「声」で自分の人生を記録したことには、とても大きな意味があるように思う。同時に、最後の朗読が解放戦線側の兵士によるものだという事実も重い。彼もまた生きていて、彼にもまた一つの人生がある。

ほんの少しのボタンの掛け違えで、人は「テロリスト」と「人質」という関係に分かれてしまうことがある。けれど、元をたどれば皆、同じように生まれ、育ち、家族がいて、日々の暮らしと人生を持つ人間だ。

そのことを思うと、胸がぎゅっと締め付けられるような苦しさがある一方で、彼らの声をしっかり耳と胸に焼き付け、「彼らが生きていたことを決して忘れない」と心に決めること自体が、彼らの存在をこの世界につなぎとめる、ひとつの供養になるのかもしれない。

そんなことを思いながら、この物語を読み進めていった。

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2025年12月07日

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何かの比喩かな?と思った「人質の朗読会」というタイトル、そのまま「人質の朗読会」の話でした。

その人質は全員亡くなったことが明かされ、複雑な気持ちで読み始めることになります。

人質となってから時間も過ぎ、少し周りを見る余裕ができる頃。囚われの身である8人もだんだん打ち解けてきたのかな。
殺伐とした状況の中で、せめて穏やかな時間を過ごすためにできる事。
未来がどうなるわからない今、絶対に確かな過去の記憶を思い出し、したため、語る事。そしてそれに耳を傾ける事。
それで自分を、お互いを支えていたのかな。生きるための朗読会であることは間違いなく、だから切ない。

他人からしたらなんて事ない出来事だろうけど、強烈に覚えてる事あるなぁ。
各々のエピソードの後には『職業・年齢・性別・旅の目的』の記載があるのですが、ここがまた。この1行でさらに印象が深くなります。

しっかし発想がすごい…よく思いつくなぁ。

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2025年09月24日

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ひとまとまりのお話だけれど、短編集のような構成。一人ひとりの静かなコアな地味な物語が、心に染み入ります。小川洋子さんの世界観は人であることでしか味わえない心理描写をいつも描いてくれて、それがたまらなく大好きです

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2025年08月22日

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個人的にかなり好きな話です。
人質たちはみんな悲惨な最後を約束されていますが、その人達がぽつりぽつりと語るのはふとした日常。きっと人の心や物語と呼ばれる物は尊い日常から生まれて、その日々を元に生きてきたのだなと思いました。小川洋子さんの語る「物語」というのはこういうものなのだなと思いました

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2025年08月14日

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ネタバレ

異国を旅行中、ゲリラの人質になってしまったツアーの参加者達の朗読会。

他人からみたらどうでもいいような出来事が、本人にとっては忘れられない大切な思い出であり、今まで生きてきた軸であったりする。

話の最後にその人の職業と、どういった理由でツアーに参加したのかが書かれていた。朗読した出来事からツアーに参加するまでどんな風にその人が生きてきたのかが想像できるようだ。

命の補償はない過酷な状況の中であるからこそ更に美しく輝くお話だった

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2025年06月24日

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ネタバレ

海外旅行先で襲撃を受け、人質となった8人。8人は亡くなってしまったが、後に犯人グループの動きを探るため、録音された盗聴テープが公開された。人質たちが自ら考えた話を朗読している様子が録音されたテープである。

1話毎の終わりに、誰が朗読したのかが記載されている。淡々と書かれているのが、その人たちが亡くなっているんだということを強調しているように感じた。

小川洋子さんの本を初めて読んだが、とても読みやすかった。ほかの本も気になるものがあったら読んでみたい。

表紙の「小鹿」は彫刻家の土屋仁応(つちや よしまさ)さんが造られたそう。
調べてみたらほかの作品も素敵だった。

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2025年06月08日

匿名

ネタバレ 購入済み

 人質になった日本人たちが極限状態の中で自らのエピソードを語っていく物語です。

 とても平易な語り口調で綴られる物語は彼らがもう亡くなっていることもあり、セピア色の写真を見るようです。

 小川洋子の作品の中でも、その完成度の高さからもっとも好きなものの一つです。

 小川洋子の特徴のひとつのグロテスクさがあまり前面に出ず、叙情的な部分が際立った作品であると思います。

 私は特に「槍投げの青年」が好きです。陸上競技特有のストイックさや、力強さや、繰り返しのルーティーンからの高揚感などが、その文章の中で鮮やかに蘇ります。

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2019年12月13日

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人質として、いつ処刑されるか分からない状態の中で、自分の人生の一部を文章にして朗読し合う話です。
緊迫した状況下で、ほのぼのした話、切ない話、楽しい話が発表します。
牢獄の中で生きる糧を見つける人質の心情を上手く掴んでいて、その発想が面白かったです。

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2026年02月02日

Posted by ブクログ

こんなにも生と死、いつも通りの生活の有り難みを感じられる小説はあまり読んだことはありません。

極限のなか感謝、後悔、恐怖、様々な感情を押し殺して朗読会を行います。

8人の人質は偶然その場に居合わせただけで、皆それぞれの生活があり、家族や友人がいる。年齢や性別も違っているお話がとても身近に感じられます。9人目の、通訳の政府軍兵士が語った「彼らは祈りにも似た行為であった」の一文には涙が出そうになりました。
悲しいけど、素敵な短編小説です。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

 ずっと心の中にあり、人に話す程ではない、落ちもない話だけど忘れられなくて、思い出すたび、鮮やかさを増す記憶。私にもそんな話があるだろうか。
 語り手一人一人の、その人となりが、息遣いが、ひとつひとつの話に感じられる。
 お気に入りは、『死んだおばあさん』。

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2026年01月22日

Posted by ブクログ

人間一人一人の人生がささやかな思い出で支えられている。辛い経験。悲しい記憶。過去には色々あるけど、ぐっと今も自分の軸となって心を支えている記憶って凄く素敵だなと思った。
やまびこビスケットのお話が個人的には凄く良かった。2人の距離感がビスケットを通じて縮まっていくのが大家さんの整理整頓への考えが凄く良くて私も整理整頓しようと大家さんとお話しているような不思議な感覚だった。

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2026年01月12日

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ネタバレ

小川氏が書く物語は…物凄い不思議ですね。
いつも思ってました。この方にしか生み出せない物語が、確かに存在する。そして深く刺さって読み手はそれを取り出さない。
この物語の驚くべきところは、初手で語り部の人達が全員死ぬということ…その効果は絶大で、ひとりひとりの話をズンと重くのし掛かけて読んでしまう。
大事にしないと、覚えておかないと。
って、図らずとも慎重になる。
させられた。

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2026年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多くの人が持っているちょっとした記憶に刻まれた出来事を、ちょっとした工夫で語られる話。それを人質たちが語る。それを立て篭もり犯人を囲む警察が盗聴するというシチュエーションがより人質たちの思いを際立たせる。僕だったら、何を語るだろうという思いを抱いた。そして、僕の行動・行為が相手を涙させたであろうことに思いが至った。きっと、とても楽しかったことではなく、心の奥に刺さったトゲのような出来事なんだとう。

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

地球の裏側のどこか知らない国、
8人の日本人の乗ったマイクロバスがバスごとゲリラにより拉致される。
世間には、一通りのゲリラの実態なども報道されるが、100日を超える膠着状態になり、世間からは少しづつ忘れ去られていく。
その危機の真っ只中の彼らは、生きて帰れるのか死ぬしかない中で、一人一人の朗読会が始まる。
短編小説みたいだ。
一人一人の物語を静かに、淡々とみんな聞いている。その話は子供の頃のことや若い時のこと、人が聞いても感動も何もないお話。
何なんだろうな。
何かしら、薄暗闇の中で静かに瞑想のような感じすら受ける。
心が透明になりそうだ。

私は「冬眠中のヤマネ」が好きだ。

いったいこんな時、私は何を朗読するんだろうか。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

博士の愛した数式からの2作目。

人質たちが残した、一人ひとりの印象深い日記。
まるで短編集を読んでいるような贅沢な一冊でした。

全く異なる立場や目線など、色々な人の人生をちょっとずつ覗いているような気持ちになります。

ちょっと稀有な日々だけど、ほっこり。


タイトルの 人質 と 朗読会 のギャップが、湯豆腐をジャムで食べているような、、いや、そうはならない。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

小川洋子さんの作品を読むのはもしかしたら『博士の愛した数式』以来かも?!美しく隙のない、完璧だけど冷たさを感じさせない文章が読んでいて心地よく、ひとつひとつのお話もなんだか摩訶不思議で切なく、唯一無二の小川ワールドに惹かれました。素晴らしかった~!他の作品も読まなきゃ!!

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2025年09月28日

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8人の方の朗読会の話を聴かせてもらった。みんな日々の生活を粛々と送られている情景が目に浮かんだ。ただ一番印象に残ったのは、8人全ての人が犯人が仕掛けたダイナマイトで亡くなったという事である。それぞれの朗読を聴いた後、一人一人の人となりが分かった後なので何とも空虚で悲しい気持ちになった。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

残酷すぎる、かつ絶対に変わらない結末が最初に提示されているのにも関わらず、明るさやコメディさも含まれる展開なのが複雑な気持ちになる‥!この朗読会が行われたことで被害者たちは報われたような気もする!

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

読む人によって受け取るメッセージが変わりそう こんなにいろんなことを感じた本はあまりない気がする。ただ、人は生きているとお互いにちょっとずつ影響し合っていて、そんな些細なことの積み重ねが人生になっていることをしみじみ感じさせてくれた。

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

囚われの人質たちが自らを語っていく。小川さんの作品の中ではかなり読みやすい作品だと思いました。どの人質の朗読も独特な匂いを感じます。「やまびこビスケット」工場で働く大人しい女と偏屈な大家の女。ビスケットの出来損ないを通じて、二人の仲が少しずつ近づく。印象的でした。「コンソメスープ名人」死期の近い母を持つ娘とぼく。小川さんらしさを感じました。少し不気味で、不思議。「死んだおばあさん」様々な死んだおばあさんに似ている女。薄気味悪いはずなのに、全然嫌悪感がない。永遠に死んだおばあさんになれない、この締めが好き。

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2026年03月23日

Posted by ブクログ

最初はスローペースで読んでいたのだけど、だんだん気になっていって最後はとても集中して読み込んだ。
私が人に朗読するなら、自分のどんな思い出を語るだろう。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

一万円選書の5冊目。
題名の通り、異国の地で誘拐された人質たちが語る朗読会。
その内容は自分自身の人生の1ページについて。


自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。
それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟にのせる。


それぞれの語った内容が短編として綴られていました。
どの話もどこか不思議で、特にオチがあるわけでもありません。
でも他の人からしたらなんでもないその思い出が、きっとその人の人生にとってなくてはならない瞬間だったのだと思います。

彼らの話はしっかり届いていましたね。
私にも届きました。
私が語りたい人生の1ページは何だろうって考えさせられました。


If you have an opportunity to talk about your life, what would you choose?
What is the meaning of the episode for you?

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2025年10月26日

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小川洋子さん、お初でした!

ワタシのこれまでの人生で、何気ないけど強烈な記憶として残っていることって、何かあっただろうか?と思いながら読み進める。
おばあさんの話とビスケットの話が好きだった。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

小川洋子さんの本を何冊か読んだことがあるから、拒絶感なく読めましたが、初だったら、困惑してました。
出だしで、人質の死を知った後にその人たちが捕えられている間に読んだ朗読会と聞いたら、今の心情を話すのかと思いますが、全く違いました。
それぞれの話が繋がっているわけでも、そこにオチや、伏線があるわけでもなく、ただその人の心に残っているエピソードだけでした。
でも読み終わると人が最後に話したい話って、こういう何でもなくわざわざ人に話すまでもないものかもしれないなぁと思いました。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

はじめの一文から小川洋子ワールド全開だった。
"そのニュースは地球の裏側にある、一度聞いただけではとても発音できそうにない込み入った名前の村からもたらされた。"

8人の人質と、1人の特殊部隊通信班隊員によって語られた9つの物語。他人からするとなんてことのない、人生のほんの一部の光景。それが当人にとっては色褪せることのない特別な記憶だったりする。
「冬眠中のヤマネ」がよかった。

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2025年06月29日

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