【感想・ネタバレ】猫を抱いて象と泳ぐのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年03月13日

初めて読んだ時、独特な世界観と作者の豊かな表現力に衝撃を受けました。私にとってこの作品は凄い!の一言につきます。
唇がくっついて生まれてきた少年に神様は並み外れた集中力とチェスの偉大な才能の仕掛けを施して下さった。しかも少年しか出来ない独特なチェスの指し方で。恵まれない環境の中でも、愛情に満ちた人々...続きを読むに囲まれてチェスと共に生きる少年。チェスが出来たらもっと深く少年の気持ちを理解出来るのでは?とも思いました。
常に孤独と闘いながらチェスに向き合う心根の優しい少年の生き様を感じて欲しい一冊です。

0

Posted by ブクログ 2024年03月04日

リトル・アリョーヒンとして生きたチェスの名手。実在していた人物だが、いまだに謎が多いという。その彼を題材にしているが、チェス盤の下が彼の命そのものというくらい、チェスに魅了されチェスに生かされた彼の生き様が、素朴だけど奥深くて、心動かされた。彼を取り巻く、優しくて強い人物たちの存在にも勇気をもらえる...続きを読む

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月28日

読み終わってしまった…
もう少し浸っていたかったし、ミイラとの再会も、老人ホームを出てまた別の場所でチェスをする姿も見たかった…
洋館のような廃バスや、地下プールの更衣室など、場面が美しくどんな場所か想像しながら読むのが楽しかった
途中から、私も棋譜の美しさをわかりたいと思い、チェスを学びながら読ん...続きを読むだので、ミイラからの手紙「e4」だけで、文通でチェスをしようとしてるんだ!とわかったりして楽しかった。初めからチェスを知っていて読んだらもっと楽しめただろうなと思う。
ストーリーがすごく面白いわけではないけれど、全体に漂う空気感が好みだった。
猫を抱いて象と泳ぐという題名も、題名先行でストーリーを考えたのかな?というくらいぴったり。

0

Posted by ブクログ 2024年02月17日

チェスの棋士リトル・アリョーヒンの他は人名も地名も固有名詞が出てこない無国籍で異空間な小川ワールド。
それでも豊富で緻密な表現力でどんどん引き込まれていく。
たびたび訪れる死の場面も悲しいだけではなく必然だったんだなと様々な感情に揺さぶられる。

0

Posted by ブクログ 2024年02月08日

この本は、前からタイトルが気になっていたのですが、やっと読むことが出来ました!
めちゃくちゃ良かったです。
チェスの名人リトル・アリョーヒンの生涯を描いたものです。
チェスを知らない私が読んでも、盤上の美しさが想像出来るような詩的な表現で駒の動きを描いており、とても良かったです!
読んで良か...続きを読むった一冊でした!

0

Posted by ブクログ 2024年01月27日

映像的な書き口なんだけど、
言葉を深く理解していて、その効果を計算できるところは小川洋子の作品だな、と思う。
そういった意味でこれはすごく詩的だった。

最後のゴンドラのシーン。
リトルアリョーヒンと総婦長とミイラ。
キングとクイーンとポールに重なって美しく残酷な終わり。

0

Posted by ブクログ 2024年01月19日

リトル・アリョーヒンと呼ばれる小さな男の子が、バスに住む運転手にチェスを教えてもらい、人生をチェスで過ごしていくお話。
出会いと別れがあり、場所に思い出があり、出生時の出来事がある。
彼の周りで起こる出来事はどこか悲しさの多いことばかり。
彼は人生を、リトル・アリョーヒンと名付けられた人形の中で、チ...続きを読むェスを指して生きた。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月22日

とてもとても好きな書。
主人公の生まれながらの事情、家族との関係、屋上から大きくなりすぎて降りられなくなった象のインディラ、壁の間の女の子ミイラ…と静かに紡ぐ序章をへて、マスターとの出会いがある。マスターと主人公の関係、その後のチェスの世界で出会う少女や老婦人との関係、また老人マンションでの人々との...続きを読む関係は、独特でありながら、忘れ難い名シーンが散りばめられた珠玉の名作映画のよう。
チェスが全くわからなくても、途中の駒の運びの意味がわからなくても、大切な盤で詩を奏で、盤下にいながら宇宙を泳ぐスケールに身を置いたような気持ちになる。また次々とチェスをさしていく場面では”星雲”をみる。
私が1番好きな場面は、老婦人と工房で祖父母に見守られながらチェスをするところ。そして施設で再会してチェスをするところ。
老人マンションの章は、認知症病棟や老健施設などを回想しながら、ここは天国のような場所に思え、1人1人にとってチェスに変わる人生の大切なことを結集したこんな場所があればいいのにと思った。

これほど静かで美しい、独特でありながら波風がまるでないように思わせる物語の結末が、これかと、これ以上ない、参りましたという大波風。それでも美しい。

誰にでも、勧めたくなる一冊。

0

Posted by ブクログ 2023年10月08日

読み終わった後、何故か分からないが涙が出てきた。感動でも悲しいでもない不思議な気持ち。愛しい愛しいリトルアリョーヒン。この素敵な作品を生み出してくれた小川洋子さんと、手に取るきっかけになる帯を書いてくれた入社3年目の方に感謝!

0

Posted by ブクログ 2023年08月28日

リトル・アリョーヒンがミイラとの対局を長く味わうことを望んだように、ずっと作品を読んでいたい気持ちになりました

0

Posted by ブクログ 2024年04月06日

“少年は詩がどんなものかよくは知らなかったが、アリョーヒンの棋譜から立ち上る朝霧のような静けさ、風に震える花弁の可憐さ、一瞬を貫く稲光、大地を吠えさせる風のうねり、暗闇に浮かぶ月の孤独、などを詩と評するのならば、詩というものは素晴らしい宝石であるに違いないと確信した。”

「大きくなること、それは悲...続きを読む劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる──。

作者の本はこの作品が初読だったのだが、読み始めてすぐに私好みの本だと思った。
物語を紡ぐ言葉ひとつひとつに著者の愛情が伝わり、誰にも気づかれず街の片隅でそっと咲いている一輪の花のような主人公に心惹かれた。

物語のベースは主人公が色々な場所で様々な人とチェスをする話なのだが、チェスの知識がなくても、チェスを航海に例えた表現をしているなど工夫されており十分楽しく読むことができた。

また、この物語の世界にどっぷり浸かることができたのは、登場人物全員の名前が明らかになっておらず、物語の舞台も日本なのか、海外のどこかなのか不明であったことだ。
主人公のリトル・アリョーヒンはどんな見た目をしているんだろう、チェスの海ってどんな海だろう……そんな事を想像しながら読むのはとても楽しくワクワクさせてくれた。

文章も美しくて読みやすいので児童文学としてもおすすめだ。
雰囲気としてはジブリのような世界観で子どもから大人まで楽しめる物語になっている。

きっと何度も読み返したくなるであろう1冊だ。


こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・優しい物語が好きなひと
・チェスが好きなひと
・ジブリの世界観が好きなひと
・梨木香歩 【西の魔女が死んだ】が好きなひと
・感動する話が好きなひと

0

Posted by ブクログ 2023年09月25日

表紙の色合いが、まさに物語の世界にすうっとなじむ。
一文一文が美しく、静かなトーンのながら決して単調ではなくうねりながら流れてゆく。
時におだやかに時に激しく、チェスという知らない世界も、音楽のような空気感で体全体に伝わってくるよう。
インディラを、心のどこかではうらやましくも思っているという、暗く...続きを読む狭い場をを心安らぐ自分の居場所とするアリョーヒン。
いつまでも、猫を抱いて象と泳いでいてほしい。

0

Posted by ブクログ 2024年04月17日

自分を、受け入れる。
そして、相手も優しく受け入れる。
好きの、気持ちが、静かな物語だけど
溢れてて、とても穏やかで、せつなくて
少年と、ミイラをぎゅっと抱きしめたい
そんな感情になりました。

0

Posted by ブクログ 2024年02月22日

世界観に引き込まれて一気に読んでしまった。チェス好きにはとっても楽しいと思う!チェスをよく知らない人にも楽しく読めます!

0

Posted by ブクログ 2024年02月19日

ちらっと事前にスマホで調べた時、予測変換で「モデル」って出てきて事実ベースなのかと思ったけど違かった。
いい話だ。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月10日

小川さんの作品には、いつも「静謐」さを感じます。
今回もとてもしっとりした、そして味わいのある「静謐」でした。

・・・
話は、唇の上下が繋がって出生した少年の数奇な人生についてです。

出生の事実に呼応するかのように寡黙な少年はふとしたことからチェスにのめり込み、やがて裏チェスクラブで「リトル・ア...続きを読むリョーヒン」として働くことになります。

・・・
で、何が良いかというとやはり小川さんの筆致が素敵です。

チェスにのめり込む「リトル・アリョーヒン」。デパートの屋上から降りられなくなった「インディラ」に思いを致し、自室の壁の隙間に入り込んだ「ミイラ」と会話をして、落ち着いたところで眠りに落ちる。

素人の私がさらっと書くと実につかみどころのない表現になりますが、ちょっと変わった少年を優しく、静かに、幻想的に描くのです。

・・・
また、それ以外の周囲のキャラクターもいいですね。

寡黙な家具職人のおじいさん、無条件の愛で少年を包むおばあさん、廃バスで少年にチェスをじっくり教えるマスター、長じておじいさんとともに家具職人となる弟、闇チェスクラブのパトロンの老婆令嬢、現実の世界に現れた少年のヒロイン的な「ミイラ」、養老院で年中白衣で仕事をする総婦長。

全員が全員、ちょっと優しすぎる気もしますが、セリフ繰りがどれも巧みで、また愛のある格言のようなセリフが随所に潜みます。

まあチェックするわりにはそのまんまですが笑

・・・
ということで、久々の小川作品でした。相変わらず素晴らしい。

この静かで愛すべき作品、どう表現すればよいのでしょうか。雪のふる寒くて静かな日、外を眺めながら、ホッと一息お茶を飲むかのような気持ち?余計分かりませんね笑
暖かく、優しい、そしてちょっぴり悲しい作品でした。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月28日

静かで優しい物語。
リトルアヒョーリンが主人公で、はじめ読み進めた時、なんとなく外国の本?と思ってつい作者の名前を見返してしまった、

チェスは分からず、正直描写のイメージが湧かない不足な私だったけど、この、社会の中で目立たずひっそりと生きている人たち 大きくなってしまって一生を屋上で過ごしたゾウ、...続きを読む大きくなってしまって廃車のバスから出られなくなってしまったマスター、そのマスターと少年が愛したポーンの猫、消えそうな透明無垢なミイラと肩に乗る鳩、
こんなキャラクターが存在している書籍に、価値があると思った。
ラストは悲しかったし衝撃だったが、きっとこれからも少年を取り囲んだ人たちがいつまでも彼を想い、一緒に生きていくんだろう。

0

Posted by ブクログ 2024年01月23日

安定の小川洋子さん。読み終わったあとでも、印象に残ったシーンが絵画のように残る感じがすごく好き!
物語全体は切ない、重い雰囲気だが不思議と嫌な気持ちにはならずに最後まで読める。

0

Posted by ブクログ 2024年01月08日

すごく引き込まれる魅力的な作品だった。文章は淡々としてるのに頭の中で情景が浮かんできて、気づいたらこの世界観にどっぷり浸かってた(私の語彙力ではこの作品の良さをうまく表現できない泣)リトルアリョーヒンの人生、きっと幸せだったと思いたい...

0

Posted by ブクログ 2023年12月09日

1人の人生を過ごしたような清々しさをとてつもなく感じました。
読んでよかった。また、私にとっては読書が好きになるリハビリになりました。

0

Posted by ブクログ 2023年11月19日

文章が美しい
静かで穏やかで心の中にすっと沁み込んでくる
内容は想像していたものと違ったけど豊かな表現のおかげでスイスイ読めた
老いることへの恐怖と寡黙でいることの美しさを学んだ
最後は衝撃だった
リトルアリョーヒンとミイラの手紙、泣ける
ひと単語書くのに何日も費やすって愛だなあ

0

Posted by ブクログ 2023年11月15日

この作者のことを好きだなあって思った。お話には感動させよう心温めようとする作為的ないやらしさってものが無い。主人公が行く先々でいい人と会って、その人と交流するっていうそれだけの物語なんだけれども、人々の善性というか、正の側面を素直に描いていて、読んでいても負の感情を抱かずに自然と内側からポジティブに...続きを読むなれる気持ちのよい小説で、こういう話を書ける人はきっといい人だろうなあと感じさせる。

語はタイトルから想像していなかったのだけれども、チェスを題材にした物語。タイトルの”象”っていうのはビショップのことである。主人公は猫のポーンを胸に抱きながらチェス盤の下に潜り、音と盤上の駒のイメージを基にチェスを指す。その腕が認められて、カラクリチェス人形のゴーストプレイヤーになった主人公は、チェス倶楽部や老人ホームでチェスを打つようになる……。というお話。

チェスが題材と言っても、主人公がライバルと切磋琢磨して大会優勝を目指す!!とかそういった形式の話ではなくて、チェスは人間模様を切り取るための触媒である。あくまで主人公とその周りの人たちのお話なんだけれど、そこにチェスが要素として混じるだけで、お話が独特な形に膨らんでいって読んでいるこちらを引き込んでくる。
チェスのような,ある人にとっては他愛の無いものが、他の人にとってはその人の個性を引き立てる特別なものになりうるという発見をさせてくれた。とても良い発見だった.

0

Posted by ブクログ 2023年11月11日

 チェスをやったことがあればもっと面白く読めたかもしれない。それでも多彩な表現のおかげで、持ったこともないチェスの駒を手に握っているような感覚になった。
 人それぞれの自由と人それぞれの居場所があるということを感じさせてくれた。自分自身の人生をどう捉えるかはその人次第で、世間体とかではなく人は皆自分...続きを読むの価値観の中で優雅に閉じこもっていられる。決して悪い意味ではなく。言葉にするのが難しいが、とにかく良い刺激を受けたと思う。
 地名や人名などが詳しく示されないので、舞台が日本なのか外国なのかは分からず、想像できる情景は明らかに現実世界の話でありながら時折不思議な空間に連れていかれる物語だった。読んでいてすごく愉快だったと思う。
 読み終わった後にチェスをやってみたくなったが、手に残る感覚を消してしまいそうで怖い。こんな気持ちになるのは間違いなくこの物語を読んだ証拠だろうと思う。

0

Posted by ブクログ 2023年10月20日

静謐で少し残酷で温かい。チェスのことがまったく分からなくても大丈夫です。
奇妙で綺麗な世界観、やっぱり唯一無二だなと思う。

0

Posted by ブクログ 2023年08月19日

きれいな文章と描写。童話を読んでいるような不思議な感覚を持ちながら読み進めた。1本の映画を観終えたような満足感。
屋上の象インディラ、壁からでられなくなった少女であり白い鳩をいつも肩にのせたミイラ、バスで暮らすお菓子好きな太ったチェスのマスター、猫のポーン、チェスの名手老婆令嬢、チェスを打つカラクリ...続きを読む人形リトル・アリョーヒン。登場人物を並べるだけでも絵本のようにワクワクする。しかし、全体を通して、静かな詩のような空気感のある物語だった。

0

Posted by ブクログ 2024年03月14日

デパートの屋上から降りられなくなった象が可哀そうで、少年は11歳で成長を止めた。マスターの死後、チェス盤の下でからくり人形を使ってチェスを指す。彼は盤下の詩人「リトル・アリョーヒン」と呼ばれた。印象深い作品。

0

Posted by ブクログ 2024年01月26日


相変わらず小川洋子さんの文章が美しい。
ちょっとした仕草や情景も、言葉のチョイスでキラキラした美しさを現してくれる。

少年とチェスについてのお話。
彼の人生は複雑で、一生懸命もがいている。
夢中になれる世界を知れてどっぷり潜り込んで、居場所を変えてもなお駒を指し続ける彼の貪欲さ。
最初から最後ま...続きを読むで静かに厳かに悲劇も交え成長していく彼に寄り添いながら読み進められた。

チェスのプレイの仕方でもこんなに個性のある物語になるんだなって、小川洋子さんの唯一無二な文章力に感服。


0

Posted by ブクログ 2023年12月04日

しん、としている。
最初から最後まで、物語は静かで、空気が冷たく澄んでいる。
当然、事件は起こるし、悲劇もある。けれど、物語はそれをすべて包み込む。
結末が気になって仕方ない、展開にドキドキする、ということはないが、読んでいてなんとなく心地が良い。そんなお話でした。

0

Posted by ブクログ 2023年10月17日

読み終わった。
とても不思議な物語でした。
チェストともに生きたリトルアリョーヒンの
物語ですが、静かに淡々と流れます。
終わり方もとても穏やかで。
読みやすく読後感もあるのですが、
ちょっと期待した物語と違いすぎましたね。
でもよい作品です。

0

Posted by ブクログ 2024年02月02日

チェスと共に生きた青年の、とても静かで気高い物語。

「チェス盤の中にいれば、飛行機で旅をするよりもっともっと遠くまで旅ができる」と話す彼は、幼い頃に偶然出会った名人にチェスの手解きを受けながら、自身の哲学や情緒、自我や感性、記憶や未来など兎に角全てをそのチェス盤に落とし込んでいく。

勝つ事よりも...続きを読む、チェスの勝負そのものから何を感じ取るのかという事に重きを置いたストーリーからは、チェスに対する新しい価値観を教えもらったような気がする。

とても良い作品でした。

0

「小説」ランキング