小川洋子のレビュー一覧

  • 約束された移動

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    タイトルの通り「移動」をテーマにした短編集。
    小川洋子さんの著書はまさに純文学で、言葉選びが、構成の一つ一つが芸術品のように美しくて大好きです。
    本という空間に閉じ込められるような、開かれているのに閉塞感のある歪な透明感がどの作品にも存在していて、読んでいる間は時間がゆっくり流れているような気さえします。

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    2024年10月25日
  • 完璧な病室

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    「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子の小説やエッセイに夢中になった時期もがあったのですが初期の作品も読んでみようと初めて買った文庫本でしたが積読になってました。
    この人にかかると、毛穴から汗が吹き出して止まらなくなるような表現力が呪縛のようにねっとり絡んできて息苦しさを覚えて少し距離を置いてみたくなったんですよね。
    この人に睨まれると動くことさえできずに直立不動になってしまうほど緊張します。よそ見してる隙に逃げ出したくなるのですが、またこっちを向いたら制止してヘビに睨まれたカエルとゆうかダルマさんが転んだ状態ですよぉ。

    【完璧な病室】
    弟の病状を説明する主治医の均整のとれた肉体にうっと

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    2024年10月24日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    言葉の端々にお二人の優しいメッセージが伝わってくる。人生で何かを成し遂げるよりも自分の物語をつくるほうが幸せなのかもしれない。短い本だったが、安堵と幸福感を感じられるような素敵なお二人の掛け合いが心地良かった。

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    2024年10月11日
  • 約束された移動

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    小川さんらしい、童話のような雰囲気をまといつつもほの暗く、ひっそりとした短編集。静謐という言葉がこれほど似合う作家さんもいないだろうと思う。世の中の片隅で生きている人たちが心にひっそり持っている、美しい宝箱をこっそりと見せてもらっているようなお話だった。今作はあんまりグロテスクではなかったので、好みの感じだ。どの短編でも本を読む人がいて、それが良かったと思う。
    ダイアナ妃の服をまねて自作し、自ら着る老婆バーバラが出てくる「ダイアナとバーバラ」、鳥好きの声の小さな作家「巨人」と通訳の交流を描く「巨人の接待」が好き。

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    2024年10月02日
  • 琥珀のまたたき

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    この母親を毒と見倣すかどうか、これはなかなか難しい。我が子を失う事の辛さは、それを経験した人でなければ分からないし。でもやはり世間の目は冷ややかで。

    そんな中でも子供の発想力というのはやっぱり凄い。あんな閉塞的な場所でもあらゆる遊びを考え、実行する。オリンピックごっこ、楽しそう。

    とは言え、子供らしく、無邪気に、自由に遊ぶ。そんな環境に身を置けなかった彼等がどうしても不憫でならない。

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    2024年09月24日
  • 凍りついた香り

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    涼子の恋人、香水の調香師弘之が自殺した。なぜ?彼の全く知らなかった一面が次々と明らかになっていく。涼子は弘之の面影を求めて迷宮の街プラハへ。
    弘之の過去と涼子の今が重なり、弘之が残した『匂いのイメージの言葉』と出会う。
    弘之の死の原因は解らない、ただ生きにくい人だったことはわかる。
    涼子は弘之の過去を訪ねることで、救われたのだろうか。

    臭覚で感じる香りを言葉で表現する。それを読者が香りとして感じるには、言葉が示す香りをイメージできなければならない。言葉から臭覚を呼び起こそうとし、知ってる何かに当てはめようとする。
    言葉で五感を刺激し、言葉で静寂を感じる小川洋子さんの世界、好きだなぁ。

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    2024年09月18日
  • 心と響き合う読書案内

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    ラジオ番組だったものを文庫化されたもの
    もう番組が終わってしまっているのが残念… 紹介されている中では特に古典を読んでみたくなった。

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    2024年08月30日
  • 掌に眠る舞台

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    ちょっと独特な世界観のある小川さんの本.

    イメージとしては,ちょっと昔の,もしくはちょっと田舎の場所のお話.
    そのお話を,ある人の視点で眺めているような感触.

    人とは誰もがほんの少し歪んでいると思う.
    どんなに真っ当に見える普通に見える人でも,ある側面からある視点からある想いから見ると他人とは違う.

    この本の,ある人の視点,を考えた時に,どことなく,それとなく,ちゃんと気がつくくらいの薄さで,歪みを捻じれを狂気を感じる.
    それは誰もがもつ可怪しさ誰かが持ってもそんなに不思議ではないオカシサが混じっている.

    それがとてもクセになる.

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    2024年08月27日
  • からだの美

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    身体の細部についての随筆16篇。
    いつもながら観察力と表現力に驚く。
    スポーツ選手や動物などの説明だけではなく自身のエピソードも折り込まれており気軽に楽しく読める。
    バレリーナの足の指、赤ちゃんの手の指、なぜそうなったのか。
    考え出すと眠れない。

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    2024年08月26日
  • 海

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    風薫るウィーンの旅六日間
    ひよこトラック
    ガイド

    が特に好きだった。

    共通点として、年齢差のある登場人物たちが偶然の出会いで心を通わす。
    一生懸命お互いに歩み寄ろうとする感じがあたたかい。
    また、閉じられた空間だからこその親密感と、どこかに、永遠には続かないんだろうという切なさもある感じが、とても小川洋子さんぽい。

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    2024年08月24日
  • 完璧な病室

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    小川洋子さんは死にまつわる静かな話が多い。その文章は心を落ち着かせてくれるけれど同時に暗さも感じる。デビュー作からそれらは一貫していることが分かった

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    2024年08月17日
  • 偶然の祝福

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    ネタバレ

    相変わらず独特の世界観で面白い。
    特に盗作、エーデルワイスが好みだった。

    前者は、背泳ぎ選手の弟が左腕から徐々に死に近づいていく〜という話の盗作。
    その話を語った女性はその弟の見舞いのために病院に向かっているのだといいながら、到着すると精神科に入っていく。
    後者は、たくさんのポケットに主人公の著書を入れてストーカーしてくる謎の男の話であるが、このキャラクターが好き。

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    2024年08月12日
  • 完璧な病室

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    p192「しかし、わたしを本当に不快にさせたのは、ごめんなさいという文字だ。わたしは、 空缶を転がすようないい加減さで、ごめんなさいとか頑張ってとか言われるのが嫌いなのだ。サトウはまだ、そのことにも気付いていないのだろうか」

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    2024年08月01日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ネタバレ

    なんというか、幻想的とはこういうことを言うのか。。。
    と、閉じた瞬間にため息が出る。
    やっぱり、この世界観が好きだ。

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    2024年07月29日
  • 刺繍する少女

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    意外とスルメ本だった
    寝る前に気が向いたら1話2話読もうかなという風にちょろちょろ読んでたけどなかなかちょうど良かった(短編が10話入ってる作品です)

    短編を結構書いてる作家さんだと「またお決まりのこのパターンね」みたいな手癖がどうしても出てくる。例えば本作に入ってる「ケーキのかけら」は「いつもかれらはどこかに」に入ってる「帯同馬」と似たテイストだ。このふたつの作品は特別好きな手癖なのでもっと味がしなくなるまでこすってほしいと内心思ってたりする(一方で他作品はちょっとパンチが弱かった気がして内容あんまり覚えてないのは内緒だよ)。
    「ケーキのかけら」と「帯同馬」のどちらの話も、ものすごく見栄を

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    2024年07月29日
  • 琥珀のまたたき

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    ハラハラドキドキ胸が掻き回される。かと思えばふわふわとなぜか包まれている気分になる。
     母の言いつけを守り、3人寄り添い必死に生きる姉弟。ロバのボイラー、よろずやジョーそして嘘を抱えるようになる。
    琥珀の図鑑の中で生きる末の妹が家族をささえ、
    夢の中で生きる日々
    不思議なお伽話のような話の中に、現実的な琥珀の今が語られる。
    琥珀は姉は、弟はいつが幸せだったのだろうか?

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    2024年07月25日
  • 余白の愛

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    初めて小川洋子の作品を読んだが、なんて文章が綺麗なのだろう。
    視覚から見える情報をこうも美しく文章にできるのは才能だなと思った。
    この作品をきっかけに小川作品どんどん読んでいこうと思う。

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    2024年07月20日
  • からだの美

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    小川洋子さんの身体の描写というと
    妊娠カレンダーのドロっとした内臓に触れる感じを思ったが、そういうのは出てこなくて
    からだ というそれを覆うレイヤーみたいなのを言葉にしていったかんじ
    人から動物、人形、
    からだを持つものの多様なこと
    シロナガスクジラの軽い骨から人形の空洞への繋がりでこの本に流れる身体を取り巻くレイヤーみたいのに気づいた

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    2024年07月17日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    静謐と陰鬱の境目にある物語が続いている。その違いは読み手側の主観と願いによるもので、現実問題起こっている状況はどちらとも取れるもので、小川さんは演出してどちらかの印象に誘導させようとしている意図はないのが面白い。
    子供の頃、新潮文庫のグリム童話集を初めて読んだような気持ち。

    磯良一さんによる挿画挿画が、不気味な物語の切り替えの演出を買っていて、一冊の短編作品集としても良い仕上がりだと思った。
    (曲芸と野球/教授宅の留守番/イービーのかなわぬ望み/お探しの物件/涙売り/パラソルチョコレート/ラ・ヴェール嬢/銀山の狩猟小屋/再試合)

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    2024年07月15日
  • 小箱

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    この静かで、ガラス箱の中で幼い死者の魂が時を重ねて行くだけの世界の中で、こっそりと私だけが生命を膨らませている。
    私の密やかな想いが、バリトンさんが暗い底のない透明な湖に沈んでゆくのを阻み、もう一度生命を吹き込む。

    この町にあって、私とバリトンさんの二人だけが、自らの子供を亡くしていない登場人物だ。
    二人だけが、過去を悼んで生きる人々に寄り添いながらも、現在と、もしかしたら未来の自分自身を生きている。生者の世界にある。

    私が幼稚園の備品に自らのサイズを合わせるように奇妙に縮み歪んでいっても、私の中に息づく生命力はその奇形には収まりきらない。

    最も死者が遠い夏至の日を選んでプール開きをする

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    2024年07月14日