あらすじ
図書室で夢中になった『秘密の花園』『小公子』、でも本が無い家だったので愛読書はなんと『家庭の医学』だった。13歳で出会った『アンネの日記』に触発されて作家を志す。オースター、ブローティガン、内田百けん、村上春樹……本への愛情がひしひしと伝わるエッセイ集。思わぬ出会いをたくさんもたらしてくれた『博士の愛した数式』誕生秘話や、愛犬の尻尾にふと白毛を見つけた感慨なども。
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「博士の本棚」エッセー
小川洋子さんはエッセーもおもしろい。
短編集なので、ちょっと空いた時間にサラッと読める。
「博士の愛した数式」を執筆するエピソード(ちょっとだけ抜粋)
「完全数を背負う投手」
『28は完全数。この一行を眺めてひらめいた。江夏の背番号じゃないか、と。ここから江夏豊を愛する数学者を主人公にした小説がスタートした。(中略)28が持つ永遠の完全さに比べ、人間とは何とはかなく、不完全な存在であろうか』といった具合に...。
「読書は楽しい」
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『博士とは誰か』
小説を書き始めてから、あまり小説を読まなくなった。エッセイや写真集に物語を探している。
私は今毎日コツコツと小説を読んでいる。その中の物語にどっぷりと使っている。
世界に魅せられているのは、同じ。内側の世界と閉じる世界。
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まだ、できないな~。
今まで読んだ本を振り返るのは。
と思いました。
特に学生時代読んだ本は宝物のように大切であると同時に、ひょっとしたらそう思い込んでいるだけで、再読してガッカリしたら宝物が逃げるような予感がします。
アンネの日記とサリンジャーの行を読んで、閉じ込めた宝物を開けたい気もしましたが、もう少し先のような気がします(〃⌒ー⌒〃)ゞ
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これほど素敵な書評本に出会えたことに感謝。
作家小川洋子を育んだ名作の数々(村上春樹・アンネ・フランク・ポールオースター・ジョンアーヴィングなどなど)ひとつひとつにかけがえのない愛情を注ぐ姿勢には胸がつまります。
書評でこれほど感動するとは思わなかった・・。
エッセイを超えた日常のありふれた奇跡の日々にまた感謝。
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敬愛する作家にして、読書好きにとっての憧れでもある小川洋子の、本にまつわるエッセイ集や、あとがき寄稿文を収録した一冊。
物語、それを生み出す作家、彼らにまつわる物事。本を形作るあらゆる要素に、深い敬意と、誠実でひたむきなまなざしが注がれている。
『偏愛短編箱』、『陶酔短編箱』等のアンソロジーもそうだけれど、小川さんの書評は単なる作品紹介や解説の枠にとどまらない。物語の世界に思いを寄せ、丹念な言葉でそれを紡ぐ、どこか祈りにも似た静かな熱意が感じられる。
その祈りに、もっと深く身を浸してみたい。心震わせてみたい。
私もそう願って、本書で紹介されている作品をひとつずつ読み進めているところ。
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子どもの頃に読んだ本についての思い出、影響を受けた本、飼っている犬の話、食卓日記などのエッセイ。いろんなことがちりばめられていて飽きなかった。何冊か読んでみようと思える本にも出会えた。
一番多く書かれていたことは影響を受けた本への思い。同じ本を読んでいても細かいところ、深いところに気づくのが作家になる人なのかもと思った。
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小川洋子優しすぎ素直すぎとても好き
どんなつまらない日常のことや機械のことでも小川洋子の言葉なら繊細な物語に見える
村上春樹が好きなことも何の衒いもなく言っていて、すごい、気取って見えない
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小川洋子さんのエッセイは初めて読んだのですが、子供の頃のことを読んでいると、歳が近いこともあって、懐かしい気分になりました。小川洋子さんの本はもちろん、この本の中に出てきた本も読みたくなりました。
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あとがきすら乱暴な文体の作品が増えてきた日本の文学界にあって、小川洋子は気持ちがいい。
作家の読む本というのは、それだけで気になるもの。
ある作家が書いた本をさらに魅力的に見せる魔法のようなものがある。もちろん逆もあるが。読む方は文が短いと読むのが楽という単純な調子になるが、書くほうが短くまとめるのは特に気に入った本については難しいものだ。
そんな難しさを見せず、しかし生きた日本語でありながらその世界に入れる文を書く小川洋子。
若い頃、同時代日本人の作品をほとんど読まなかったが、今は特に女性ならではの感情の豊かさに惹かれる。
蠅取り紙は、私も薬品や電気を使いたくないので今でも使っているのだが、ひっかかったハエの気持ちはいつも複雑になる。と言っても現代では蝿すらあまりいないが、小さい頃同じような気持ちになったものだ。
蝿取り紙のカモ井加工紙の皆さんが「蝿供養」をしているのは知らなかった。有難いことである。
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タイトル通り、小川さんが心打たれた本、思い出に残る本について書いたエッセイ集。
たまに犬や家族、仕事の話など。
それぞれの本や出来事に対する考察も興味深いけれど、一番心に響くのは書くこと、表現することについての苦しみと喜びについてである。
そして物書きとして小川さんが励まされる思想というものはどれも深い。
元の文章も良いのだろうけれど、それを咀嚼し自分の養分としているところが、小川洋子の世界観を保ったまま上質な文章を書き続けられる秘訣なのかと感じた。
書くことに限らず、あらゆる活動は最終的に死に至る人間の運命と照らし合わせるとあまりに空虚で無力感を覚えさせるものだ。
だけどいつか自分の痕跡が跡形なく消え去っても今表現を辞める理由にはならないという強い意志が心地よい。
それにしても小川さんのエッセイに出てくる阪神はいつも負けている。
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物語を書くということのエッセイと、著者による書評本。
この書評にとても弾かれた。
というのも、遠い異国の地にいる時にこの書評本を読んでしまったものだから、読みたい本がたくさん発見できたのに、簡単には手に入らない状況。
現在手元にはその時メモした「帰国したら読みたいリスト」が。
物語を書く・読むことで、人生がこんなにも潤う。
ということを感じさせてくれる一冊。
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読書エッセイを読むのがたまらなく好き。
本の話ができる友達が周りにほとんどいないから、(友達自体ほとんどいないが)自分が好きな作品や既読の作品について書いてあると心のなかで相槌打ったり言葉を返したりしながら読んでいる。
それで、その中の気になった作品を本屋に買いに走ったり、また読み返して、もう一度そのエッセイを読む。報告するみたいな感じで。
というわけで今回は「アンネの日記」を読み返し、「富士日記」を買いに行きます。
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小川洋子さんのエッセイ集。
今まで自分が読んできた本の話かなと思って読み始めたら、
それだけでなく、愛犬の話や作家という職業への思いや
日々の生活の中で起きる事件や出来事、そこで考えた事などが、
淡々と、しかしとても大切に、愛情をこめて、書き連ねてある。
このエッセイを読んで感じ入ったのは、
小川洋子さんの持つ謙虚さ。
芥川賞をはじめとして多くの賞をもらっている
才能溢れる作家であるにも関わらず、
白紙の原稿用紙を前にして、自分の胸に湧き起こる
「もしこのままずっと書けなかったらどうしよう。」
といった焦りや弱気を読者の前に広げて見せてしまう潔さ、
ある作家の著作を読み、その作品の魅力を語っている内に、
「私はこんなすごいもの書けない。」と素直に告白してしまう
正直さには驚かされる。
この謙虚さこそが、彼女を思慮深い作家にし、
生命を見つめるその目は優しく、
真理を切り取るメスならぬペンを持つ手は慎重にさせ、
素晴らしい作品を生み出す源になっているのかもしれない。
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あまり読書傾向が似ていないんだけれど、クラフト・エヴィング商會関連が載っているだけでうれしくなりますね。読んだ感想も割と似ているし。
他に紹介されている本もけっこう読んでみたくなる感じでした。
偶然だけど、この前読んだ女性作家のエッセイ「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」と同じように、というか、お葬式関係のエッセイがあって、その空気感が似ていることにびっくりしました。
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エッセイを読むのが面白い理由は、小説が生まれるきっかけとなったと思われる出来事がちりばめられているところだ。クラフト・エヴィング商會、フランス人翻訳家、青年Jなどなど、これらはあの本のあのお話に関係するのでは?と一人でいろいろと推測するのは、ファンにとってひそかな楽しみだろう。
どのエッセイを読んでも、小川さんの優しさが溢れているように思う。
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自分が読んだ本を、ひとはどう読んだのだろう、と知るのは楽しい。自分が読んだことのない本を、こんな風に読めるものがあるよ、と教えてもらうのも楽しい。
物語を静かに愛している文章が、本を読む幸せを耳打ちしてくれる。
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小さいころからの読書体験を中心に据えたエッセイ。書評がメインとなるが、書評と言いながらも小川洋子氏の思想と内奥がしっかり横糸となって織り込まれている。単なる書評だけに終わっていない。氏の横顔を追いながら行を進めた。
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書評とエッセイ。
同じ作品を読んでいることにうれしくなったり、未だ知らなかった作品を知り得たり。
そっと本棚の片隅に置いて、ふと手に取りたくなる一冊。
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アンネの日記、アウシュヴィッツ、博士の数学 つながり
1 図書室の本棚 子供の本と外国文学
・図書室とコッペパン
・秘密の花園、小公子、小公女
・抱き寄せたいほどに愛らしい兄弟の物語
・うさぎとブリオッシュ
・映画『クロエ』と『うたかたの日々』その幸福な関係
・博物館に収蔵された物語
・死に彩られたファンタジー
・金曜日の夜、読みたい本
・空想倶楽部結成
・小さな果てのない世界を作る才能
・泉に沈める宝石箱
・クリスマスツリーはどこから来るか
・ジム・ナッシュの墜落
・私の夢は唯一、ものを書くことだった
・斜視の瞳に映る記憶
・偶然の意味を読み取る作家
・時間と空間を宙に浮かんだ塊に彫刻していくような小説の数々
・イーサン・ケイニンよ宿命
・アンネ・フランク展に寄せて
・斎藤真一の『星になった?女』
・科学と物語の親しさ
・起源、洞窟、影、死
・翻訳者は妖精だ
・烏城と後楽園と四つ角ホテル
・フィクションの役割
・私の愛するノート
・青年J
・行列からはみ出す
2 博士の本棚 数式と数学の魅力
・三角形の内角の和は
・完全数を背負う投手
・素数の音楽に耳を澄ませる人々
・死期迫るノーベル賞学者が語る自然の偉大さ
・やんちゃな末っ子
3 ちょっと散歩へ 犬と野球と古い家
・気が付けば老犬
・わずか十分の辛抱
・散歩への愛 永遠の謎
・原稿0枚
・風の歌を聴く公園
・『犬が星見た』のあとがき
・申年の梅干し
・深遠なる宇宙の摂理を生活の記録の中に抽出
・異界を旅する喜びを味わう
・住んでみたい家
・細分化
・蝉取り紙、私が最後を看取った蝉たち
・私の週間食卓日記
・知らないでいる
・野球は人生を身体で表現
・犬の気持ち、代弁する息子
4 書斎の本棚 物語と小説
・葬儀の日の台所
・アウシュヴィッツからウィーンへ、墨色の旅
・日記帳の贈り主
・傷つきすぎる私
・ありふれた生活に感謝
・子供時代にたっぷり誉めて
・なぜか出せない親への手紙
・循環器内科待合室
・あきらめず、愚直に、同じことを
・人間として当然のこと
・たくましさに潜む切なさ
・ほおずき市
・言葉を奪われて
・重層的魅力の母と息子の濃密な物語
・私の一冊
・「歴史的背景」を越えていきいきと輝く文学性
・頼るべきものなき世界夢と現実の間の「狂気」
・死の気配に世界の深みを知る
・本屋対象の御褒美で買った本
・男を置き去りにして
・私が好きな「太宰」の一冊
・最上質の愛に包まれた看取りの文学
・作家を廃業した私の姿
・閉ざされた徒労感
・パリの五日間
・先生と出会えた幸運
・『中国行きのスロウ・ボート』を開きたくなる時
・あなた以外に
・閉じ込められるということ
・ぶれを味わう
・濃密な闇を循環、美しい孤独
・自分のすべてを許させる喜び
・無口な作家
・死の床に就いた時、枕元に置く七冊
・響きに耳を澄ませる
あとがき
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題名が少しあざとい書評&エッセイ。作者は「なぜ(小説を)書くのか」「何を書くのか」について、何度も立ち止まって考えてきたのだろう。その読者に対して誠実な姿勢に好感が持てました。
Posted by ブクログ
小川さんの読んだ本と、彼女の作品との関連が感じられる興味深いエッセイだった。丁寧なことばで、謙虚な姿勢で綴られている。
気になる本を読んでみたい。
Posted by ブクログ
著者がいままでに出会った本の中で、取り立てて印象にのこっているものを紹介している。エッセイが途中に入ることで著者の人となりが更に分かる仕組みだ。全体的に流れているムードは、華やかさとか強烈な個性は必要はない、ただただ日常を積み重ねていくことが大事なのだと感じさせる。なんだか、そんなやんわりした穏やかな気持ちになった。