小川洋子のレビュー一覧

  • 沈黙博物館

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    亡くなった人の形見を展示する博物館をつくることを依頼された、博物館技師の物語。形見を見れば、持ち主の人生が語れる老婆と、その養女、そして庭師と一緒に進める博物館づくり。なぜか形見は盗み集めるという作業で、後半事件性も帯びてしまうが、全体として村上春樹の作品で感じるような、不思議な別世界観がある。
    作中に出てくる「アンネの日記」や、沈黙の伝道師、少女の頬にある星形の傷など、物語のベースにはホロコーストがあるのではと思わせる要素も多いが、そう限定せずに読んでも、現生とは次元の違う場所を描いているのではという考えは拭えず、物語の最後までその謎を追う面白さもあった。

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    2025年01月02日
  • 小箱

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    小川洋子さんらしい筆致で終始密やかに語られ、苦しくなり、途中もう読むのをやめようかと思うほどだった。

    小川さんの本はいつも死の匂いが漂うけれど、この本は死者を悼むためのものなのでやっぱり寂しいし辛いし苦しい。

    そして、小さな魂の悼みかた、よくぞこんな術を思いつかれるものだと驚く。

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    2024年12月29日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    気付きが色々と。もっと長くお二人の会話を読んでいたかったな〜。河合さんが亡くなっちゃったので仕方ないけれど。

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    2024年12月20日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    小川洋子はひたすら美しく優しい物語を書くという勝手なイメージがあったので、衝撃だった。美しく優しい、のだけれど、恐ろしく奇妙でもあった。図鑑の最後は非現実では?と思った。トランジットとキリンの解剖が好き。

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    2024年12月19日
  • 不時着する流星たち

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    ネタバレ

    「カタツムリの結婚式」がいくら小川洋子といえども、どんなとこに目を付けるんだと、空港に行くたび授乳室と礼拝室が目に入るようになりました。今まで特に気にした事もなかったのに、確かにあの2つ並んだ通路は人通りが少なくひっそりとしていてまさに小川洋子の世界だ

    おばあちゃん子だった為お年寄りが出てくる話に弱い私は「測量」もとても良かった。だんだんと狭まっていく過程がせつない

    「肉詰めピーマンとマットレス」は好きな人が多そう。お母さんの肉詰めピーマン食べたくなった。

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    2024年12月15日
  • やさしい訴え

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    ネタバレ

    「僕は君を、本当にかくまうことができただろうか」

    かくまう、という言葉に、一時性を感じるのは私だけだろうか。
    求める永遠の形が違う男女は、あまりにも切ない。
    遥か昔からそこにあるであろう池が抱く悠久と、木々を揺さぶる激しい嵐の刹那が、林の中の営みで共存していた。

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    2024年12月15日
  • 最果てアーケード

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    登場人物たちは誰も泣き喚いたり大げさな感情表現をしないのにこんなにも喪失感を感じさせる小川洋子さんの芸術。アーケードには懐かしいような雰囲気が漂いながら、現実から一歩外れて置き去りにされてしまった世界のようでもある。最終話で女の子の過去が描かれるところが良い。
    読んでいるとひっそりと静かで心地良い自分だけの時間が流れます。

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    2025年03月27日
  • からだの美

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    小川洋子さんの世界観がとても好き。
    優しさもあり、すごく遠くから客観的に見てるものや事は羨ましく思えてしまう。
    私という人間も、どんなふうに見えるのかな…そんな贅沢な考え事をいつもしてしまいます。

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    2024年12月11日
  • ボタンちゃん

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    知り合いにおすすめされて手に取った本。色んなものに囲まれて、アンナちゃんは大きくなっていくんだなぁ。お母さんが優しくて丁寧な人でよかった!子どもたち、この本を読んだ後はぬいぐるみにちょっと優しくなってて微笑ましかった笑

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    2024年12月02日
  • アンネ・フランクの記憶

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    私は大分前からアウシュビッツにはとても興味がある。アンネの日記を知ったのは小学生の頃だったけど、ちゃんとは読んでなかった。
    偶々手に取ったこの一冊。もう、余計な事は今は言えない。まずはアンネの日記をちゃんと読む。初版と完全版と、どちらも。

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    2024年11月27日
  • 掌に眠る舞台

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    不思議だなぁ。日常のひとときを切り取ったのに、なんだか印象深くて、一生心に残るような感覚だった。
    各主人公のように思い出や経験が秘密裏に根を張り、一体化していく様を見て面白いなぁと思うと同時に安心する。
    自分以外の人もこんな経験を持っているのだろうかと考えてしまう。
    気に入ったエピソードは、「指紋のついた羽」「花柄さん」「装飾用の役者」「いけにえを運ぶ犬」。
    小川さんの文章がスッと入ってきて、さらに短編なので読みやすい。

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    2024年11月19日
  • 余白の愛

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    小川洋子さんの描くミステリアスな男性は本当に魅力的。
    せつないけれど失っていくようで取り戻していく物語。
    絵画で言うと印象派って感じがする。

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    2024年11月18日
  • ブラフマンの埋葬

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    穏やかな文章で、自然に囲まれた美しくも切ない情景をずっと頭に思い描きながら読みました。
    静かで境遇がわからない部分もあるけれど、それぞれの人生というものがあるんだなと感じた。
    ブラフマンの愛くるしさにほっこりとした。

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    2024年11月13日
  • 世にも美しい数学入門

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    私は数学が大の苦手科目でしたが、高校生の時にある数学教師との出会いをきっかけに数学への捉え方が変わりました。その恩師の口癖は「どうしてそうなるのかも理解せず、公式覚えて問題解いて、それって虚しくないか?」「わからない問いにぶつかったらとにかく実験してみればいい」でした。数学が得意科目になることは遂にありませんでしたが、少なくともこの言葉たちはその後の私の人生の指針になっています。

    この対談の中でも「数学は実験科学のようなもの」と、どんな天才による大発見も地道な実験を重ねて生まれていることが示唆されていて、「腕組みしててもなにもわからない。まず実験してみる。そして観察する」というスタンスはこれ

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    2024年11月11日
  • 凍りついた香り

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    自分が生きていた破片を
    ひとつずつ拾ってくれる人がいる

    遺された私たちはふとした香りで
    悲しさを思い出すけれど
    それもまた日常になる

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    2024年11月11日
  • 約束された移動

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    タイトルの通り「移動」をテーマにした短編集。
    小川洋子さんの著書はまさに純文学で、言葉選びが、構成の一つ一つが芸術品のように美しくて大好きです。
    本という空間に閉じ込められるような、開かれているのに閉塞感のある歪な透明感がどの作品にも存在していて、読んでいる間は時間がゆっくり流れているような気さえします。

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    2024年10月25日
  • 完璧な病室

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    「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子の小説やエッセイに夢中になった時期もがあったのですが初期の作品も読んでみようと初めて買った文庫本でしたが積読になってました。
    この人にかかると、毛穴から汗が吹き出して止まらなくなるような表現力が呪縛のようにねっとり絡んできて息苦しさを覚えて少し距離を置いてみたくなったんですよね。
    この人に睨まれると動くことさえできずに直立不動になってしまうほど緊張します。よそ見してる隙に逃げ出したくなるのですが、またこっちを向いたら制止してヘビに睨まれたカエルとゆうかダルマさんが転んだ状態ですよぉ。

    【完璧な病室】
    弟の病状を説明する主治医の均整のとれた肉体にうっと

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    2024年10月24日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    言葉の端々にお二人の優しいメッセージが伝わってくる。人生で何かを成し遂げるよりも自分の物語をつくるほうが幸せなのかもしれない。短い本だったが、安堵と幸福感を感じられるような素敵なお二人の掛け合いが心地良かった。

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    2024年10月11日
  • 約束された移動

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    小川さんらしい、童話のような雰囲気をまといつつもほの暗く、ひっそりとした短編集。静謐という言葉がこれほど似合う作家さんもいないだろうと思う。世の中の片隅で生きている人たちが心にひっそり持っている、美しい宝箱をこっそりと見せてもらっているようなお話だった。今作はあんまりグロテスクではなかったので、好みの感じだ。どの短編でも本を読む人がいて、それが良かったと思う。
    ダイアナ妃の服をまねて自作し、自ら着る老婆バーバラが出てくる「ダイアナとバーバラ」、鳥好きの声の小さな作家「巨人」と通訳の交流を描く「巨人の接待」が好き。

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    2024年10月02日
  • 琥珀のまたたき

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    この母親を毒と見倣すかどうか、これはなかなか難しい。我が子を失う事の辛さは、それを経験した人でなければ分からないし。でもやはり世間の目は冷ややかで。

    そんな中でも子供の発想力というのはやっぱり凄い。あんな閉塞的な場所でもあらゆる遊びを考え、実行する。オリンピックごっこ、楽しそう。

    とは言え、子供らしく、無邪気に、自由に遊ぶ。そんな環境に身を置けなかった彼等がどうしても不憫でならない。

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    2024年09月24日