小川洋子のレビュー一覧

  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    何とも表し難い読後感であった。収録作はどれも、日常ありそうな風景の中に一抹のファンタジー要素を含んでおり、不穏な気配を漂わせている。
    普段小川洋子さんの作品にはしっとりとして柔らかな静けさを感じるのだが、本書ではそれがあまり感じられず、ストーリーの運びは紛れもなく小川洋子作品であると思えるのだがどこかにずっと違和感があり馴染めずにいた。
    最後の「再試合」を読み終わった今は、私も同様に日常にありそうでなさそうなことが起こり引き伸ばされた世界で小川洋子を読んでいるのではないかという気持ちになっている。

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    2024年02月03日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    小川洋子さんの綺麗な文章で世界的有名なアンネの日記について文学的な視点から説明していて非常にためになる解説本であった。

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    2024年02月02日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    小川洋子の文章は、基本的にクールに硬質に淡々と続く(解説 藤森照信)

    その小川洋子の文章が素敵。

    結末は「博士の愛した数式」とか「ことり」とか読んでいるとそうなるなーと思うけれど、どの作品も悲しみよりも優しさが残る感じが好き。

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    2024年01月31日
  • 余白の愛

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    分からないことをそのままにして神聖に保つよう努めてるみたいな、そういう雰囲気のお話 リトルアーリョヒンくらい好き

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    2024年01月21日
  • 最果てアーケード

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    アーケード街大家の父親を亡くしたわたしが、お店を訪れるお客様と織り成す小さな物語。
    どこかもの悲しい雰囲気のなかに灯る小さな光、お店それぞれの味わいがありました。

    小川洋子さんの作品に漂う雰囲気は本当に独特。
    穏やかで静謐な世界観。

    レース屋、義眼屋、ドアノブ店、勲章店など、
    「一体こんなもの、誰が買うの?」
    という品を扱う店ばかりが集まってるアーケード。
    買いに来る人は少ないけど必要とする人がいて、そんな人のためにお店がある。

    お気に入りは、
    *衣装係さん
    *百貨辞典少女
    *紙店シスター

    小川さんの作品は、個人的にやっぱり静かな環境でゆったり落ち着いて読みたい。
    小川さんの文章表現が

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    2024年01月06日
  • 琥珀のまたたき

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    著者ならではの閉ざされた空間の話。
    不気味さと美しさが同居する不思議な世界。
    壁の中で閉ざされたまま生きるか、未知の世界へ飛び出すのか。
    兄弟とママの幸せの形って何だろうと考えながら読み進める。
    散髪の場面、兄弟3人の容姿の描写に少し驚く。

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    2024年01月01日
  • 海

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    お気に入りの章は
    『鳴鱗琴』 『バタフライ和文タイプ事務所』 『缶入りドロップ』 『ひよこトラック』の4章。

    どのタイトルも素敵。

    普段ボーとしてるときについつい考えたり、ひらめいたりする。でも、自分の頭から外部に出すにはためらってしまうような世界で溢れていて読んでいて心地よい。外で読むにはそわそわする。そんな短編集でした。

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    2023年12月24日
  • 最果てアーケード

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    『寡黙な死骸 みだらな弔い』以来に読む小川さんの短編集。
    レース、使用済みのはがき、勲章、義眼等一見役に立たなそうな品物を扱う店が連なるアーケードと、そこに住む住人達と買い物客のエピソードを一つずつ丁寧に拾い上げた連作は寂しく、ときに静かな狂気を孕んで紡がれている。
    どのお話も死や別れを絡むせいか、全体的な雰囲気が物悲しい。しかし、この連作の語り部である「私」はアーケードの大家の娘としてそこまで悲観的ではない。アーケードの配達係としてアルバイトをする彼女と、彼女の助手である犬のベベがかわいらしいエッセンスを仄暗い小説に加えている。
    個人的なお気に入りは最初の「衣装係さん」と「遺髪レース」だった

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    2023年12月21日
  • まぶた

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    目次
    ・飛行機で眠るのは難しい
    ・中国野菜の育て方
    ・まぶた
    ・お料理教室
    ・匂いの収集
    ・バックストローク
    ・詩人の卵巣
    ・リンデンバウム通りの双子

    小川洋子の小説の体温は低い。
    それはひんやりと湿ったものだったり、かさかさに乾いたものだったりするが、決して温かくはない。
    たとえひとの命を救ったとしても。

    そこに「ない」ものを書くのも上手い。
    「ありえない」と言うほど強い「無」ではなく、気づくとそこには「ない」」ものの持つ気配。

    この絶妙な塩梅が、心地よかったり不気味だったりと、作品に彩りを与える。

    ストーリーを味わう作品集ではないと思うので、具体的なことを書いても意味わからんことに

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    2023年12月20日
  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    これは残るなー何度も読みたい。

    レース編み作家がなんとなく自分自身に重なる気がして、レース編み作家目線の話が読みたいと勝手に思ってみたり。

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    2023年12月07日
  • 掌に眠る舞台

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    ネタバレ

    舞台にまつわる短編集。
    とても綺麗でおとぎ話のような表現が多く、素敵な場面が想像しやすかった。
    いくつかのお話の感想を以下に。

    『指紋のついた羽』
    縫い子さんは少女の心がわかっているのか、と思うくらい手紙の返事が適当。
    機械油が溜まった道すら綺麗に感じてしまう表現が素敵。
    少女の工具箱の上で作り出す舞台を理解できている縫い子さんも、想像力をできる範囲で表現する少女も愛しい。

    『ユニコーンを握らせる』
    ローラ伯母さん、、かつての恋人(?)をずっと待ち続けているのか…
    角が折れた描写は別れてしまったことを指すのか、女優として輝けなかったことを指すのか、はたまたどちらもか…
    部屋の空洞がとてもい

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    2023年12月06日
  • 海

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    海 小川洋子

    読み切り易い。
    小川洋子作品デビューにはお勧めしやすい。
    官能描写における上品な妖艶さは美術作品に近しい印象を受ける。

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    2023年12月03日
  • 約束された移動

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    連作ではないが共通した静謐で風変わりな雰囲気を纏った短編集。
    お気に入りは1・3・2・6編
    目立たないけど特別な人に私もなりたい。

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    2023年11月03日
  • 琥珀のまたたき

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    「星の子」を読んだときにこの本の話が出てきて、昔買って読んでなかったなと思って読み返しました。過去の地層を掘り返すための琥珀の瞬き、小川洋子は唯一無二だなあとやはり思った。書影がまた、みっつの石なんですよね…

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    2023年10月26日
  • アンネ・フランクの記憶

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     小川洋子の作家になる原点が、『アンネの日記』というのが、よくうかがえる。小川洋子は中学一年の時、『アンネの日記』を読み、日記を書く喜びを知った。その積み重ねが小川洋子という作家を作った。アンネに対する信愛の情が、この本にはある。小川洋子のつむぎだす文章が温度があると感じていたが、そのことを納得する。そして、1994年にアンネ・フランクのほんの僅かな人生を送ったところを訪ねる。そしてアンネにまつわる人にインタビューし、アウシュビッツ収容所を見る。人間の殺伐として残酷な歴史を自分の目と身体から感じる紀行文。アンネ・フランクの存在を言葉で表現する。小川洋子はいう「アンネを語ろうとすれば、当然ナチス

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    2023年10月25日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    知ってるけど読んだことのない、アンネの日記。

    読んだあと、今世界で起こっている戦争を思うと、複雑な気持ちになった。

    自分は同じ場合に、こう強くあれるか、とも思う。

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    2023年10月18日
  • NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記 言葉はどのようにして人を救うのか

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    ネタバレ

    <感想>
    世界で最も有名な日記といえば「アンネの日記」私の『アンネの日記』との出会いは小学生の夏休み。「戦争」について知るの宿題から。
    p.109「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!1944.4.5)」
    2023年の今もなお、アンネ・フランクさんは生き続けている。
    戦争について取り上げた作品はいろいろあるが、私にとっては『海からとどいたプレゼント (現代の創作児童文学) 上崎 美恵子 (著), 笠原 美子も記憶に残る。
    ちなみにこの作者、小川洋子さんの作品との出会いは『妊娠カレンダー』が芥川賞受賞で人気だった頃。姉が購入したのを借りました。
    p.07「優れた文学は必ず待っていて

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    2023年10月06日
  • 洋子さんの本棚

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    小説家って凄いなあ。2人の文筆家の会話、言葉のキラキラした深い深い広い広い海の中に漂わせてもらった。心地よくて、楽しくて、読んでみたくなる本も沢山。

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    2023年10月03日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    ブラック絵本といった感じで、結構短い、短編集であり、"教授宅の留守番"は小川洋子さんにしては珍しい堂々とした発言もあり。
    "涙売り"の終わり方や、"お探しの物件"はそのまま、絵本にしても良さそう。
    今作では、"教授宅の留守番"と、"パラソルチョコレート"が好みだった。チェスの駒をすすめる終わり方も好きだ。

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    2023年09月23日
  • 海

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    どれも印象に残る短編集。好き。
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    恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。著者インタビューを併録。

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    2025年04月15日