小川洋子のレビュー一覧

  • ミーナの行進

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    小川洋子さんらしい逸品 丁寧に小さなエピソードが重ねられ やがて、全体像がとても暖かな感動を引き起こしてくれる 2024年に読むべき百冊にTime誌が入れた唯一の日本の小説

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    2025年06月23日
  • 遠慮深いうたた寝

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    小川洋子さんの思い出話や本の感想、妄想や半分小説のようなお話をまとめたエッセイ。
    小川さんの魅力が詰まった作品でした。
    特に『答えのない問い』という作品で、小説を読んで、わけがわからない、面白くないと自分の狭い価値観で作品を否定してしまうことがあるけれど、分かる分からないにこだわるのは実にもったいないということ。分からない自分の未熟さを認めると、一気に視界が広がるという小川さんの言葉が心に響きました。
    また読み返したくなるエッセイです。

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    2025年06月21日
  • 博士の本棚

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    敬愛する作家にして、読書好きにとっての憧れでもある小川洋子の、本にまつわるエッセイ集や、あとがき寄稿文を収録した一冊。

    物語、それを生み出す作家、彼らにまつわる物事。本を形作るあらゆる要素に、深い敬意と、誠実でひたむきなまなざしが注がれている。

    『偏愛短編箱』、『陶酔短編箱』等のアンソロジーもそうだけれど、小川さんの書評は単なる作品紹介や解説の枠にとどまらない。物語の世界に思いを寄せ、丹念な言葉でそれを紡ぐ、どこか祈りにも似た静かな熱意が感じられる。

    その祈りに、もっと深く身を浸してみたい。心震わせてみたい。
    私もそう願って、本書で紹介されている作品をひとつずつ読み進めているところ。

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    2025年06月08日
  • まぶた

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    どの物語も、清々しく美しくて、清潔感が有る。前半は、その清潔感の裏に潜む、捉えようの無い不穏な空気や、どこまで深いか分からない闇、恐怖に似た冷たい感覚が際立って押し寄せてくる様な物語。
    後半は逆に、その清潔感を使い古されたモノや老いた人間の中にも写し込み、決して新品や綺麗で皺一つないものからは醸し出せない奥行きを表現していて、温かみを感じる物語だった。

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    2026年04月08日
  • ミーナの行進

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    小川洋子さんらしい作品、と言いながらそんなにたくさん読んでるわけではないが・・ゴメン

    物語は二人の少女を中心に静かに進んでいく。静謐な中に少しだけ不穏な空気を漂わせて。いかにも小川洋子さんらしい作品だと感じた。

    クライマックスはあっけないと言えばあっけないが、男の私には二人の少女の関係性がなんとも言えずに細やかに描かれていて、心の襞に入り込んでくる。いい物語を読んだという気になりました。

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    2025年05月29日
  • 貴婦人Aの蘇生 新装版

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    ネタバレ

    小川さんの初期作品、1999年から2001年まで連載された作品の新装版。

    伯母がロマノフ王朝の皇女かも?という謎があっても淡々とした主人公はいつもの小川作品だけど剥製マニアのブローカー小原はちょっと珍しいタイプ。伯母とこの小原のやり取りがシュールでクスっと笑えて面白かった。胡散臭いけどいいやつじゃん?って感じ。

    胡散臭いと感じる登場人物がいるというのが初期作品だと感じました、最近だとどんな胡散臭さも納得させられる気がします。

    剥製だらけの家とロシアって絶妙な取り合わせでときめきました。

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    2025年05月27日
  • 最果てアーケード

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    小川洋子さん初読みです。
    静かで不思議な世界観と、小川さんの美しい文章がとても心地よい作品でした。
    使用済みの絵葉書や義眼、ドアノブなど、その物から持ち主の思いが感じられ、その思いを大切にしている店主たちのまなざしに心があたたかくなりました。主人公の「私」の存在が少しずつ明らかになり、読み終えると『最果てアーケード』の意味がわかります。
    また読み返したくなる作品でした。

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    2025年05月25日
  • 耳に棲むもの

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    閉じられた静かな孤独で満たされている世界をひたすらにたゆたえる味わい深い本。小川洋子さんはこれまで何冊か読んで来たものの私個人の好みとは微妙にズレていることが多かったのですが、これは一瞬で恋に堕ちてしまった。心と身体に染み渡る静けさを深く堪能出来た。

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    2025年05月23日
  • 沈黙博物館

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    ネタバレ

    博物館技師は、田舎に新しい博物館を建てる依頼を受ける。依頼主の老婆は、犯罪ギリギリの方法で手に入れてきた、亡くなった村人たちの形見を展示する博物館を建てようとしていた。

    いいな、私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。それがなければ、せっかくの生きた歳月の積み重ねが根底から崩れてしまうような、死の完結を永遠に阻止してしまうような何かなのだ。(p49)

    老婆の言っていることは、恐ろしくもあるように思う。彼女は、亡くなった人々の形見を保存することで、「死の完結を永遠に阻止」しようとしているのである。
    なぜ、彼女はそんなことをする

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    2025年05月20日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    みんな少しずつ偏っていてそれはある意味孤独なんだけど、寂しさよりも静かな強さ、したたかな美しさを感じる短編集。

    物語たちそのものもとても素敵。特にそれぞれの余韻たっぷりな終わり方がいい。
    ただ何より、心情や状況の描写、比喩のひとつひとつがときめく程美しくてたまらなかった。

    「亡き王女のための刺繍」と「一つの歌を分け合う」が特に好き。でも選べないくらいどれも良かった。

    色々な方が小川洋子さんの文章はうつくしいと言っている意味が、読み始めてすぐに理解出来た。
    淀みなく流れるようで、でも確実にひとつひとつがきらめいていて虜になってしまう。

    博士の愛した数式をかなり昔に読んだはずだけど、それ以

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    2025年05月16日
  • 耳に棲むもの

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    ある意味、童話的でメルヘンでもあり残酷でもあり、時代や地域(国)を超えた普遍性がある作品だと思う。ある補聴器販売員を軸とした物語。

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    2025年05月11日
  • 心と響き合う読書案内

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    自分にとって、こういう読書案内を読む楽しみは2種類ある。1つは、次に読みたい本を見つけること、自分が読んだことがない本で、面白そうな本を見つけること、それが1つ。もう1つは、自分がかつて読んだ本が、どのように紹介されているか、小川洋子さんのような書き手が、それをどのように読んだのかを確かめること、これが2つ目の楽しみだ。
    この読書案内で、前者、すなわち、これから読んでみたいな、と思ったのは、大岡昇平の一連の著作、カズオ・イシグロの「日の名残り」、「おくのほそ道」、宮本輝の「錦繍」、島尾敏雄の「死の棘」、アリステア・マクラウドの「冬の犬」、中上健次の一連の著作といったところ。
    後者、すなわち、自

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    2025年05月11日
  • 夜明けの縁をさ迷う人々

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    奇妙で怖さもあるけれど、どこか滑稽さも漂う短編集。野球の話2つとエレベーターに住む「イービー」の話が記憶に残る。文章と描写が美しくて小説なのに映像を見ているような感覚。全面帯を見て選んだ一冊、心に残る素敵な読書体験になりました。

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    2025年05月10日
  • やさしい訴え

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    小川さんの作品の中でも、ファンタジー要素がかなり少なく、ただ、そこには小川さんらしい透明感や静けさがきちんとあって、痛みを伴う男女関係の中にも澄んだせせらぎのような愛の流れを感じられるお話だった。

    チェンバロとカリグラフィー、目と耳、犬と猫、男と女。象徴的なもの達が作中で、自分の役割を行儀よく待っている。
    小川さんは誰よりも愛が失われていく様を美しく書く人だと思うので、この作品はそれがすごく表現されているように感じた。

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    2025年05月10日
  • 最果てアーケード

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    ネタバレ

    確かインスタグラムで紹介されていた本。
    小川洋子さんの文体が本当に好き。柔らかで優しくて丁寧に読まないと壊れてしまいそうな文体。
    そこから紡ぎ出される物語もやはり柔らかで誰かを包み込むような作品。
    あるアーケードの配達員さんのお話。不思議な店ばかりでそこにやってくるお客さんもなかなか癖がある。
    でもさも普通ですよ、というように商売をしている店主たちと当たり前ですよ、というような顔をしてやってくるお客さんたちには違和感を覚えつつも優しい気持ちにさせられる。小川洋子マジック。
    一番好きだったのはラビト夫人。
    一番理解できなくて一番幸せになってほしいお客さんだった。

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    2025年05月10日
  • 耳に棲むもの

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    今回はちょっと残酷な場面が幾つかあって、ザワザワしたが読み始めるとあっと言う間に小川洋子さんの世界に入っていけてやはり好き。

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    2025年05月06日
  • 耳に棲むもの

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    骨壺の中の骨。
    その骨は、生前、補聴器のセールスマンでした。
    骨壺から始めて、彼の物語を遡っていきます。

    耳の奥で誰かが音楽を奏でています。補聴器で塞げば、耳に棲むものがこぼれ落ちる心配はありません。
    そんな小さな世界の奥へ奥へと導かれながら、人としての原点へと帰っていくような感覚になりました。

    歳を重ねるにつれ「死」と「死に至るまでの苦痛」への恐怖が少しずつ増しているような気がしています。それでも、このような小説に触れることで、生死についての漠然とした不安がギュッと縮小されて手の中に収まり、穏やかな気持ちにもなるのです。
    孤独を描くことで孤独を癒し、心に寄り添ってくれるような作品でした。

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    2025年05月05日
  • 約束された移動

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    ネタバレ

    小川洋子の短編小説を初めて読んだ。

    小川洋子作品に流れる静けさや文字の美しさは、文字や小説という体系を超え、感じたことのない感覚にさせてもらえる。

    ここで好きだった作品は、「寄生」と「巨人の接待」。
    この2作品に感じたのは、一見不快感を抱く言葉やものが見方を変えただけで、大切で重要なものに見えてくるという点だ。

    寄生する、亡くなる、枯れるという言葉は、あまりいい思いはなかったが、小説の中で違った角度で照らされており、大切に感じることができた。
    小説家って凄い。

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    2025年05月01日
  • 遠慮深いうたた寝

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     まとまった小川洋子さんのエッセイを読むのは初めてでした。素晴らしい小説世界の創作秘話や素顔がうかがい知れ、小川さんの日常にそっと触れられた感があって興味深かったです。

     小川さんの描く世界観が腑に落ちたり、語りかけられ考え思わず納得したりと、気にも留めない自分の日常を、新たな視点で見直すきっかけにもなりました。各編の内容がいかに深いことか! 「言葉を捨て去る」「答えのない問い」の前段などは、惚れ惚れします。

     2012年から続く「神戸新聞」の連載、他に約10年間のエッセイから厳選された作品の数々…。日々の出来事、思い出、創作、野球やミュージカルなど、物語の裏側が描かれます。
     ミュージカ

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    2025年04月29日
  • 耳に棲むもの

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    補聴器といえば、聞こえづらい外の音を伝えてくれるものだ。
    だが、小川洋子さんの魔法がかけられると、耳の奥で鳴っている、かすかな音楽を聴き取るための道具に思えてくる。
    そして、泣きたくなるような悲しみや苦しみに満ちた秘密が、思わずこぼれ落ちてしまわないように、そっと封印するための御守りのようにも感じられないだろうか。

    補聴器の移動販売員だったお父さんは言う。

     ”閉じ込められ、誰からも見捨てられ、忘れ去られたものを救い出すのと、閉じこもっていたいものに、それが求める小さな空洞を与えてやるのは、私にとって同じことです。”

    お父さんの骨壺の中から、かつて耳に棲んでいたものたちが四つの欠片として

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    2025年04月27日