小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「生」と「死」と「エロス」のトライアングル。
「死」は突然やってくる。
「死の準備」と隣り合わせで歪んでしまった欲望を
持つ翻訳家の前に現れた少女。
漫然とした「生」の中の住人。
そこの住人にとって翻訳家の
'屈折した欲望'は雷のように感じたのだろう。
雷を脳ではなく肌で理解し受入れた少女は
翻訳家にとって何よりもの宝物。
「エロス」とは「愛」と似て異なるもの。
翻訳家にとって己を迎合してくれた
初めての「女」であり
人生最後の「女」
決して自分で現像することはなかった
「フィルム」が
己が生きた証なのだろう。
己の死が近づいてくるのを感じ始めた男にとっては
切ない物語。 -
Posted by ブクログ
最近、時折読んでいる小川洋子さんの文庫本は、全て、私が引っ越してきた町で見つけた古書店で購入したもので、実は少々煙草の匂いが残っていました。まあ、気にする方もいらっしゃるとは思いますが、私は問題なし(むしろ、後で見開きがよれよれになっていることに気付いた方が嫌)。
逆に、私の前に読んでいた人はどんな人だったのだろうと、想像してしまう。リラックスしながら読んでたのかな、なんて。自分のスタイルで読書したいのは、すごく共感できる。
前置きが長くなったが、この短篇集に登場する人たちは、皆、それぞれの行動スタイルというか、夢中になるものを持っている。しかし、その裏には、何かを失ったことが原因になって -
Posted by ブクログ
10年近く本棚に眠っていたので手に取った。
まずこの本の特徴として、小川洋子さんが書いているだけあって文章が読みやすい。
読みやすいといってもユーモラスだというわけではなく、何というかスラスラ入ってくる。
それは一つ一つの情景・感情描写にも普段から気を使い、細部にまで目を向けているからだろう。
このような作家特有の繊細さを持って科学について書かれるとどうなるか。
科学をストーリーとして味わえるのだ。
科学の内容だけでなく、そこに携わる科学者の心情までも事細かに描いてくれている。
よって、「科学をしている人」を客観的に見ることができるのだ。
「科学者はそんなことを考えながら科学と向き合ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ廃墟となった郷土資料館のガラス箱は
今は幼稚園で亡くなった子どもたちの無言の声と成長を保存するための小箱となっている。
幼稚園で小箱の管理をする番人。
歌うことでしか話せないバリトンさんが持ってくる
入院中の恋人からの手紙を解読する作業。
丘で行われる、亡き人たちの物で作った耳飾りで自分1人だけで行う音楽会。
幼稚園の朽ち果てた遊具で時折遊ぶクリーニング屋さんの奥さん。
息子を亡くし、彼が歩いた場所しか歩けなくなり
死者の小説しか読まなくなった従姉。
生きる人と小箱に積み重なる死んだ子どもたちの成長の記録。
一人一人の胸にいつまでも成長し続ける子どもたちの記憶。
それを思う尊さと深い幸福 -
Posted by ブクログ
詩的な物語。
事前知識なく読みました。
ちょうど一年前、私も同じ状況となり一時的に聞こえなくなりました。恐怖は相当ありました。一般的にはどうなのでしょう。私は1週間が勝負でしたけれど。
その状況を思い出しつつ、読みました。
確かに受け止めるしかないのです。
冷静にストーリーは進んでいきます。静かです。
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レビューを読んでくださった方へ
プールに入っているみたい、もわもわする、と突然感じて半日治らなかったら。
様子を見ている場合ではありません。1時間でも早く診察を受けましょう。
治らなくなります。タイムリミットは48時間です。(突然発症するので、いつから始まったかはっきりと把握できる