小川洋子のレビュー一覧

  • とにかく散歩いたしましょう

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    小川さんの日常と、小川さんが読んだ本の一節が重なり合うようにリンクしていて、丁寧な日々が感じとれる一冊。色々な本が登場してきて、小川さんの読書量はきっとすごいんだろうなぁと敬服…そして飼い犬とのエピソードは本当にほっこりする。

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    2017年04月18日
  • 偶然の祝福

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    小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。

    ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、なかなかないんだけど、なんか自分でも経験したような気になるような日常風景の中に取り込まれる世界。

    ふとした瞬間に、今の自分と本の中の主人公が簡単に入れ替われるほど普通の日常の出来事が、どんどん読ませてくれます。

    ゾクっとしたり、え!?そうくる!?って思ったりオチも完璧なのに、なぜかとても日常的。

    そんな不思議な

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    2017年04月17日
  • 世にも美しい数学入門

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    とてもとてもロマンティックな本です。

    『数学』というと
    とかく実用的で ひたすら規則ただしく 面白みがなく と、つまらないイメージしかなかった。

    なのに、この二人の対談の中には
    神の… 悪魔的な… 美的感覚 想像力 ひざまずく心
    など驚くような形容詞が実に自然体で並んでいる。

    数学というものの魅力を惜しむことなく語る藤原先生と 自分の尺度できちんと受け止める小川女史

    数学へのものの見方を変えてくれた本でした。

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    2017年03月23日
  • 原稿零枚日記

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    日記の中で異界が次々に立ちのぼる。メタな物語。どこまでが本当なのか。梨木香歩の『家守綺譚』などのテイストに似ている。最後のMが生きていてくれるだけで、という部分。お母さんが声を向こうにやってしまう部分。そこが染みる。

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    2017年03月21日
  • いつも彼らはどこかに

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    しっとり不思議な感覚になる短編集。美術館にくる修理屋はちょっぴり苦手。なのにクセになる。何だかいけない気持ち。帯同馬に思いを馳せた。

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    2017年03月12日
  • 世にも美しい数学入門

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    啓蒙書としては大成功だ。偉大な数学者が生まれる条件も面白い。何かにひざまづく感覚、美的感覚、精神性を尊ぶことが大事というのが腑に落ちた。

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    2017年03月09日
  • 偶然の祝福

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    不気味だけど懐かしい。キリコさんの失敗のパンの届くところ、盗作、失踪者。静謐は十分だったが、つながり、掘り下げがイマイチだったか。
    現実と創作が混じり合ったエーデルワイスの感じは好き。

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    2017年02月06日
  • アンネ・フランクの記憶

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    ミープさんの佇まいに、私も心が震えた。

    また、規則正しさの怖さ。

    小川さんの文学にいかにアンネの叙述が影響を与えているか認識した。

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    2017年01月12日
  • 原稿零枚日記

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    タイトルから、エッセイなのかと最初思った。
    (違うこれは小説だ、ということを分かった上で読み始めた)

    作家の“私”はなかなか思うように執筆がはかどらない。小説の取材で、宇宙線研究所や盆栽フェスティバルなど、様々な地を訪れる“私”だったが、いつも知らず知らずのうちに不思議な世界へと迷い込んでしまう。
    苔料理を出す料亭、海に繋がる大浴場、神隠しのように人が消えてゆくアートの祭典。これは果たして現実なのか。幻と現の狭間で、作家は日々の出来事を綴り続ける。

    日記形式で書かれている不思議な短編集。
    遅々として原稿が進まない作家の日常は、お世辞にも立派とは言えない。派手さもなく心が浮き立つようなことも

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    2016年12月04日
  • アンネ・フランクの記憶

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    「アンネの日記」に続いて、小学生ぐらいの頃に読んだ。その後、大学生ぐらいになってから「博士の愛した数式」を読んで、同じ小川洋子さんが書いたものだと知った。そう思って読んでみるとまた違った感じがありそうなので、もう一度読みたい本。

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    2016年09月22日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    小川洋子さんのエッセイ「カラーひよことコーヒー豆」、2009.12発行です。29編のエッセイが収録されてます。小川洋子さん、エッセイにも「キレ」があります!29番目のエッセイは「理想の一日」です。小川洋子さんの理想の一日は、小説を書き、犬と散歩し、タイガースを応援することだそうです。この3つさえあれば十分、他には大した望みはないとのこと。小説をウォーキングに、犬が猫に、タイガースがカープに・・・、私の一日に~(^-

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    2016年05月30日
  • いつも彼らはどこかに

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    ネタバレ

    2016年、31冊目です。

    動物と人間のふれあいみたいなことがモチーフかと思って読み始めました。
    それは、心地よく見事に裏切られました。まさに小川ワールドという感じです。
    ストーリーや文体そのものに、大きな感動や心を揺さぶるメッセージがあるわけではないのですが、自分の心の中にある様々な考えというか既存の感情の隙間に、じわっとしみ込んでくる感覚がします。
    これは、私の小川洋子作品に対して共通して抱くイメージです。
    この小説は、何かしらの生物が出て来る8つの短編が収められています。
    「帯同馬」/「ビーバーの小枝」/「ハモニカ兎」/「目隠しされた小鷺」/「愛犬ベネディクト」/「チーター準備中」/「

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    2016年11月19日
  • やさしい訴え

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    林の中にある別荘に夫の元から逃げてきた瑠璃子は、チェンバロ製作者の新田とその弟子である薫と知り合い、それぞれ心に傷を負った三人で、不思議な三角関係が形成されていく。
    濃い緑の匂いや、少し哀愁を帯びたチェンバロの音が感じ取れるような美しい文章の中に、時折混ざる嫉妬の表現がなんとも不安をかきたて、読んでいると癒されるのと同時に、胸がざわついた。
    読み終えた後、胸に突き刺さるよな強烈な印象ではないものの、ちょっと悲しくて切なくてほろ苦い……そんな余韻に包まれました。

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    2016年05月24日
  • 刺繍する少女

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    【美しい孤独と死と華と虫】

    小川洋子のある世界。

    1日置いて解説を読んだ。そこには、本当に本書を読んだとは思えない事ばかり書いてあった。この刺繍する少女を含め本書は「残酷物語」ではない。死、狂気、奇異、恐怖などという、表面上の表現では表せない言葉がここにはある。見るだけでは読むだけでは聞くだけでは言うだけではわからない。よく冷えた生クリームのような美しさが本書にはある。多くを語る必要の無い素晴らしい作品だと思ったが、あまりにも解説が稚拙だったため追記させて頂いた。

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    2016年05月16日
  • いつも彼らはどこかに

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    動物にまつわる八篇の短編集。
    動物と言っても犬や猫といった愛玩動物ではなく、馬、ビーバーの骨、兎の看板、小鷺、犬のブロンズ像、動物園のチーター、蝸牛、タツノオトシゴという最早動物ではなく物。
    動物の関わり方も物語の中心を占めるものから物語自体には影響のないモチーフのようなものまで様々。

    この作品でも小川洋子さん独特の世界が拡がる。
    わたしが小川洋子さんの作品を読むといつも感じることは、“ひそやかな世界”ということ。
    何もすることがない眠れない夜中、小さな声で囁くように誰からともなく誰にでもなく、何と言うことのないオチも何もない物語、聞いていてもいなくても構わない、ただ時間を埋めるために語られ

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    2016年04月15日
  • 原稿零枚日記

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    ただのエッセイ本かと思ったら心地好く騙された。夢と現の狭間の世界をこんな風に幻想的に描き出せたら。文章から薫ってくるユーモアと感傷のバランスが絶妙。

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    2016年04月14日
  • ボタンちゃん

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    平成28年度課題図書(小学校低学年)。小川洋子さんの文章は、え絵とぴったり合っています。思い出の詰まった物たちの満足な様子に読後感もよく、温かな気持ちになりました。

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    2016年04月03日
  • ホテル・アイリス

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    【かくも美しき密室の調べ】

    今私が一番読んでるのは誰かと言われば間違いなく小川洋子だ。彼女の言葉はいつも一定のリズムがあり、その音はどんなに醜くくても、澄んで美しい。

    世界にぐるぐるにされた時、ヒンヤリとしたあの密室で私も髪を切り落とされたい。

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    2016年03月23日
  • いつも彼らはどこかに

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    ひっそりしていて、ぺたぺたとくっついてくるような微かな不快感があり、ほんの少しの不安が終始漂い、死のにおいがして、動物たちはおかしな人間味を与えられることなくあくまでも動物として登場する。

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    2016年03月21日
  • 心と響き合う読書案内

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    春夏秋冬と別れて編集されているが,そこがちょっと引っかかるところもあるけれど,取り上げられている作品と内容に頷いたり気付かせられたり,覚えていない本を思い出したり思い出せなかったり,読んでない本は読もうと思ったり,とても楽しい気持ちにさせてもらいました.

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    2016年03月16日