小川洋子のレビュー一覧
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とてもユニークな作品だ。現実か、夢か、はたまた妄想か。苔料理とか、運動会あらしとか、あらすじ係とか、聞きなれない言葉が出てくる。ありそうで、ありえない、あったら面白そうだなと、感心する。著者の小川洋子さん、顔はテレビの週刊ブックレビューで見たことある。どこにでもいるおばさんというと失礼かもしれない。でも、自分の身の回りにもいるよな、こんな人。同姓同名の知り合いがいることから、何となく興味を持って読み始めた。いつの間にか、新作が出ると、買ってしまう。文体は美しく洗練されていて、ついつい読み込んでしまう。この作品も、確か週刊ブックレビューで紹介していた。ウィットに富んで、本当に楽しい作品だ。
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数年前の年の暮れ、運転中にFM放送で小川洋子さんのブックレビューを聞いていたことがある。川上弘美さんのエッセイで炬燵の中で原稿を書き始めるのだが、1枚も書けないという記述に「とても共感します」と話されていた。
そんな雰囲気を予想していたのだが、安閑、のんびりした話では全くなかった。主人公の作家は小川さんとは違う作家だろうな。小川さんの処に市役所から生活改善指導の職員(?)が来るわけないもの。
奔放で不気味な幻想を読んでいると、聞いちゃいけない話を聞かされたような共犯意識とでも云うのだろうか、冷や冷やする感触を味わう。さほど厚くない本がなかなか読み進まない。
子供や赤ん坊、乳房や母乳に対する執着。母性本能ってこんな怖いものなの。
誰もが去って行き、いつも独りぼっちになる。小川さんの小説は皆そんな物語だとも思う。深海魚の記述はそんな孤独を感じる意識すら消え失せていくことを願っているようで、深い底に沈んでいくような静けさ。
追記
ピンバッジのスカンクが肛門腺を解放せんとするようという記述に、小川さんってチョッと変な人だなと認識を改めた。 -
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小川洋子さんのエッセイ集。
女性誌「Domani」に連載されていたものと、書き下ろしを含めたもの。
彼女の「人となり」がわかる・・・かな。
彼女のエッセイを読むと必ず出で来る「アウシュビッツ強制収容所」やもしくは。「アンネ・フランク」への思い。
個人的に好きなのは・・・
「神様の計らい」
「誰だって昔は」
「小さな命に救われながら」
「千年の時が与えてくれる安堵」。
ああ、作家さんも作家さんでいろんなことに悩み喜び、日常生活を送っているんだなぁ、と。
「世界の周縁に身を置く人」。
なるほどなぁ。
”はじっこ”にひっそりと身を置く。
彼女の小説を読む上での鍵になるというか。
彼女の性格がわかるというか。
とにかく、やっぱり肩の力が抜ける、そして、清少納言『枕草子』、宮本輝『錦繍』を再読したいな、と思った一冊でした。 -
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小川洋子さん
「自分なんかがこんなことしてしまって申し訳ございません
もうしません、もう二度としませんから
今回ばかりはどうかご容赦くださいませ」
と、いつも誰かに謝っていそうで、
そういうことにならないように細心の努力をしていて、
そのぶん自分のテリトリー(自宅やら甲子園球場やら?)では
思い切り心のままに振舞いたい!
という人となりを勝手に想像してしまう。
土深く埋もれた琥珀を丁寧に丁寧に掘り出して
あるべき場所に、しん、と置く。
それが小川さんにとって小説を書くということなのかと思った。
私は好きな本を小川さんのエッセイに見つけるたびに嬉しくなり、
まだ読んでない本を知るたびお礼を言いたくなる。
そしてそれを小川さんの小説に出てくるちょっと妙な人みたいに
例えば厚さ5センチくらいの手紙を書いてしまいそうで毎回怖い。
受け取った時の顔も想像できて、絶対そんな事はすまいと
毎回自重する。 -
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アンネ・フランクゆかりの土地を訪ねる旅行記。
アンネの日記を通しで読んだ記憶がなく、
個人的に戦争系の話は好きではないのがあり敬遠していたものの、
この本を読んで特に人間ドラマとしての興味が湧いた。
小川洋子さんがアンネを親愛し、物語を書くきっかけとなったことがよくわかる。小川さんのエッセイはそれを読むほど小川作品の読み方が深くなり多くのものを感じ取れるようになるという点で、作家エッセイとして一段次元が高いかもしれないと感じた。
良し悪しは置いておいて、小川洋子というフィルターを通してこそ、私の中でアンネの魅力や悲劇性が高まったような気がする。 -
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本当に染み渡る文章である。
特に「書く」ことについて書かれている部分が本当によい。
そして数学についての経験と考察は共感できる部分や体験がかぶるところもあった。
『博士の愛した数式』を読み返そうと決意。
たぶん最初よりずっとずっと楽しめるはず。
特に博士の自己紹介の場面や江夏の背番号など、発想がすさまじい、常人ではない。
なのにさらりと書いているところがすごい。
感動してしまった。
そして熱狂的阪神ファンである小川さんが執筆当時の阪神ネタを書いていて、
そのとき能見のルーキーイヤー。
まだいまひとつ、だったようだけど、阪神を背負って立つ選手と書いている、ご慧眼。
阪神からアンネフランクまで、小川洋子の脳みそのかけらを感じることが出来た、幸せ。 -
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『Domani』の連載に数本の書下ろしを加えたエッセイ集。
表題作にもなっている『カラーひよことコーヒー豆』はどうやら連載中に読んだらしいと、この本を読んで気付きました。何時・どこで読んだかも覚えてないのですが、とにかくこのエピソードだけは頭の中に残っていました。それだけ自分のなかで驚いたのだと思う。
全体に流れる柔和な空気は小川さんの他の作品に通じるものがあって、全ての作品には筆者の人となりが表れるのだなぁ・・・と改めて感じた一冊。
作家さんのエッセイを読むと毎回思ってしまうのだけれども、こんなにも多感で疲れてしまうことはないのでしょうか。
読むとほっこりする。そんな本でした。 -
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小川さんは「猫を抱いて象と泳ぐ」でその小説世界を堪能させてもらったけれど、エッセイはまた違った印象でこちらもとても良かった。
『Domani』に連載されていたものだからか、働く人や女性に対する応援のようなものが多かったように思う。
そしてなんだか泣けてきたりもしたのだ。
自分が年を重ねるにしたがって人をいとおしく思う気持ちが強くなっていく気がする。
人がそれぞれの生きている場で自分の務めをはたし毎日を暮らしている、そのことを思うと胸がいっぱいになる。
様々な場面でのそうした人達をみつめ優しくそっと応援してくれる小川さんの言葉が心に沁みる。
心が柔らかになっていく気がする。 -
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ネタバレ働く女性のためのエッセイ。
何も言わないけれどそっと側で見守っていてくれているような、そんな温かい目線の本です。
慎ましやかで、我慢強く、いつどんな時も感謝の心を忘れない、愛情深い明治生まれの女性だったおばあさんのお話。「思い出からやってくる人」
基本的に何に対しても自信の持てない性格であるという小川さんが落ち込んでしまった時のとっておきの救済策
「小さな命に救われながら」
友人との待ち合わせの時に、見知らぬ(失敬な!)女性に‘こんなにも大変なものを背負っておられるのに…’と言われた
「ただごとじゃない人生」
他にもたくさんあるけど、この3つが好きでした。
何の前触れもなく、静かに試練はその人の背中に舞い降りてくる。でも慌てる必要などない。必ず救いの道は用意されていて、それを探すことこそが、生きることなのだから。