小川洋子のレビュー一覧

  • サイレントシンガー

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    不穏な事件がたびたび起こりながらも緩やかな時間が流れる街で生きた声なきものにしか歌えない少女(から女性)のお話。数秒間だけしか聴かれない使い捨ての歌、大衆歌謡が死滅した現代へのアンチテーゼとも読める。我々に必要なのはリリカの歌うような、全てを持たなくなった時に必要とされる歌なんだろう

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    2025年11月02日
  • 妊娠カレンダー

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    読むきっかけがある男性芸人さんがおすすめしていたこと。タイトルから男性が進んで読むものだとは思わなかったためどんなストーリーなのか気になりました。

    「妊娠カレンダー」
    もちろんフィクションとはわかっているのですが、どうも合いませんでした。登場人物全員、誰にも共感ができませんでした。妊婦検診の様子もちょっと違うのではと思いました。

    「ドミトリィ」「夕暮れの給食室と雨のプール」
    グッと引き込まれるストーリーでした。こちらの方を表題作としても良かったのではないかと思いました。

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    2025年10月30日
  • 人質の朗読会

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    一万円選書の5冊目。
    題名の通り、異国の地で誘拐された人質たちが語る朗読会。
    その内容は自分自身の人生の1ページについて。


    自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。
    それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟にのせる。


    それぞれの語った内容が短編として綴られていました。
    どの話もどこか不思議で、特にオチがあるわけでもありません。
    でも他の人からしたらなんでもないその思い出が、きっとその人の人生にとってなくてはならない瞬間だったのだと思います。

    彼らの話はしっかり届いていましたね。
    私にも届きました。
    私が語りたい人生の1ページは何だろうって考えさせられ

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    2025年10月26日
  • 密やかな結晶 新装版

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    ずっとR氏が秘密警察に捕まらないかとハラハラしていたけど、そんな単純な話ではなかった。私たちは奪われ、それを忘れ、慣れていく。そうする方が簡単だからだ。頑なに忘れずにいることは、辛いし難しいが、結局はそれが自分を守ることにもなるのかな。そんなことを考えた

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    2025年10月25日
  • サイレントシンガー

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    ネタバレ

    話すことをやめた人たちの集落でうわれ育った1人の女性の話
    彼女は奇跡の声を持ち、どんな音色も奏でることができ、様々な要求に応える
    彼女に恋人はできたが、その地から離れることを拒んだ彼女は恋人と別れることになる
    話すことをやめて人たちの話だからか、静かなトーンで進む物語
    言葉は必要なのか?
    考えさせられた

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    2025年10月24日
  • 遠慮深いうたた寝

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    読みやすい。たまに小川さんの世界が炸裂して、ハッとする瞬間がある。
    小川さんの長編小説が読みたくなっちゃう。ギャップがすごい。

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    2025年10月18日
  • 最果てアーケード

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    最近長編を読む気力が薄れていたのでこの短編なら読めるかも!と思って読んだら正解だった。

    やはり仄暗くて少し埃っぽいような空気感。静かな絶望、諦め、受容、みたいな。明るさとか希望とかはないけど登場人物みなその絶望をひっそりと受け止めているような感覚?

    小川洋子さんだなあ、という感じ。

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    2025年10月18日
  • サイレントシンガー

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    ネタバレ

    うーん、私としては今ひとつ。このところの小川洋子ワールドは、切なさよりも不気味さ気持ち悪さの方が若干優ってきてないか。

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    2025年10月15日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台をテーマにした幻想的な雰囲気のある短編集。
    体調の悪い時に見る不思議な夢のような、現実か非現実か分からなくなるあの境目の感覚に近い物語でした。

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    2025年10月15日
  • 妊娠カレンダー

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    独特な視点から描写される世界。静かな嫉妬。妊娠=幸せという図式が必ずしも成り立つわけではない、幸せの裏側。他2篇も不思議な感覚の物語。キレイな文章。

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    2025年10月10日
  • 密やかな結晶 新装版

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    おもしろかった。次から次へと世界が広がって行って、すこしずつまとまっていく感覚が気持ちよくて読む手がとまらなかった。
    現実では起こり得ないのに生々しくて、でも結局すべてはどうなったの?の確信には辿り着けないまま静かにお話が終わってしまった!そういうものだとは思うけど、R氏視点も、その後の世界も気になる。
    でもきっと、物語はここまでであとはそれぞれの心の中にあるのが一番良いんだろうな。
    秘密警察の設定はモモを思い出して、モモが読みたくなった。

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    2025年10月07日
  • 約束された移動

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    『人質の朗読会』ですっかり小川さんファンになってしまい、こちらの短編集も読んでみました。1つ1つのお話もなんともいえない不思議な小川ワールドで、理解するというより、浸る、という感じですかね。なんともいえない雰囲気が味わい深く、惹きこまれました。

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    2025年10月06日
  • 海

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    平坦な道をただ進んでいるような、感情の起伏なく読めてしまう。最近、精神的ダメージが大きい映画を観てたから、ちょうどよかった。

    好きなのは、『ひよこトラック』と『ガイド』

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    2025年10月05日
  • サイレントシンガー

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    実際にリリカの歌声を聴いてみたいと思う気持ちと、あくまで想像の世界で再生すればいいという気持ちがせめぎ合っています。でもやはり聴いてみたいですね。

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    2025年10月03日
  • サイレントシンガー

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    沈黙を愛する人々の住む「アカシアの野辺」。この物語を読んでいると、いつの間にかそこに自分がいるような錯覚に陥った。ざわざわと音のする場所で読んでいるのに、ふっと周りが無音になる様な不思議な感覚。
    リリカの歌う「家路」はどんな声で歌われているのか想像するのも楽しい。

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    2025年10月01日
  • まぶた

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    表題を含む短編集
    この作者の小説を読むのが初めてのため、他の作品は分からないが、これらの短編の文体が、雨が降ったあとの薄暗い森の中のような湿度と温度を纏っている。
    少し怖い話、不思議な話があるが嫌な感じがない。
    作中の「不可能な愛が一番美しい」という台詞が心に残った。

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    2025年09月30日
  • 沈黙博物館

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    なんとなく、題名に引かれて手にとってみた本。
    彼女の作品を読むのはこれが初めて。

    博物館技師という、これまた私のほとんど知ることのなかった職種が描かれていたのも面白かった。
    小さな村を舞台に、その村で亡くなった人の形見を「収集」したものを博物館にするというちょっとミステリアスなお話。異彩な個性を放つ登場人物たちも魅力的。博物館をつくるという話自体が私にとって新鮮な発見がたくさんあった。全てのものは放っておくと風化してしまいなくなってしまう。収集して保存する。それが博物館の基本的な仕事なんだとあらためて思う。物が溢れかえっている世の中で、じゃあ何を保存するか。この本では、その人が確かに生きた、

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    2025年09月28日
  • 耳に棲むもの

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    装丁が美しい。読後にこの表紙のカルテットが耳骨だったことに気づいた。小川ワールドが好きな人はたまらない世界だと思う。私は補聴器のセールスマンに少し期待を寄せすぎてしまいました。5つの中では『踊りましょうよ』が一番好き。

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    2025年09月23日
  • 薬指の標本

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    小川洋子の本を初めて読んだ。
    ふわっとしていて独特の雰囲気があり、何を意図しているのかはっきり掴めない、不思議な物語だった。

    私だったら何を標本にするよう依頼するだろうか。何を小部屋で語るだろうか。
    そんなふうに想像してみることで、自分の中に何が引っかかっているのかが見えてくる気がする。

    普段は気にしないようにしていても、実は心に残っている辛いこと。
    それを振り返り、昇華させていくような小説なのかも。

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    2025年09月21日
  • サイレントシンガー

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    ほとんど音の消えた野辺のお話
    「我」を持たないリリカの声が流れる
    音と言葉があふれかえる日常で読むには、あまりに静寂の力が強すぎる
    読後数日経って、リリカの家の修繕をしてくれた方のことを思い出す

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    2025年09月21日