小川洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一万円選書の5冊目。
題名の通り、異国の地で誘拐された人質たちが語る朗読会。
その内容は自分自身の人生の1ページについて。
自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。
それをそっと取り出し、掌で温め、言葉の舟にのせる。
それぞれの語った内容が短編として綴られていました。
どの話もどこか不思議で、特にオチがあるわけでもありません。
でも他の人からしたらなんでもないその思い出が、きっとその人の人生にとってなくてはならない瞬間だったのだと思います。
彼らの話はしっかり届いていましたね。
私にも届きました。
私が語りたい人生の1ページは何だろうって考えさせられ -
Posted by ブクログ
なんとなく、題名に引かれて手にとってみた本。
彼女の作品を読むのはこれが初めて。
博物館技師という、これまた私のほとんど知ることのなかった職種が描かれていたのも面白かった。
小さな村を舞台に、その村で亡くなった人の形見を「収集」したものを博物館にするというちょっとミステリアスなお話。異彩な個性を放つ登場人物たちも魅力的。博物館をつくるという話自体が私にとって新鮮な発見がたくさんあった。全てのものは放っておくと風化してしまいなくなってしまう。収集して保存する。それが博物館の基本的な仕事なんだとあらためて思う。物が溢れかえっている世の中で、じゃあ何を保存するか。この本では、その人が確かに生きた、