小川洋子のレビュー一覧

  • 偶然の祝福

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    少し不吉で埃っぽいイメージを持ったかな。"キリコさん"と"涙腺水晶結石症"は比較的あったかくて救いがある感じ。精神疾患がテーマ?無理をしたり不幸が重なり落ちていったり消えていったりする登場人物に悲しくなった。失われた王国っていう響きすごく怖くて興味を惹かれた。作者が失われた王国の空想をしながら小説を書くのは結構不気味で。そういう空想が小説のタネになる納得はできるけど。洞穴の描写はノルウェイの森の高原の穴を思い出した。命や心を失うのは穴に落ちるように自然に急に起きるのだなと考えた。

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    2026年01月02日
  • 薬指の標本

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    「さあ、どうかしら。わたし、今まで一度も恋人なんて呼べる人と付き合ったことがないから、よく分からないんです。ただ彼とは、どうしても離れられない、そういう気持と情況だけは確かにあるんです。そばにいたいなんて、なまやさしいことじゃなく、もっと根本的で、徹底的な意味において、彼に絡め取られているんです」

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    2025年12月28日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    『読者の皆様のお心に、一言でも深く染み入る言葉があればと願いつつ…』という著者小川洋子さんの遠慮深いお人柄の感じられるエッセイ。本の紹介もたくさんしてくれてます。それが嬉しい。本好きな人はぜひ。

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    2025年12月18日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    迷子を見つける能力、著者らしい(笑)
    日々の出来事から、海外のお話まで幅広い。

    本の紹介は、なかなか手にとるのは難しいものが多いけど、少し頑張って読んでみようと思うものをストック。

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    2025年12月18日
  • ことり

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    社会に溶け込むことが困難な「取り繕えない人たち」の物語。
    兄弟の世界は、周りの人には理解されないことが多くて寂しく静かな世界。それでもたまに、園長みたいなやさしく声をかけてくれる人、何も言わずにポーポーを売り続けてくれる薬局の人など、世界の外からそっと見守ってくれるような人もいる。
    大きな展開はないけど、日々が過ぎる中で小父さんの大切なものがだんだん失われていく様子が切ない。だが小鳥の介護をしたあたりから、光がさしたような気がした。最期はお兄さんの声と、お兄さんが愛した小鳥の美しい歌声を聞けてよかった。

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    2026年08月09日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    エッセイあり、書評あり、日記ありと小川洋子さんの味わい深い文章の数々。
    最後に紹介されていた「じゃむパンの日」感慨深く読みました。赤染晶子さんの作品もっと読みたかった。

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    2025年12月07日
  • 耳に棲むもの

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    とても久しぶりに小川洋子さんの本を手に取りました。
    そうだった。美しく偏狂的でひっそりと閉ざされた世界観が小川洋子さんだった。
    補聴器売りの方にまつわる短編集なのかな?

    "骨壷のカルテット"が好きでした。
    父は「耳鳴りがひどかったようです」
    「しかし、それを苦にされていたご様子はありません」
    「はい。むしろ外から入ってくるより、内側でなっている音の方に耳を傾けている方が、心が落ち着いたようです」

    読み終わって、印象に残った言葉はここでした。

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    2025年12月01日
  • ミーナの行進

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    ミーナと言うユニークな女の子と、素敵な家とコビトカバのポチ子と過ごした時間が穏やかで楽しそうで羨ましくなった

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    2025年11月24日
  • ボタンちゃん

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    ネタバレ

    作は小川洋子さん
    絵本も描かれるのですね

    よくある事ですね
    物を大切にしなさいって事ですね
    あの子にもこの子にも1つや2つは小さい時から大切な物ありますよね
    貴方は何を大切な宝物にしてますか?

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    2025年11月19日
  • そこに工場があるかぎり

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    あの工場を見てみたい!
    お菓子、ボート、鉛筆など、私たちが日常で見たり使ったりしているものは、一体どこで、どのように作られているのだろう。
    ”ものづくり”の愛しさが綴られる工場見学エッセイ。


    小川洋子さんが身近なものを製作している工場に見学に行き、その経験を綴る工場見学エッセイ本です。
    「なんて面白そうなんだろう」という基準だけで選ばれた工場は、お菓子や鉛筆、ガラス加工製品、サンポカー(子供をのせる車輪のついた箱みたいなやつ。街中で小さい子が保育士さんにのせられ運ばれている。かわいい)など様々。
    工場見学というのは、小学校のとき以外はバスツアー旅行なんかでしか行ったことがないですし、バスツアーだともう買い物の前座みたいな扱いで情緒もなにもないですが、小川洋子さんの文章を通してみるととても繊細で、美しく、尊く見える。

    驚いたのは、工場での製品の製作という複雑な工程、何が起こってどう作っているかという内容を、文章だけで分かりやすく伝えている事。
    自分で書いたら絶対に訳が分からなくなるであろう細やかな作業工程を、現場を見てもいない一読者でもこんな機械でこんな風に作っているのかなあと想像させることが出来るのは、流石小川さんの文章力という感じです。
    全く知らない業界でも、魅力が伝わる、興味がわく。素敵な本でした。

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    2025年11月06日
  • 遠慮深いうたた寝

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    読みやすい。たまに小川さんの世界が炸裂して、ハッとする瞬間がある。
    小川さんの長編小説が読みたくなっちゃう。ギャップがすごい。

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    2025年10月18日
  • 最果てアーケード

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    最近長編を読む気力が薄れていたのでこの短編なら読めるかも!と思って読んだら正解だった。

    やはり仄暗くて少し埃っぽいような空気感。静かな絶望、諦め、受容、みたいな。明るさとか希望とかはないけど登場人物みなその絶望をひっそりと受け止めているような感覚?

    小川洋子さんだなあ、という感じ。

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    2025年10月18日
  • 約束された移動

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    『人質の朗読会』ですっかり小川さんファンになってしまい、こちらの短編集も読んでみました。1つ1つのお話もなんともいえない不思議な小川ワールドで、理解するというより、浸る、という感じですかね。なんともいえない雰囲気が味わい深く、惹きこまれました。

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    2025年10月06日
  • まぶた

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    表題を含む短編集
    この作者の小説を読むのが初めてのため、他の作品は分からないが、これらの短編の文体が、雨が降ったあとの薄暗い森の中のような湿度と温度を纏っている。
    少し怖い話、不思議な話があるが嫌な感じがない。
    作中の「不可能な愛が一番美しい」という台詞が心に残った。

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    2025年09月30日
  • 沈黙博物館

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    なんとなく、題名に引かれて手にとってみた本。
    彼女の作品を読むのはこれが初めて。

    博物館技師という、これまた私のほとんど知ることのなかった職種が描かれていたのも面白かった。
    小さな村を舞台に、その村で亡くなった人の形見を「収集」したものを博物館にするというちょっとミステリアスなお話。異彩な個性を放つ登場人物たちも魅力的。博物館をつくるという話自体が私にとって新鮮な発見がたくさんあった。全てのものは放っておくと風化してしまいなくなってしまう。収集して保存する。それが博物館の基本的な仕事なんだとあらためて思う。物が溢れかえっている世の中で、じゃあ何を保存するか。この本では、その人が確かに生きた、という証として、その人の「生」を最も体現しているものを形見として残す、という面白い発想がある。
    さぁ、私が生きた証として何が形見として適当だろうか。
    ・・・、まだ何もないような。

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    2025年09月28日
  • 耳に棲むもの

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    装丁が美しい。読後にこの表紙のカルテットが耳骨だったことに気づいた。小川ワールドが好きな人はたまらない世界だと思う。私は補聴器のセールスマンに少し期待を寄せすぎてしまいました。5つの中では『踊りましょうよ』が一番好き。

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    2025年09月23日
  • 余白の愛

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    耳の病をわずらった「わたし」は、病をきっかけに知り合った速記者Yに静かな想いを寄せるようになる。

    現実と幻想のあいだで揺れ動く主人公。

    静かで穏やかな世界が続く。

    特にバスのシーンが印象深い。

    著者ならではの耳や指の表現の豊かさに圧倒される。

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    2025年09月20日
  • ミーナの行進

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     家庭の事情で主人公の朋子が芦屋にある親戚の家に預けられ、そこに住まういとこのミーナや伯父さん伯母さん家事手伝いの米田さんやローザおばあさん、ペットのポチ子との生活を描いた作品。
     朋子は芦屋にある洋館の大きさや暮らしの違いに戸惑いつつも、楽しく暮らしいていく。ページを読み進めるたびに1970年代の良い雰囲気が伝わってくる。また、登場人物たちが織りなす日常生活の中にある、現代においては小さな出来事や幸せを一緒に噛み締めることができる良い作品。

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    2025年08月31日
  • ミーナの行進

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    クリスマスの準備をローザおばあさんが完璧に行う描写が好きだった。裕福な暮らしをしている人たち特有の空気感や余裕が素敵だった。静謐な雰囲気なお話だった。

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    2025年08月17日
  • 琥珀のまたたき

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    彼らの6年8ヶ月を語るには短く、物語としては長すぎる、永遠に終わらないかと錯覚するような作品だった。
    小川さんの作品の多くにいえるように、この作品もまた不変であるはずのものがほんの少しだけ綻び、その小指の先ほどの綻びが、気づいた時にはもう止めることが出来ないスピードで大きな穴になっていくようなお話だった。
    閉じ込められていたからこその美しさ。
    誰が悪かったのか、誰が救われたのか。
    何も残っていない掌を眺めている気持ちだ。

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    2025年08月10日