小川洋子のレビュー一覧

  • 掌に眠る舞台

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    不思議なお話の短編集。どこか、不気味で、少し怖くて、可愛らしくもある、そんなお話。とりとめもなく、もともと忘れっぽい私には、読んだ側から、遠くへ行ってしまうような、フワフワとしたお話。どんなお話だったとか、誰にも伝えられそうにないお話。

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    2023年11月01日
  • 洋子さんの本棚

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    ネタバレ

    同い年、同じ県下で育ったおふたりによる読書対談。個人的的には大好きな須賀敦子氏が翻訳したタブッキの『インド夜想曲』を取り上げているのが嬉しかった。「本の値段を見ずに買う」という贅沢をなかなか許せずにいる自分をちょっとだけ情けなく思った。

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    2023年10月30日
  • 掌に眠る舞台

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    "装飾用の役者"が特に印象的だった。
    金持ちの道楽だが、舞台そのものを所有したく、それは特別な公演で無くても良く、というのはわからなくもない。それでも現実的には、やはりちゃんとした劇団を欲しくなるだろうし、色んな派手な公演を見たくなるだろうけど。

    工具箱の上で繰り広げられるバレエも、みんな似たようなことをしたことがあるのではないだろうか。懐かしさと、ほっこり。

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    2023年10月30日
  • 刺繍する少女

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    ネタバレ

    不気味で残酷な話と、ただ残酷な話と、切ない話が散らばっていた。
    特にアリアが印象的で、年に一度、誕生日に訪れ、贈り物専用棚に毎年1個ずつ品は増えていく。そしてお返しに叔母さんはオペラを披露する。年に1日だけだろうと、わざわざ誕生日にプレゼント片手に訪れてくれるのだから有難いのかもしれないが、叔母さんの方も人を持て成すことに慣れておらず、毎年大量の料理やデザートを用意して待ち構えている。
    オペラで成功せず、化粧品売りになった叔母。
    今では唯一披露するのがこの誕生日かもしれない。
    「どうぞお元気で。また、来年」と帰っていく。
    窓からじっと目を凝らして、彼の姿が見えなくなるまで見送る。
    そして冷たく

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    2023年10月09日
  • ブラフマンの埋葬

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    物静かな主人公とブラフマンとの、静かな出会いと静かな別れが、淡々とした叙事的な文章で語られる。

    先日読んだ井伏鱒二「山椒魚」と同じく、この作品の中では空想上の生物であるブラフマンの描写だけがリアルだ。
    現実的に「あり得る」はずの他の登場人物達は、主人公が密かに想いを寄せる「娘」でさえ、あるいはその「娘」への想いさえ、どこかぼんやりしている(村上春樹の世界の終わりを連想させる)。

    ブラフマンを失った主人公の悲しみについては何も書かれていない。
    書かれているのは、「娘」から聴く言葉がどこか平板であり、声を発さないブラフマンの表情は主人公に豊かな心情を語りかけていることである。
    ブラフマンが枯葉

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    2023年09月28日
  • やさしい訴え

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    静かな別荘地で、新田や薫、グラスホッパーの奥さんなど、日々他愛ない交流・親睦を深めながら、ゆっくりと時間が過ぎていく様が心地よく、羨ましい。新田も薫もそれぞれの過去を背負いながらチェンバロを通してお互い支え合って生きていく。
    こんな隠居生活ができたらな。

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    2023年09月23日
  • 密やかな結晶 新装版

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    言葉ってこんなふうに紡ぐことができるのかあと何度もおんなじ一文を読み返すくらい、柔軟で綺麗な表現に溢れた本だった。
    時間の流れをゆったりと感じる。
    全体的に寂しかった。
    消滅という想像し難い現象を物語の中で完璧に作り出していた、消えていくことの寂しさをただひたすら感じるお話だった。

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    2025年06月22日
  • 琥珀のまたたき

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    ちょうど気持ちが下を向いている時期に読んだので、この閉塞感が苦しくて読むのに苦労した。息も苦しくなった。
    外から見るとママのしたことは考えられないけれど、琥珀にとってはそんなに悪いものでもなかったのかもしれない。4人一緒にいられるなら。
    ママの、オパールの、瑪瑙の、ジョーの話も聞きたい。文字という声あるものだけの話では見えない。オパールや瑪瑙がこの日々を愛しく思い出す時間がありますように。

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    2023年09月01日
  • 琥珀のまたたき

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    幼い娘を亡くした母と姉弟がその子のことを思う愛情が伝わってきた。しかし少し常軌を逸した形ではあったが、そのくらい深い愛があったのだなと。描写が繊細でほんの微かな変化にも敏感で想像力豊かな作品だった。

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    2023年08月29日
  • 掌に眠る舞台

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    ダブルフォルトの予言がいろいろと不気味。無限ヤモリは毎日ヤモリが湧いて出てくるのかと思ったらもちろん違った。

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    2023年08月28日
  • ゴリラの森、言葉の海(新潮文庫)

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    ゴリラの専門家(霊長類学者)の山極寿一さんと、小説家の小川洋子が、ひたすら対談する。対談集なので、徹底的に突き詰めるというより、ふわっと終わった感がある。学者は、霊長類のゴリラの特性から、人間との共通点、違う点、なぜ違いが出たかについて語る。小説家は、なぜ人間界にだけが戦争や暴力や強姦が起きるのかを考えている。山極さんは『言語』、それによるメタファー、そして死の記憶等の、他の動物にはない人間特有の特性だとする。それは人間が文明を築き上げた源でもあり、それがまた、戦争、暴力をも引き起こす源でもあるのか。個人的には、ゴリラの子殺しの話が興味深い。自分の子どもを殺した男ともつながれる。それは死の記憶

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    2023年08月19日
  • 約束された移動

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    この著者の目には、世界はどんな風に見えているのだろう。一見すると奇抜で現実味を欠く内容なのに、妙に生々しい手触りの文章で、彼・彼女らが確かにそこにいると感じられる。エンタメとして楽しむ本ではないのだけれど、なぜか手に取っている。癖になる小説家だ……

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    2023年08月14日
  • 掌に眠る舞台

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    舞台がテーマの掌編集。相変わらずの小川ワールド。名久井直子さん×ヒグチユウコさんの装丁も素晴らしい。

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    2023年08月09日
  • からだの美

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    「赤ん坊の握りこぶしの中にはいつでも、生きるに値すると思わせてくれる世界が広がっている」
    まど・みちおさんの詩が、東京バンドワゴンの我南人の口調を連想させる…。

    ナメクジが大嫌いなのだが、カタツムリからの進化ということを初めて知った。別ものだと思っていた。どっちもキモチワルイが。

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    2023年08月05日
  • ブラフマンの埋葬

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    作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。

    とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。

    高校の倫理を履修した人なら覚えているかもしれない。"ウパニシャッド哲学"なんて言葉と一緒に出てくる「ブラフマン」とは、宇宙の根本原理をさす。
    つまり、全てのものの根源がブラフマンであり、「宇宙の創造主」とも言われる。

    とすると、作中のブラフマンは、芸術家たちが活動する〈創作者の家〉が、その創作が、生んだものなのであろう。いや

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    2023年07月31日
  • 小箱

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    ネタバレ

     昔、幼稚園だった家には、棚にいくつものガラスの箱が。その箱の中には、死んだ子供が年を取るにつれて必要なものがその都度、おさめられている。また、一人一人の音楽会が開かれてる。遺髪を弦にした小さな竪琴の奏でるメロディ。小川洋子さんの世界が静かに、静かに広がっています。「小箱」、2019.10発行。時折、ほんとにそうだと納得の言葉が散りばめられています。字を書く音が心を安らかにする。2人で1冊の本を読むのは、手紙を1通やり取りするのと同じ。

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    2023年07月22日
  • ブラフマンの埋葬

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    ブラフマンは勝手に犬だと思っていたけど、皆さんの感想を読むとカワウソかもと描かれていて、そうなのか!と。

    淡々と進んでいく物語、最後もあっさり終わってしまうけど、自然に囲まれた穏やかな風景とブラフマンとの日々はじんわり残ってる。

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    2023年07月19日
  • 偶然の祝福

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    積ん読になっていましたが、ふと手にとって読み始めました。私の読解力がないのか、あれ~?なになに~と理解困難な箇所もありましたが、ほっこりするような、ふわっと幸せ感じるような、穏やかな気持ちになれます。

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    2023年07月09日
  • 偶然の祝福

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    説明のつかない奇妙さや気持ち悪さがありつつも、どこか儚くて切なく感じる短編集でした。

    特に前半「失踪者たちの王国」、「盗作」はちょっと気持ち悪く感じました。

    小川洋子の描く動物は優しくて可愛いです。
    「涙腺水晶結石症」が好きです。

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    2023年07月02日
  • 海

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    すべて不思議な短編、

    バタフライ和文タイプ事務所
    銀色のかぎ針
    缶入りドロップ
    ひよこトラック
    ガイド

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    2023年06月27日