小川洋子のレビュー一覧

  • ブラフマンの埋葬

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    ネタバレ

    全体としてフワフワとした夢物語のような感覚が
    解説を読んで、なるほどなとスッと入ってくるものがあった。南仏にまつわる話、主人公を含む名前のない人間たちこそ夢の中で出会う行きずりの人物のように謎めいている、互いの領域に決して入り込まない人々の世界に起こった泉泥棒の登場と「僕」の侵犯行為、その結果としての死。

    犬との関わり、育つ幼きものに寄り添う子育てを振り返りたくなるようなあたたかな前半もよいが
    後半の展開は深く、余韻を残す一冊。

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    2024年02月23日
  • 約束された移動

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    昔は本をよく読んでいたがいつの間にかあまり読まなくなってしまっていました。
    小川洋子さんの小説を読んでみたいけれどすらすら読める小説ではないと認識していたので、短編小説からにしようと思いました。新しめのもので。タイトルと同名の『約束された移動』が一番好きで面白かったです。高級ホテルのロイヤルスイート担当の客室係と非定期的にスイートルームに宿泊するハリウッドスター、ギリシャ彫刻のように美しいBとの二人だけの不思議で秘密な本に関するやり取りがとてもひっそりとしているが興味深かった。Bが宿泊したあと、書棚の本が一冊ずつ消えてゆき、その隙間を客室係がわからないよう塞いでゆく。消えた本と同じ本を客室係は

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    2024年02月18日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    充実の対談集。
    「博士の愛した数式」の逸話と「源氏物語」の解釈が新鮮。
    日本の曖昧さと西洋の厳密さが興味深い。
    私はアースされているから大丈夫という河合先生の心構えを見習いたい。

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    2024年02月17日
  • 刺繍する少女

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    小川洋子の短編集ははじめて読んだ。「森の奥で燃えるもの」が1番好きだったかもしれない。どの短編を読んでも、小川洋子の他の作品に通じるなにかがあった。薬指の標本とか、完璧な病室とか、余白の愛とか。いささか繊細すぎ、美しすぎるがゆえに不気味さが静かに際立っていた。

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    2024年02月14日
  • 完璧な病室

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    「完璧な病室」
    無駄なものはなく清潔で安心できる場所。
    弟の病室で二人で過ごす時間は静かで、時を刻むほど清らかになっていく。相反していたものは、心の病があった母とのかつての生活。それらを全て包み込んでいくものの温かさが、この小説全体を包み込んでいるように思えた。

    ほかに、「揚羽蝶が壊れる時」「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」

    あとがきまで読み終えて、人のすべての奥底までが細やかに描かれた小説が、自分の物のように感じられる読者になりたいと思った。

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    2024年02月12日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    世界の片隅で、ひっそりと生きている人たち。
    物語の主人公たちのイメージ。

    みんなそれぞれ、個性的な習慣や癖などがあって、どうかそのことで世の中からはみだしたりしませんようにと、願いたくなる。

    小川洋子さんの作品は、こんな感じの主人公が多いのかな。

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    2024年02月12日
  • からだの美

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    現代の作家で、言葉の使い方が、最も好きな作家さん

    一つ一つのテーマに対して少し冗長になるとことがあったのが残念

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    2024年01月18日
  • いつも彼らはどこかに

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    どこかの国でひっそりと静かに暮らす誰かの側にはいつも彼ら(何か)が寄り添っている。それは生きた動物だったり、物であったり…。 大きな出来事はおこらない、物語の結末もよくわからない。けれどその世界観にじわっ〜と浸れるような短編集。
    特別なことがなくても平凡に暮らす私たちでも小川洋子さんの手にかかれば素敵な物語になるのかもしれない。自分の心にそっと寄り添ってくれているものって何だろう…

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    2024年01月15日
  • 琥珀のまたたき

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    現実世界で起これば母親は親としての在り方を非難されるに違いないが、小川洋子の世界の中では誰も糾弾されることはない。いろんな人にとっての真実がただそこに存在している。

    他の作品でも登場人物や小川洋子の世界観が強く存在していることは多々あるが、この作品は他のどの作品よりも絶対に自分は入り込めない、触れてはいけない世界だと感じた。
    そして、その世界、家族の在り方は信仰に通ずるものを感じた。ムスリムの友人は宗教で自由になれると私に話した。外から見れば戒律に縛られた自由のない世界。内から見れば従うものがあるからこそ迷いなく守られながら自由でいられる世界。そんな信仰に近いものを彼らの壁の内にも感じた。

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    2024年01月12日
  • 生きるとは、自分の物語をつくること

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    小川洋子さんの本を読んでよかったのでこちらに。

    河合先生の、カウンセリングの話ははっとさせられた。相談や迷いの声を聞くと、わたしは答えらしきものが知りたくて、⚫︎⚫︎ということ?と問うてしまう。もしくは、こう捉えたらいいんだよと解釈を与えてしまう。

    相手に寄り添い、相手の世界の中で話をする態度を自分はとりたいけど、現実的にはそうもいってられないことも。自分の考えのよらないことに、ああそうかとただ受け止めるようになりたいし、まだ自分がわかってないこともあるかもと思っていたいと感じた。

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    2024年01月08日
  • ボタンちゃん

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    岡田千晶さんの描く子ども部屋が好き。ご自身はどんなお宅に住まわれているのだろう。絶対オシャレなはず。
    娘が大好きなアニメ「ドックはおもちゃドクター」に通じるものがあった。困ってる人、悲しんでいる人を励ます勇敢な女の子のストーリー。ボタンちゃんも同じ。アンナちゃんのお母さんを見習って、モノと思い出を大切にせねばならんな。と反省した。

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    2023年12月17日
  • 洋子さんの本棚

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    書くことを仕事にする二人の「洋子」さんが本の世界を語る対談集。
    思い出の本として紹介される本が重鎮な本ばかり。(私は、ほとんど読めていません)
    1冊1冊を深く深く読み込んでいる。
    やっぱり、言葉を仕事にしている方の観点や洞察力は深いのだなと思った。
    時々、お二人の日常のお話や、食のお話が出てきて、身近に感じた。

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    2023年12月14日
  • 凍りついた香り

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    ネタバレ

    主人公の夫が序盤から自殺してしまうが、亡くなった夫に対する悲しみや愛がひしひしと伝わる。読み進めていくうち胸が締め付けられる。さすが小川洋子さん!といった作品だと思う。

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    2023年12月03日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    心が温まったり、冷えたり。体温調節が大変だったなぁ、と言うのは冗談で。「仮名の作家」が一番好きでした。映画ミザリーよりももっと、リアリティのある暴走ファンのお話。読み進めると段々雲行きがおや?と怪しくなってきた辺りから徐々に体が冷え始め、最後に哀れみが残った。

    表題にもなっている「口笛の上手な白雪姫」は、正直解説を読んでもしっくりは来なかった。解釈も受け取り方も人それぞれなので、何が正解かは分からないけれど、無理やり仏法と結びつけ過ぎている様な。正直この手のヒューマンドラマ系の物語に、宗教と言う視点から考察する事には違和感しか感じられなくて。小母さんの過去は全く描かれていない中で、無償の愛と

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    2023年11月22日
  • 琥珀のまたたき

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    滑らかな言葉、誰にも侵せない世界。一歩踏み出せば、異質でしかないと気づくそこが、琥珀にとっての全てになる。荒々しい描写も怒涛の展開もないのに、じわじわと衝撃が染み入ってくる作品だった。

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    2023年11月12日
  • 琥珀のまたたき

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    この本の世界観が独特で全く意味がわからなかったが、解説を読んでなんとなくわかった。
    時間が止まっている表現であったり、この閉塞感、視点の移り変わり、すべてが難しいが読み終わった感想としては、その人の境遇だけで決めつけることをしないということ。

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    2023年11月12日
  • 口笛の上手な白雪姫

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    ネタバレ

    偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く、8編の短編小説。

    「一つの歌を分け合う」が一番印象的だった。
    従兄弟が亡くなってしばらくしてから、伯母が舞台俳優を亡くなった我が子だと思い込み、主人公と一緒に観劇に行く話。
    「劇場では誰も泣いている彼女を不思議がったり、奇異な目で見たりしなかった。理由を取り繕う必要はないのだ。伯母は好きなだけ泣くことができた。」
    という、帰り道のシーンがよかった。

    夫の祖母の葬式のときに、子供を亡くした叔母さんの話を聞いてから、それと重なって思いを馳せてしまった。

    「かわいそうなこと」「盲腸線の秘密」も、子供ながらの世界を表していてよかった。

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    2023年11月05日
  • 掌に眠る舞台

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    不思議なお話の短編集。どこか、不気味で、少し怖くて、可愛らしくもある、そんなお話。とりとめもなく、もともと忘れっぽい私には、読んだ側から、遠くへ行ってしまうような、フワフワとしたお話。どんなお話だったとか、誰にも伝えられそうにないお話。

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    2023年11月01日
  • 洋子さんの本棚

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    ネタバレ

    同い年、同じ県下で育ったおふたりによる読書対談。個人的的には大好きな須賀敦子氏が翻訳したタブッキの『インド夜想曲』を取り上げているのが嬉しかった。「本の値段を見ずに買う」という贅沢をなかなか許せずにいる自分をちょっとだけ情けなく思った。

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    2023年10月30日
  • 掌に眠る舞台

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    "装飾用の役者"が特に印象的だった。
    金持ちの道楽だが、舞台そのものを所有したく、それは特別な公演で無くても良く、というのはわからなくもない。それでも現実的には、やはりちゃんとした劇団を欲しくなるだろうし、色んな派手な公演を見たくなるだろうけど。

    工具箱の上で繰り広げられるバレエも、みんな似たようなことをしたことがあるのではないだろうか。懐かしさと、ほっこり。

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    2023年10月30日