小川洋子のレビュー一覧

  • 続 遠慮深いうたた寝

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    百科事典のセールスマンの話題が出てきた。
    いろんな押し売りに混ざって、百科事典のセールスマンも子供のころ我が家にも来た。
    小川洋子さんは欲しかったが(欲しいと口にもできず)買ってもらえなかった。
    私は(欲しいと言って)買ってもらった。
    1冊の厚さは4センチほどあり、全部で10巻か12巻だったと思う。
    今思うと、きっと我が家にとっては高価なものだったのだろう。
    お気に入りの1冊か2冊をペラペラと捲るだけで精いっぱいだった記憶がある。

    5章構成になっている本だが、最後の章は本の紹介になっている。
    私にとっては、読んでみようと思う本はなかった。
    読んでいた本は、赤染晶子さんの「じゃむパンの日」だけだった。
    「私が愛する10冊」も紹介していたが、うち外国の著者が7冊で日本の著者3冊に男性は入っていなかった。
    小川洋子さんが読む本と私が読みたいと思う本は違うみたいだ。

    興味をそそられない話もチョコチョコ混ざっていたが、小川洋子さんの奥ゆかしさと優しさが伝わってくる。

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    2026年04月14日
  • アンネ・フランクの記憶

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    ネタバレ

    7年前のクラクフ旅をなぞりながら

    We were no heroes, we only did our human duty, helping people who need help.

    醜い美しさ

    生死に条件などない、運命を知っていたのは神だけだ

    ある者は日記を書き、ある者は絵を描き続けた。

    不安は、自分1人で、沈黙のうちに、背負わなければならない

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    2026年04月13日
  • 薬指の標本

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    妖しく繊細な世界。靴磨きのおじいさんとの会話が印象的でした。弟子丸氏に贈られた靴を履き続けて足元から侵食されるーー自由になりたくなくて、彼に封じ込められていたいと言う主人公は、心も既に侵食され彼に絡め取られてしまっているように感じる。愛と呼ぶには歪すぎるけど、2人の密やかな繋がりの深さに目が離せなかった。六角形の小部屋も不思議で面白い物語。語り小部屋の誰もいない空間で胸の内を曝け出して話すのはすっきりしそうだ。ありそうでない職業や仕事をテーマにした話は、吉田篤弘さんの作風とどこか通じるものを感じた。

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    2026年04月12日
  • 耳に棲むもの

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    他の方のレビューを見て知ったんだけど、短編アニメーションのための原作だったようで…。
    凄く納得した。
    小川洋子先生の本は「博士の愛した数式」と「薬指の標本」しか読んだことがなく、「博士の愛した数式」は凄くすきなんだけど、「薬指の標本」は「よくわからない」という印象だった。
    そして本書も「よくわからない」というのが初めの感想。
    でも、この不思議な世界のショートアニメだと想像できるという不思議。

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    2026年04月10日
  • サイレントシンガー

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    なぜか読み進めるのいパワーが必要だった。
    リリカさんの歌声、私はちゃんと聴けないタイプの人間かも知れないなあ。
    仮歌ばかり歌うリリカさん、あなたの本心はどこにあるんだろう。
    そしてアカシアの野辺みたいな、言葉なしで暮らせる場所を必要とする人が、言葉があふれる現代にはたくさんいるような気がする。

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    2026年04月09日
  • 海

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    7編の短編小説でした。「博士の愛した数式」が面白かったので手に取りました。小川洋子さんの静謐な文章が好きです。飾らないのに美しいと私は感じます。他の本も手に取りたいです。

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    2026年04月09日
  • 偶然の祝福

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    小川洋子節がふんだんに入っているのだけど、主人公が物書きということもあってか、勝手に小川洋子本人と主人公がクロスする様で、他の作品よりも、なんだか人間的な暖かい温度を感じる。
    川上弘美さんも書いてるけど、「キリコさんの失敗」良いですね。

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    2026年04月08日
  • 薬指の標本

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    ネタバレ

    不思議で独特で暗くてどこか切ない。この世界観はとても好き。優しい語り口で読みやすく、一気に読んでしまいました。「薬指の標本」まず弟子丸という名前に心惹かれました。標本室の役割がファンタジーなものを感じさせるからか、通勤や電車といった身近なことばが出てくるのがなんだか不思議。弟子丸がどうやって人の一部から標本を作るのか。気になる。「六角形の小部屋」こちらも最後は読者の想像におまかせな感じ。主人公が六角形の小部屋に魅いられ、だんだんと熱が入っていく姿には危機迫るものがありました。語ってる場面が好きです。

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    2026年03月26日
  • 妊娠カレンダー

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    妊娠中の姉の不安定さを妹の視点から描いている。薄ら暗い好奇心と歪みが細やかに描写されていて、恐ろしくもありつつ表現が綺麗だとしみじみ思う。登場人物たちの言葉のやり取りや、人物描写が丁寧で情景がありありと思い浮かぶ。繊細で静かに響く文章。小川さんの文章は、ひどく懐かしい気持ちがするのはなぜだろう。ドミトリイはどのように着地するのか先が気になりながら読んだ。夕暮れの給食室と雨のプールもどこか不思議な話だけどなぜかずっと心に残っている。ジュジュが可愛らしい。

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    2026年03月25日
  • 猫を抱いて象と泳ぐ

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    ネタバレ

    チェスをやってみたくなりました。不思議な世界観と主人公像。主人公は上唇と下唇がくっついた状態で生まれ、切り離された唇は口としての形を持ったものの、脛の皮を移植されたために唇に脛毛が生えている。大きくなることに恐怖心があり、小柄な体型を保ったまま、人形の下に潜り込みチェスを打ち続ける。本当に不思議で、静かなお話。最後までゆったりと話に浸かっていられました。主人公と老婆令嬢がチェスを通して心を通わせていく様子がきれい。印象的です。

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    2026年03月24日
  • 妊娠カレンダー

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    ネタバレ

    小川さんの作品には食事と数学とプールといったワードがよく出てきますね。こういうの見つけるのは、作者さんに近づけたようでおもしろいです。「妊娠カレンダー」妊娠中の姉に、胎児の染色体を破壊する可能性のあるジャムを作って食べさせ続ける主人公。行動の理由ははっきりわからないものの、きれいで、なにか物悲しい。「ドミトリイ」身体障害者の寮管理者の先生と元寮生の主人公。真相は闇の中。先生の数学科の生徒の回想の語りが重くて好きです。「夕暮れの給食室と雨のプール」給食のくだりは、わかるなあ。

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    2026年03月24日
  • アンネ・フランクの記憶

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    ネタバレ

    とても良かった。読んでいる途中でどうしてもアンネの日記を再読したくなり、つい買ってしまいました。小川さんのアンネへの想いが、優しい語り口にもかかわらず、これでもかというほどに伝わってきます。アンネという少女を身近に感じ、その酷い生涯を改めて残酷だと、思いました。強制収容所での虐殺は私の想像を超えていました。アンネという少女が生きていたこと。再読して考えたいと思います。

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    2026年03月24日
  • 人質の朗読会

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    ネタバレ

    囚われの人質たちが自らを語っていく。小川さんの作品の中ではかなり読みやすい作品だと思いました。どの人質の朗読も独特な匂いを感じます。「やまびこビスケット」工場で働く大人しい女と偏屈な大家の女。ビスケットの出来損ないを通じて、二人の仲が少しずつ近づく。印象的でした。「コンソメスープ名人」死期の近い母を持つ娘とぼく。小川さんらしさを感じました。少し不気味で、不思議。「死んだおばあさん」様々な死んだおばあさんに似ている女。薄気味悪いはずなのに、全然嫌悪感がない。永遠に死んだおばあさんになれない、この締めが好き。

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    2026年03月23日
  • いつも彼らはどこかに

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    珍しくあまり刺さらなかった。小川洋子作品に出てくる少し不思議な雰囲気を持つ人達が、この作品では妙にリアリティを持った迷惑な人達に感じてしまった。「こういう人いるよね」「こんなシチュエーションはいやだなぁ」と思うことが多かったかなぁ。

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    2026年03月22日
  • カラーひよことコーヒー豆

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    ネタバレ

    なんてかわいい装丁だろう、と私は心惹かれて、この本を読み始めたのです。そこには小川さんの流れるようなエッセイがあふれていて、自己卑下がすぎる彼女の穏やかな語りに癒されました。芥川賞作家なんですってよ。あまりなんとか作家を意識しないので、文末に添えられた略歴に驚きました。もっと堂々としてくれよ、なんてちょっと思います。表題の「カラーひよことコーヒー豆」は恥ずかしながらカラーひよこをなんとなくしか知らない私には、小川さんの描く懐かしさにタイムトリップしたような心地でした。見たこともないのに。すてきな本でした。

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    2026年03月15日
  • やさしい訴え

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    描写がいちいち悲しくて泣きそうになる感じ、これが私にとっての小川洋子かも。冷静に考えると瑠璃子は突然やってきて新田を手に入れたり顔で振る舞う、不幸な割に図々しい関わりたくないタイプの人で共感はできなかった。夫婦関係の悪化のせいで壊れてしまったのかな。愛する薫との北海道行きを辞めた新田の心の内も知りたくなる。瑠璃子視点でしか描かれない寡黙な新田氏、いまいち掴めなかった。楽器職人って、指先と視線が色気あるんだろうな。 ひとまず私もグラスホッパーの奥さんに胸の中で慰められたいよーと思った。

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    2026年03月15日
  • 続 遠慮深いうたた寝

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    温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く、大好評エッセイ集『遠慮深いうたた寝』第二弾。
    前作で装丁が素敵すぎて大優勝だったのだけれど、今回も同じでとても良い。陶器のようなつるっとした感じで珍しい。小川洋子さんの静かで穏やかなまなざしが透けて見えてくるエッセイで、読んでいるとこちらの心も落ち着く。子供や動物など小さきものへの優しい目にほっとするな。ハプニングがあって演劇の前に人助けをした筆者のエピソードがとても印象に残っている。こういう優しい人だけで世界が構成されていたら戦争なんて起こらないのだろう。物語を作る側の苦労はとても計り知れないけれど、これほどの有名な作家さんでも本当にもがきながら生み出しているんだなと思うと、それらを読める読者は幸せだなあと感じました。

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    2026年03月14日
  • 薬指の標本

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    ふと目にとまって、寝不足のはずなのに、寝る前に。
    不思議な読後感のある作家だ。

    <本人の意思や努力によって運命を切り開けると信じている人もいるかもしれません、けれど、意思や努力が既に運命なのだと、わたしは感じます>

    印象に残った一節。

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    2026年03月12日
  • ことり

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    物語としては大きな出来事があったり、事件が起こったりということはなく、とても静かな物語なのですが、「小鳥の小父さん」と呼ばれた人の生涯が小鳥とともに描かれていて、小川洋子さんの手にかかればとてもささやかな日常の一つ一つが本当に鮮やかに美しいものだと感じさせてくれるので、一文も読み落としたくなくてかなりゆっくりと読み込みました。
    切なく、少し哀しい物語ですが、人の温かさや優しさが心に染みるとてもいい作品に出合えました。

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    2026年03月04日
  • ことり

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    社会とのつながりに疎い人間が急に社会と繋がった時に、それが想いのほか刺激的だった時に取る行動に私は、ちょっと気持ち悪いなと感じてしまいました。また、周りの人たちの身勝手さと言うか思いやりのなさに、社会、人間の狂気を感じました。
    だからこそ小父さんは鳥と過ごしたのかなぁ思うと、終わり方は良かったと思います。

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    2026年03月03日